その他
2024.09.30 (Mon)

今、ブラウザだけどブラウザっぽくないブラウザアプリを開発していて、開発するに至った背景や思いみたいなものを「考察」として書いています。今回はその第2回。前回と前々回は以下です。

前投稿では、スマホでWebを見る時に2つのモノを邪魔に感じると書きました。

  1. Adネットワークの広告
  2. ブラウザやOSの標準UI

このうちまず2.を無くしたい、2.の表示/非表示をコントロールしたい、…というのが前回投稿の主張でした。以下はその考えで試作したアプリの様子です。


ブラウザアプリ使用中に標準UIが一切出てこなくなると「視界が開けたなぁ世界は広いなぁ」と実感できます。我々はずっと、狭窄したスクリーンでWebをのぞき見るというユーザ体験に慣らされてきたのかも知れない…、Webブラウズ中に不要な標準UIを無くしてみて初めてそう思いました。

さて、スクリーンの広さを阻害する存在…としてもう一つ気になるのは、Adネットワーク広告です。本稿では、そのAdネットワーク広告について、スクリーンを占有する存在という捉え方で考察してみたいと思います。(昨今何かと問題になっている広告内容の是非については言及しません)

 

ユーザのスクリーンを占拠するもう一つの要素

例を見るのが分かり易いので、あるサイトのページを例示します。皆さんご存知のレシピサイトですね。前回同様にWebコンテンツそのものではない領域に色を乗せています。青色部分がiOSやSafariの標準UI、赤色部分がAdネットワーク広告です。

20240930_kurashiru_normal

画面下部の赤色部分がお馴染のAdSense広告です。これ単体でも結構なスクリーン領域を占めており、占有率は9.6%で約1割。これは、ユーザがレシピサイトでレシピを見ようとしているのに、スクリーンの9.6%はその目的のために使えていないことを意味します。

AdSenseだけではありません。標準UIの青色部分もコンテンツ閲覧には関係がない箇所です。前回投稿で解説しましたが、この部分はスクリーンの約2割ですので、合計するとスクリーンの約3割がユーザの見ようとするWebコンテンツではないもので占められていることになります。結構大きいですね。

そしてスクロールすると状況は悪化します。

20240930_kurashiru_ad

Safariの標準UIが少し占有率を下げるものの(最下部)、追加のAdSense広告(画面中央)が現れてきます。その占有率は意外に大きく単体で27%。ずっと居座ってる前述の画面下部の広告と併せると、AdSense合計スクリーン占有率が37.5%の約4割となります。AdSenseだけで…です。

少し控えめになったとはいえ、青色部分のiOSやSafariの標準UIも残ってますから(約13%)、合計するとスクリーンの約50%がWebコンテンツと無関係なもので埋まってしまうのです。ユーザはWebブラウザアプリを使っているのに、Webコンテンツのためにスクリーンの半分しか使えてないことになります。

あと忘れてならないのは、画面中央AdSense広告の周囲グレー色部分です。実はHTMLを解析すると広告領域として定義されていることが分かります。ですので、下図のように捉えることもできます。

20240930_kurashiru_adex

こうするとAdSense広告だけで合計53.3%となり、標準UIを合算して約66%。四捨五入すると約7割です。なんとスクリーンの約7割がWebコンテンツと無関係なもので埋まっている状態となります。

まぁ、スクロールすると真ん中のAdSense領域はスクリーン外に出て行きますから、常に7割が占拠されているわけではないのですけどね。

そうだとしても、Adネットワークも標準UIもユーザのスクリーンを何だと思っているんだ?…と疑問が湧いてきます。電気代返して…。特にAdネットワークは割合を計算すると本当に酷いです。最大で53.3%ですから。過半数越え。もう少し遠慮して頂きたい😤

そう考えると、昨今話題に事欠かない広告ブロッカーについて考えたくなるというものです。

 

ユーザのスクリーンを取り戻す

僕は広告ブロッカー賛成派で、随分前から使ってます。が、Adネットワーク広告がスクリーンを侵しているという観点で言うと、現存の広告ブロッカーでは完全な解決に至れてないなと考えています。

以下に広告ブロッカー使用前後の比較画像を作ってみました。左は before、右は after です。

20240930_kurashiru_adex
(標準のSafariで表示。広告ブロッカーには有名な280blockerを使った)

