2012.06.11 (Mon)

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天候の変化が激しい時や季節の変わり目にダウンロード数がぐっと上がるそら案内 for iOS。気がつけば110万ダウンロードも越えていました。皆様、いつもご利用いただき有難う御座います。

…という訳で(?)すっかり遅くなりましたが、2012年3月末のログ解析データを公開してみたいと思います。今回も約1ヶ月分のデータに基づいています。諸事情で厳密には4月2日までのログを含んでいますので微妙に3月丸々1ヶ月分ではないのですが、その点ご了承下さい。

 

■ そら案内 for iOS のバージョン分布

登場した新たな赤色勢力。iPad 3rd のRetinaに対応した新バージョンですね。

アプリバージョン 2011/12/27 2012/01/27 2012/02/29 2012/04/02
v1.0 0.24 0.17 0.16 0.12
v1.1 2.90 1.99 1.63 1.23
v1.2 96.86 97.84 98.18 81.46
v1.3 17.19

新バージョン v1.3 は 2012/3/29 に発表していますので、実質5日で最新バージョンに2割の方がupdateして頂けたという事になります。有難いお話です。

 

■ デバイスの種別分布

次にデバイス。これは余り変わりません。そりゃそうか。

デバイス種別 2011/12/27 2012/01/27 2012/02/29 2012/04/02
iPad 29.15 29.05 26.86 27.34
iPhone 65.96 65.87 68.53 68.57
iPod touch 4.89 5.08 4.61 4.10

そら案内というアプリケーションだけに限った話ですから用途を考えてもこれが大きく変動する事は今後も恐らく無いと思います。変わるとすれば何かしら新しいデバイスが出てきた時でしょうか。

 

■ iOSのバージョン分布

一番面白いiOSのバージョン分布。何だかiOS分布だけで良いような気もする今日この頃です(笑) iOSの新バージョン(v5.1)登場時期が被ってるので非常に面白い結果が出ていますね。

iOSバージョン 2011/12/27 2012/01/27 2012/02/29 2012/04/02
iOS3.1系 0.28 0.18 0.16 0.11
iOS3.2系 0.57 0.46 0.40 0.36
iOS4.0系 0.64 0.47 0.42 0.36
iOS4.1系 1.39 1.06 0.97 0.81
iOS4.2系 5.08 3.91 3.62 2.96
iOS4.3系 23.56 16.75 14.65 11.80
iOS5.0系 68.47 77.15 79.74 38.77
iOS5.1系 0.01 0.02 0.03 44.90

期間中のアクセス数はざっと2300万。激増してます。このシリーズのエントリでは繰り返し書いておりますが、そら案内 for iOS は扱っている情報が天気予報という事で老若男女関係なく御利用頂いている可能性が高く、概ね国内市場のiOS分布に近い値が出ていると思われます。

興味深い点は幾つかありますが、特筆すべきはやはり iOS5.1 への移行スピード。iOS5.0の時もそうでしたがとにかくiOSは新バージョンへの追随率が異様に高いです。iOS5.1は2012年3月9日に発表されましたが、そこから3週間強の間に4割以上の勢力になっているという事です。iPhone/iPadがドンドン売れている事の証左でもあるのでしょうけど、とにかく追随早過ぎ。

次なるポイントは、iOS4以下の合計が20%を切って、iOS5以上が80%を越えたという事です。前回の1月末には全体の4分の1を切ったと書かせて頂きましたが、相変わらず旧バージョンの減少ぶりが凄まじいです。これは旧バージョンを折れ線グラフで見てみると顕著でして、

こんな感じになってます。とにかく古いバージョン比率の逓減ぶりが気持ち良い。最新バージョンに近ければ近いほど低下する勢いがある傾向が見て取れますが、これはiOSでは次のバージョンへ移る勢力が常に強いという歴史があった事を示唆しています。開発者にとっては有難い傾向ですね。恐らく将来も傾向は同じでしょう。

今回の統計を見る限り、そろそろ新規案件も更新案件もiOS5以上での開発を前提にしてしまえるんじゃないかなぁと思った次第。WWDC2012ではiOS6も発表されますし、iOS4系を扱う意味はますます薄れていくのではないでしょうか。

 

という事で2012年3月のレポートでした。4月以降は週次で数字を作っていますので、ちょいとまとめ方を変えてみるかも知れません。これまでのレポートを以下にリンク列挙してみましたので、興味お有りの方は宜しければどうぞ。


2012.06.10 (Sun)

展開くーん

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はーい

ってなもんで、先般発表した短縮URLの展開支援アプリ「URL展開君」の最新版(v1.1.0)をリリース致しました。ほぼこれで完成形ではないかと思いますが、今回のバージョンで搭載された新機能を2つ紹介します。

 

■ セーフブラウジング

短縮URLは便利な半面セキュリティリスクのあるサイトのURLが隠蔽されている可能性がある事はよく知られたこと。URL展開君を作ったのもそれを事前に判断できるように…という目的あってこそだったのですが、もう一歩進化させました。

危険と思しきサイトなら警告する機能です。

Googleが提供する Safe Browsing API を使用しています。短縮URLを展開して、そのURL先の危険性についてGoogle先生に尋ねて、危険そうならその旨を表示するって機能ですね。

赤色の警告表示をしているにも関わらず、肝心の展開君に危機感が全然無いように見えるのは仕様です。

 

