2011.08.14 (Sun)

2010年、電子書籍元年と言われました。1年経て注目のフォーマットEPUBの議論もだいぶと目にするようになってきました。しかし、依然としてまとまらないような気がしてなりません。

見えてくるのはフォーマットやリーダの乱立した混戦模様。国内の群雄割拠ぶりはこちらの電子書籍情報まとめノートさんのエントリに詳しいですが、多分このまままとまらないであろうこと、そしてまた5年後か10年後かに「今年こそは電子書籍元年だ」って同じように言ってるんだろうなぁという将来が容易に想像できます。シグマブックWordsGearリブリエのように歴史はやっぱり繰り返すのです。

'book' photo (c) 2011, Nestor Galina - license: http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/

最近は特にEPUBの議論を目にしたりするのですが、どうしても違和感を感じてなりません。EPUBでなきゃいけない理由が無いんじゃないかというのが僕の主張。

例えば、EPUBを始めとする電子書籍のメリットとしてリフローである(文字の大きさや画面の大きさに合わせて表示が柔軟に変え得ることの意味)ことが必ず出てきますが、その一方で、ページの考え方をどうするか懸念していたり、CSSはリーダによって解釈に違いがあり過ぎるから意図した見た目にするのが大変だねどうしよう、って議論があったりします。

他にも EPUB3 の前に散々議論されてましたが、ルビとか縦書きって話も同様ですね。禁則とか圏点とかもそうですかね。やっぱり見た目は大事なんですよ。「如何に紙への印刷と同じものが再現できるかが重要」なんてコメントも耳にしたりしますしね。そりゃそうです、見せる(魅せる)為の編集だし出版なのですから。だからどこまでいっても意図した通りに見せたい思いは必ずあって、結局WYSIWYGなのだと思うのです。

他にも例えばこういう記事もあります。

見開き表示に対応したEPUB形式の電子書籍を日本で初めて制作し提供を開始 - Apple独自の拡張仕様を活用し『JAZZ JAPAN』で紙の雑誌レイアウトを再現 -

固定レイアウトなEPUBなんて言葉が出てくると、もう何の為のEPUBか分からなくなってしまいます。リフローが良くて始めたEPUBなのに、レイアウトが重要だから固定してみました的な。じゃぁ、

何でPDFじゃダメなんでしょうか。

EPUBを論ずるときにレイアウトが検討事項として存在し、そのどこかに WYSIWYG 的考えが少しでもあるなら、誰がどう考えてもPDFに軍配があがります。Adobeに言わせれば ISO にまでなってるPDFを舐めるなっ!てモンじゃないでしょうかね、ホント。(まぁそんなAdobeもInDesignで早くからEPUB出力できる事をPRしていたりするのでよく分からないですが)

PDFには「全ての環境においてほぼ同様の状態で文章や画像を閲覧できるようにする」というミッションのもと1993年から地道に積み上げられてきた歴史があります。なので、書籍や雑誌というメタファーが大事で且つ見た目という要素が検討項目に入っている時点で、PDFからの脱却は考えない方が良いと思うんですよね。あるいは、コミック系の自炊でよく使われている jpeg 画像をzipで固めただけの ZIP BOOK 形式ぐらいに割り切ってしまうぐらいの勢いとか。だって、見た目が重要なんですから。

一方PDFではダメという根拠に、段組のコンテンツがiPhone等のスマートフォンでは読み難いという主張もあったりしますが、果たしてそうでしょうか。

こういう技術(工夫)も含めて読み易くする為の仕掛けはある訳です。段組→小さい→読みにくいはちょっと短絡的な発想じゃないかなと思います。アプリケーション層での見せ方の工夫をせずに、コンテンツの作り方まで手を入れようとするのは果たして合理的な選択なのか。