画面下部のフローティングなAdSenseは消えている一方で、画面中央にあったAdSenseは内容こそ非表示になっているものの、領域はそのままです。これではユーザのスクリーンがAdネットワーク広告に侵されたままの状態は変わりません。

広告ブロック機能を搭載している ArcBrave のようなブラウザアプリでも同様です。

20240930_kurashiru_adex
(左がArc、右が Brave。いずれも広告ブロッカー機能を標準搭載したブラウザアプリ)

こうではなく、広告表示用の領域ごと非表示にして欲しいと思うのです。DOM要素まるごと。上図の例で言うとグレーの領域全部です。

まぁサイトによっては領域まるごと非表示になってくれる場合もあるのですが、そうならない上図のような例が多い印象です。これは、サイトによってAdネットワーク広告の埋め込み方が色々異なるからですね。

そして、前回投稿から繰り返し書いているように画面の上下にある標準UIも非表示になって欲しいわけです。スクリーン全てをWebコンテンツのために使いたいですから。

私のスクリーンを返して…

これが課題認識であり、従って現存のブロッカーでは正直不満なのです。基本、全部丸ごと非表示にできるようにしませんか…と。前回投稿で標準UIを原則非表示にしたのと同じですね。Webコンテンツを見たいのだから、Webコンテンツ以外は何であれ見えて欲しくない。

この考えを反映して実装すると、こうなります。

20240930_kurashiru_adex

広告用だった領域がまるごと非表示になりました。そして標準UIも表示されていません。なんと広々としたことでしょう😊 せいぜいレシピの手順2,3ぐらいまでの表示だったものが、グラタンが完成する手順9まで表示できています。

Webコンテンツを見るってこういうことじゃないでしょうかね。

無論、これをサーバ側で行う実装は著作権的に完全アウトです。コンテンツ改変と解されることをして再配信することになるわけですから(公衆送信権や同一性保持権等の侵害)。しかし、クライアント側でユーザが自分の利用する範囲において非表示にするなら、既存の広告ブロッカーやブラウザアプリと何も変わったところはありません。

ちょっと技術的なことを書くと、iOSではiOS11からOSの標準機能としてブロック機能が搭載されました。具体的には WKWebView を内蔵ブラウザとし WKContentRuleListStore のインスタンスにルールセットを指定してバインドすれば、内蔵ブラウザ部分が様々なものを無効化・非表示化することができるようになっています。多くのブロック機能搭載ブラウザがこれらを使って実装されています。

20240930_extension
(280blockerのようなSafariに機能させるブロッカーはextensionで実装する。上記はその公式ドキュメント)

開発中のアプリでももちろん同じ仕組み WKContentRuleListStore を使っています。AppleがiOSに標準搭載しているブロック機能を使用しているだけ。少し違うところを書くなら、ルールセットの与え方を若干工夫している点でしょうか。それによりAdネットワーク広告の内容だけでなく、その領域もほぼ確実に非表示にできる機構を備えています。以下は実際に動作する様子を示したキャプチャ動画です。

(サーバ側の実装で改変している訳ではなく、オリジナルのhtmlを受信したアプリ側がiOS標準機能で非表示化する)

スクリーン全体でWebコンテンツを表示できていますよね。余計なものが一切ありません。なお、見るWebサイトを切り替える方法は、これまでの投稿で未言及のため上記動画では省略してますが、またの機会に紹介できればと😊(見ようとするWebサイトを切り替える仕組みを別途用意するつもりです)

ところで、ご存知の方も多いと思いますが2024年9月にリリースされたiOS18では、広告表示用の領域ごと非表示にすることが可能になりました。だからサイト毎に非表示に出来ることに目新しさはもう無くなってしまいました。以下、実際に使っている iOS18/Safari の動画です。

(都度、ページごと広告ごとに何度もタップする必要があるだけでなく、リロードで復活してしまう。常用は現実的でない)

依然として標準UIは表示され続けているため、スクリーン全体でWebコンテンツを楽しめるわけではありません。これはこれでアリだと思いますが、やっぱり標準UIは消えて欲しい🙄 そしてAdネットワーク広告は領域ごと非表示にしたい。

スクリーン全体にWebコンテンツを表示させたいのです。

そんなユーザ体験を作ることができたら、iOS・ブラウザアプリ・Adネットワーク広告が散々削ってきた我々ユーザのスクリーンを取り戻せると思うんですね。

 

