2017.11.15 (Wed)

(所要時間 : 約2〜3分)

先日のエントリでこんなことを書きました。

新技術を表す言葉やバズワードを使うのは楽です。でも「楽」なだけに、何か新しいことをしようとする時や何かを変えようとする時に陥り易い罠だと思います。でもそれは失敗の入口かも知れません。

RSSという当時のバズワードに執着しすぎて、何一つ事業作りが巧くいかなかったという話。(RSSというのは情報配信技術の一つ。詳しくはこちら)

じゃぁ「RSSのフィードテイラーです!」って言いまくってたのは100%無駄だったのかというとそうでもありません。悪いこともあれば、良いこともあります。

尖ることが仕事やお金を引き寄せる

RSS!RSS!

創業期から2年強、自分でも驚くぐらいRSSを連呼してました。セミナー・イベント・ブログ・展示会・ビジコン応募…

20171115_booth
(RSSのアイコンで作った手製壁紙をはっつけての展示)

RSS関連事業は全て失敗したものの、連呼はしていましたのでRSSの会社というイメージは形成され、結果的に関連する仕事を引き寄せることになりました。

「そういえばフィードテイラーさんって…」

と思い出して貰って、RSSに関連する大きめの開発案件の仕事を頂いたことが2回。まとまったお金が継続的に入ることになりました。これが無ければ多分廃業してたでしょうね。

何でもできます!は誰からも声がかかりませんが、例えバズワードであっても発信して尖っていれば反応してくれる人は必ずいます。

手を変え品を変えバズワード便乗

もう一つ便乗した技術がありました。それが Adobe AIR。今はもう無いといって良い技術ですが。

20171115_adobeair
(Thanks! the photo on flickr by possan / CC BY 2.0)

ActionScript という言語で Win/Mac の両アプリを同時に作れる仕組みでした。今の Electron みたいなものですね。

発表された当時、次はこれが来ると考えて IRCastPro という株式投資家向けのサービスを作りました。またバズワードに乗っかって自社事業作りをしようとしたのです。

20171115_ircastpromedia
(メディアにも色々掲載はされた。当時の自社紹介スライドから一枚)

懲りてませんね…(笑)

いぁホント、流行りに便乗して流行りに寄り添った事業を作るのって楽なんですよ。例えるなら日経トレンディを見て次の商品を考えるみたいな。

当時の僕は無意識に楽なことに逃げてたと思います。

AdobeAIRという話題の技術を使うことが目的化してました。

結果は失敗。そりゃそうです。流行やトレンドに便乗する新規事業作りで何度失敗したら気が済むのか。

20171115_adobe.jpg
(当時のリハ中の写真。Adobe AIR のセミナーと分かるモノが何もないw)

ただ AdobeAir を担いだことも100%無駄ではありませんでした。ある企業を技術支援する仕事に繋がったり、Adobe さんのセミナーで講演させて貰う貴重な経験にも繋がりました。

 

自分の商品を持つ為に課題にフォーカスする

流行で自分を特徴づけるのは悪いことでは無いと思います。バズワードやトレンドって磁石みたいなもので、仕事やお金やご縁を確実に引き寄せますから。

でもバズワードからオリジナルの価値は生まれません。「あなたにしかできない何か」は生まれない。

僕は創業3年目に気づきました。

バズワード起点の事業は作ったところで長続きしないのです。なぜなら、御客様の課題解決より、流行に寄り添う姿勢が優先されるからです。トレンドが過ぎた時に事業もついえてしまいます。

今、FinTechだIoTだ人工知能だとうたう商品は非常に多いです。でも、3年後にはほとんど無くなってます。そんなバズワードを使わなくても「どんな課題を解決する商品なのか」をきちんと表現できている商品だけが生き残っている筈です。

事業とは常に顧客課題の解決でなければならない。当たり前なのに事業を作ろうとする当事者になると忘れかけるんですよね。自分は今でもそうなので(汗)、肝に銘じています。


2017.11.06 (Mon)

(所要時間 : 約1〜2分)

本日、また歳をとりました。

41歳よりも42歳、42歳よりも43歳。同じ歳を取るなら何かしら成長してたいってのは、会社として期末に振り返って来期を意気込むのと同様で、個人でも同じですね。

成長って言うと大げさですが、新しい挑戦とか既存の挑戦の継続とか何かやっていたい、そんな性分です。で、41歳の1年を振り返ったTOPICSを書いてみようかなと思いました。何か成長したのか。

 

20171106_triathlon2017

トライアスロン

こちらは継続でもあり新たな挑戦でもありました。40歳の時にアクアスロンに挑戦して、その延長線上の挑戦として6月に出場、大阪城の堀を泳ぐ貴重な経験をしました。

トライアスロンを一緒に楽しめる経営者の仲間が欲しいなぁなんてことも思いました。

なんて以前のエントリで書いてましたが、トライアスロン仲間もできた(できそう?)なので、仲間からの刺激を新たな糧に自分も頑張っていきます。

トライアスロンの3種目同時にこだわらず、マラソンはもちろんバイクやスイム単体でのレースにもトライしてみたいですね。いずれはアイアンマンレースへの挑戦。制限時間内にゴールすると貰えるという鉄のメダルを噛んだ写真を撮りたいです。