■ クリップボード監視

一度、URL展開君を起動した以降にクリップボードにテキストがコピーされた瞬間を監視するようにして、通知センターから当該URLの展開を促すようにしてみました。

通知センターに表示されたURL展開君をタップすると、すぐ

こんな風にコピーされたテキストがペーストされた状態でURL展開君が立ち上がります。クリップボードにコピーされたテキストにURLが含まれていればその度に通知してくれますので結構便利。ただiOSの仕様上、永遠に監視し続ける事は出来ませんので、直近の起動から約10分程度が経過すると再起動を促すような通知が表示されるようになってます。

尚、この監視機能が鬱陶しい場合は、URL展開君の設定画面からオフにする事も可能です。

 

という事でURL展開君の最新版(v1.1.0)リリースのお知らせでした。相変わらず展開君のキャラが立ってて個人的には好きなアプリです。皆様も是非、短縮URLの利便性に潜む罠にハマらない為にも URL展開君 を御利用下さいませ。(URL展開君のアプリ紹介や使い方についてはこちらのエントリをどうぞ)


2012.06.09 (Sat)

先日発表させて頂いた、ページめくりも同期するプレゼン資料共有サービス「Slidrs」ですが、サーバ的には結構なチャレンジをしています。最近の技術トレンドを満載してると言っても過言ではないでしょう(Slidrsの詳しい内容についてはこちらのエントリをどうぞ)。せっかくですので、Slidrsで使っているモノの御紹介をしてみようと思います。

■ インフラ

Amazon Web Services を使っています。ここ凄く重要。巷のいわゆるレンタルサーバではありません。AWSが出た当初からずーーっと純AWSで真のクラウドサービスを提供したいと思っていましたがようやくですね。(昨年立ち上げたSYNCNELは政治的理由でAWSを選ばなかった訳ですが、実は後悔してます)

Slidrsでは、最前線にはロードバランサELBを持ってきて、フロントのアプリサーバ用にEC2 x n台、バックにはDB用サーバにEC2、諸々監視用サーバにもEC2、外部ストレージにS3、DNSにはRoute53…を組み合わせて使っています。

ローンチ当日には急遽EC2を倍に増やしたりもしていて真のクラウドの恩恵を利便をサービサーとして改めて感じている次第。ですので、今後も AWS 大前提という方針は絶対に変えません。

 

■ ソフトウェア

フロントには NginxNode。前者は静的なコンテンツの配信に、後者はアプリケーションサーバとして使っていて、プログラムは node.js でガッツリ書いて貰ってます。ログの集約には fluentd もかましており、いやはやホント便利な時代になりました。

バックには、インメモリなデータストアとして redis を採用。データベースには NoSQLなデータベースの代表格 MongoDBを持ってきてますので、ここもお約束的な組み合わせになるでしょうか。

 

■ デプロイ

諸々サービスを展開するにあたりデプロイツールとして capistrano、サーバの構成管理の自動化に chef を使ってます。このへんも今風ですよね。

 

(デプロイ環境はともかく)もはや LAMP って何って状況になってます。

フロントもバックも全ては高速性を将来に渡って担保しなくちゃ…と考えているからこその組み合わせにしてまして、このへんは「最強の少数精鋭は一人」っていう僕のポリシーに基づき(まぁ少人数ベンチャーだからって事情もありますが)、弊社唯一の web 専門エンジニア @kumatch に全部を一任。これを初期バージョン約1ヶ月で作り上げてる訳ですが、良い感じに出来上がっていると思います。

 

今後も必要に応じて最新のテクノロジーを積極的に取り込みながら拡張していく予定。AWSの中に限っても、予定している数々の追加機能でEC2はもっと増やさなくちゃいけないし、マネタイズの部分では VPCCloudFormation を使用する事も今から視野に入れています。(Slidrsのマネタイズは結構息の長い話だったりします…)

もちろん、やみくもに新技術を使って遊ぶというのではなく、純然たる必要にかられれば適切に使っていくという方針ですね。技術の世界は今まで以上にどんどん変わります。だからエンジニアも使う技術をどんどん変えていかないと…ですね。企業も人も変われる事こそが生き残る唯一の方法だと僕は思ってますので…。

という訳でページめくりも同期するプレゼン資料共有サービス Slidrs で使われている技術紹介でした。


2012.06.08 (Fri)

若干業務連絡的ですが、弊社は今年もWWDCに参加致します。WWDC2009, 2011 に参加してますのでウチとしての参加は3回目ですね。

回数を重ねる度に人数が増えていってまして、今年は弊社でそら案内やBook+を担当している @itok_twit と、SYNCNELやURL展開君の担当である @nakiwo、そして未公開プロジェクト担当の @sumihiro の3名。ちなみに web担当の @kumatch は今年も滞在組。(いつか AWS の国際カンファレンス re: Inventとかに行って貰いたい)

今回、よくチケット取れましたねぇ…と言われたりもしますが、そこはベンチャーの良い所が発揮されて発表当日に facebook group を駆使してリアルタイムに調整しながら難なく3枚ゲットできたってな感じ。

さてさて、今年は何が発表されるのでしょうか。楽しみ半分、不安半分。WWDCがiOSの式典の側面を持つようになって以来、今回は量的最大規模な発表が有るんじゃないかと目されていますが、どうなる事やら。

