会社経営
2017.11.15 (Wed)

(所要時間 : 約2〜3分)

先日のエントリでこんなことを書きました。

新技術を表す言葉やバズワードを使うのは楽です。でも「楽」なだけに、何か新しいことをしようとする時や何かを変えようとする時に陥り易い罠だと思います。でもそれは失敗の入口かも知れません。

RSSという当時のバズワードに執着しすぎて、何一つ事業作りが巧くいかなかったという話。(RSSというのは情報配信技術の一つ。詳しくはこちら)

じゃぁ「RSSのフィードテイラーです!」って言いまくってたのは100%無駄だったのかというとそうでもありません。悪いこともあれば、良いこともあります。

尖ることが仕事やお金を引き寄せる

RSS!RSS!

創業期から2年強、自分でも驚くぐらいRSSを連呼してました。セミナー・イベント・ブログ・展示会・ビジコン応募…

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(RSSのアイコンで作った手製壁紙をはっつけての展示)

RSS関連事業は全て失敗したものの、連呼はしていましたのでRSSの会社というイメージは形成され、結果的に関連する仕事を引き寄せることになりました。

「そういえばフィードテイラーさんって…」

と思い出して貰って、RSSに関連する大きめの開発案件の仕事を頂いたことが2回。まとまったお金が継続的に入ることになりました。これが無ければ多分廃業してたでしょうね。

何でもできます!は誰からも声がかかりませんが、例えバズワードであっても発信して尖っていれば反応してくれる人は必ずいます。

手を変え品を変えバズワード便乗

もう一つ便乗した技術がありました。それが Adobe AIR。今はもう無いといって良い技術ですが。

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(Thanks! the photo on flickr by possan / CC BY 2.0)

ActionScript という言語で Win/Mac の両アプリを同時に作れる仕組みでした。今の Electron みたいなものですね。

発表された当時、次はこれが来ると考えて IRCastPro という株式投資家向けのサービスを作りました。またバズワードに乗っかって自社事業作りをしようとしたのです。

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(メディアにも色々掲載はされた。当時の自社紹介スライドから一枚)

懲りてませんね…(笑)

いぁホント、流行りに便乗して流行りに寄り添った事業を作るのって楽なんですよ。例えるなら日経トレンディを見て次の商品を考えるみたいな。

当時の僕は無意識に楽なことに逃げてたと思います。

AdobeAIRという話題の技術を使うことが目的化してました。

結果は失敗。そりゃそうです。流行やトレンドに便乗する新規事業作りで何度失敗したら気が済むのか。

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(当時のリハ中の写真。Adobe AIR のセミナーと分かるモノが何もないw)

ただ AdobeAir を担いだことも100%無駄ではありませんでした。ある企業を技術支援する仕事に繋がったり、Adobe さんのセミナーで講演させて貰う貴重な経験にも繋がりました。

 

自分の商品を持つ為に課題にフォーカスする

流行で自分を特徴づけるのは悪いことでは無いと思います。バズワードやトレンドって磁石みたいなもので、仕事やお金やご縁を確実に引き寄せますから。

でもバズワードからオリジナルの価値は生まれません。「あなたにしかできない何か」は生まれない。

僕は創業3年目に気づきました。

バズワード起点の事業は作ったところで長続きしないのです。なぜなら、御客様の課題解決より、流行に寄り添う姿勢が優先されるからです。トレンドが過ぎた時に事業もついえてしまいます。

今、FinTechだIoTだ人工知能だとうたう商品は非常に多いです。でも、3年後にはほとんど無くなってます。そんなバズワードを使わなくても「どんな課題を解決する商品なのか」をきちんと表現できている商品だけが生き残っている筈です。

事業とは常に顧客課題の解決でなければならない。当たり前なのに事業を作ろうとする当事者になると忘れかけるんですよね。自分は今でもそうなので(汗)、肝に銘じています。


2017.11.02 (Thu)

(所要時間 : 約1〜2分)

不思議なことに、仕事や事業作りの本質を忘れてしまうことがあります。

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(Thanks! the photo on flickr by Maryland GovPics / CC XX-XX 2.0)

仕事も事業も原則は御客様の課題を解決して、-1を0に、0を1に、1を10にする活動です。時間軸で見れば御客様の未来は良くなってなきゃいけない筈なんですけど、どうしても技術とか流行り言葉に便乗したくなるのがヒトというもの。