 

DIY (Do It Yourself)

奥さんの「押入れを棚にできひんかなぁ?」という一言がきっかけでモノ作り魂(?)に火がつきました。

20171106_diy

賃貸派なので今もそうなんですが、賃貸物件でも工夫次第でこんなに低コストでこんなに住み易さを改善できるのか!!と衝撃を受けて1,2ヶ月。近頃ホームセンターに行きまくってます。


こういう動画をよく見るようになって、YouTubeと接する頻度も上がりました。

見れば見るほど、調べれば調べるほど、日常で考えつく程度のもので作れないものは無いんじゃないか?と思えちゃうんですよね。道具も材料も充実してるし、ネットに情報もあればネットショップも多数あって、DIY凄いです。

こちらは先のトライアスロンと違って、挑戦というより新しい趣味みたいなもんでしょうか。でも、リアルなモノ作りという意味でスキルアップはした気がします。

 

とまぁそんな感じで、少なからず成長を実感できた41歳でした。

会社としても色々変化もありましたが(毎年何かあるけど)、それはまた年末の期末振り返りで書いてみようと思います。42歳も良い1年になるよう頑張ってまいります。


2017.11.02 (Thu)

(所要時間 : 約1〜2分)

不思議なことに、仕事や事業作りの本質を忘れてしまうことがあります。

20171102_business
(Thanks! the photo on flickr by Maryland GovPics / CC XX-XX 2.0)

仕事も事業も原則は御客様の課題を解決して、-1を0に、0を1に、1を10にする活動です。時間軸で見れば御客様の未来は良くなってなきゃいけない筈なんですけど、どうしても技術とか流行り言葉に便乗したくなるのがヒトというもの。

やっかいなのは、当事者であればあるほどその罠に陥りやすいってことです。例えば最近だと

  • AIやろう
  • IoTをやろう
  • FinTechをやろう

とかは目にすることが多いですね。それって手段ではないのか。

 

20171102_rss
(Thanks! the photo on flickr by RafaEU Faria / CC BY 2.0)

RSSという技術を喧伝していた時代

技術やアイディアを使うために、わざわざ課題や目標を無理やり捻り出す場合もあります。それを標榜する必然性はないのに。手段の目的化ってやつですね。

僕は創業時期にその罠に陥ってました。

立ち上げ当初の2,3年は特に酷いもんです。ご存知の方もおられるかもですが、RSSという技術で世界を変えるんだって真剣に言ってました。今思うと恥ずかしい… (RSSについてはこちら)

色んなものを作りましたね。『音マガ.com』『feed magazine』『Feed Suite』『IR Cast』『feed engine』…

全てうまく行きませんでした。そりゃそうです。御客様は技術が欲しいんじゃない、アイディア凄いですね!と感心したい訳じゃない。ただただ課題を解決したいだけなのですから。

僕は、RSSという技術を使うことや当時の流行に便乗することにフォーカスし過ぎてました。御客様の課題を解決する為にRSSという技術を使ってた訳ではないんですよね。RSSを使う為に何ができるか…ばかり考えてました。

御客様の課題が第一義にこない仕事や事業がうまくいく筈ないんです。

 

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(Thanks! the photo on flickr by Sean MacEntee / CC BY 2.0)

技術を前面に出さなければウケた

2009年、GNReader というニュースリーダアプリを出しました。社会・経済・国際などのニュースをカテゴリ毎に見ることができるiPhoneアプリです。

開発するにあたって継続的な情報配信に適した技術(フォーマット)としてRSSを採用してましたが、RSSって言葉はアプリの解説にも紹介時にも一切使ったことがありませんでした。そもそも使う必要もなかったですし。

『ニュースが見れます』

ただそれだけ。ニュースを毎日見たいというiPhoneユーザの課題に当時はベストマッチだったのです。結果、アプリはあれよあれよとランキングを駆け上がり、アッという間に無料総合ランキング1位を獲得しました。

この経験でようやく気が付いたのですよね。課題を解決するために技術を使うとはこういうことかと。技術や手段は表に出す必要はないよなと。

 

新技術を表す言葉やバズワードを使うのは楽です。でも「楽」なだけに、何か新しいことをしようとする時や何かを変えようとする時に陥り易い罠だと思います。でもそれは失敗の入口かも知れません。

掲げた言葉や喧伝するキーワード、それらは誰の課題を解決し、どのようなより良い未来を提供する為なのか?