もしiPhoneで読み難い事を解消する為にフォントサイズ変更が自由なリフローという選択肢を取るのなら、レイアウトは犠牲にすべきなのは皆さん薄々気付いている筈なんですよね。だって、EPUBのコア技術はhtml+cssであり、webの世界でレイアウトが紙のような再現度を持ってない事は自明な訳ですから。

webにはwebで意図通りの見た目を実現するテクニックが様々醸成されて来た歴史もありますから、それを使う手もあるとは思います。html+cssなwebをマルっとzip化したweb魚拓+アルファな考え方ですね。スマートフォンやタブレット型端末に特化するならWebKitに最適化する事で概ねカバー出来るのでやり易い筈です。ちなみにAppleは MacOSX Safariの .webarchive という保存形式でそれを実現していて、iOS上ではUIWebViewに webarchive を食わせるとそのままWebスナップショット的に表示してくれたりもします。

まぁ色々書いていますが何が言いたいかというと、PDF なり jpeg なり webarchive なり、レイアウトや見た目を保持する技術は既に確立されているのに、何でわざわざ新しいフォーマットに飛び込んでレイアウトの議論に苦心されてるのだろう?ってこと。ここが凄く違和感なんですよね。

 

もちろん、リフロー以外にEPUBのメリット(とされるモノ)は沢山あります。でも、EPUBでなきゃほんとにダメかって感じで、決定打が無くやっぱり違和感があるのは否めません。

索引や栞や目次 PDFでも存在する
作者等のメタデータ PDFでも存在する
リッチ化 PDFで既に実現している(画像はもちろんのこと、movieやsoundが埋め込めたり js が埋め込めるのはよく知られた事実。jsはPDF1.3以降、リッチコンテンツはPDF1.5以降)
著作権保護(DRM) そもそもコンテンツのフォーマットに内包されるべきではない。実装に依存させた別の技術とするべきだし、EPUBでは実際出版社もそれぞれ独自に行うつもりとされている
閲覧権制御(こちらもDRM) AdobeがLiveCycleで実現している(ただLCを使うとオフライン読書体験は犠牲になる…のと極めて高価)
パッケージング PDFはそもそもコンテンツを1つのファイルとしてパッケージングするコンテナフォーマットである

こんな風に。ほとんどはPDFで実現されているんです。何でそれをイチから作りなおそうとするのか?それが幾ら考えても分かりません。加えてPDFには、改竄されていない事を証明したり有効性証明をする為の ISO30000-2 ISO32000-2 として採用手続き中のタイムスタンプという機能もあります。EPUBではそこまでの考慮は無い。

確かにEPUBでしか規定できない情報もあるでしょう。でも、それの為にコンテンツの作り方まで根こそぎ変えようっていうのはどうかと思うのです。僕はPDF最強だと考えてまして、そんなにややこしい議論するならもう媒体はPDFで良いじゃんっていつも感じてしまいます。ページという存在、書籍や雑誌というパッケージングの存在がそれほど重要なら多分、PDF+アルファで良い。その上でもし電子書籍を論ずるのであれば、その論点は、電子化の新しい手法や仕様ではなく、

  1. PDFを如何にリッチにするか
  2. PDFを如何に読みやすくするか
  3. PDFを如何に管理し易くするか
  4. PDFを使って如何に新たな読書体験へと読者を誘(いざな)うか

という事にしたらどうかと思うのですよね。(既に1.はPDFの仕様が結構内包してますが)

 

開発者が一番嫌う事に車輪の再発明というモノがあります。既にプログラムがあるのに同じモノを作るだけの自己満足を揶揄する表現です。無論、自己学習の為に敢えて同じものを作る事はあったりしますが、あくまで勉強用途に限られています。何だか…EPUBの議論って開発の世界で言うところの車輪の再発明をしようとしている風に見えて仕方が無いのです。

電子書籍フォーマット「EPUB 3」ってぶっちゃけどうよ?

この記事を「で、PDFではダメなの?」という視点で読んで頂くと興味深いのですが、やっぱりEPUBでなければならない理由って出てこないんですよね。

それでも、この記事が言うようにフォーマットの是非は関係なくEPUBという新しいフォーマットの誕生が電子書籍業界に活気を与えるという理由等でやっぱりEPUBだという事であれば、やはり紙とページの概念は捨てるべきだと僕は思ってます。OPS(EPUB3では EPUB Content Documents 3.0となる)で文書構造が明示的に書かれる事になるのに、何で読み手の読書体験を分断する「ページ」という余計な区切りを取り込む必要があるんでしょう。元は html+css なのだから、web 的な読ませ方を想定するべきじゃないでしょうか。やはり「ページ」が必要なら繰り返しになりますがPDFで良いんです。ウィンドウの縦解像度に依存して無理やりpagingされるウェブサイト(html+css)って読み易いでしょうか?