だいぶ長くなってので一度このへんで区切りとしたいと思います。

実はAdネットワーク広告については論じたいことが沢山あります。「広告があるから無償で見れてるんだぞ?」とかとかですね。一応、自分なりの答えを持って開発をGOしている次第なので、そのあたりもどこかで書いてみようと思います。今回の投稿には収まりそうに無く、また別の機会に投稿できればと🙂

ということで本稿では、我々ユーザのスクリーンを占拠するAdネットワーク広告を表示領域ごと非表示にしたいと考えていること、その背景、また実際に実装して動作させている様子もご紹介しました。次回は、スクリーン全体でのWebコンテンツ表示に執着する理由について、別の切り口から書いてみようと思います。


2024.07.28 (Sun)

前回の投稿で超久しぶりに新作アプリを作っているという話を書きました。

20240728_testflight.jpg
(TestFlightを使って開発中アプリを関係者に配信している。バージョンを重ねて総ビルド数は100近く)

カテゴリ的にはブラウザで、B2Bも一応意識したB2Cなアプリです。ブラウザやアプリ全般に色々思うところがあって、あーでもないこーでもないと作り続けていたら、ブラウザらしくないブラウザになってきた…ってのは前の投稿で書いた通りです。

まだまだ時間がかかりそうなので(POである僕のせいです😓)、何で作ろうと思ったのかを発信してみることにしました。ソフトウェアは動くもので語るべし…という考え方もあるのですけどね。開発中の画面キャプチャを入れながら、作るきっかけとなっていることを不定期に「考察」として投稿していきます。

今回はその初回で Screen Ownership について。余り聞きなれない言葉ですが…っていうか僕が勝手に言ってます。スクリーンは一体誰のものなのか、という視点でブラウザアプリを考える話。(長いです…)

 

Webはスクリーン全体で見れるべきではないか

iPhoneのブラウザでWebを見るとき「ちょっと邪魔なもの多くない?」って感じること、ありますよね?皆さんは何を邪魔だと感じるでしょうか。それとも、特に邪魔だと感じるものは無いでしょうか。

僕の場合、以下の2つが特に邪魔だと感じてしまいます。

  1. Adネットワークの広告
  2. ブラウザやOSの標準UI

前者は御多分に洩れずですね。AdSenseをはじめとする、残念な広告が表示されるお行儀の悪い系のやつ。最近は何かと問題も多いです。これは話が長くなるので機会を改めることにして、今回は2についてです。

具体例があるほうが分かり易いので、Apple公式サイトのiPhone15のページをiOSのSafariで表示した画面キャプチャを用意してみました。特に注目して頂きたいのが半透明の水色に塗った領域。ここがずっと邪魔だなぁと感じているんですよね。ホントにいりますかね、これ🤔

20240728_iphone15_standardui

上部にはステータスバー(OS標準UI)、下部にはアドレスバーとツールバー(Safari標準UI)がありますが、iPhone15の場合この画面占有率はスクリーンの約2割です。Webコンテンツを見ているのにWebコンテンツ以外がスクリーンの約20%も占めていて、これって結構な占有率です。

画面を下方向にスクロール(上スワイプ)すると、下部にあったアドレスバーは細くなりツールバーは姿を消し、余裕ができてスクリーンに対する占有率は約13%に落ちます。

20240728_iphone15_standardsmallui

ですが、上部のiOS標準UI、下部のSafari標準UIが残っているという意味では一緒です。そして、画面を下スワイプして上方向にスクロールすると…ニョキっと復活してきて元通りになります。

20240728_iphone15_standardrestoredui
(画面下部のコンテンツ部分がいっきに隠れる)

いぁいぁ、そこはコンテンツの場所だよ!引っ込んでて!勝手に出てこないで!って突っ込みたくならないでしょうか。僕だけでしょうかね。

テレビを見てる時にこんなことはないと思うのです。また映画中に画面上部に何かが表示され続ける事もありません。まぁテレビはリモコンという別デバイスがUIの役割を担っているとか、映画は完全受動であるからそもそもUIは不要だとか、理由は色々ありますが、視聴者がスクリーンのコンテンツに没入できる作りにはなっています。

Webも基本こうあるべきではないかなと。ユーザが何かをしたいと思った時にのみUIが現れたらいい筈です。アドレスバーに何かを入力したいわけではないし、時間を見たいわけでもない。なのになぜそこに鎮座しているのだ?と。特にスクリーン面積が小さいスマホでは尚のことです。