何かをやろうとする時、常に自問自答するようにしています。それでも罠にハマりそうになるものなので、何度も何度も問うように心がけている昨今です。


2017.11.01 (Wed)

だいぶ前にオフィシャルサイトを更新しました。

20171101_ftweb

これまで会社としての哲学をちゃんと表現してなかったなぁというのもあり、一言でそれを表現するようにしたんです。まぁ零細中の零細企業なのでそれは僕個人の事業の捉え方とイコールなのですけど。

Invent a better future with innovative ideas

と、上図の通りTOPページとか他のページのキャプションに書きました。訳すと「革新的なアイディアでより良い未来を作る」になるでしょうか。

アラン・ケイの「The best way to predict the future is to invent it.」という言葉が好きなんです。ご多分に漏れず僕も好きな言葉って幾つかあるんですが、その一つですね。未来を予測する最善の方法は未来を発明することだ…という名言。

WikiPediaによると元々は、

1971年、パロアルト研究所の研究内容の将来予測を再三に渡って求めるゼロックス本社に対する回答(経営陣と開発陣の軋轢や見解の相違を端的に表している)

という文脈での言葉なので、解釈としては間違ってるのかも知れませんけど、僕は「グタグダ言わんと、はよ作ろうや!」という開発者に対する激励として勝手に捉えてます。

 

20171101_future
(Thanks! the photo on flickr by Thomas Rousing CC BY 2.0)

せっかくつくるなら

で、どうせなら、突拍子もないこと、まだ多くの声が上がってないこと、まだ誰もやったことのないことが絶対に面白い。そんな思いでこれまでやってきました。会社作りも事業作りもそう。

残業禁止や副業推奨とか。B2B iOS とか SYNCNEL とか。自分が思うことをやってたら時代がそうなってきて間違ってなかった〜みたいな。

あ、でも継続してこそ意味があるって考えれば、後者については事業を途中でやめたので余り自慢できませんけどね。他にも検討違いのことも沢山やってきたし、って失敗しかしてないかも知れない(笑)

自分の描く未来から逆算した行動で作る何かに、社会や業界や世論のベクトルが近づいてくる感覚って凄く良いもんです。振り返った時の「未来を作ってきたぞ感」とか「未来予測が当たったぜ感」が、承認欲求を満たしてくれるんでしょうね。しかも、誰かに認められる…というより社会に認められるということなので充足具合も強いのかも。

未来を想像してアレやコレやとやってみることは多分これからも辞めないと思います。外しまくっても。だからサイト更新時に、冒頭の標語を行動指針として明記したのでした。

Invent a better future with innovative ideas

です。

 

20171101_espar

次につくる未来

今、espar という事業をやってます。Web関連。(詳しくはこちら)

これを冒頭の標語に沿って表現すると、静的化というアイディアでWebサイトの未来をちょっと良くする事業です。高速性やセキュリティの面で。幸い、今年6月に開始してから、すぐ御客様もついて引き合いも継続的にあり評価も頂けているので、来年はリソース投入割合を高めるつもりです。

これからも、未来を良くする技術を手段に事業を営む会社でありたいと思います。そんなことをふと、またWebサイトをリニューアルしよかなぁと眺めていた時に考えました。


2017.10.10 (Tue)

3ヶ月ほど前でしょうか、情報処理安全確保支援士の試験に合格しましたというエントリを書きました。

資格資格と書いてますが、まだ「士として登録できる権利を得た」だけで、これから情報処理安全確保支援士としての登録手続きになります。(書くかどうかはともかく)正式に名刺とかに書けるのは今年の10月1日からです。

という訳で、あれから色々手続きを行いまして、10月1日づけで正式に情報処理安全確保支援士になりました。士業を名乗れる国家資格を持ったのは人生初です。

20171009_riss
(セキュリティの知識がある人なら合格は難しくないです。合格率は16%ぐらい)

弁護士さんのように独占業務がある訳ではないので仕事が何か変わるってことは特にありません。名乗れる以外に特典は無いに等しいのに、関連法律を守る義務(破ったら罰金)と講義受講の義務(毎年1回)だけ背負うという…(笑) まぁ、この資格に悪評が多い理由です。

が、当社はWebセキュリティ分野のサービスを提供(Webを静的化するesparというWebサービス)しているので、代表である自分が関連資格を持ってるってことには意味があると考えてます。

しかし、

20171009_risslogo
(情報処理安全確保支援士のロゴがでかでかと掲げられるIPAのサイト)

御覧の通り、資格保有者であることを示すロゴが残念というのと、資格の名称から何の専門家か分からないという2点を理由に僕は名刺には印刷しない予定。会社の紹介資料とかサイトにちょっと文字で書くぐらいですかね。資格試験をやってるIPAは完全にマーケティングを失敗してます…勿体無い。

とはいえ、一応国のお墨付きを貰った専門家です。

登録された以上(IPAのサイトに名前が公開された)は、専門家として恥ずかしくない振る舞いを心がけつつ、啓蒙という意味でセキュリティに関するアウトプットを積極的に行っていこうと思う次第です。


2017.09.26 (Tue)

20170926_webkit

2ヶ月近く前、アプリ界隈がちょっとザワつきました。iOS SafariのエンジンであるWebKitに動きがあったと。

「Service Workers が in development」とWebKitが言ったから八月三日はPWA記念日

PWA(Progressive Web Application) が遂にSafariでも可能になるかも知れない、Service Workers が使えるようになって Safariでプッシュ通知やオフライン対応ができるようになるかも知れないという憶測から、スマホ向けWebアプリの可能性が一気に広がる!もうネイティブアプリいらなくなるんじゃない!?と盛り上がりました。

