会社経営
2012.11.07 (Wed)

僕は自分の会社を、就労環境の悪しき先入観をどれだけ打ち破り覆す事が出来るかを示す実験場であると説明する事があります。もちろん仕事ですから命がけで「労働」というものについて試行錯誤しているという意味なのですが。その為、普通はなかなか無い制度が沢山あったりします。

経営者である僕は、組織(内部)論的観点では「優秀な人財と最高の環境こそが冨の生産を最大化する」という持論をもっています。それを自らの組織で実験している感じ。100%成功しているとは言えませんが、

  • 4年間でiOSアプリ開発を全て内製で80個以上リリースした実績(エンジニアは4人)
  • 完全独立系の会社にしては珍しい多数の大手企業様との直接取引
  • 100社以上の企業様で業務インフラとして使用されているSYNCNELの実績

等々は生産効率が決して低くない事の証左であるという自負を持っています。

もちろん、デザイン面ではいつもお馴染みのメタ・グラマーさんにお世話になっていたり、SYNCNELの販売においては販売代理店様の御協力もあったりするのですが、そのようなパートナー企業様とガッツリ合う歯車に足る馬力を開発という面で持っているつもりで、どこにも負けない自信があります。

それが実現出来てるのは、開発という実務的な面では git + redmine で全てをチケットドリブンにしているからこそでもあるのですが、実のところ開発体制や開発環境だけではなく、待遇や制度といった就労環境面を「働きやすさ」という観点で綿密に整備しているからってのもある…と思ってます。

Empty © 2012 Irene Mei, Flickr

ライフ・ワークバランスを保つ為の休暇制度や残業禁止原則は、どんな労働も家族があってこそと考えているから。家族の状態は顕著に仕事に現れます。恒常化した残業は家庭の崩壊の兆しを生み、場合によっては実際に崩壊し、そんな中での労働は絶対にパフォーマンスが上がる訳がありません。有事の時に休み難い環境は家族や親族の軋轢を生むかも知れません。

そんな事では、何の為の家族か分からないし、何の為の仕事か分からない。家族を養う為に、生きていく為に、仕事をしているのに、それが原因で家族がおかしくなって、その結果仕事のパフォーマンスが落ちる。歴然とした負のスパイラル。社会全体としては間違い無く不幸せです。

1時間の通勤時間をかけてたとしても19時台には家に着き家族と一緒に食事が出来る。子供が急に熱を出した!休みたいでも休めない…ではなくTwitterのDMで一報入れるだけで休んで看病が出来る。そういう環境でなくてどうして集中できるんでしょう。母艦がふらついてては戦闘機も戦場で本領発揮出来ないように、家族に不安が蔓延れば仕事のパフォーマンスは絶対に下がります。僕の実家(とまた更に親の実家)は本当に色んな黒歴史があって、色んな事が家族を崩壊させる事を知っているから、その一つの原因たる仕事の在り方も考えて考えて考えて制度化しています。

副業推奨は新しい働き方を模索する土台は持っておいて貰いたいから。一生の生活給を保証してくれる訳ではない名ばかりの終身雇用制度に安寧する行き方は既に時代遅れで、自らが稼ぐ力を持って複数の収益源を得るのが当たり前になるのはサルでも想像がつく…そんな時代の流れに僕らは身を置いているからです。公務員ですら安泰ではありません。橋下市長のような人物が納税者から一定の評価を得て公務員にナタを振り下ろす様は公的身分である事が何の安心の担保にもならないという証左です。だから、副業が出来る環境かどうかは先々の複数収入源の可能性の有無となり、それが有であるのなら家族も安心、僕はそう思って推奨しています。

Farm table © 2011 Thomas Quine, Flickr

随分と前置きが長くなったので今日のエントリはここまでで良いんじゃないかという話もありますが(笑)、続けます。

前述の通り「優秀な人財と最高の環境こそが冨の生産を最大化する」という持論に則った実験は高パフォーマンスを弾き出している事からして各種の制度をもって成功していると言えなくもないのですが、創業当初からずっと考えていて挑戦してみたいと思ってたのが今日のタイトル「給料は毎月UP出来るのか」という問いかけ。

これも今、実験していますが、最近、実は可能であるという事が分かってきました。

裁量労働制や成果報酬型といった労務用語は得てして労働力を搾取する口実に使われる事が多く、実際に自分もそういう環境に身を置いていた事があるからでもありますが、本当の成果報酬って一体なんやねんと考える訳ですよね、騙し騙され…ばかりだと。考えに考えた結果行き着いたのは、「人事評価という抽象的な評価が数値的な給料を定める」制度ではなく、「プロジェクト単位の数値的な指標が数値的な給与を定める」という制度でないと本当の成果報酬にはならないという事。

