2011.10.04 (Tue)

iPhone4Sが発表されました。同時にiOS5のスケジュールも見えました(急やけど)。

これでまた業界がドタバタと賑わい立ちそうな予感。ハードとソフトの進化が1週間後に迫った訳ですが、このコンボで新しいモバイル体験を提供してくるのはAppleらしい所であり、Appleにしか出来ない技でもありますね。中でもそれが顕著に表れているのは音声アシスタント機能「siri」でしょう。

いみじくも、すずりょうさんが

と仰った通り、ここまでくると哀しいかな「アンドロイド」の定義である「高い知性をもつ人間型ロボット」に近いのはiPhone4Sであると言わざるを得ません。マンとマシンの距離感をグッと縮める事に成功していますし、こういう世界になりますよね、普通に。だってどう考えても便利だもん。

以前「なぜAppleなのか」というエントリで、弊社がApple一色である理由はAppleがコンピューティングの未来を作っているからと書きましたが、その考えが間違っていない事を改めて再認識出来た素晴らしい発表でした。Appleはまた未来を先取りし具現化してくれたのです。何とワクワクすることか。

しかし、惜しむらくはこの音声アシスタント機能が日本語で使えない事でしょう。でもきっとAppleはやってくれる、そう信じるしかありません。というかApple以外にやって欲しくない。僕らが欲しいのは、表層だけ真似をした残念なアシスタントではなく、洗練されたアシスタント「siri」なのだから。

34/365 © 2011 Pete Peaks, Flickr

しかし待ちきれない!という場合は、ここは一つ発想を変えるっていう手もアリな事に気が付きました。そう、思い切って、

iPhone4S + 英語生活

ってのはどうでしょうかという御提案です。Appleが引き寄せてくれた未来を体験しながら英語学習にもなるという一石二鳥の自虐的HACK!

いきなり全部英語!メールも住所録もアプリも全部。いぁね、iPhone4Sの動画を見て英語が自由に使いこなせない悔しさを久しぶりに感じた訳ですよ、僕は。でも、ホント動画のように動いてくれるなら(いぁ動くからリリースしてるのでしょうが)、英語やってみようかなという気になりません?

街中でiPhoneに英語で喋って、”Oh, it’s nice!!” とか言ってみるとか格好良すぎです。大阪駅界隈で、どこに食事に行こうか迷った時におもむろにiPhone4Sを取り出す訳ですよ。んで “Find me an italian restaurant nearby.” とか言ってiPhoneに教えて貰ってんの。超クール!…多分。

(少なくとも人名のローマ字発音が認識されないと話にならなさそうだからやっぱ微妙か)

 

ま、冗談はさておいて近未来をnativeに体験できない残念感はありますが、iPhone4Sは購入するだけの十分な魅力はありますので僕は普通に64GBytesモデルの白を買うつもりです。法人部隊が凄いという噂のauさんが企業向けにiPhone販売体制をどう組んでくるのかにも注目ですね。確実にエンタープライズ絡みの案件は増えると思います。


2011.10.03 (Mon)

電子書籍ビュワーの「Book+」のv1.1(本日不具合修正したv1.1.1が公開されました)では、複数の画像をZIPやRAR形式に固めて閲覧する事が出来る機能拡張を行いました。画像化された漫画のスキャンデータを固めてコミックとしたり、お気に入りの写真をまとめてzip化してフォトブックにしてみたり…そんな楽しみ方をする為のものです。

…が、自分でzipを手動作成するのでなく、誰かが作った色んなzipファイルが「フォトブック」として入手する事が出来たらどうでしょうか?写真集やアルバムばかりが並ぶ本棚からお好みのものをゲットして Book+ で写真を楽しむ、そんな感じ。

さながら公開写真集アーカイブみたいな。しかもブラウザで1枚1枚見るんじゃなくて、iPad/iPhoneでサクサク鑑賞出来るようなユーザ体験です。写真集が友達や家族のものだったりすると尚のこと楽しいですよね、きっと。

とか何とか考えていたら、見事にそんな楽しみ方を手伝ってくれるサービスが Lifehacker で紹介されていました。facebook2zip というそうです。

FacebookのアルバムをZipでまとめてダウンロードできるサービス「Facebook2zip」

「Facebook2zip」は、Facebookのアルバムをまとめてダウンロードできるサービスです。自分のアルバムはもちろん、友達のアルバムもダウンロードできます。Zip形式でまとめてダウンロードできて便利です。

使ってみた感想は超簡単!超便利!