'Dictionary' photo (c) 2009, Greeblie - license: http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/

読書が好きなので電子書籍は凄く興味あるテーマですが、どこか「書籍の電子化」ばかりを議論しているようで、電子化する事によるメリット(上述の件)の議論が置き去りになっている気がして残念でなりません。誤解を恐れずに書かせて頂くと、昨今の議論は電子書籍化ではなく単なる書籍電子化の再論に過ぎないのではないかと思います。フォーマットって別に読み手には関係無いんですよね。

上述の電子書籍の論点については自分なりのアイディアも一応持っていたりするのですが、今回のエントリがちょっと長過ぎたのでそれはまた別の機会に書いてみたいと思います。


2011.08.13 (Sat)

ラジオ日経さんで放送されているFXスクウェアという外国為替取引に興味のある方に向けた番組があります。ラジオ日経さんは短波を使った放送事業をされている訳ですが、主要な番組についてはポッドキャスト化されていて、iTunes経由で定期的に番組音声を取得・視聴出来るように随分前からなっています。

そのポッドキャストを視聴する専用のアプリケーション FX SQUARE が2011年8月12日にリリースされました(プレスはこちら)。これでもうiTunesにRSS登録して都度更新してiPhoneやiPod touchと同期して…という煩わしい作業は不要になります。AppStoreから一度アプリをダウンロードしておけば、アプリの中で番組をダウンロード・視聴していけるというわけです。

今回大変有難い事に、このアプリケーションの開発に関わらせて頂くことが出来ました。企画からリリースまで(震災を挟むなど)諸般の理由があり少し時間がかかってしまったのですが、満を持してのリリースです。

ポッドキャストを聴けるだけではなく、Twitterを使ったオフィシャルハッシュタグ(#fxs)のストリームが見れたり、関連するつぶやきが出来たり、その他口座申込みも直接出来たり…という至れり尽くせりな感じになってます。

無償のiPhone専用アプリとなってますので、FXスクウェアを短波やポッドキャストでお聞きになられている方や、聞いてはいないけど外国為替取引に興味のあるという方も是非お試し下さい。外国為替取引という切り口ではあれど、経済を起点に語られるという意味ではビジネスマンにとっても有用だと思います。

 

ブランディング目的で開発される専用無償アプリは、iOSアプリ界では一つの大きなジャンルになってますね。

ちなみに弊社は元々RSSに特化した開発をやっていた歴史もありますので、このあたりのポッドキャスティング絡みは技術的に得意です。ニュース系もそうですね。ポッドキャストやニュース系で何かアプリ開発をお考えの方は宜しければご連絡下さい :-)

 


2011.08.12 (Fri)

ブログ自社サイトを設置させて貰っていたレンタルサーバが余りに重くなってしまったので、思い切って引越ししました。行き先はさくらインターネットさんのVPS。これまでの経験から安心して利用できると判断しました。コストパフォーマンスも凄く良いですしね。

ブログはもちろんWordPressのままなのですが、これを機に最新バージョンに update して、テーマも変えました。シンプル且つ無彩色系という選択で、余り主張しない感じにしたつもり。目に優しい見た目ながら主張する事は主張する、そんなブログにしていきたいと思います(どんなや)

今や定番となった Facebook のいいね!ボタンや Twitter 連携する機能も搭載して、更にはてブとも連携していますので宜しければお使い下さいませ。WP Social Bookmarking Liteというプラグインを使わせて頂いています。素晴らしい作品を公開されている作者様に感謝。

多くの会社様が夏季休業中でメールもほとんど来ないのを良い事に珍しくブログをガツガツ書いてる今日この頃ですが、サイト更新を機に更にがっつりエントリしていきたいと思います。サーバも体感速度が上がったのでエントリもし易くなりましたし。

新作アプリの事とか、会社の事とか、色々書きたい事が沢山あるんです。最近。


2011.08.11 (Thu)