労使関係で数値化している例って余り聞かないんですが、要は「粗利の○%が給与に上乗せされる」という制度です。ウチはこれを採用してますが、最近面白い事が起こり始めてます。単発の受託案件は報酬も単発です。しかし、SYNCNELのような継続的なストック型ビジネスの場合、報酬もまた継続的なんですよね。例えばサービスで毎月100万の利益が出れば仮に1%なら1万円の報酬が持続するんです。御客様が解約されない限り。

そして弊社サービスの一つである SYNCNEL は一度導入して頂くとその利便性からずっと使って頂ける傾向にありますので、スマートデバイスにおけるファイル共有という市場が拡大する限りに置いては利益は積み上がるばかりなのです。だから掛け算した結果の報酬も積み上がるばかり。その結果、毎月、昇給するという現象が実際に起きています。もちろん毎月何万も昇給という事にはなってません(そこまでさすがに稼いでいません(笑))が、SYNCNELのユーザが増加傾向を顕著に示しているこの半年間、毎月昇給していると同義な状態なのは事実です。

その結果、何が起こるか。

開発のモチベーションは上がり、製品は更に進化して、もっともっと売れていき、会社の利益は積み上がり、担当者の給与もまたドンドン上がっていく….事になるでしょう。非常に良いスパイラル。まだまだ僕が期待する程までにそのスパイラルの上昇具合は至っていませんが、その傾向が見られていて、実験が決して失敗ではなかったと言える状況にまでなりつつあります。

お金は力です。

資本主義社会である以上、どんなに綺麗事を並べても「全てにおいて例外なくよりbetterな人生の選択肢をもたらす」という事実がある。これを論破出来る人は皆無でしょう。だから、僕はスタッフ然りパートナー会社様然り、関わって頂いた方々に金銭的プラスが継続してもたらされる事にもこだわりたいと思っています。(SYNCNELは販売代理店様にも継続的にマージンが入る仕掛けになっていて、一度販売して頂くと次々と追加ライセンスの申込が発生し易いようになっていたりもします)

真の成果報酬制度と収益を見込めるストック型ビジネスがあれば、毎月昇給する会社は作れます。

t e e t i m e © 2012 Rich Shallcross, Flickr

冨とは何か。

それは人それぞれだと思いますが、1000人にそれを問うてみても、その本質を突き詰めて言葉を抽象化して上位概念を辿っていけば、普遍的な家族(仲間)とお金に辿り着く。その両方がプラスのスパイラルで底支えされている時、人は冨を得ていると感じるに違いない。これが持論。そして、それをより高い次元で具現化し続ける事が出来るのか…..、まだまだ完成形には至っていませんし、思い通りに行かない事もあるし、腑に落ちず怒りに満ちる事もあるけど、そんな実験をフィードテイラーという会社で僕はやってます。

僕がスタッフと同じように会社の仕事と接する事が出来るようになった時、僕の作品の一つでもあるフィードテイラーという会社は節目を迎えます。それまでの間はしわ寄せが社長である僕に押し寄せて、結果ウチの奥さんにも押し寄せるという構図が続くのでしょう。完成形を迎えるのが先か、しわ寄せが限界に至るのが先か、ある意味、僕は持論の実証実験を家族より優先しているかに見えたりもする昨今ですが何が何でも完成形の到達を先に手にする気概でいます。

どエラく長いエントリになりましたが、日々そんな事を考えながら制度作りや経営をやってますという事で。そんな会社と僕ですが、今後とも宜しくお願い致します。


2012.11.06 (Tue)

気が付けば37歳。また一つ歳を重ねてしまいました。facebookで本当に沢山の方々に「お目出度う御座います!」ってコメントを頂きました。とっても嬉しいです。有り難う御座います。

この1年、僕は最高の36歳という1年を送れたかと振り返ると全力で首を縦に振れない自分がいます。一人の人間として、経営者という肩書きを持つ人間として、まだまだ足りないモノが沢山あって、そういう事を考える「思考の基盤」を得たと言えるような1年でした。

資本主義とお金が為す社会に於ける合理や論理とは、そして幸福とは。正義や力とは。仕事とは、労働とは、生き甲斐とは、人類とは、家族とは、人とは一体…、意識とは意志とは理念とは思想とは宗教とは。

とにかく「思う」ことと「考える」ことが多い1年だったように思います。そういった事を全力で考えて成功を収めている人から見聞きする事、それを目指して全力で行動している人、色んな価値観に触れる事が基盤を固めてくれたような気がします。本もかつてない程読んでるような気がしますね。