ユーザ体験を「アプリ」という形で閉じ込めているネイティブアプリが、独自UIでスクリーンの一部を占有するのは分かります。その為の「アプリ」ですし特別なユーザ体験の為にわざわざ「アプリ」にしてるのですから。

20240728_mcdonald
(マクドナルドのアプリには特化したツールバーが最下部に鎮座している。これは邪魔だとは感じないし無いと困る)

しかし、見るコンテンツが規定されないWebブラウザアプリの場合、UIの存在感を徹底的に消す必要があると思うのです。Webを見るためのブラウザアプリが、Webを見ることを邪魔してどうするんだと。

 

スクリーンをより広く使う機能やアプリ

実は(?)標準のSafariには「ツールバーを隠す」という機能があります。ですが、全画面での表示にはならず、標準UIを少し抑制した程度です。やはり水色部分は邪魔に感じます。占有率は13%。

20240728_mcdonald → 20240728_safari_hidetoolbar_result

これ以外にもSafariには「リーダー」という機能がありますが、やはりステータスバーは残ります。これで占有率約7%。このまま画面を少し上方向に動かす(下スワイプする)とまたやっぱり最下部のバーが復活してしまい、占有率は約20%に戻ります。

20240728_saari_reader_result → 20240728_saari_reader_result_bar
(コンテンツに集中できるリーダーというモードがある。上図は本ブログ直前の創業18周年エントリ)

加えて、リンクを踏むと「リーダー」は解除されてしまうので、残念ながらSafariの「リーダー」機能はWebコンテンツに没入というところまでは行けません。

では、Safari以外のサードベンダーのアプリはどうでしょうか。

以下に代表的なブラウザアプリで、冒頭の例と同じくiPhone15のページをキャプチャして並べてみました。それぞれ、Webコンテンツ領域が最も広くなる状態にしています。確認したブラウザアプリは、Arc, Brave, Chrome, DuckDuck Go, Firefox, Opera, Vivaldi, Edge です。

20240728_allbrowsers
(Webコンテンツ以外の箇所を水色で表現)

ほぼ一緒ですね。ステータスバーが残ったり(全部)、パスの表示が残ったり(Brave, Chrome, Edge)しています。時間やバッテリー残量、ドメインの情報も確かに大切ですが、Webを見ている間ずっとその情報が必要なのでしょうか🤔

世界には同じ疑問を持つ人がいるのか、App Store には fullscreen browser なるジャンルのアプリが幾つもあります。Cloudy, Stadium, Kiosker…等々です。

が、ゲーム用途で横持ち専用とか、せっかくのフルスクリーンのブラウザなのに全画面で広告が表示されてるとか(なんで?笑)、月額課金しないと何もできないとか、なかなか「コレだ!」というものがありません。

20240728_dynamicisland
(Cloudyの画面。横持ち専用で縦持ち非対応。全画面だが左端の結構目立つ位置に設定ボタンが常に表示される)

国産ブラウザの代表格であるフェンリルさんの Slepinir は結構良い線までいってます。フルスクリーン表示に関する設定があって、しかるべき設定をすると理想の画面表示になってくれるのですよね。

20240728_sleipnir_fullscreen 20240728_iphone15_sleipnir_fullscreen
(国産ブラウザのSleipnir。全画面で閲覧できて広々とコンテンツ閲覧が可能。最下部のグレー部は表示ページの中身)

しかし残念ながら、ページ最上部に来ると勝手にステータスバーが出てきてしまいます。

20240728_iphone15_sleipnir_top
(画面最上部に近づくと勝手にステータスバーと空白スペースが現れる。占有率は約11%)

やっぱり勝手に出てきちゃう…😫 Safari を含めて他のブラウザと一緒ですね。出てくれ!とは一言も言ってないですし、ページの最上部に来たからといって、他のページに行きたいのではありません。そこにはWebコンテンツを表示して欲しいのです。

このように完全にフルスクリーンでWebに没頭できるアプリは見たところ無さそうという感触です。

 

スクリーン全体でWebを見るための技術

もう少し別のアプローチで考察してみましょう。

実は、特別なアプリを用意しなくても、ある技術的な仕組みを使えば Safari の表示をコントロールすることが可能です。iOS17が備えている(対応している)技術は以下の2つ。

