遂にリリースされたiOS6。

iPhone5よりも、Passbookよりも、地図よりも、Siriの強化よりも、最近のAppleからの発表全てを凌ぐ超ビッグニュースだと個人的に思ってるのですが、Single App Modeが遂に登場です!!

キタ━(゚∀゚)━!

と言わずにいられるでしょうか。特にエンタープライズの世界ではiPad登場当初からずっとずっと求められていた機能。以前のブログで「推測」という事で書いていた、

Guided Accessと呼ばれるアクセシビリティの機能拡張で、どのような使用感で扱えるのかは不明ですが、もし文言通り/想像通りの挙動をするのであれば、エンタープライズなiOSの魅力は一段と輝きを増すに違いありません。なんと、

  • HOMEボタンを無効にできる!!
  • タッチパネルが反応しない領域を設定出来る!!

というのです。

ってな機能がそのまんま、いぁ、それ以上に!超超理想的な形で実現致しました!

Appleのサイト的には Guided Access 機能搭載という表現になっていますが、もうこれは分かり易く Single App Mode と呼ぶ事にしましょう。文字通りですね。単一アプリモード。つまり、iPad や iPhone を、特定のアプリしか動かない端末に出来るという事です。かなり凄い事ですね。

って訳で Single App Mode について詳細を書かせて頂きたいと思います。

 

最初に結論。iPadを以下のようにする事ができます。

  • 任意の単一アプリからアプリを終了出来ないモードに突入可能(Single App Mode)
  • HOMEボタンは完全無効化できる
  • スリープも完全無効化できる
  • スリープボタン長押しの電源オフも無効化できる
  • Single App Mode の解除にはパスワードロックをかけられる
    しかも悪意あるパスワード入力には再度の入力防止機能付き
  • HOMEボタン+スリープボタン長押しによる強制リセットは有効なまま
    だが、最起動直後は当該の単一アプリが自動的に立ち上がる。HOME画面は表示されない

どうですか。これ。AppleがiOS6でとんでも無い仕組みを作ってきたという事にお気づき頂けるでしょうか。iOSデバイスを専用端末化し、しかも端末に対する「イタズラ」を全て阻止出来るというのです。

例えば、病院の待合室を想像してみて下さい。病気に関する情報や病院情報が閲覧できる専用アプリを Single App Mode で立ち上げた状態で放置しているとします。HOMEボタンを押されて他のアプリを触られる心配はありません。電源を切られる事はありません。万が一強制リセットされたとしても再起動するだけで当該の専用アプリが立ち上がるだけです。HOME画面は一切表示されません。そして、このモードはパスワードを知っているヒトしか解除する事が出来ません。万が一盗難された時に備えて「iPhoneを探す」機能で監視しておきましょう。

如何でしょう?

エンタープライズな世界でのiOSデバイス活用の幅が飛躍的に広がりそうだという事を感じて頂けるかと思います。他にもサイネージ端末としても使用出来そうですね。またiPhoneやiPod touchで活用すれば、専用のQRコードリーダの出来上がりですね。そう、「アプリ」の存在を全く意識させる事無く、iOSデバイスを完全に業務専用端末化出来るようになるのです。

iOS6デバイスをお持ちであればどなたでも気軽に Single App Mode を試せますので以下に手順をご紹介致します。宜しければ是非お試し下さい。解除も簡単ですので。

 

まず、「設定」アプリで「一般」→「アクセシビリティ」→「アクセスガイド」と選択していきます。

ここでアクセスガイドの項目をオンにします。

これで Single App Mode の準備が整いました。…が、Single App Mode を第三者に解除されたくない場合はパスワードの設定もしておきましょう。

以上で準備完了。いよいよ Single App Mode に突入しましょう。まずは「このiPadではこのアプリしか起動させたくないんだ!!」というアプリをHOME画面から起動してみて下さい。ここでは弊社のPDFビュワーの Book+ を選んでみました。

そして、HOMEボタンをトリプルクリックしてみます。すると….