大量にINPUTして、沢山の体験もして、考えて考えて考えて考えて考えて…OUTPUTして。

資本主義社会に対するアンチテーゼに心地よさがあるのか評価主義社会という考え方が広がりつつあったり、経済的合理性から形成された企業体を「自由」という切り口でもって否とする考え方もあったりで、自分の身近2,3mだけの幸せを追求すりゃ良いじゃんという発想にも傾倒しそうになるけれど、僕はやっぱり自分の周辺が今の社会ルールにおける幸せを手に出来る環境作りもやりたいんだろうなぁなんてぼんやり考えながらも、身も心も時間も削って全てをぶつけているつもりが何だか消化不良を起こしているような感じも無い訳ではありません。労働と教育と死生観という根底の部分の関心事は余り変わらないのだけど。

自分の有り余る気概のぶつけ所から生まれる富の最大化

これが次の1年、自分に必要な事です。消化不良(つまりエネルギーのロス)なんて勿体ない。冨の生産効率の合理化っていうんでしょうかね。ただ単にお金が沢山あれば良いって事じゃない。きっと、たくさん思い、たくさん考えると思います、でも次の一年は思う事や考える事と同じぐらい行動する事に力を注ぎたいと思います。自分が直接・間接問わず生み出し得る色んな意味での冨を最大化する為に。

その為に「思考の基盤」の次として「行動の基盤」を自分の中に構築せねばと思ってます。掴みつつあるものはあったりするのですけど。

 

って iOS の i の字も出てこないエントリになってしまいましたが、とにかく思ったり考えたりする事が多い36歳でしたという事で。次の1年も全力で且つ愉しみながら過ごしたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。


2012.11.02 (Fri)

奥さんと一緒に暮らすようになってから毎日欠かさず言ってる言葉があります。それは「ありがとう」という言葉。同棲生活を含めるともう5年ぐらいになりますが、一日たりとも言わなかった事はありません。起業家が男性である場合、伴走してくれる女性の存在は非常に大きく、ある成功者をして「成功した起業家の影には必ず奥さんの存在がある」と言わしめる程です(きっと逆もまた然りでしょう)。ウチが成功しているかどうかはともかく、同棲して、結婚して、ずっと社長を続けてきて強く感じてる次第。

だから一日も欠かさず、ホントにそう思うので自然とありがとうという言葉が出ます。

奥さんの存在なくして経営者(?)7年目の今の僕は無かったと思うし、それはつまり個性的なエンジニアが集う変わった会社のフィードテイラーという法人も今まで存続出来ていなかった事を意味していて、それはつまり、国内でエンタープライズiOSについて知りたければこの会社に聞けば良い!って事にもなっていなかったし、日本気象協会さんとの共同事業「そら案内」も無かっただろうし、今や100数十社の企業様の資料共有インフラとなった「SYNCNEL」も存在しなかった筈なのです。ウチからのOUTPUT全てがエンジニアの存在なくして存在しなかったのと同じように。

 

そのへん全部ひっくるめて、ありがとうなのですが、言葉だけでなく形にする事も重要。それが年に数回の終日一緒に過ごす時間だったりします(1年の約360日は何かしら仕事をしていて、終日通して奥さんと過ごせる日数は1桁)。中でも旅に出て共に終日過ごす時間は、僕なりのありがとうを形にしたモノのつもりで、会社の制度として作っている「誕生日休暇」の制度を自ら率先して活用して、名古屋、浜松、宮島、東京、横浜、丹波、城崎、京都、飛騨高山、等など国内を色々巡ってきました。

分単位の緻密な計画ながらも毎回喜んで貰っているようなので、それならばと海外に目を向けたのが奥さんの誕生日に合わせた8月末のサイパン旅行。んで今回は、僕の誕生日(週明け火曜日)休暇を使って台湾に行ってきます。

(隣で奥さんが食べてる朝食)

…とこれを書きながら今、関空なうなのですが2泊3日の旅程を予定してます。台北市内のど真ん中で飲食や観光で時間を過ごすと同時に、隣国の空気感を肌で感じて来ようと思います。帰国は11月5日(月)の夕方。

年末も迫っていてドタバタしている時期ではあったりして、弊社エンジニアや御客様、ビジネスパートナーの皆様には少し連絡を取りにくい2,3日を作ってしまいますが御了承下さいませ。一応MiFiは調達済みで現地からマメにメールやfacebook等を確認するつもりですので何か有りましたら御連絡下さい。

それでは行ってまいりますっ。今回の旅も奥さんにありがとうだらけになりそうです。


2012.10.12 (Fri)

最近のエンタープライズiOS需要の広がりが半端ない事を受けて復活したいと思います。これまでのエントリはこちら。

最後のは厳密にシリーズタイトルを付けていなかったのですが、副題という事で。サーバが止まるぐらいにアクセスが集中したのでかなりビックリしましたが、それだけ市場では求められているという事なのだと思います。