ダウンロードした zip ファイルは Book+ にとっては「フォトブック」なんですよね。なので、そのまま Book+ に転送すると、友達のアルバムをフォトブックとして鑑賞する環境の出来上がり。凄くないですか、コレ。

何が凄いって、facebook2zipBook+(を始めとする複数画像圧縮zip対応のアプリ)があれば、facebook が突如としてフォトブックの巨大書庫と化すという事。いつもクールな写真を掲載している友達がいますか?facebookにいる親族が身内の写真をアップロードしていますか?では、是非そのアルバムを facbook2zip で丸ごと取得してBook+に放り込み、あたかもその人の写真集を眺めるように楽しませて貰いましょう :-)例えば、こんなふうに。

(自分のアルバムをzipダウンロードしてBook+で16枚表示してみた)

1枚1枚、読み込みが発生するブラウザ上の緩慢な写真集鑑賞とはまた違ったユーザ体験です。是非是非お試し下さい。(Book+にzipファイルを転送する方法についてはオフィシャルサイトやAppBankさんの詳細なガイド記事をご覧下さいませ)

複数の写真を固めただけのzipファイルが「フォトブック」なのだとすると、大量の画像で溢れるウェブの世界もまた違った捉え方が出来ますね。

このエントリを書きながら、アレもコレもワンタッチでzip化出来れば面白いのに….と思えるものが沢山出てきました。少なくとも写真共有サイト系は全部そうですし、壁紙系サイトとかも面白そうです。さて、他にどんなものがあるでしょうかね。


2011.10.02 (Sun)

法人様向けソリューションSYNCNELの開発を初めてから1年が経とうとしています。保守やサポート・販売の体制を整えてサービスとしてリリースしてからは半年強ぐらいでしょうか。

気が付けば弊社の主たる事業になっていただけでなく、4桁規模で導入を決めて頂いている企業様や、数百/数十/数台などの各規模で上場企業様を始め中小企業様やSOHOの方まで、業態/業種/規模問わず色んな企業様のiPad/iPhone活用を支える基盤にもなり始めました。

とある上場企業の競合製品と競り勝って導入が決まる例も出てきていますし、自社の米国支店・欧州支店にも使わせたい…といった声を頂くようにもなりました。

加えて、2桁規模の販売代理店様によって商圏は拡大しつつあり、中にはSYNCNELを販売すると担当者の営業成績に加点される制度が出来た代理店様まで現れるに至りました。

© 2011 Lucas Stanley, Flickr

大変ありがたい事にいよいよSYNCNELは存在し続けなければならない存在になりつつあります。5名でやっているITベンチャーの商品がわずか1年でこのポジションまで来れたのは奇跡と言っても良いでしょう(少なくとも僕はそう確信しています)。

何が奇跡って、1つは総販売代理店をお願いしている住友セメントシステム開発さん、保守サポートをお願いしているスマートスタイルさんとパートナー関係を組ませて頂けていることや、関係各社様とも販売パートナー関係を築けているというご縁。そしてもう1つは社内話になりますが、サーバ側の@kumatch、クライアント側の@nakiwo、PDFエンジンの@itok_twit、という僕の思い描く超少数精鋭部隊を具現化してくれている仲間とチームを組めていること。

このいずれが欠けてもココまでこれなかったと思います。社内外を含めた全ての関係者に改めて「有難う御座います」とお伝えしたいです。

そんなSYNCNELの開発スタートから1年という節目を迎える今、企業向けソリューションSYNCNELが目指している事とその先に見据える未来について書いてみようと思います。