やっかいなのは、当事者であればあるほどその罠に陥りやすいってことです。例えば最近だと

  • AIやろう
  • IoTをやろう
  • FinTechをやろう

とかは目にすることが多いですね。それって手段ではないのか。

 

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(Thanks! the photo on flickr by RafaEU Faria / CC BY 2.0)

RSSという技術を喧伝していた時代

技術やアイディアを使うために、わざわざ課題や目標を無理やり捻り出す場合もあります。それを標榜する必然性はないのに。手段の目的化ってやつですね。

僕は創業時期にその罠に陥ってました。

立ち上げ当初の2,3年は特に酷いもんです。ご存知の方もおられるかもですが、RSSという技術で世界を変えるんだって真剣に言ってました。今思うと恥ずかしい… (RSSについてはこちら)

色んなものを作りましたね。『音マガ.com』『feed magazine』『Feed Suite』『IR Cast』『feed engine』…

全てうまく行きませんでした。そりゃそうです。御客様は技術が欲しいんじゃない、アイディア凄いですね!と感心したい訳じゃない。ただただ課題を解決したいだけなのですから。

僕は、RSSという技術を使うことや当時の流行に便乗することにフォーカスし過ぎてました。御客様の課題を解決する為にRSSという技術を使ってた訳ではないんですよね。RSSを使う為に何ができるか…ばかり考えてました。

御客様の課題が第一義にこない仕事や事業がうまくいく筈ないんです。

 

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(Thanks! the photo on flickr by Sean MacEntee / CC BY 2.0)

技術を前面に出さなければウケた

2009年、GNReader というニュースリーダアプリを出しました。社会・経済・国際などのニュースをカテゴリ毎に見ることができるiPhoneアプリです。

開発するにあたって継続的な情報配信に適した技術(フォーマット)としてRSSを採用してましたが、RSSって言葉はアプリの解説にも紹介時にも一切使ったことがありませんでした。そもそも使う必要もなかったですし。

『ニュースが見れます』

ただそれだけ。ニュースを毎日見たいというiPhoneユーザの課題に当時はベストマッチだったのです。結果、アプリはあれよあれよとランキングを駆け上がり、アッという間に無料総合ランキング1位を獲得しました。

この経験でようやく気が付いたのですよね。課題を解決するために技術を使うとはこういうことかと。技術や手段は表に出す必要はないよなと。

 

新技術を表す言葉やバズワードを使うのは楽です。でも「楽」なだけに、何か新しいことをしようとする時や何かを変えようとする時に陥り易い罠だと思います。でもそれは失敗の入口かも知れません。

掲げた言葉や喧伝するキーワード、それらは誰の課題を解決し、どのようなより良い未来を提供する為なのか?

何かをやろうとする時、常に自問自答するようにしています。それでも罠にハマりそうになるものなので、何度も何度も問うように心がけている昨今です。


2017.11.01 (Wed)

だいぶ前にオフィシャルサイトを更新しました。

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これまで会社としての哲学をちゃんと表現してなかったなぁというのもあり、一言でそれを表現するようにしたんです。まぁ零細中の零細企業なのでそれは僕個人の事業の捉え方とイコールなのですけど。

Invent a better future with innovative ideas

と、上図の通りTOPページとか他のページのキャプションに書きました。訳すと「革新的なアイディアでより良い未来を作る」になるでしょうか。

アラン・ケイの「The best way to predict the future is to invent it.」という言葉が好きなんです。ご多分に漏れず僕も好きな言葉って幾つかあるんですが、その一つですね。未来を予測する最善の方法は未来を発明することだ…という名言。

WikiPediaによると元々は、

1971年、パロアルト研究所の研究内容の将来予測を再三に渡って求めるゼロックス本社に対する回答(経営陣と開発陣の軋轢や見解の相違を端的に表している)

という文脈での言葉なので、解釈としては間違ってるのかも知れませんけど、僕は「グタグダ言わんと、はよ作ろうや!」という開発者に対する激励として勝手に捉えてます。

 

20171101_future
(Thanks! the photo on flickr by Thomas Rousing CC BY 2.0)

せっかくつくるなら

で、どうせなら、突拍子もないこと、まだ多くの声が上がってないこと、まだ誰もやったことのないことが絶対に面白い。そんな思いでこれまでやってきました。会社作りも事業作りもそう。