さて、今回は VPP(Volume Pruchase Program) について。

言葉の意味通りなのですが、長らくiOSデバイスを導入した企業担当者が望んできたモノで、いわゆるiOSアプリでボリュームライセンス的な購入を実現する為の仕組みです。iPadを500台導入する企業が何かしら既存の有償アプリを500個分購入したい…ってな時に使います。(無償アプリでは使えない。「購入」じゃないので当然)

米国では早くから(2011年夏)使えた仕組みだったのですが、日本を含む追加8カ国(日本、オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国、ニュージーランド)で使えるようになったのがつい先日の話。iOS6リリースの直前の事です。エンタープライズ向けのスマートデバイス市場を根こそぎ狙っていこうとするApple包囲網の重要な1パーツと個人的には思っています。

ビジネス向けのAppStore一括購入

こちらに概要は書いていますのでザッとお読み頂くのが一番かと思います。

ザッと概説すると、必要なのはDUNSナンバーと専用のAppleID。既にiDEPを契約されているような会社様でしたら手続きはすぐ終わります。弊社ももちろん調査用に取得してますが24時間以内に終わりました。

尚、AppleIDには、既存の AppleID は使えませんのでご注意を。iDEPを契約してるからそれで良いんじゃ?というのも無しです。必ず新規にVPP専用で作成する必要があります。その理由は VPP の CustomB2B という仕掛けが密接に関係しているのですが、これはまた機会を改めて書いてみます。

こんな感じで専用のwebサイトを用意して貰えますので、購入したいアプリを検索して、数量を入力して、決済するだけ。お手軽ですね!!法人のクレジットカードが必要になります(P-CARDという仕組みも使えるそうですが、ややこしいので特別な理由が無い限りお勧めしません)。

1-click決済とまではいきませんが結構簡単に大量購入が出きてしまいますので、慎重に購入ボタンを押した方がいいでしょう(笑) 450円のアプリを1000個、間違って購入して「あわわわ…」なんて話は笑うに笑えませんので :-)

購入後は購入数だけの「コード」がURLとして発行されますので、従業員に配布するなり、イントラネット上に掲載して、スタッフの方めいめいにインストールして貰う….そんな感じです。

こんなふうに購入履歴も残りますし、大量の購入については「コード」の一覧を excel ファイルとしてダウンロード出来たりもする親切設計です。

以上!

なのですが、非常に重要な留意点を1つ。

VPPで購入したコードは各スタッフのAppleIDに紐付ける必要があります。つまりVPPで購入した「コード」を配布してiOSデバイス利用者自身が当該アプリをインストールする時に、iTunesでAppleIDによるログインが必要になる訳ですね。結局、利用者の数だけAppleIDが必要になるという…。

分かり易く言い換えるなら、1つずつしか決済できない「アプリを贈る」機能を、企業向けに任意個数を1決済処理で済むようにしましたよ〜的なノリと思って貰えれば良いかと。

ですので、このVPPの仕組みだけでは「これで従業員にAppleIDを全員分取らせなくて済むんじゃね?」という期待に応える運用は実現不可という事ですね。残念!AppStoreやiOSアプリを取り巻くアーキテクチャ上、仕方ないのですけど。

これを解決する方法として Apple Configurator というツールが使えるのですが、VPP + Apple Congigurator の組み合わせが巧く動作しないようで、検証するにも出来ない状態で world wide に皆さん困っている様子〜。と困り果てていた所に絶妙なタイミングでアップデートが来たのが数日前。ちょっと長くなり過ぎたので Apple Configurator については別途改めて書いてみたいと思います。


2012.10.08 (Mon)

以前のエントリで御紹介した事のある弊社の夕方mtg。定時前の17:30〜18:00の30分で各自がその日にやった事を発表し合うと同時に、「今日の新発見」という新しい知見の共有時間も設けているって話でした。

「7,8時間ぶっ通しで開発していたら何か成長しているでしょ」

って考えです。だから、その成長の糧たる新たな知見を皆で共有しようよ…って事で社員が2名になってから3年以上、僕が17:30に社内にいる日は一日も欠かす事無くやってます。

ってな話をさせて頂いた時にある方から「実際、どういう発表をするんですか?」と質問されましたので、今日はある一日の「今日の新発見」会の模様を簡単に御紹介したいと思います。手元のノートから2012年10月1日の記録を引っ張って来ました。一週間前なので最近の例です。

 

@itok_twit の新発見

弊社のFastBoardという懐かしい(?)アプリのiOS6対応で発見した情報。iOS5以前ではアプリ連携(OpenIn)時にpopupに出てくるアプリ郡は直近で使用したアプリ10件と決まっていたが、どうやらiOS6以降では制限が無くなった模様。

【皆の反応】 おぉぉぉ。イイっすねぇぇ

 

@kumatch の新発見

HTML5には面白いタグが沢山あるという話。本筋から外れた「余談」部分に意味付けを与える