やばい、iOSにネイティブアプリ要らなくなるかも。SafariもPWAに対応する可能性

このページですね。1000以上付いてる はてブ でフルボッコにされちゃってますけど…(笑)、まぁ僕も同じ見解です。このエントリの著者が想像する未来は残念ながら来ないでしょう。

スマホアプリ関係者でPWAをご存じない方は、以下の記事がオススメですので是非ご一読を。

で、今日はPWA対応について、B2Bの視点で思うところをアウトプットしてみようと思います。

20170926_apps
(Thanks! the photo on flickr by Eduardo García Cruz CC BY-SA 2.0)

 

AppStoreがある限りPWAはネイティブを一つも置き換えない

ウチはご縁あって、iOS2の時代からもう10年近くネイティブアプリに関わらせて頂いてます。

色んなアプリを見てきて思うのは、突き詰めれば「何故ネイティブアプリにするのか?」って、結局はAppStoreに載せたいからなんですよね。アプリを認知してインストールして貰うまでが一番大変ですから、AppStoreの存在は極めて大きいわけです。

ネイティブアプリにしかできないことが主たる理由でネイティブアプリにしてるのではなく、顧客が集まるAppStoreに載せる為にネイティブアプリなんです。

そうでなきゃ、わざわざWebViewをかぶせただけのアプリ申請なんてこと皆しませんから。昔は完全NGでしたが、今は審査が随分とゆるくなりました。WebアプリはHOME画面への登録が超面倒(参考)だし、インストールして貰えないからネイティブアプリ化するのです。

iOSのSafariがPWA対応すると、確かに少しだけWebアプリのインストールが簡単になります。…とはいえ、ユーザがそのWebページ(Webアプリ)を訪れるのが2回目の時に、HOME画面へのアプリ登録を促してくれる程度。AndroidのChromeだとこんな感じですね。(さくらさくLABOさんのサンプルを使用)

20170926_chromepwa
(PWA対応ページへの2回目のアクセスでアプリとしてHOME画面に登録するか確認される)

決して分かり易いインストール方法とは言えません。「このURLを5分以上の間隔あけて2回目の訪問したら、HOME画面にアプリとして登録できますから」ってユーザに案内するんですかね。アプリとして考えたら100%無い…ですよね。

アプリのカタログを見て「インストール」を押せばHOME画面にアプリが現れるAppStoreに比べて、PWAアプリは明らかにインストール時のユーザ体験が劣ります。そもそも仕様からして、PWAはWebサイトに付随するオマケに過ぎません。主役にはなり得ないのです。

 

Mobile Safari のPWA対応が意味を持つ世界

ただ、企業向けアプリの世界では、PWAによるWepアプリがネイティブアプリを置き換える可能性があると僕は考えています。企業向けアプリでは、AppStoreでの認知が重要ではなく、(ネイティブ/Webに関わらず)アプリのインストールのし易さがMDMという仕組みで担保されているからです。

20170926_profile
(プロファイルとMDMを使えば、従業員全員にWebアプリを一斉インストールできる)

業務用途のネイティブアプリもホント沢山ありますが、ネイティブで実装する理由はコンシューマ向けのB2Cアプリと少し異なります。

ただただ、

  • (a) アプリで通知を扱う必要がある
  • (b) アプリがオフラインの時でも使える・ローカルストレージが必要である
  • (c) アプリにBLEやWiFi等を介したハードウェア連携が必要である
  • (d) 法人顧客にADEP(旧iDEP)を契約して貰うのを前提にできない(AppStoreにある業務アプリ)

といった要件があるからネイティブアプリとして開発されています。ウチもその昔、(b)が理由で企業用アプリSYNCNELをネイティブアプリとして開発してました。

本当に Mobile Safari がPWA対応すれば、(a),(b)がWebアプリで実現できる上に、更に(d)を気にしなくて良くなるメリットもあります。そうするとハードが絡む以外にネイティブアプリで業務用アプリを作る理由ってほぼ無くなりませんか。

20170926_iosupdate

改めて振り返ってみると、iOSの進化って Mobile Safari でできることを増やしていく歴史だったことに気付きます。ちょっと掘り起こしてみましたが、jsでできることは

  • iOS3 : 位置情報取得(GPS)に対応
  • iOS5 : 方位取得(コンパス)に対応
  • iOS6 : <input type=“file”> に対応
  • iOS8 : WebGLに対応、IndexedDBに対応
  • iOS9 : 3Dタッチに対応
  • iOS10 : IndexedDB対応を強化
  • iOS11 : WebRTCに対応、WebAssemblyに対応、MediaCaptureに対応

こんなに増えてるんですよね。Mobile Safari はほぼ毎年進化しています。

20170926_webglsafari
(Safari内で動作するWebGL。指の操作で3D空間内をグリグリ動かせる)

20170926_mediacapture
(Media Capture API 対応によりSafariからカメラ画像のリアルタイムストリームにアクセスする様子。引用元)