  • (a) PWA (Progressive Web Application)
  • (b) 構成プロファイルのWebClip

(a)はWebアプリをネイティブっぽく見せる為の技術で随分前からあるものですね。このブログでも過去に言及しました。Webサイト側で特別な記述をした manifest.json なるファイルを用意してやると(厳密はもうちょっと色々必要)、HOME画面上にWebアプリ(サイト)をネイティブアプリっぽくインストールすることができるというものです。

20240728_pwa_home
(PWA対応の国内サイト例。BOOTHCatsMe!をHOME画面に登録(インストール)している状態)

PWAは実質 Safari のブックマークですが、HOME画面上に置いた状態からタップして「起動」すると、邪魔なバーを消した状態で起動します。内部的には Safari で表示されているのですが、不要なものが表示されないのでネイティブアプリっぽく見えるというからくり。

20240728_pwa_booth 20240728_pwa_catsme
(BOOTH(左)は2023年にネイティブアプリの開発をやめてPWA化した。CatsMe!はWebなのにPush通知が飛んでくる)

確かにネイティブアプリっぽくはなりますが、残念ながらステータスバーが残ります。これだと上で紹介した Safari 以外のブラウザアプリと同じですね。

それに、PWAは manifest.json の用意が必要など「サイト側が対応しなくてはならない」という課題があります。ユーザが任意のWebコンテンツを全画面で表示するという手段にはなりません。

次に(b)のWebClip。これは元は業務用の仕組みで、会社支給のiOS端末にWebサイトのショートカットを一斉配信するための技術です。業務用iOSに関する発信をしている弊社サイトで詳細を紹介しています。

これも Safari を特別仕様で起動するブックマークのようなもので、徹底的に不要なものを消す設定にすると下図のような表示を実現できます。

20240728_webclip

残念ながらやはりステータスバーが残ります。以前のiOSではステータスバーを透過にして、時刻・バッテリの表示だけが残る…という状態まで持っていくことはできたのですが、iOS17では上図が限界。いずれにしても完全なWebコンテンツ没頭とまではいきませんね。

WebClipを作成する画面では「フルスクリーン」とあり、

20240728_ac2

これをONにした状態でもステータスバーの表示が残るということは、iOSにおけるフルスクリーンとは、ステータスバーを除いた領域のことであると考えることもできます。が、これは納得がいかない…。

Safariを普通に使っても、既存技術を組み合わせても、サードベンダーのアプリを使っても、スクリーン全体でユーザがWebコンテンツに没頭するのは難しそう…。それじゃぁどうするか。

 

無いなら作る

いつものことですが、無いなら作ってみようというわけです。

で、「Webコンテンツを見ている時はUIはいらない!」って考えを追求した結果、下の動画のようになりました。iPhone15のページを、開発中のアプリで実際に表示&操作している様子です。上下を切り取っているわけではなく、画面の上から下まで丸っとキャプチャしています。


(実際の端末で見ている時は画面最上部に Dynamic Island がある)

普通にWebコンテンツを見ている時も、上下に移動したりページのTOPまで移動してもUIが邪魔してない状態です。何のアプリを使っているかすら分かりませんね。ブラウザアプリが徹底的に自身の存在を消すと、ユーザのスクリーン全体にWebコンテンツの世界が広がります。

冒頭のキャプチャ画像と見比べて貰うと分かりますが、スクリーン中の情報量が多くなってますし、何より開放的な感じがします。これがWebコンテンツに没頭できる状態ではないかと思うのですよね。

このユーザ体験を至上命題とし、その上で、表示するページを切り替える方法やその他のUXをゼロベースで考え直したらブラウザはどうなるのか、という実験や研究をしながらアプリを作っています。

実際、ユーザが何らかの操作をしたいとか、別のサイトを表示したいと思った時にUIをどうするかが一番の課題ですが、それを解決(?)するとこうなります。


最後の最後に、ブラウザアプリとしての専用UIやステータスバーがヒョコッと出てきたのが見て貰えるかと思います。って動画を撮ってみたものの、何をやったら出てきたかは全然分からないのですけどね😅

幾つかある解決策の一つとして有力なのは、ジェスチャーではないかなと考えています。とはいえ、ダブルタップやスワイプ等のWebコンテンツ閲覧中の操作と競合せず、分かり易くて且つ無理の無い操作でなければならないので難しいのですけどね。このあたり試行錯誤しています。

 