たまにはプライベートな事も。

仕事と奥さんの事しか頭に無いんじゃないかと言われる事がしばしば。…なのですが、こう見えても普通の人らしい事もやってます。例えばTVを見るってこと。

'365:32 - Television' photo (c) 2009, Sarah - license: http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/

ドラマとかバラエティは見ないのですが、いつの頃からかビジネス系の番組や起業家・経営者が出演する番組は見るようになりました。以下、HDDレコーダに録画して見ている番組たち。

 

サイエンス・ゼロだけは一覧の中では少し異色かも。もともと高校生の頃に雑誌のNewtonを読んでいたぐらいなので科学系は好きでして、宇宙の話とか細胞学とか楽しんで見てます。自分の知らない科学の世界に触れる入り口としては良い感じ。以前には細胞面白いっとなって、こんな本に手を出してみたりとか。

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)
田沼 靖一
4344981812

アポトーシスとかネクローシスとか。知の広がりのきっかけをテレビで貰ってる感はありますかね。

 

経営者や起業家が出てくる番組も好き。どこかしら同じ境遇が(過去に)あったりするもので学ぶ事も多い為です。どんな社長も最初は1人や2人で始めてた筈で、かつてどうであったのか…が知れるのは(TVなので脚色されているとは言え)参考になる事もあって見ています。番組がきっかけになって会社の事を調べたり創業者の著書を読んでみたりとか。これまた知の広がりのきっかけになってる感じ。

あとはお約束ながら日々のニュースをWBSで。ビジネスマンの多くの方と一緒かも。ウチは毎朝朝食を食べながら奥さんと一緒に見ています。水曜日の「スミスの本棚」って企画がお気に入りで、ここで紹介される本を購入するきっかけになる事もままあります。

…って、結局は自分の好きな読書への動線にしか過ぎないのかも知れないですね。本を読む事が好きなので、新たな本への興味を喚起されるってのが良いんでしょうね、きっと。

 

ちなみに僕のお気に入りの番組視聴スタイルは、全て必ず倍速で見ること。

60分番組は30分で。30分番組は15分で。単位時間あたりの情報密度を上げるべく倍速で見るようになってからは、等倍速で見たりとかリアルタイムで見るって事はまずありません。リアルタイムに見れないからではなく合理性の追求の為の録画視聴って感じでしょうか。2倍速程度であれば得る情報量ってそんなに変わらないので結構オススメです。

今、TVについて思うのは、3〜4倍速ぐらいのスピードで再生できる(手間のかからない)視聴環境が欲しいこと。3倍速ならWBSも20分で終わりますからね。…まぁ、付き合わされている奥さんは、たまったもんじゃ無いかも知れませんが(笑)


2011.08.10 (Wed)

僕は余り英語が得意ではありません。元開発者なので技術文書をはじめとしてある程度の「読み」は余り問題ないのですが、逆に「書く」方は残念過ぎるぐらいに苦手です。

'Dictionary' photo (c) 2009, Greeblie - license: http://creativecommons.org/licenses/by/2.0/

でも iOS アプリ開発をやってるとアプリ内に出てくる文言や AppStore での紹介文、ヘルプなど、英語で「書く」ことは必ず必要になってきます。これなくして World Wide に販売するぞ!なんて言えない訳です。

これまでは翻訳のプロに直接お願いしてたり、コスト削減の為にGoogle翻訳等を駆使したリとやってきたのですが、スピード感だったり、品質だったり、価格だったり、どこかで満足し切れない自分がいました。賃貸で、立地と間取りと家賃のいずれも満足な物件を見つけられないのと同じですよね。全部満足なモンってそうそう無い。

ところが!!!

来ましたよ、来ましたよ。これね、マジやばい。自分的に本命と思えるサービスを知ってしまったのです。「世界中で信頼される、本当に使える翻訳を低価格で手軽に依頼できるサービス」と銘打って提供されている、

です!!