ここまで進化してきたiOSのMobile SafariにPWA対応が加われば、「企業向けアプリはもうWebアプリで良いよね」とほぼほぼ言えそうです。

それは、社内でアプリ開発ができるエンドユーザが増える、顧客にアプリ開発を提案できるSIerが増える、つまり企業のiOSデバイス活用の敷居がグッと下がるということを意味しています。結果、iOSデバイスの拡販に繋がりますから、AppleにとってはWelcomeでしょう。

MDMで一斉配布が出来て、審査もいらず、いつでも更新できて、オフラインにもプッシュ通知にも対応し、ADEP(iDEP)のようなAppleとの有償契約を御客様にして貰う必要も無く、ADEPに絡む運用の面倒臭さもなく、iOSバージョンアップに振り回されることもない…

そんなアプリがもしWebの技術だけで完結させて作れるなら…。いずれ「B2Cはネイティブ、B2BはWeb」という住み分けでアプリが共存するようになるというのは妄想が過ぎるでしょうか。

 

PWAを取り巻く議論を眺めつつ自分の身近なB2Bアプリの世界ならどうなるかを書いてみました。まぁホントに Mobile Safari がPWA対応するかどうかは分からないですけどね。


2017.09.20 (Wed)

ICO(Initial Coin Offer)の話題が盛んです。FinTechがらみ。

20170920_blockchain
(Thanks! the photo on flickr by BTC Keychain CC BY 2.0)

今流行りの(?)ブロックチェーン上に実装される独自のトークンを使って資金調達をする新たな Equity 調達手法として脚光を浴びていますね。株式で資金調達するのがIPOなら、デジタルクーポンで資金調達するのがICOというザックリ解説で間違ってはいないでしょう。

テックビューロさんの COMSA が発表されてからというもの、ネット界隈とくにIT系ベンチャー界隈でICOは今が旬なワードです。IPOを越える資金調達が可能だ!とか。かねてより僕はIPOそのものを疑問に思ってるので(参照 : この日本で本当にシード段階の投資が出来るのか)、新たな資金調達手法が開発されるのは喜ばしいことだなぁと注目している次第。

ちなみにICOとは何ぞやという話は以下が詳しいですので宜しければご一読を。

今、国内のICOで最も話題なのは、前述のCOMSAと単独ICOに成功しわずか1週間で3億円超を調達したALISでしょう。COMSAALISも書き出すととても長くなるので割愛しますが、今回はウチがいま主力サービスとしてやっているWeb静的化事業という観点から ALIS がもっと評価されるべきポイントについて書いてみたいと思います。

20170920_alis
(次世代のメディアサイトを目指すALIS)

ICOでWeb改ざんは致命傷

ICOの一般論ですが、仕掛ける側は開発しようとするサービス内で利用できるデジタルなチケット(トークン)を販売します。それをICO参加者は仮想通貨で購入します。将来そのチケットの価値が上がって儲けられるという可能性に期待して。

IPOでは証券会社の口座に金を入れてIPO株を買いますが、ICOでは事業者指定の仮想通貨口座に仮想通貨で支払う訳ですね。そうするとデジタルなチケットがゲットできる。あとはサービスのローンチを待ってそのチケットを使うと。これがICOのよくある形式ですね。

20170920_aliswallet
(ALISのサイトでもICO参加者に支払先を伝えるページがある)

さて、ではICOをやる側が一番やってはダメな事はなにか。それは、

Webページを改ざんされてしまうこと

です。「この口座に仮想通貨を振り込んで下さい」と書いているWebページが改ざんされて、悪意ある第三者の口座番号にすり替えられたらどうなるか。もう目も当てられませんね。信用は地に落ちますし、事業は瀕死状態になるでしょう。実際、そんな事件もありました。

ALISのWebサイトは改ざんされようがない作り

ALISのWebサイトには、サーバサイドプログラムもフレームワークもデーターベースも、なーーんにも置いていません。Google Chrome のプラグインで見ると分かります。

20170920_webapplyzer
(サーバサイドのフレームワークは使ってない)

S3にhtmlファイルを置いているだけですね。いわゆる静的Webサイトです。また、通常、問い合わせフォームのような動的要素は改ざんリスクをあげますが、それも mailchimp という外部サービスを使うことで回避してます。

Webサイトの脆弱性って「サーバサイドプログラムを意図しない形で作動させられること」ですから、そもそもプログラムもDBも何もないなら攻撃しようがないという訳ですね。

ALISのサイトを初めて見た時にやけに軽いなぁ…と思ったのです。

20170920_alisspeed
(Chrome拡張の SONARによる計測。LOAD TIME 1秒台前半は静的化サイトであることが多い)

これは明らかにCMSは動いていない静的サイトだなと。ウチはCMSサイトを静的化するサービスをやってるぐらいですから、Webページの反応速度を見れば動的か静的化ぐらいは何となく分かります。で、ちょっと調べてみたら Medium に ALIS 中の人がちゃんと書いてました。

危険なICOプロジェクトの見分け方(チーム運営編・前編)

動的なアプリケーションが動くということは、つまりクラックされた時にサイトを改ざんされる可能性があるということを意味する。私の意見としては、本当に必要でない限りは静的ページとすべきであり、サーバを運用すべきではない。