  • 次期iPhoneで液晶の解像度・アスペクト比が変わる
  • Retina対応のMacが出る

あたりがホントにくると、嬉しいながらも開発会社ベンダー経営者としては「出ちゃったかぁ…」という溜息混じりに呟いてしまうのは間違いありません。何より金や時間の追加投資を強いられますので。

まま、とは言っても自分の好きな世界で進化を目の当たりにするのは嬉しい訳で。iOS6については、標準のMapアプリがどうなるんだろうとか、facebook 連携がどうなるんだろうとか色々気になりますが、そら案内のアクセスログにも実は iOS6 は数十アクセスカウントされている事はさておき、ほぼ確実に来るのでしょう。

個人的には AppleTV で iOS アプリ作れます的な展開がそろそろ出てきて、テレビ業界に戦慄が走るってのが面白い上に、iOSベンダーとして仕事の幅もまた拡がりそうなので嬉しくもあったり、ホントにそうなったらいよいよ案件をもっと回すための(今までとは違うタイプの)増員も必要だったりするのか的な事もホンの少し思ってみたりもする訳です。

 

ちなみに。今年も留守番の僕はいつも通りに通常営業です。

「行ったら良いのに」とはよく言われるのですが、keynoteは一度聞いてみたいと思ってみたりするものの、もはや僕は開発者ではないので合理性という観点から「無し」なんですよね。概要的な話は帰還後のエンジニアとの会話の中で共有出来ますし、中途半端に僕が開発者的な事をしてみても効率が悪いよなぁと。

それよりかは経営者としてもっと大きな世界のウネリや経済の流れみたいなものを俯瞰的に体感する事の方が大切で、その為に数日間海外へビジネス観点で視察する…ってな事の方がよっぽど自分の役割なんじゃないかなと考えている昨今です。

何だか何の話か分からなくなりましたが弊社はWWDC2012に参加しますという業務連絡なのでした。御客様皆様には期間中開発業務がストップしてしまうという事で御迷惑をお掛け致しますが、技術力向上により更なるスピードと品質を御約束する為の布石になるモノですので、どうぞご了承下さいませ。


2012.06.05 (Tue)

先月末 5/30(水) に新しいサービスをリリースしました。Slidrsと書いてスライダーズと呼びます。

先日のエントリの通り昼晩2回 USTREAM で発表を行いまして、のべ150人の方に視聴頂きました。今回、昨年2月のSYNCNEL以来の新サービスという事で気合を入れて記者会見ばりに動画配信してみた次第です。


(自社の会議室で。こんな風に記者会見風の格子状パネルを自作した)

…が、どちらかというとUSTREAMを使ったのは「気合を入れる」為ではなく、新サービスがまさに今回のようなプレゼンテーションの場を進化させるべく開発したモノなので、それを強調する為でした。

Slidrsは、セミナーや勉強会、イベントや発表会など、何かしら「プレゼンテーション」が発生する場面で使用して頂ける無償のサービスです。タイトル通りですが、ページめくりも同期するプレゼン資料共有サービス という表現がピッタリでしょうかね。

実際に体験頂くのが一番良いのですが、次のデモの時まで待って下さいね…とはなかなかいきませんので、簡単に御説明致します。

 

Slidrsは、多くの方が「プレゼンテーション」に感じているであろう

  • 紙資料の無駄
  • データ配布の手間
  • 今どこ喋ってるんだっけ問題

といった問題を、解決する為のサービスと言い換える事ができます。

セミナーなら「会場」に相当するもの、数人の会議なら「会議室」に相当するものを、Slidrsのサイトで作成します。これをSlidrsでは「セッション」と呼んでいます。

作成した「セッション」に資料をアップロードして登録します。基本的にPDFを前提としていますが、何でもok。動画(mov,mp4)、画像(png,jpg,gif,tiff)、音声(mp3,aitff)、テキスト、あとURLも登録出来ます。また複数枚の写真をzip圧縮したフォトブック形式でも大丈夫。(ちなみに Slidrs の特徴でもあるページめくりの追随が可能なのはPDFとフォトブック形式のみとなっています)

作成したセッションにはセッション番号が割り当てられます。上の図では 17 ですね。

発表者は、会場や会議室で「今日はSlidrsのセッション番号17でやります〜」と参加者に伝えます。参加者には Slidrs アプリをダウンロード&起動、更に17という番号を入力してセッションに「入室」して貰います。(参加者の方はユーザ登録不要です)

入力画面

もちろん、発表者も同じように17を入力して iPad や iPhone からセッションに参加しておきましょう。これで必要な環境は揃いました。後は、発表者が自分のiPadで資料を切り替えたり、ページをめくったりするだけで、参加者の画面は発表者の動きをほぼ完全に追尾するという訳ですね。

入室
(発表者が自分のiPadで選択した資料が勝手に配信される。PDFやフォトブックであればページめくりも追随する)

細かな機能は色々とあるのですがそれは別の機会に譲るとして、ザックリと新しいユーザ体験の「コア」な部分を御紹介しました。

 

Slidrsを使えば、資料の印刷が不要なので資源のムダになりません、データ配布もしてくれますから手間もかかりません、更にページめくりも同期しますから「あれ?今どこしゃべってるんだっけ?」ってな事にもなりません。