見慣れない画面が!!ポイントは左下、HOMEボタンのアイコンの隣に「常にオフ」と書いてある箇所ですね。このまま画面右上「開始」ボタンをタップすると Single App Mode のスタートです。

touchパネルは普段と同じように操作出来る訳ですが(これも完全無効化できるオプションもある)、HOMEボタンやスリープボタン等の物理的な制御がききません。スリープボタンを5秒押して電源を落とそうとしても反応なしです。とにもかくにも、HOMEボタンとスリープボタンを触ると

こんな表示で怒られてしまいます。ならば!という事で、HOMEボタンをトリプルタップすると、パスワード入力が求められます。

第三者には容易には解除出来ないようになっています。悪質なヒトが適当なパスワードを入力すると

こんな風に怒られます。ナニクソ!と再度入力を試みると

更にこんな感じで怒られます。再度挑戦できるまでの時間が段々伸びていきますので解除のやる気はどんどん削がれていくという仕組みですね。本当に理想的な環境です。

概ね Single App Mode の便利さを御理解頂けたと思いますが、極めつけは Single App Mode 時の「強制シャットダウン後の振る舞い」です。自分は始めてこの挙動を確認した時、余りの理想形に衝撃を受けました。以下の動画をご覧下さい。せっかくですので、Single App Mode にする所から撮影してみました。最後の最後に強制シャットダウン&再起動の様子をご覧頂けます。(再起動の時間が長いですがご了承下さい)

如何でしょうか?見事な制限っぷりですよね。強制電源落とし後の再起動後にも自動的に直前のアプリが起動し、HOME画面に戻ってくる事はありません。何をどうやっても Single App Mode に指定されたアプリから抜け出せない様子をご覧頂けるかと思います。これまでのiPadでは考えられなかった振る舞いですね。iOSデバイスが真の意味で「専用端末化できる」ことで色んな妄想が頭の中を駆け巡ります :-)

iOS6によってこの理想環境が「誰でも」手に出来ます。ですのでエンタープライズに限った話ではなく、例えば小さなお子さんにiPadを触らせて上げようというシーンで、特定のアプリを立ち上げて渡してあげて他の箇所を触られる心配をする事無く遊ばせてあげられるという、親御さんにとってのメリットにもなります。教育現場でも活用出来そうですよね。

…が、やはり一番求められていたのはエンタープライズの世界なので、iOS6は相当にインパクトのあるアップデートとして業界では捉えられると思っています。活用の幅・提案の幅が明らかに拡がりますから。

何かしらの筐体に電源確保しつつ埋め込めば、いわゆる「組み込み」環境としても使えますし。カメラ内蔵、WiFi内蔵、GPS内蔵、タッチパネル内蔵、マイク内蔵、ジャイロセンサー内蔵、高速なCPU/GPU、そしてiOS6。ここまで揃ってiPad WiFi モデルで基本ハードに4万円ちょいしかかかりません。iPod touch でも良いですね。3Gモデルなら月額費用はかかるものの、ここまでの装備、ここまでのOS、ここまでの開発環境が揃って通信環境も込みという超絶凄い「組み込み」環境が手に入ります。普通に考えて凄い事なのです。

 

という事で、長々とご紹介してきましたが、iOS6でAppleはこれまでのメジャーアップデートをはるかに凌ぐエンタープライズ世界への踏み込みをしてきました。ただでさえ拍車のかかっているiOSデバイスのエンタープライズ活用が、この Single App Mode により更に加速するに違いありません。個人的には iOS6 はこの Single App Mode に最大の価値があると思ってます。

iOSデバイスの専用端末化に興味がお有りの企業様、あるいは企業内における専用アプリ開発に興味のお有りのご担当者様がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。多数の経験でどんな御質問・ご相談にも的確に御回答させて頂きます。