というわけで、エラい長文になってしまいました。何が書きたかったのかというと、スマホのスクリーンはユーザのものであり、Webを見る時は全画面でWebコンテンツが表示されるべきではないかという問題提起だったのでした。

ここまでうるさい(?)のは自分だけかも知れませんけど。実際に奥さんに聞くと、(ステータスバーやアドレスバーの件は)そういうものだと思ってるから気にならないって意見でした。でも、やっぱりスクリーンはユーザのものです。Webを見ている最中はスクリーンの表示領域1ピクセルたりとも無駄にしたくないんですよね。

この考えは、冒頭でもう1つ挙げた「Adネットワークの広告」の話にも繋がっていきます。次回は、Webの広告をテーマにブラウザ考察をしてみたいと思います。


2019.03.21 (Thu)

テレビは経済番組をメインで見るのですが、ここ数年はYouTubeも好んで見ています。

20190321_youtube
(Thanks! the photo on flickr by Aurelien BLAHA / CC BY 2.0)

面白い・勉強になるコンテンツが沢山あって、気がつけば結構なチャンネルを登録してたりしますよね。皆さんはどんなチャンネル見てますか?

さて、以前に見てるテレビ番組を書いた事があったので、YouTubeチャンネルでも同じように僕が見てるチャンネルをツラツラと書いてみようかなと思いました。祝日ですしね(関係ない)

 

料理系

最近、余り料理できてないですけど。やっぱり人様の料理を研究ってことで。料理系動画はホント沢山あるんですけど、映像作品としても素晴らしいものが幾つかあります。お気に入りが以下2つ。

Peaceful Cuisine

ホントもう映像が美しい料理チャンネル。料理系動画をwatchしている人は多分知らない人いないんじゃないでしょうか。世界的にも有名なヴィーガン料理YouTuberさんです。肉料理はでてきません。

癒し系料理動画とでも言うのかなぁ。包丁の音とか、焼いてる時の音とか、心地よいのですよね。コーヒー豆を炒ったり豆腐を作ったり…ってなことも自分でやってて結構珍しいと思います。

JunsKitchen

Peaceful Cuisine よりもチャンネル登録数が多くて、world wide には多分こっちのほうが有名でしょうかね。英語です。でも場所は日本。

主に和食のレシピ動画です。特徴的なのは、毎回必ず飼い猫が登場するところ。自分とこのニャンコに見せてあげる為に動画作ってるんじゃないか…と思います(何度かニャンコの食事を作ってたことも)。配信頻度はかなり低め。ニャンコかわいい。

 

DIY系

DIYをやるようになってから頻繁に見るようになりました。お気に入りのチャンネル3つ紹介します。

オトーライ☆OTOHRAi

始まった当初から見てます。DIY動画では珍しい小芝居つきw 奥さんが頻繁に登場するんですが、クスっとできるなごみ系動画です。YouTubeという個人発信の場だからこそ成り立つコンテンツですね。

作っているものがとても身近というか、難しくなさそうというか、DIY初心者が見ても、あーこれなら真似して自分でも作れるかなぁと思えるのがとっても良いです。

haLkichi - 晴吉

こちらも始まった頃から見てます。初心者だった晴吉さんが凄い勢いでスキルアップされていくDIY動画。作られるもののセンスがとてもよくて、映像クオリティも素晴らしい。

上に料理系で紹介した Peaceful Cuisine のDIY版と言っても良いかも。御本人も初期の配信で言及されているので絵や音の作り方はかなり意識されているかと。見ていてとっても心地よいDIY動画です。上の動画は好きな回の一つ。まさかの結末にご注目w

ISHITANI FURNITURE

映画作品を見ているかのようなクオリティ。家具製作職人さん、DIYではなくプロの仕事動画です。

オーダーメードで1点1点作られてる過程はとても貴重かと。身近な家具がこんなふうに作られるんだなぁ〜と勉強にもなります。時々出てくるワンコが可愛いのですよ。

カミヤ先生のDIY!家具教室

DIYのノウハウ動画です。

お勧めの工具の紹介や工具の使い方、木工でのモノの作り方などがメイン。電ノコのキックバックを実演するとか、貴重な映像もあります。作品として楽しむというよりも、純粋に木工DIYを勉強する一教材としていいかなぁと思います。

 