これはもう100%同意。CMSサーバをそのままネットに晒すから脆弱性が生まれる訳で。サイトを攻撃されたくないなら、CMSをそのままネットに晒すべきではなく、静的化するまたは静的サイトとして作り直すのが理想です。論理的に攻撃しようがないのですから。(http/https層では)

ページが1ページの single page で作り易かったということもあるのでしょうけど、WordPress + WAF とかで防御するとか、WordPress + WAF + 改ざんチェックという構成ではなく、そもそも改ざんされない構成にしたというのは ICO サイトとして出資者の事を考えれば当然の配慮だし素晴らしいなと、思ったわけです。

技術知見に伴うこういう小さい工夫。とても大事です。ALISは、国内初のICOだとか、事業のコンセプトが良いとか、そういうところが期待感と共に評価されているのを感じますが、ALISのオフィシャルサイトが完全な静的化サイトであるということはもっと評価されて良いと思います。

 

そして、今後のWebサイトは、不必要な攻撃リスクを抱えない為にも静的化を推し進めていくべきだし、そうなっていくだろうと思う次第です。FinTechとWebサイトの静的化ってパッと見、何の関連性も無さそうなんですが実は身近で紐付いたということで書いてみました。

あ、ちなみに、ALISのICOには1ETHだけ参加(出資)してます。関係者皆様には申し訳ないですが、コンテンツ系でのICOは正直中長期的に厳しいだろうなと見ていて大金は投じていません。ICOに参加するならこうあるべしという三大条件を個人的に持ってまして、それはまた改めて書いてみようと思います。


2017.08.20 (Sun)

スマホ見るなら読書しろと自分に言い聞かせてやってるスキマ読書

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(Thanks! the photo on flickr by Sebastien Wiertz CC BY 2.0)

先月の記録です。年目標100冊に対して31冊だった上期。さて、下期の滑り出しは…。

  • 2017年1月 : 9冊
  • 2017年2月 : 2冊
  • 2017年3月 : 7冊
  • 2017年4月 : 3冊 + 1冊(AudioBook)
  • 2017年5月 : 5冊 + 1冊(AudioBook)
  • 2017年6月 : 3冊
  • 2017年7月 : 4冊

4冊、今月も少ないw これで2017年の合計は35冊。100冊に届くのか?

目標冊数の根拠となった昨年の読書ペースが早すぎたのかも。移動が多くてスキマ読書量が多かったのかも知れない。まぁでも余り冊数には拘らずにいきましょう。義務になっちゃいけませんからね。

で、7月の4冊は…。

 

ビジネス・専門書

小説

 

という感じ。

スキマ読書で意識しているのが積ん読の解消だったりします。いわゆる昔買ったけど本棚の肥やしになってるだけ系の本を読むことですね。何気に昔買った本を敢えて読んだりします。今月印象に残ったのはその中の一冊 あなたはお金のしくみにこうして騙されている です。買ったのは6,7年前。

もう絶版になってますので入手不可。数年前にこの本を買っていた自分を褒めてやりたいです。銀行がお金を貸すことの本質、信用創造とは?を捉え直す助けになりました。もっと早く読んでおけば良かったと思います。

まぁ陰謀説っぽい記述もあって全部は賛同できないし、この本が書かれた2010年と今は違うので、中央銀行が経済もバブルも全てコントロールしてきたのだという著者は、今の金融政策手詰まり感をどう説明するんだろうと疑問を持ったりもするのですが。信用創造そのものが格差を生むという身も蓋もない話は分からないでもありません。何はともあれ学びの一冊でした。

 

いやはや、積ん読の消化は気持ちいいもんですね。本にも、今まで読めてなくてごめんよ〜とようやく言えたような。これからも積読解消しつつスキマ読書を続けてまいります。


2017.08.19 (Sat)

若干今更感がありますが、ちゃんと残しておきたいので掘り起こし的エントリ。スマホ見るなら読書しろと自分に言い聞かせるスキマ読書。

20170819_reading.jpg
(Thanks! the photo on flickr by Sebastien Wiertz CC BY 2.0)

6月までを並べるとこんな感じになりました。

  • 2017年1月 : 9冊
  • 2017年2月 : 2冊
  • 2017年3月 : 7冊
  • 2017年4月 : 3冊 + 1冊(AudioBook)
  • 2017年5月 : 5冊 + 1冊(AudioBook)
  • 2017年6月 : 3冊

今月もちょっと冊数が減りましたねぇ。ボリュームのある本を読むと致し方ないところはあるのですが、資格試験の勉強をしていた頃と同程度の冊数というのは自分的に納得がいっていません。

振り返ってみてアレ?こんだけだっけ?みたいだった2017年6月は以下の3冊

ビジネス・専門書

傾向として小説のほうが読み進むのが速い気がする…。

さて。

2017年6月印象に残ったのは、上下巻2冊のあなたの人生の科学。まだ小さいお子さんがいる親御さんに(特に上巻は)オススメできるかもですね。論文や実験結果等々を紹介しながら昨今の心理学・脳科学で分かってきたことを紹介するフィクションです。