残業禁止や副業推奨とか。B2B iOS とか SYNCNEL とか。自分が思うことをやってたら時代がそうなってきて間違ってなかった〜みたいな。

あ、でも継続してこそ意味があるって考えれば、後者については事業を途中でやめたので余り自慢できませんけどね。他にも検討違いのことも沢山やってきたし、って失敗しかしてないかも知れない(笑)

自分の描く未来から逆算した行動で作る何かに、社会や業界や世論のベクトルが近づいてくる感覚って凄く良いもんです。振り返った時の「未来を作ってきたぞ感」とか「未来予測が当たったぜ感」が、承認欲求を満たしてくれるんでしょうね。しかも、誰かに認められる…というより社会に認められるということなので充足具合も強いのかも。

未来を想像してアレやコレやとやってみることは多分これからも辞めないと思います。外しまくっても。だからサイト更新時に、冒頭の標語を行動指針として明記したのでした。

Invent a better future with innovative ideas

です。

 

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次につくる未来

今、espar という事業をやってます。Web関連。(詳しくはこちら)

これを冒頭の標語に沿って表現すると、静的化というアイディアでWebサイトの未来をちょっと良くする事業です。高速性やセキュリティの面で。幸い、今年6月に開始してから、すぐ御客様もついて引き合いも継続的にあり評価も頂けているので、来年はリソース投入割合を高めるつもりです。

これからも、未来を良くする技術を手段に事業を営む会社でありたいと思います。そんなことをふと、またWebサイトをリニューアルしよかなぁと眺めていた時に考えました。


2016.04.01 (Fri)
本エントリはエイプリルフール企画です。

先日、ロゴを変更しましたという御報告をさせて貰いました。「新ロゴ良いですね」と仰って下さる方が思いのほかいらっしゃって嬉しい限りです。先日のエントリの中で、

昨年末、ちょうど第10期を終える節目だし、事業も体制も大きく変わるし、事務所の所在地も変わるし、それならロゴも変えてしまおうと。

ということを書いた通り、この半年で本当に色々と変わりました。

やるなら徹底する

決めたら徹底的する性格が出ているのかも知れませんね。とある社長仲間に「ホントに過去を全部捨てる勢いですよね」と言われて心配されたぐらいです(汗) 過去を捨てるぞっ!という意識ではないのですけどね。

確かにiOSアプリ開発はもうやらないし、ファイル共有サービスを作ることもしません(というか厳密には事業譲渡の契約上で類似物を作れない)から、何も残らないように見えなくもありません。昨日もまたアプリを2つ程AppStoreから削除しましたし。

ですが、iOSの人、特にB2BでのiOS関係の会社さんっていうイメージは今でも持って頂いている場合があります(有り難いことです!)ので、iOSの業務活用を御支援するという形に変えて事業はやってます。某自動車メーカ様のiPad活用御支援とか実績も既にあったりします。

iDEPに関するエントリは未だに本ブログのアクセスTOP1ですし、御質問もやっぱり引き続き頂きますので、これも新たな役割かも知れないなと思っている次第です。iDEPを今一度ゼロベースで解説するコンテンツとか、そういうものも求められていたりします。

まだ変えていないものがある

で、色々変えてきた中で実はまだ変えていないものがあるんです。それが、会社名 ですね。feedtailor という10年間使ってきた名前。愛着も勿論ありますが、やるなら徹底的にってのが僕のポリシーなので、10年の節目にこれも思い切って変えてしまうことにしました。

先日メタ・グラマーさんに新しいロゴをデザインして貰ったばかりなのに何という暴挙。いつも無茶ぶりばかりで本当にすいません…。たださすがに、ロゴ最初から作り直しお願いしますっていうことはではなくて、新ロゴに込めた、

一方が丸く、一方は角ばってると。

片方の丸さは対御客様やパートナー企業様への姿勢を表してます。誠実に寄り添う気持ちで日々接すること、刺々しくならないこと。底辺側が角ばっているのは自社のスタンスを表現してます。地に足つけてしっかりと仕事に勤しむこと、時には確たる信念で伝えるべきことを言うのも厭わないこと。

これは創業来ずっと持ち続けてきた僕の基本スタンスです。

というコンセプトはとても feedtailor らしいと思っているので、テイストは踏襲して新社名ロゴを作って頂きました。ででん。

ネクステイラーと読みます。正式な表記は nextailor株式会社です。ロゴの の部分は特にお気に入り。数学記号で積集合を意味します。AかつBですね。ビジネスは掛け算で尖って独自性を出していこうという自分の考えにもピッタリです。ちなみに以下は謄本と約款の写真です。登記も既に終わってます。