更にクラウド型のサービスですので、「特定のWiFiルータ配下のみ」ってな制約もありません。ロケーションフリーですから、USTREAMと併用すると遠隔地でセミナーや発表会に参加出来るようにもなる訳です。遠隔の会議でも使用出来るかも知れませんね。

 

iPadやiPhoneをお持ちの方で、もし人前で何か話をされる事があれば是非是非御利用下さいませ。全て無償ですので^^ 聞き手側にiPhoneやiPadを持っている方が多そうでしたら、非常に便利にお使い頂けるのではないかと思います。

先般の発表会を経て、Slidrsを何故作ったのかとか、活用法とか、ビジネスモデルとか、将来目指すところとか、色々と御質問を頂いておりますので、順次エントリしていきたいと思います。

詳しい使い方等はオフィシャルサイト http://slidrs.net/ を御覧下さいませ。また専用のiOSアプリはこちらからダウンロードできます。


2012.05.29 (Tue)

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iPad/iPhone用のPDF/コミックデータビュワー「Book+」の最新版をリリースしました。

外部ストレージ機能でファイル一覧を正しく取得できない場合がある…という不具合改修を行ったものとなります。ご不便をお掛けしてしまった皆様、申し訳ありませんでした。SugarSyncやPogoplugなど、いわゆるクラウドサービスの連携で何かおかしいなぁと感じておられた方は是非アップデートをお願い致します。

また、今回、不具合修正と併せてプチ機能を幾つか追加していますのでご紹介させて頂きます。

  • 選択したテキストからのテキスト検索
  • URLスキーム対応
  • iCloudへのファイルバックアップの制御

 

■ 選択したテキストからのテキスト検索

今回のバージョンから、長押しでテキスト選択した時のpopupが以下のようになります。

これまでのバージョンではこの中の「検索」という項目が無かったのですよね。…ですので、文書内のあるキーワードに対して、他のページでも言及されているかなぁ?的な検索に手間がかかっていました。この手間を省くためのプチ機能追加です。

テキスト選択後、popupの「検索」をタップすると検索した結果一覧までワンアクションで進みます。

 

■ URLスキーム対応

とある英語圏の方からリクエスト頂いた機能です。SafariのURLやLaunch等のアプリに

jp.feedtailor.BookPlus://

を指定して頂くとBook+が起動するようになっています。毎日定時に何かを見るってな時に使えると思います。Book+が起動するだけではあるのですが…。

 

■ iCloudへのファイルバックアップの制御

従来のバージョンですと、Book+内に取り込まれたPDF(FTPやiTunes経由でBook+に入れたPDF等)は自動的にiCloud上にバックアップされていたのですが、これをデフォルトではOFFとなるようにしました。iCloudのディスク容量を圧迫しない為…というのがその目的です。

ファイルブラウザ上の右上、ギヤ状の設定ボタンから [設定] をタップして確認可能です。(デフォルトではOFFになっています)

 

という訳で、不具合修正とプチ機能拡張を行った Book+{.external} v1.7.2 の御紹介でした。既に次のバージョン v1.8 の開発も並行して進めておりまして、更にまた読書に便利な機能を追加する予定です。これからもBook+をどうぞ宜しくお願い致します。


2012.05.29 (Tue)

この度、久しぶりに新サービスを立ち上げます。単体のアプリは幾つか(Book+URL展開君など)リリースしておりますが、「サービス」と言えるものはおよそ1年と3ヶ月ぶりになりますね。いつもであればプレスリリースを流すだけなのですが、今回は新しい試みをしてみる事にしました。

USTREAMを使った製品発表会です。そもそも余りUSTREAMの扱いに慣れていなかったり、発表会という程には大層なものでは無くお手製感一杯だったりしますが、今回の新サービスの特性上この形式が一番伝わるのではないかと考えました。

2012年5月30日 10:30〜11:00 及び 19:00〜19:30

のそれぞれ30分程度で2回予定しています。新サービスの概要、機能紹介を僕から直接紹介させて頂きます。ご興味お持ち頂けるようでしたら、ネット接続可能な状態のiOSデバイス(iPhoneかiPad、またはiPod touch)をお手元に御用意頂いた上で こちら をご覧下さいませ。

サービスの種類としてはiOS用の「プレゼン共有」の部類に入るでしょうか。セミナーや発表会やイベントや会議等のシーンにおいて、iOSデバイスを使った新しいユーザ体験を御提供するサービスです。

既に先行して色んな方に動く様子を御覧頂いてますが、嬉しい事に必ず「おぉ〜、これはスゲー」といった類の反応を頂きます。iOSデバイスを御用意頂くことで、実際に体験をして頂く事が出来るかと思いますので是非ご参加下さいませ。

という訳で、2012年5月30日 10:30〜11:00 または 19:00〜19:30こちら をご覧頂けましたら幸いで御座います。

 

弊社は今回の新サービスで、セミナーや発表会・講義はもちろんのこと企業内の会議も含めた世の中全ての「プレゼンテーション」を根底から変えていきたいと大きなビジョンを掲げています。今回はその最初の一歩を踏み出すにあたり、ちょっと新しい試みをしてみようという御紹介でした。新しい試みですので視聴者数が1でも続行する予定です :-)


2012.05.23 (Wed)

久しぶりの新作アプリです。でん!