環境の全く異なる家庭で生まれた男女(ハロルドとエリカ)のそれぞれの成長と、後に結ばれ夫婦となってから死に至るまで、実に80年に渡る2人の人生を物語り、良い人生を送るあるいは子に送らせるには何が良いのかアカデミックな知見を散りばめながら読み易くまとめてくれています。

無意識が大事とか、恋愛とか、魂の一体感とか、家族とか、仕事とか、教育とか、自己啓発系のテーマ全部入りという感も否めませんが、1冊1600円とかするポッと出の何とかコンサルが書いてるような中身の薄いノウハウ本とは一線を画してます。学者の名前・論文・実験データの紹介をしていて説得力がありますね。本のタイトル通りですが、人生のあらゆる局面を科学してみましたって感じ。

著者はTEDも話をしています。終盤、若干スピリチュアルに寄っていってますが…。

 

そんなこんなで2017年上期終了しました。この時点で31冊。年100冊ぐらいを年始は考えていましたがちょっと厳しさが漂ってきましたねぇ…。スキマ読書、続けてまいります。


2017.08.07 (Mon)

先日書いた「会社のサイトをEV証明書で常時SSL化しました」の続きです。このエントリの中で、こんなことを書いてました。

証明書の選択基準としてお話するのは、

  • お金節約したいなら無料のDV証明書(か、無料オプション付きのレンタルサーバ)
  • お金をかけれるならEV証明書
  • お金かけてのDV/OV証明書は費用対効果が低いのでオススメしない

こんな感じ。ウチは別に証明書の販売代理をしている訳ではないので、ポジショントークではないです。2017年のネット界隈を冷静に見て、良いものを安くのスタンスで考えたら必然的にこうなるのです。

これを実際の数値を並べて論証したいと思います。数値といっても結局は価格なのですが、価格の一覧に併せて価格妥当性についての所感も書いてみました。だいぶ長文になりましたが、前回のエントリとこのエントリをお読み頂ければ、お金をかけて証明書を取るならEV証明書以外の選択肢は有り得ないと感じて頂けると思います。

20170807_feedtailor-certificate.png
(当社サイトの証明書詳細。Extended Validation とあり、EV証明書であることが分かる)

証明書種別毎の価格表 (2017年8月6日現在)

証明書の価格表というと、有名な Server Kurabe さんとこの価格比較表ページがあります。が、今回は証明書種類ごとに列挙したかったのと、ブランドの数を多めに並べたかったので、ゼロベースで独自の価格調査を行いました。

価格をまとめたのが以下。

認証局が海外企業で日本法人があるブランドや、日本企業のブランドは価格を円表記にしました。当初調べたのは6月でしたが、本エントリを書くにあたって2017年8月6日時点で再度確認しています。

DV証明書
(ドメイン認証型)
OV証明書
(組織認証型)
EV証明書
手続き 超簡単 少し面倒 面倒
取得できる主体 個人 企業・組織 企業・組織
アドレスバーの表示
(Chrome v60)
証明書の
年間費用
(税別)
GeoTrust¥31,300¥55,000¥115,200
Symantec-¥81,000¥162,000
GlobalSign¥34,800¥59,800¥128,000
COMODO¥9,600¥25,800¥71,500
cybertrust-¥75,000¥150,000
SECOM-¥55,000¥135,000
Entrust-¥32,900¥59,000
DigiCert-$139$234
RapidSSL¥4,300--
CoreSSL¥990--
Let's Encrypt$0--

証明書の価格は本当にレンジが広すぎて、どれが良いのか悩ましいですよね。しかも証明書の種類で何が違うかもよく分からない。機能差なんてほぼ皆無で、アドレスバー表示が違うだけなのにです。多くの制作会社様が証明書選びに悩まれるのも納得です。

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(Thanks! the photo on flickr by Robert Sarkozi CC BY 2.0)

証明書価格の妥当性?

証明書の価格妥当性が議論されることは余りありません。上の表の通り、証明書発行元から直接買う場合でも既に価格レンジが広すぎるし、レンタルサーバ会社等の証明書販売代理店を経由して買うと劇的に安くなったりして、何が何やら訳が分かりません。

特にEV証明書の販売店経由の価格差は酷くて、例えば、

という感じ。なんなんでしょうね、この割引率。販売店通せば7割引って一体…。価格ってなんだ?と突っ込みたくなる意味不明さです。

言い方は悪いのですが、市場における標準的な価格が捉えにくいってことは、言い値商売である可能性が高いと言えなくもないです。機能差やその本質的価値が捉えにくいのですから尚更ですね。

証明書の発行は所詮プログラムで自動化されたデジタル処理に過ぎません。証明書の「仕様」は決まってますし、デジタル処理な訳ですから手間暇かからないシステムになってます。CSRの受付から発行済証明書を申込者にメールで返送するまでの処理はほぼ自動化されている筈。