科学系

なにげに好きなジャンルなんですよね。2つご紹介。

nimspr

物質・材料研究機構(NIMS)が配信しているチャンネル。科学系コンテンツ好きには良いですね。

特に「未来の科学者たちへ」のシリーズが好き。このシリーズ見ると科学って凄いなぁと関心するのですが、理論や理屈を分かり易い映像に変えるセンスや技術も勉強になるんです。

SUSHI RAMEN【Riku】

「普通、仮に思ってもやらないよね?」という実験をガチでやっちゃう(今は)大学生のYouTuber。ご存じない方はほぼいないんじゃないか。

やってみた系動画では発想・センス・行動力がずば抜けてますよね。才能の無駄遣いとはこういうことを言うんでしょうw。ただただ尊敬しかありません。笑いなくして見れない大量のヤッテミタ動画、どれも楽しいです。

 

ということで幾つかご紹介しました。どれもお勧めのものばかりですので、仕事の合間とか気分転換に宜しければ是非 :-)


2019.01.28 (Mon)

本日、2019年最初のプレスリリースを出しました。

国内上場企業のWebサイトURL一覧が毎月届く、サブスクリプション型データ提供サービスを開始

データ提供サービスなので、事業の種類的には初めての試みになります。とはいえ、この分野を新規事業としてやっていく…てな気持ちは毛頭なくて、どちらかというと既存資産の商品化です。

20190128_listofurl

上場企業のURL一覧は案外存在しない

2017年からやっている常時SSL化対応レポートを始める前に調査して分かったことですが、上場企業のURL一覧って案外ありません。国が出してる訳でもないし、東証が出している訳でもない。webでの情報発信は今や当たり前だし、なぜ無いのか疑問ですけどね。

仕方なしに「上場企業 URL 一覧」でググると

など、それっぽいのが出てくるのは出てきます。…が、月次で最新情報を期待するのは難しそうだったり、拠出が不明だったり、禁止されている行為が一部行われて生成されてたりと、無償公開前提でレポートを作るにしても色々心もとなかったのです。

かといって、帝国データバンクなど企業情報販売のサービスを頼るのも違う。URLしかいらないのに(弊社にとっては)他の余計な情報までついてくるのでコストパフォーマンス悪いんですよね。

そこで諦めることもできましたが、なければ作るはやっぱりエンジニアリングの基本です。結局自作するに至り、今は国内の全上場企業の最新URL一覧を自社の資産として持つことができています。

この上場企業一覧を、必要とする法人様に定期的にお届けしようという訳です。

別に定期性は必要なく現時点の最新一覧さえあればokという場合にも対応可(1年分の費用お支払い)。お届け方法やデータの詳細、価格などは専用ページに記載しておりますので興味お有りの方は宜しければご覧下さい。

 

という訳で、新サービス発表のお知らせでした。

振り返ってみると2018年は忙しさにかまけてて、プレスや会社webでの発信が疎かになり過ぎてました。これまで年に数回は何かしら新発表してたのに、昨年はプレス1回だけですしね。

20190128_press
(自社サイトのプレスのページ。2018年は1件。比較的多かった2015年とかは年に6回も出してた)

そんな訳で今年は対外的発信強化の年にすべく、暖めてる色んなネタをどんどんリリースしていこうと思います。


2018.09.30 (Sun)

2018年は異常なまでの自然災害の年です。

豪雨、地震、台風。これまで大阪市内に住んでて余り深刻な事態には直面してなかったのですが、人生初めての直下での地震(大阪市北区の震度6)に恐怖し、暴風雨に身体を飛ばされかけて(台風21号上陸時に打ち合わせ外出)命の危険を感じ、これを機に今まで以上に災害時に備える意識を高めました。

元々、備蓄やら避難用品等は揃えていたのですが今一度一式を確認して、足りないものを補充。特に今回、停電時にどうするか…という視点で追加購入したものが Anker 社のPowerHouseと、正規オプションのソーラーパネル PowerPort Solar 60 です。

2つ併せて7万円と結構なお買い物です。5万円のPowerHouseだけで良さそうなものですが、新しいモノ珍しいモノが好きなのと、万が一停電が長期化して PowerHouse の蓄電量だけで足りなくなったらどうしよう?電気補充したいな…と思ったのが購入動機です。