今弊社では、新作のアプリを開発中でそろそろ英語周りを揃えて行かないとなと思ってた所で弊社 @itok_twit (おなじみPictShareの作者です) から教えて貰ったもの。まぁこれが凄いのなんのって。早さ、品質、価格の3軸が全て満足できるサービスだったのです。余りに気に入っちゃって(というか時間が限られていたという実際問題もあり)、ここ1,2日の間に3回も利用させて貰いました。

 

ちょっと凄さを知って貰いたいので紹介してみたいと思います。もう最初に書いちゃいますが、時間を節約したい方で official な英語を手軽にGETしたいなら mygengo 使いましょう。いきなり Final Answer です。

そんな mygengo は、オンラインで全てが完結する翻訳サービス。もちろん有償なんですが非常に合理的に設計されていて分かり易い&使い易い。1文字幾らという計算でコースが3つ。明朗会計ビジネスのお手本ですね。

コースを選んで翻訳して欲しいテキストを入力すると、キータイプする毎に値段が出て(文字が増える毎にちゃんと料金が増えていくのも面白い)、

最終確認後は mygengo から翻訳完了の通知メールが来るのを待つだけです。シンプルですね。

僕は最初、新作 iOS アプリ内に予め入れておくヘルプPDFの日英翻訳をお願いしました。文字数にして386文字。簡単なヘルプだけですのでね、そんなに多くありません。Pro コースで依頼して、2000円弱。高いか安いかは人それぞれですが、自分で翻訳する手間、対面でプロにお願いするやりとりの手間を考えれば、凄く安いと思いました。時間、重要ですから。

で。

驚きなのは早さです。お願いしたのが朝の10時5分。まぁ1,2日待ってれば良いかなぁって思って、他の雑用してメールを見たみたらビックリ。

もう、終わってるやん!!

時間は10時19分。15分ですよ、15分。まぁ、確かに文字数からしても実時間を計測すれば確認作業も含めてそれぐらいなのでしょう。でもですよ、僕がこれまで翻訳依頼時にやっていたメールのやりとりとか、調整とか、そういうの一切無しな訳です。かかってるのは実時間のみ。しかも処理開始までの待ち時間ゼロ。

文字通り瞬殺ですね。何かボール投げてみたらフルスイングでいきなり打ち返されたみたいな。んで、「翻訳が正しいかどうか確認して承認して下さいねー」とメールが来る。

システムも良く出来ていて、翻訳依頼1件ごとに「案件」として専用のページが出来るんです。そこでやりとりをします。出てきた翻訳文は「承認」するまでは画像で表示されていて、「承認」するとコピペ可能なテキストとして表示されるようになる。巧いこと出来ていますね。

修正依頼もその場でやり取り出来るようになってます。翻訳タスクに関する情報全てが専用ページに「案件」として集約されているので、分かり易いんですよ。これが従来のやり方だとメールや電話ベースになるから、記録は残らないし、整理はしにくいし他の情報と混在してしまう訳ですが、さしずめ Trac や Redmine のチケットに似たこの仕組みは、記録が残る安心感と自ら整理しなくても整理されている心地良さがあります。

「あの翻訳どうだっけ?」って mygengo のサイトを見れば、何文字で何円で原文が何で訳文が何で翻訳者とどんなやり取りをしたかが全部残ってる。しかもRSS配信までしてくれてるという。超便利ですね。

 

こりゃ良いわーという事で、次にほぼ倍の量を試しに Ultra コースで依頼。15時47分に申込。どのへんがウルトラなんだろう?と待っていたら17時35分にレス到着。

コメント:こんばんは、よろしくお願いいたします。
翻訳された英文をより自然なものに仕上げるため、
「xxxxxxxxxxxx[開発/デザインされた]」
「xxxxxxxxxxxx[システム]」
と、[ ] かっこ内のような単語を入れても差し支えないか確認がしたくコメントで質問をさせていただきました。
原文に忠実な訳にすることもできますので、そちらをご希望の場合はその旨方針をお伝えいただけたら幸いです。

と、品質向上の為の確認ですよ。実にUltra!!超ウルトラっ!!