認証局(CA)として認められ続けるコストもあるでしょうが、価格的裏付けとしては弱い。OV/EV証明書に関しては、書類作ったり、企業の存在を確認したり、電話かけたりと作業人件費も発生するでしょうが1,2年に1回ですから年間10万円とかの価格裏付けとしては弱い。それに、証明書事業を何年もやってるなら、発行システム構築費用の減価償却も多くの場合は終わっているでしょう。

などなど、冷静に考えるとEV証明書はもっと安くても良い。

そんな視点で探して目についたのが前述価格表の DigiCert でした。歴史ある認証局で、TwitterやGitHubなどもここの証明書を使っています。

20170807_twitter.png 20170807_github.png

DigiCert は他社と違って日本支社は存在せず、主に2社の販売代理店を通して日本の企業に証明書を提供しています。EV証明書の価格はこの通り。

DigiCert国内販売店EV証明書(1年)EV証明書(2年)
cybertrust¥54,600¥100,000
アールエムエス¥32,800¥59,800

どちらの会社も DigiCert の日本代理店であることを強調したWebサイトを持っていますので是非ご覧頂ければと。

20170807_rms.png
(古くからDigiCertの日本販売代理店をしているアールエムエス社)

20170807_cybertrust.png
(digicert取り扱いは後発cybertrust社。同社の別の証明書商品SecureServerとの違いが分からない)

信頼感と価格バランスが取れた証明書の最安値だなと判断し、ウチは前者のアールエムエスさん経由で DigiCert のEV証明書を取得したという訳です。その結果、当社オフィシャルサイトはこうなりました。

win_firefox_zoom

年額3万円で圧倒的安心感。十分に価値があると思うんですよね。

20170807_httpseverywhere.jpg
(Thanks! the photo on flickr by EFF Photos CC BY 2.0)

常時SSL化の証明書にお金をかけるならEV以外ありえない

まとめると、

DV証明書
(ドメイン認証型証明書)
OV証明書
(組織認証型証明書)
EV証明書
アドレスバー
証明書の年間費用 安価
(無償 〜 約3万円)
ほどほど
(約3万円 〜 約8万円)
実は安く取得可能
約3万円

こうなります。だから常時SSL化する為に証明書を取得する場合、

  • お金をかけるなら、アールエムエスさんで DigiCert のEV証明書を取得
  • お金をかけないなら、無料の Let’s Encrypt または zenlogicXSERVER 等の証明書無料オプション付きレンタルサーバ
  • 無料DV証明書に比べてDV/OV証明書の有料取得は費用対効果が低いのでオススメしない

が僕の今のところの見解です。これはまぁ、証明書販売をしている関係者の方からすると全く面白くない意見かも知れませんけども。でもこれが、2017年の証明書事情から導かれる論理的着地点です。

『証明書だけが価値じゃないでしょう?』

そんな意見もあります。確かにそうなのです。実際、特別な付加価値が提供される場合もありますからね。例えば、Webサイトにマルウェアが仕掛けられてないか定期チェックしてくれるサービスがついてくるとか、取得した証明書を管理できるWeb画面を提供してくれるとか、プレミアム感のあるサイトシールをサイトに貼ることができるとか、そういうの。

でもこれらは、常時SSL化には本質的に無関係です。マルウェアチェックは他の改ざん検知サービスを使えば良いし、証明書管理ならサーバ管理をやってくれるベンダーに任せれば良いのです。シールだってウチが契約した年相当3万円の DigiCert EV でも使えますから、何か超特別な付加価値って訳でもない。

20170807_feedtailor-evssl-seal.png
(アールエムエス社経由の DigiCert EV証明書でもシールはちゃんと使える)

厳密に言うと、古いガラケー向けサイトのSSL対応の可否とか、次世代暗号形式のECC対応の可否とか、難しい話も色々あるのですが、2017年のWebの現状と直近のWeb事情を見据えた時、不要またはオーバースペックと判断して差し支えありません。

今、常時SSL化を考えている方は、アドレスバーに会社名が表示されなくてもいいなら、有料の証明書は不要。つまりこの状態にするのに証明書を買う必要はありません。

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お金をかけられるなら、信頼感と価格のバランスがある最安値の DigiCert EV証明書をアールエムエスさんから購入するのがお勧めです。別に先方の関係者という訳ではありませんのであしからず。手続きもとっても簡単なのでオススメです。

win_firefox_zoom

共有サーバを使っていて無償の証明書オプションが無い…という方は、最安値のDV証明書狙いでしょうね。万単位のお金をかけてDV/OV証明書を取得する理由はありません。どうせお金をかけるなら繰り返しになりますが年3万円で DigiCert 社のEV証明書をオススメします。

 

さて、また長くなってしまいました。今回は、証明書の価格調査結果と、EV証明書のオススメ取得先について書いてみました。常時SSL化にあたって証明書取得に悩んでおられる方の何かヒントになれば幸いです。

あ、ちなみに。

ウチが提供しているCMSサイトの静的化サービス espar では、静的化ついでに証明書に関する煩わしいこと全てをお引き受けしていたりします。常時SSL化の設定が面倒くさいなぁとか、これを機にEV証明書にしてみようかぁ〜、なんて思われたら是非お問い合わせ下さい。