擬音語を敢えて書けば「ダメー!!」でしょうか。

彼の名前はURL展開君

本気でダメと思ってるのか分からない微妙な表情で彼は一体なにを「ダメー!!」と言っていて一体何をやってくれるというのか。そこが謎…なんて事はなく名称そのままの機能を持ったシンプルなアプリです。

短縮URLが指す元のURLを展開して調べます

例えば、

こんな感じの短縮URLってのがありますよね?Twitterが認知され始めてから当たり前のように使われるようになったモノで、bit.lyやTinyURLなど短縮URLを作ってくれるサービスはホントに沢山あります。

ようは長ぁ〜〜〜いURLを短くしましょうよという仕組み。文字長節約にもなってスッキリするし本当に便利なのですが、元のURLを隠蔽する仕組みである為に、

こんな風に、宜しくないリンクの隠れ蓑に使われている危険が潜んでいる事は古くから言われてきました。安易に開いてはダメという事ですね。セキュリティ的なリスクがあるかも知れない。物理的に個人に紐付いているiPhoneなら尚の事、気を付けたいところです。

そこでURL展開君!

使い方は至って簡単。まず何かのアプリで気になる短縮URLがあればコピーします。

URLだけのコピーじゃなくて、ザックリと前後の文章を丸ごとコピーして貰っても大丈夫です(画面は TweetBot でURLを含む tweet 全体をコピーしている様子)。これでクリップボードに文章が入りました。

そして、ここでURL展開君に登場願いましょう。「てんかいくーん」

あ、ちなみに本アプリの英語名は URL Expander – TENKAIKUN- です。…って話はさておき、起動直後の画面で、画面下の「クリップボードのテキストをペースト」ボタンをタップしてみましょう。

すると

展開君出てきた!

….で、ここで元のURLを調べたい短縮URLをタップします。文章中に複数のURLがあれば全てタップ可能になりますので、調べたいものをタップして下さい。

こんな感じで調べてくれます。短縮URLが何段も多段になっている事もありますが、ひたすら元のURLを辿り続けます。尚、元のURLを辿るべき短縮URLはプリセットで幾つか用意されており、後から追加したり削除したりする事も出来る親切設計になってます。

話はURL展開画面に戻って…。展開完了したURLを確認して問題なしと判断出来れば、Safariで開く事も出来るようになってます。

きちんと誘導もしてくれる展開君、イタレリツクセリですね :-)

使い方をまとめると

  1. 任意のアプリで気になる短縮URLがあればコピー
  2. URL展開君を呼び出す(「てんかいくーん」)
  3. ペーストボタンをタップする
  4. 調べたいURLをタップする
  5. 問題なさそうならSafariで開くボタンをタップする

ってな感じで極めてシンプルです。この一連の流れの要所要所でクスッと笑ってしまいそうになる効果を埋め込んでいたりします。無償アプリとしての御提供となりますので、ここはひとつ、是非お試し下さいませ。

URL展開君は短縮URLの悪用を許しません!( ー`дー´)キリッ

Watch Out © 2006 Chris Gladis, Flickr

ちなみに気づいて頂いた方もおられるかも知れませんが展開君は、街中でよく見る(?)いわゆる飛び出し小僧にヒントを得て、お馴染みメタ・グラマーさんにキャラクターデザインして頂きました。いつも有難う御座います。URL展開君グッズとか作りたいなぁ…。

あ、なにげに facebook ページもありますので宜しければどうぞ(何を?w)


2012.05.06 (Sun)

世間が長期休暇に入る時は概ね長考の機会としています。このGWの後半は特に考える事に終始しました。法人とは何か、幸せとは何か、富とは何か、お金とは何か….を改めて。その過程で経営者として自分の考えを今一度整理できたので、何故今の経営スタイルに至ったか記しておこうと綴ってみたらエラい事になりました。めちゃ長です(笑。恐らく本ブログ史上最長)

Rent Day © 2012 Damian Gadal, Flickr

 

■ お金が無くて幸せか

経営者になってからお金を意識する事が多くなったのは、ただ単に会社のBS/PL/CFを財務的に意識しているからだけでなく、成功された方の話を見聞きしたり直接その考え方に触れたりする事が多くなっているからだと思います。言ってみれば「お金が全てである」と言っても誤解する事のない方々(その真意を理解されている方々)や、お金が好きな方々と接する機会が増えたから…という事でしょう。

とかく日本人には「お金=悪」という公式が頭の中にあって、これは拝金主義という言葉で代表されるようにメディアの積極的な揶揄が野放図にされてきた事と、その成果(?)なのかお金の教育について怠慢を犯してきた文科省をはじめ教育業界に責任があると僕は思っていますが、みんな実はお金が欲しいのにお金の事を言い出すと途端にnegative感情をブツケたがるんですよね。お金儲けは悪い事的な。これが、ホントに分からない。

そして森永卓郎らの「年収300万円でも幸せに生活できる!」的な書籍に慰みを得て、実は彼らが一番儲けているというカラクリに気が付かない…というか、気が付かないフリをする。僕はこの種の「お金が無くても幸せだから!」を煽動する方や「金で買えないものもあるんだから!」論に同調する方とのお付き合いは旧友を含めて積極的に切ってきています。その価値観は「ウソ」だと思うから。

 