もう、入れてください、入れちゃって下さい。という事で即時回答。翌日2:04に翻訳完了のお知らせ。Ultra は時間もじっくりかけているらしく、mygengo側内部翻訳レビュー有りの2人体制で品質は安心です。じっくりしっかり作りたい英文にどうぞ的な。

普段は Pro コースで良いかもですね。お客様の購買に繋がるタッチポイントや、ほんとにオフィシャルな場面では Ultra が良いかもです。一番安い Standard は…使っていないので正直分かりません。また試してみたいと思います。

 

という訳で、翻訳サービス mygengo をザザザっと紹介してみました。品質・スピード・価格が満足できる事は前述した通りですが、更に凄いのは mygengo のおかげで僕自身の感覚として、翻訳依頼に対するハードルがビックリするぐらいに低くなった事です。

ゼロと言っても良いです。これが本当に大きい。今まで手間であるゆえに出来なかった事が、ある部分ではもう躊躇する必要が無くなる訳ですから。冒頭で「やばい」と書いたのはコレが最大の理由。人があるアクションに感じてた敷居を下げるって凄い事だと思うし社会的意義も大きい筈なんです。だから mygengo やべーと。社長さんとお近づきになりたいですわ、ホント。

まぁ、英語が不可欠な世の中になるのは既定路線ですから、そりゃ自分で全部書けるに越した事は無いですけどね。でも、そこに至るまでの時間節約と機会増大という意味で mygengo は「アリ」なサービスだと思いました。超オススメです。


2011.08.09 (Tue)

中小企業を支援する中小機構さんが毎年開催している中小企業総合展に出展させて頂く事になりました。開催日は 11月9日〜11日 の三日間。

なんと、初の東京出展です!!

普段から余りこの手のイベントで exhibitor として出る事は無いのですが、今は以前にも増して明確に「売りだしていきたい自社商品」があるものですから、ここはヒトつ。という事で、普段からお世話になっている中小機構の近畿支部の方にご紹介頂いて即出展を決めた次第です。

出展内容は今のところ以下の2つを予定しています。

  • 企業向けドキュメント共有ソリューション SYNCNEL
  • 現在開発中の新作iOSアプリ (11月にはさすがに公開しているので)

 

液晶TVを持っていって動画を流したり、AirPlay Mirroring でアプリのデモをしたりしてみようかと画策中です。中小機構さんのブースにも出展(?)させて頂くかも知れないので人足りるかな的な懸念はありますが何とかなるでしょう。

弊社ブースは 3m x 3m という非常に小さいブースですが、もし宜しければ遊びに来て下さいませ。中小企業総合展というぐらいですから、我々のようなITに限らず製造業やサービス業などなど色んなプロダクトが見れて面白いと思います。


2011.08.08 (Mon)

自炊といえば ScanSnap、スキャナと言えば ScanSnap。

そんなScanSnapを開発されているPFUさんが、ScanSnapを活用できる商品を紹介する専門サイト ScanSnap Select を8月1日からオープンされています(プレスリリースはこちら)。

掲載されている物は種々様々で、EvernoteやSugarSyncといったサービスや、自炊に使う裁断機、自炊ガイドブック的な書籍などなど。

そんな中に弊社のファイル転送支援iOSアプリ FastBoard をエントリして頂きました。PFUさん、有難う御座います m(__)m

FastBoard は、Mac 専用クライアント FastBoard for Mac を使って、Mac と iPad を WiFi で繋ぎ、Mac上で転送したいファイルを Drag&Drop で転送できるというアプリケーション。Mac → iPad だけではなく、iPad → iPad も可能だったり、複数台の iPad にも転送できたりと、転送(と表示)に特化したユーティリティ。(詳しくはこちらのエントリをご覧下さい)

んで、この FastBoard が何故 ScanSnap の活用アプリになるかと言いますと、こちら。

FastBoardを発表した当初のブログエントリでも紹介したのですが、ScanSnap Manager と連動させると、あたかも ScanSnap を iPad のスキャナであるかのように 振舞わせる事が出来るのです。それで ScanSnap 活用の1ソフトウェアとしてエントリさせて頂いているというわけ。

ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、PFUさんは自社で主催されている新製品発表を兼ねたフェアでスキャン機能付き Dock を発表されています(スキャンして直接接続したiPadに取り込んでしまうスキャナ)が、このコンセプトを Mac を間に介在させる事で無理から実現するのが FastBoard + ScanSnap Manager の組み合わせなんですね。