20160401_1005

nextailor という名前の由来ですが、feedtailor の tailor の部分はそのままで feed を取る、next を頭に付けて next + tailor、この2単語をくっつけるとtが重なるので1つ取ったという感じです。次のfeedtailor という意味を持たせて nextailor と。完全に造語ですね。

また tailor の前の3文字 nex というのはラテン語の語幹の一つで「結びつける」という意味があるそうです。例えば annex って単語は、付け足すとか書き添えるとか付属文書なんて意味があってそのまま英語として使われてますね。

次代のfeedtailorを作るぞという気概、また御客様の次(next)の一歩をお手伝いするという意味の仕立て役(tailor)になるぞという思いも込めてます。御客様の「次」を仕立てる。新事業の御支援とか、iOSで業務刷新とかとかですね。また、「次」だけではなく、nexという語幹が意味する「結びつける」も象徴できるように、何かを繋げることで価値創出ができる会社になってまいります。

今後とも feedtailor 改め、nextailor をどうぞ宜しくお願い致します!

という原稿で公開しようとしたら「ガチの話に見え過ぎて笑えない。御客様から電話かかってきそうw」と社内でツッコミが入りました(笑)

本件、4月1日ということでエイプリルフールネタで御座います。ただ写真にある定款とか謄本は実物で、フィードテイラーではなく子会社のSYNCNEL株式会社を nextailor に社名変更したことに伴うものです。

グループ会社ということがひと目で分かるように、統一感を持たせるべくこのような名前にしました。子供が親の名の一部を貰い受けるような感じに近いですかね。feedtailor と nextailor の二社体制になります。ロゴの色についてはまだ調整中ですが、詳しくはまた改めて書こうと思います。


2016.03.23 (Wed)

2006年の創業時にカレントの北村さんにデザインして貰ったのが、

こちらのロゴです。

10年間、弊社のシンボルとして使用してきました。デザインして下さったカレントさんには感謝しております。創業当初は右も左も分からず、はじめてクリエイターさんに発注するということを体験した時でしたね。

昨年末、ちょうど第10期を終える節目だし、事業も体制も大きく変わるし、事務所の所在地も変わるし、それならロゴも変えてしまおうと。そこでデザイナーさんの中では今一番弊社のことを分かって頂いているメタ・グラマーさんにロゴリニューアルの御依頼をさせて貰いました。

できあがったのがこちら。

シンボル的なアイコンは敢えて無くして、ロゴタイプだけにしました。色味は踏襲しつつ、特徴的なフォントを使ってます。というか作って貰いました。よくよく見ないと分からないのですが、丸みを帯びつつ底辺はしっかりと水平に切れているんですね。一方が丸く、一方は角ばってると。

片方の丸さは対御客様やパートナー企業様への姿勢を表してます。誠実に寄り添う気持ちで日々接すること、刺々しくならないこと。底辺側が角ばっているのは自社のスタンスを表現してます。地に足つけてしっかりと仕事に勤しむこと、時には確たる信念で伝えるべきことを言うのも厭わないこと。

これは創業来ずっと持ち続けてきた僕の基本スタンスです。決して傲慢にならず、かといって御客様やパートナー様に迎合する訳でもなく、丸みと堅さをバランスよく併せ持った企業でありたいと考え続けてきました。その考え通りに言動できていないこともあるので自戒の意味を込めて、また今後再び増員するようなことがあった場合にjoinして貰う方にも価値観を共有して貰う為に、その想いを日頃から目にする(して頂く)ロゴに形として折り込んでみた次第です。

安定感、信頼感、誠実さを一度に表現したいという無茶な注文に対応して下さったメタ・グラマーさんに感謝しております。有難うございました!

フォントに込めた想いは名刺の形でも表現しています。名刺の上辺だけ丸く角を取りました。

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また、封筒もこれをいい機会にと一緒に作って貰いました。

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実は、年始にお取引先様に郵送させて頂いた移転案内ハガキも新ロゴを使ったアイテムでした。

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創業来、この手の紙モノって作ったことが皆無でしたので、10年過ぎてようやくまともに名刺やら封筒やらを作ったということになります。これまで全従業員の名刺は、僕がIllustratorを使ってデータ入稿してたんです。

今更ですが、こういうアイテムをプロフェッショナルな方にちゃんと作って貰うのって楽しいですね。コンセプトを実際に手に持てるモノとして表現できるクリエイターの皆さんはやっぱり凄いと思います。