■ お金→選択肢→幸せ・成功

「お金が全てである」という言い方が誤解を招く場合、僕は「お金は全ての事象で常にBetterな選択肢を提供してくれるツール」と言い換える事があります。人生がその人の「選択」によって織り成されるとするならば、その「選択」を常にBetterにしてくれる「お金」は全てにおいて非常に非常に大切な筈です。Bestではないかも知れない、根本的な解決にはならないかも知れない、でも常にBetterな選択肢が「お金」によって絶対に得られます。例外はありません。なぜなら世の中は未だ資本主義経済で成り立っているから。

総中流から二極化へ構造的変化が如実に顕在化している中、その極を決定づけるのは紛れもなく選択肢の有無や多少です。前者(有や多)が良いのは間違いなく、それはお金に依るのだと資本主義は言ってます。であれば、多くの選択肢を求める事とはつまり「お金」を追求する事であり、「お金」なき選択肢の多彩化を試みた所でそれは単なる妥協や諦めやゴマカシに過ぎません。

何の意思決定も出来ないレール人生(つまり選択肢がない人生)が幸せな特異な人を例外とすれば、人生で幸せを感じられる確率が選択肢の数に依存するって事は誰しもが持ってる感覚だと思いますので、ここに「お金→選択肢→幸せ」という論理が完成します。「幸せ」の追求とは「選択肢」の追求であり、資本主義こそが是と結論づけた今の世の中においては、これすなわち「お金」の追求に他なりません。

随分前のエントリで「成功とは選択肢の多さでありそれを担保するのが金である」と書いた事があります。成功を幸せと読み替えた方が分かり易い場合もありますが(幸せが先か成功が先かは人に依るのでここでは言及しない)、この定義は論理的に考えれば誰が何と言おうと常に真です。突き詰めれば、幸せの多くはお金に依存している。

 

■ 法人と個人

で。

これを踏まえて僕は経営者(=雇用者)になってからずっとある挑戦をしています。

多くの人が企業に属して生活給なる給与を得て生計を立てるこの時代に、小社会とも言える「会社」という器を使って個人の幸せを追求するという試み。IT業界という極めて限定的な世界ではありますけどね。経営者だけ…とかではない偏りのない享受が出来ないかという挑戦。僕が執拗なまでに雇用について考えたり、自分の会社経営を社会実験であると表現しているのはその為です。

雇われ人の幸せとは、完璧なワークライフバランスが実現していて、尚且つ「ライフ」の基盤となる給与が人生の多彩な選択肢を与えうる程に多い事業体に属しているという事でしょう。IT業界的に言えば、エンジニアとして充足感があり時代に則した開発スキルの体得とキャリア形成が出来て「ワーク」は充足しており、プライベートな時間もあって更に十分な「お金」もあって「ライフ」も充実している….そんな小社会。そこにはもちろん経営者個人の幸せも含まれています。

そんな事は本当に可能なのか? → (僕の解)「やってみないと分からない」

弊社の「ワーク」の部分、つまり開発者にとって理想的な環境づくりは過去に幾つか御紹介した事があります。

エンジニアの「気持よく開発が出来る」という評や、「無理やり捻り出すとすれば」という枕を付けなければ開発環境に対する不満が出てこない事や、何より離職率ゼロである事などが、少なくとも弊社「ワーク」環境の整備施策が間違っていない事を示していると今のところ考えています(…が経営者としてこれに慢心してはならないと肝に銘じてますが)。

これは以前も出したイラストですが、Productivity はエンジニアにとって「ワーク」充足の、Monetizability はエンジニアにとって「ライフ」充実の、それぞれ基盤になっていて、今回の「お金」の話はまさに後者の方で、僕が経営者として飽くなき追求をしていくと宣言しているモノでもあります。

法人による富の追求が、属する面々に波及して全員が(ここ重要)「お金」の多さに裏付けられた「選択肢」の多彩化で「ライフ」を充実させられれば、社会的幸福量の増大にはそれが一番合理的にきまってます。企業に10人集まってるとすれば、1粒で10人同時に美味しい…を実現する富の増幅器

会社とお金(儲け)の2つのキーワードが出てくると、すぐに上場(IPO)だとか売却(BuyOut)という話を始める方がいますが、これは僕の考えとは異なります。いずれの手法もお金を得るのはほぼ経営者のみである事が大半で合理性がないから。現場エンジニアにストックオプションが付与される事もままありますが、多くの場合ニンジンはやはりニンジンでしか無い事が多くの事例で証明されています。仮に巧くいって恩恵を受けられるとしても一部のスタッフだけで全体の数%では全然合理的とはいえません。IPOは収益性不明瞭ながらスピードとスケールが重要な事業に限られるでしょう。BuyOutも結局は一緒。

究極の法人とはきっと、そのいずれでもなく、自ら提供する価値で従業員の数だけ富を増幅させ分配できる組織なのでしょう。

 

■ 富の増幅と分配

例えば、月収176万。

これは日本国内で「富んでいる」と言えると僕が勝手に思っている水準です。根拠は大した事はなくて源泉徴収税額表の上限でして、176万を越えた途端に源泉所得税の細かな定めがなくなるからです。ここから、所得税・厚生年金・健康保険分を天引きするとざっと120万ぐらいの手取りで、周回遅れの住民税を天引きしても年間にして現金が1000万超えで入ってくる計算。属する個人が皆これなら富んで…ますよね?