ScanSnapをお持ちの方は是非お試し下さい :-)

 

この FastBoard を含め各社商品をGETできる ScanSnap Select OPENキャンペーンが今開催中ですので、興味有る方は応募してみても良いかもです。FacebookやTwitterからでも応募可能だそうです。

という訳で、ちょっとしたお知らせでした。


2011.08.07 (Sun)

何故そんなにAppleに偏ってるんですか…と、最近よく聞かれるので書いてみようと思います。

弊社フィードテイラーは、社内Win禁止Macのみ、事業は関西/大阪では珍しくiOSアプリ開発専門という Apple に偏った体制を取っています。Winもやりませんし、Androidもやりません。先日KDDIから発表されて話題になりましたが WindowsPhone が市場に溢れてたとしてもやりません。

徹底して Apple 一色です。

全員 iMac 27 inch ですし、ディスプレイは Apple製 LCD Cinema Display ですし、キーボードも Apple 製。社内のサーバは Mac mini ですし、ルータは AirMacExtreme で、AppleTVも置いてます。一番外回りが多い僕のノート型コンピュータは MacBookAir(上の写真ではちょっと古くてMacBook)で、 iPhone / iPod touch / iPad は社内に無論全シリーズ揃ってます。

入社して貰う人はプライベートもMacである事が条件で、必要とあらば買い換えて貰う為の資金も出します。@kumatch に入社してもらった時はその典型ですね。(Happy My Mac 制度)

ここまで来ると、単に社長が Apple 製品好きなだけというのが在りがちな理由なんですが弊社の場合は少し違います。何故 Apple なのか。

 

Appleがコンピューティングの未来を作っているから

 

これが大きな理由です。ジョブズがAppleに復帰してからの製品の数々は様々な物に影響を与え、未来を創りだしてきました。iPod もそうだし、iPhone もそう、iPad もそう、OS もそうでしょう。ヨドバシに足を運んで物色しても、多くの物のそのどこかに Apple 製品の模倣を感じてしまうのは何故でしょう。

ありとあらゆるスマートフォンは iPhone 的だし、全てのタブレット型端末は iPad 的であるし、様々なデスクトップOSの新しい機能はすべからく MacOSX 的。ここ数年のコンピューティング史の多くの場面で常にAppleが先駆者であり未来の形成者である事の証左と僕は考えてます。

弊社は「世に無いモノを作り出し世界を変える」をコンセプトにしていますが、それは未来を見据えるからこそ出来る事だと思っています。だから敢えて、未来を作ってきた Apple の世界観に身を浸しています。これでもかというぐらいに。そこには気持ちの良い理想的なマン/マシンコミュニケーションと、未来を感じさせる何かがあると信じて。

 

そんな風に Apple どっぷりな年月を過ごして感じた未来の一つが、エンタープライズにおけるドキュメント共有のあり方。そこにSYNCNELというソリューションを自社商品として投下したのが2011年2月の事で、早くも半年。もの凄い反響と数々の導入実績と数多の競合製品の登場は、感じた未来が正しかったからこそと思っています。

 

そして今、また別の分野で新たに感じている未来があります。アラン・ケイは「未来を予測する最善の方法は、自ら未来を創る事だ」と言いましたが、感じた未来をもし自らの手で作り出す事が出来ればこれに勝る喜びは無いでしょう。

Apple が指し示す世界観に便乗するというと聞こえが悪いですが、世界を変えたいと思うなら世界を変えているモノの近くにいる事が一番です。だから弊社は Apple に執拗なまでに偏った体制を組んでいます。

これが「なぜ Apple なのか」という質問に対する僕なりの答え。この選択が正しいのかどうか、それは弊社の今後をもって実証していけるのかなと思っています。


2011.08.06 (Sat)

先のエントリでご紹介したイベントですが、参加者200人越えという事で盛会と相成りました。

平日昼間にも関わらずこれだけ多くの方が集まられたという事は、やはりビジネスにおける iOS や Android というテーマに多くの人が関心をお持ちであるという証左だと思います。お越し頂けた皆様、有難う御座いました。