以下、その視点での使用感。

PowerPort Solar 60 を使ってみた

土日ぐらいしか時間が作れず9月下旬の日曜日、雲ひとつ無い快晴…とはいきませんでしたが、夕方まで結構な日差しがさす中で実験してみました。

20180930_powersolarpowerhouse
(災害による停電時にベランダで太陽光発電による充電を行う想定)

災害時に自宅で停電生活を過ごす事になった…という利用シーンを想定していたので、こんな感じでベランダに設置して、時折位置を変えながら朝9時ぐらいから5,6時間ぐらいでしょうか。パネルに陽を当て続けました。

結果、PowerHouseに補充できた電力は3%。これを多いと見るか少ないと見るかは、得た電力を何に使うかという目的によりそうです。(不良品ではないと思う、多分)

PowerHouseは元々容量が大きい(公称でスマホフル充電を40回!)ので3%といってもそこそこの量です。iPhoneXでも普通に一回フル充電可能でまだ余ります。停電長期化の際に天気良ければ夫婦2人分のスマホはフル充電できる…と思えば、PowerHouseの電気を使い切ったとしても全く電気がないよりはマシなので安心感がありますね。

実験当日は快晴!とまではいかない天気だったので(最高29度の晴れのち曇り)、終日快晴ならもっと充電できるかも知れません。

あと、太陽の軌道を意識して設置の仕方を工夫すればもっと蓄電できる気もします。建物の中では、思いのほか太陽の移動と共に影が移動してしまい、油断してるとソーラーパネルに陽があたってないってことになりかねません。最適な設置場所を考えておく必要はありそうです。(ここでDIY?)

20180930_powerhouse
(太陽からのエネルギーを貯めて頑張っているPowerHouse)

AC/DC期待なら燃料系発電機

AC/DC電源も使えるのがPowerHouseの良さでもありますが、その電力源として「PowerPort Sola による発電 → PowerHouse に蓄電」を期待するのは、さすがに酷というものですね。

PowerHouseには普通にコンセントを刺してサーキュレータや扇風機、小型の冷蔵庫やノートパソコンへの給電にも使えますが、半日程度のソーラ発電で貯めた電力量で数時間ももつものではないです。そもそも使い方が違うという…。4,5時間でPowerHouseが満タンになります!ってミラクルなら話は違いますけどね。

それを期待するならガソリンやガスによる発電機です。どの程度リスクヘッジするか…は家庭や生活習慣にもよりますが、頻繁にアウトドアで電気系使うことがあるよ〜的なご家庭では発電機の1つや2つ(?)、災害対策用にあっても良いかなとは思います。

燃料の保管がちょっと…という場合は、思い切って3万円上乗せして PowerHouse をもう1台ゲット(まさかの!)という選択肢も悪くないでしょう。超小型だし場所は取りませんので。ですが、ウチはそこまではやらないことにしました。PowerHouseが家に2台てw

20180930_powersolarpowerhouse_onwall
(朝早い時間から陽があたってたので壁貼りを試みた様子。その後、すぐ剥がれるw 貼るのは無理があった)

スマホ充電ならモバイルバッテリを沢山買って備える

で、PowerPort Solar は MustBuy なのか。

これは自分的には否です。正直そこまでは思わないな〜と。2万円と結構なお値段もしますし。

スマホやタブレットへの充電が目的なら、大容量なモバイルバッテリを5,6個買い足して満タン保管が良いです。いざ避難って時に単品持ち出せますし、普段使いに流用もできますから。

PowerPort Solar、モノとしては良いと思います。しっかりした作りですし、畳んだら持ち運べる用の取っ手もついてますし、別にPowerHouse本体がなくても単体でUSB機器に繋いでソーラー充電もできますし。あと、ポータブルに太陽光発電パネルを持ってるという所有感も満たせますね(笑)。いわゆるガジェット好きなら PowerHouse のついでに買ってしまっていいんじゃないでしょうか。他には、電源系の備えはもう色々やり尽くして他にも更にやっておきたい…みたいな人にも良いかも。

動作不良っぽいことは多分ないです。発電量が少ないとしたら多分僕の使い方が悪い。

20180930_powerhouse_onfloor
(油断してると影に入るのでベランダでの設置は高さを考える必要あり)

ということで PowerPort Solar の簡単な使用感でした。ちなみに PowerPort Solar 関係なしに PowerHouse は、置いてるだけでも結構格好いいし(安っぽくない)、思ったより小型軽量だし、安心感半端ないので一家に一台ぐらいの勢いであっても良いかなーと思います。