余談ながら、何度死んでも使い切れないお金があると仰ってる、僕が尊敬する元HUGO社長の冒険家加藤さんによると月額手取り300万円以上が「お金」の心配を一切しなくてよくなる水準(つまり「選択肢」が無限にあると感じれる状態)だそうですが、その額になるともう明らかに「富裕」の層に近づきますよね。1年で普通の家を1軒買えるキャッシュを手にするのに等しいし、1年で1人の子供を成人させるのに要する諸費用合計を賄い得る収入です。

いずれにしても途方もなく高い水準ですが、こういった水準を達成出来る法人を、基本残業無しで、有給取得は自由で、キャリア形成も出来て、社保も完備で、開発に専念する環境もある…という組織として創りあげられれば、完璧で非の打ち所が無いワークライフバランスを達成した究極の法人と言えると思ってます。

ただ、普通に考えて無茶やんとツッコミが入る水準なので難しい(というレベルではない)のは確かでしょう。なので、少しでもこの水準に到達できるよう社内制度的に色々と工夫をしている訳ですね。副業を認めるというか推進しているのはまさにその一例で、エンジニアがこの水準近辺に早く到達できるように考えているからでもあります。(複数の収入源がある方が水準達成し易い)

他に、毎月の給与に案件毎に数%の案件報酬名目の加算をする制度があります。スポットでも継続性ある事業でも例外なく。特に後者の継続的事業への適用が重要で、もし仮に月額課金制の自社サービスがあれば収益(ここでは人件費を除いた営業利益)の数%が毎月エンジニアの給与に加算されます。毎月、毎月です。これ、言葉を変えると「昇給」なんですよね。

例えば1%だとしましょう。もしある弊社サービスで月額100万円の営業利益を上げていたとすると、担当エンジニアの給与は毎月1万円プラスされる事になります。個人の毎月1万円相当の昇給は大きいですよね。人生の「選択肢」は確実に増えます。もし当該サービスの御客様が増えて営業利益が増えれば1万円は2万円、4万円になるかも知れません。もし月1000万円ならプラス10万円です。1億円ならプラス100万円です。こんな事業が幾つかあったらどうですか。ほら、「富んでいる」水準に近付くイメージが湧いてきました。…ってまぁ月間1億の営業利益って超絶難易度高いですがね(苦笑)

とは言え無理だと言えば何も出来ないし難しいとばかり言ってもいられないので、僕はこういう具体的な数値イメージを将来に見据えながら理想像に近付く事を意識して会社を経営しています。先は長いですけど。もしこれが実現出来たなら、IT業界に限らず他の業界でも同じ事が出来るかも知れません。究極法人の量産。そんな会社をもし沢山作る事が出来れば、世の中もっとhappyな人や家族が生まれると思いませんか。まさに富の増幅です。

 

■ 搾取でもゼロサムゲームでもなく錬金術

ただ。

「お金」の稼ぎ方は物凄く重要で、法外なボッタくりや詐欺をしてまでの収益はダメです。輸入物なのに国産ラベルを貼ってみたり、AIJ宜しくパフォーマンスを偽ったり、AmazonのCDPを満たしてもいないのにクラウドサーバを謳うインフラ業者もそうですね。あと、回りまわって誰かが同額の損失を出してるようないわゆるゼロサムゲーム的な事業もなるべく避けたいところ。株の短期売買とか、通信事業のユーザ取り合いとかがそうですよね。

一方、新しい技術や世にまだ無いモノの類は新マーケットを生みだす可能性を持っています。そこで上がる収益は搾取でもゼロサムでもなく、これまで収益が存在しなかった領域で上がる収益なので、無から有のアプローチ。新しいマーケットの創出は社会全体を見れば錬金術なのです(全てではない)。僕が、新しい技術や新しいアイディア、あるいはまだ世にないモノの開発に固執している理由はここにあります。新しいマーケットや新しい価値を収益根拠にする稼ぎ方が一番美しいと思うんですよね。

だから弊社の場合、目下はiOSを始めとする新しいマーケットで、まだ世にないモノを提供し続ける姿勢は変わりません。まだ新しいモノは作れると思っていて、既に開発中のものも含めて今年はあと3つ程、全く新しい事業を始めようと思っています。1つはiOSデバイス側に重きを置いて無かったりしますが。

 

■ さいごに

法人とは何か幸せとは何か、お金とは何か。GW中に今一度自分が会社をやる理由を思い巡らして整理してみた次第です。一応、筋は通ってると自分では思ってるんですけどね、どうでしょうか。変わってるかもだけど。

誰しもが幸せや成功を手にしたいと心の奥底では思っている筈です。僕もそうです。その為に必要なのは紛れもなく「お金」であり「選択肢」であり、それを追求する事は決して恥ずべきことでも悪事でも無いと思っています。そこに誠実さがあるのなら。

僕は法人の経営者として、それらを一度により多くの人間が享受出来る合理的な仕組みとして企業という器を使った実験を行なっています。超合理的な富の増幅は成しうるのか、富の追求をしながら法人と個人は共生し得るか。無論、実験の成否は分かりません。でも少しずつ近づいてきている気がするのは確かです。あと1年か、3年か、5年か、10年か。それは分かりませんが、理想郷の追求をまだまだ続けたいと思っています。


2012.05.04 (Fri)