僕は途中15分の時間をもらって「エンタープライズでも勢いづくiOS」という題目でお話させて頂きました。珍しく時間オーバーしてしまいました、すいません。15分のところが17分45秒ぐらい。15分しかないのにスライドを50枚は多過ぎましたね(笑)

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お話したのは

  • エンタープライズ観点で要注目のiOS5情報
    • iMessage
    • PC Free
    • AirPlay Mirroring
  • OSX Server Lion の MDM 機能
  • VPP(Volume Purchasing Program)
  • iOSデバイス導入事例(法人/教育機関)
  • 続出するエンタープライズソリューション

という感じ。

後の懇親会では「あんな事になってたんですね!」「サプライズが沢山でした」というコメントを頂く事が出来ましたので、お越し頂いた方にとっては新情報比率が高めで結構楽しんで頂けたんじゃないだろうかと思っています。

 

ちなみに予定していた弊社ソリューション「SYNCNEL」の紹介は一切せず。冒頭の40分程度のソフトバンクテレコムさんの講演で大阪の協業事例として紹介頂けたことと、時間も限られていたこともあってバッサリと省略しました。

つくづくこれだけ自社商品に言及せず、Appleでもソフトバンクでも無いのに最新情報ばかり共有している無料講演も珍しいだろうと思いつつも、これは自分の方針なので惜しみなく情報シェアさせて頂きました。

情報って勝手に広がるものだから、囲い込むことには余り意味が無いんですよね。それよりかはドンドン発信して「◯◯の事ならあの会社に聞いたら分かる」というイメージを持って頂く方がずっと良いんじゃないかって思ってます。

 

8月は人前で話するのは今回が最初で最後だと思います。次は9月中旬を予定してまして、iOSの開発現場だからこそ分かる「エンタープライズにおけるiOSとの付き合い方」的な話をさせて頂こうと思っています。iOSのバージョンやデバイスに対する考え方が従前のWinベースなシステムとは全く異なる事をご紹介する予定。


2011.08.01 (Mon)

何だか良い感じに「エンタープライズなiOSのフィードテイラーさん」になりつつある今日この頃。今年の頭に決めた方針の通りになっていて、市場も予想通りにエンタープライズ需要がビックリするほど盛り上がっています。それは Android にしても一緒。

という訳で直前で恐縮ですが明後日(8/3)の日中に


クリエイティブビジネスフォーラム2011
iOS/Androidビジネス利用の最新動向
 (リンクはこちら)

 

と題するイベントで今回もまた機会を頂きまして15分程度のお話をさせて頂く事になりました。

主催はお馴染みのメビック扇町、そして中小企業基盤整備機構の近畿支部、更にソフトバンクテレコムさんとシャープさんが協力として付いてるようです。ちなみに開催要綱はこんな感じ。

日時 : 2011年8月3日(水) 15:30〜18:50 (交流会 19:00〜21:00)

参加費 : セミナー無料 / 交流会 1500円

会場 : 関西テレビなんでもアリーナ

 

僕は「エンタープライズでも勢いづくiOS」と題して、昨今のエンタープライズ事例を紹介させて頂くと共にiOS5やLion Serverについての話をさせて頂く予定です。以前のAppleStoreでの話と若干被るかも知れませんが。あとウチの業務向けソリューション SYNCNEL (元 SyncBoard) の紹介も出来れば良いかなと思っています。

個人的には、交流会での新たな出会いに期待というのはもちろんなんですが、Androidのビジネス活用の具体的情報が結構聞けそうなので楽しみにしています。

あと、これは僕も聞いてビックリした企画ですが、あのエレコムさんがアプリ開発者に「一緒にアプリ開発やりませんかー」的な呼びかけをするという時間枠も30分用意されているそうですので、開発者の方はひょっとしたら新しい仕事に繋がるかも?なのも面白いと思います。

交流会中にはライトニングトークも。興味有る方は当日飛び込みでも全然okだそうですので是非ご検討下さいませ。

 

そんな感じで久しぶりの100人越えイベントです。いつもと違って日中の開催という事もありガチでビジネスな方が沢山集まる筈です。興味有る方は是非お越し下さいませ。それでは会場でお会い致しましょう!