先のエントリにも御紹介した通りですが、行って参りました。上京する時は原則始発新幹線にのる事にしているのでルールは変えず、6:00発の8:30着。お馴染みルノアールでお気に入りのゆずティーを飲みながら仕事を4,5時間。あいにくの雨模様でしたが、会場のホテルメトロポリタンエドモントへ、いざ。

開始前の会場内写真。最初の5つ、89年の五大シャトーが並ぶテーブルを背後に、

手元にはメモとかシートとか。

そもそも僕は高級なワインを口にした事が無かった訳ですので(ワインを日常的に飲み始めたのが半年前だし)、この時にはまだウルトラなワインの凄さを想像できる筈もなく、ただただどんな味がするのだろう?というだけの期待で一杯だった感じ。

これが甘かった。そんな生易しいものではなく、ワインが味以上の愉しみを持っている事を半端無く思い知らされる事になります。

 

一つ目に戴いた1989 シャトー・マルゴー。

もうね、この時点でですね、すいません僕が悪かったですと言わざるを得ない衝撃が走ります。決して大げさな表現ではなく、透き通るようで爽やかな高貴な香りに、口から出た言葉は「神の雫」に出てくる遠峰一青ばりの「おおお…」ですよ。ビックリした、ホント驚いた。

グラスを回して再び香って「おおおお…」、もちろん口にして「おおおおお….」、余韻で「おおおおおお….」。いぁホント語彙力なくてスイマセンなんですが、違う世界を垣間見た感じで言葉が出なかったというのが正直なところ。

きっとソムリエさんやワインを長年嗜んでいる方からすると、タンニンがちょっと…とか、翳した時のグラスの縁のガーネット色が…とか、難しい話になるのでしょうけど、初心者の僕は良くも悪くも表現する知識も経験も持ちあわせていないので、構える事無く理屈っぽくなる事もなく受け止める事ができました。

その後、ラフィット → ラトゥール → ムートン → オーブリオンと続き、こんな感じに。

全部が全部個性的で、(当たり前なのでしょうけど)香りも違えば味も違うし、時間と共に変化する様子も全然異なってるし、これほどまでにワインって興味深いものなのかと衝撃を受けた次第です。僕が5大シャトーの中で一番気に入ったのはムートン。まろやかで深みのある香りに強烈に惹かれ、特に時と共に変わる様子が他に比べて顕著だった事に魅了されました。(不思議なのや変わったのが好き)

そして

1955年のドン・ペリニヨン、

1956年ロマネ・コンティ・グラン・エシュゾー、1983年シャトー・ペトリュスと続き、

1986年シャトー・ル・パン、1911年シャトー・ラ・サラグル、1923年シャトー・マルゴー…と、もうこのへんになると写真撮るのも忘れてますよ、もはや。手元のメモにも「圧巻」としか書いてないし(笑)

後半戦は5大シャトーよりも衝撃の走るワインが続いて、ただただ唸って溜息を出すしかありませんでした。圧巻、そして圧倒された感じで、繰り返しになりますが言葉にならず語彙力の無さを残念に感じた次第です。

さて、今回、始めてワイン会なるものに出席して、しかも初回にして凄いワインたちと出会えた訳ですが、ワインを中心に自分の中で色んな物が変わりました。

ワインは自分が思っていたより遥かにずっと愉しくて感動的ですらある。これは間違いなく強く強く感じた事です。特に香りの重要さ。ぶどうですよね?ぶどうなんですよね?と何度も何度も問いかけ反芻してしまう程の不思議感が味よりも香りに際立っているなと思いました。(テイスティングのプロセスで2回香りをかぐのはこの為か)

あと、重要だと感じたのが「人」の存在。

同じテーブルでワインを愉しみながら言葉を交わし共に溜息を付くことの面白いこと、面白いこと。ワインに「人」が出ると聞いた事がありますが、作り手の「人」が出るのは当たり前で(残念ながら作り手についての知見は持ってないので僕には分からない)、香り手・飲み手の「人」も出るのかなと。今回、同じ想いで臨むメンバーと共にワインと対峙する事が愉しく感じたのですよね。自分も含め次々とワインに良い意味で打ちのめされるシーンは微笑ましくもあり :-)ワインがビジネスツールたる所以はここにあるんだろうという気付きを得た次第。

そして、ワインやその関係者に対する畏敬の念。1911年シャトー・ラ・サラグル、そして何故か1986年シャトー・ル・パンを口にした時にも感じました。「素晴らしい。時と共に流れた汗や血すらも感じる」とル・パンの感想欄に僕は書いていました。時を飲むという感じなんでしょうかね。いやはや、ほんと凄い。

味と香りと時と人。ワインの魅力が広く深い事を一度に思い知らされました。行って良かった、本当にそう思った次第です。分かり易い解説を各ワインに添えて下さったソムリエ佐藤さんのブログに詳細が記載されてますので宜しければどうぞ。

ドレスコードがあったので自分の服装がいつもの雰囲気と違う :-)

主催の元HUGO社長で今は冒険家の加藤さんとの写真。素晴らしい会を有難う御座いました m(__)m ちなみに僕が手に持つボトルは1989年ムートンです。個性的な香りに魅了されて、ボトルを頂いて帰りました。以下は並ぶ11本のワイン達。

本当に素晴らしい体験が出来ました。第2回は11月に開催とのこと。是非また参加したいと思います。