端的に表現するなら、

スマートデバイスを使った企業活動におけるコンテンツインフラになる

という事になるでしょう。道路が車の通り道であるように、線路が列車の通り道であるように、SYNCNELは企業内のドキュメントやコンテンツをスマートデバイスへ届ける通り道になりたいと考えています。安全に、確実に、そしてシンプルに、手元のデバイスに届けてくれるパイプのような役割を担うクラウドサービス。

London Reflects © 2010 Seasonspics, Flickr

iPadのようなスマートデバイスがビジネスに欠かせない存在になりつつある事は明らかです。(そうなる筈が無いと主張する方は、携帯電話もパソコンもそんな主張に抗うように急速に浸透し今やビジネスに欠かせないモノになった事実を振り返るべきです。二度あることは三度あるのです)

そんな世界では、社内の打合せで/営業先で/セミナーで/展示会で、いつでもどこでもデバイスを取り出せばデジタル化された社内資料が閲覧できる必要があります。軽快でなければ意味はなく、それ故に資料群はファイルとして手元のデバイス内に入っている(ダウンロードされている)必要があります。その多くがPDFでしょうが、それだけではなく動画も音声も画像も同様に扱える必要があります。

会議では一度に数十の資料を一斉に配布する必要があり、また営業先ではその場で相手にドキュメントを渡す事も必要であり、必要に応じて紙へ書き込むのと同様に使い手によるメタな情報が付与出来て再利用できる必要もあるでしょう。

またグループで共有する資料だけでなく、担当する顧客の為に自分だけが使うコンテンツを持ち出せる必要もあります。時には既存の社内システムが定時的に出力するドキュメントを関係者に定期配信する必要もあるでしょう。それを自動化出来るような仕掛けも必要になりそうです。

いずれにしても、スマートデバイスに届けられるべきモノは一箇所に集約されていれば良く、ファイルを置くだけで然るべき人達に最新のモノが届く(ダウンロードされる)事と、そのアーキテクチャに最適な安全性が担保されていれば良いのです。極めてシンプル。

IMG_4777 © 2011 Robert, Flickr

「◯◯さんと△△さんは□□グループに属していて、□□グループに配送すべきドキュメントはこの箱に入れる事にしよう」….。そんなルールを定めれば後は入れたファイルを自動で適正に届けてくれる。必要なのはそれを実現する配送のシステムと、配信される側となるスマートデバイスで閲覧出来る仕組みです。

 

突き詰めるとやはり企業様が期待しているのはペーパレスによるコスト削減効率の追求でして、社内打合せでの資料共有も、営業先での資料渡しも、上述した全てのケースでそう言えます。紙を介在させる事無くコンテンツを扱おうというのですから、言ってみればエコや合理性追求の流れにある一歩進んだ取り組みに過ぎません。

結局企業におけるスマートデバイス時代の到来とは、徹底的なパーパレス社会の実現であり、同時に徹底的な効率性重視企業社会の訪れであるのです。新しいデバイスが時代を一歩先に進めさせようとしている訳です。

Water supply © 2011 Bruno, Flickr

そんな、企業における大転換期に次なる時代のインフラに位置付こうとしているのがSYNCNELです。企業内の物流ならぬ、コンテンツ流とでも言いましょうか。今後の企業活動を行う上で絶対に必要になるモノ、それはペーパーを介さずともスマートデバイスにコンテンツを届ける仕組み、基盤です。そこを弊社は追求していきたいと思っています。

 

基盤を目指すからこそ求められるシンプルさや手軽さや安心感や柔軟性が少しずつ形になってきたのがこの1年間。それは冒頭で述べた通り、「体制」という意味でも「技術的に」という意味でもです。

有り難くも「住友」という冠をお持ちの企業様に総販売代理店を担当頂いているからこそ(特に国内企業には)振り向いて貰える訳ですし、MySQLの法人サポート国内No.1の企業様に保守/サポートを担当して貰っているからこそ安心感も提供できる訳です。売りたいと思って頂けるサービスだからこそ色んな販売店様が販路開拓して下さるようになりますし、それを作り出して維持する事は高い技術力があってこそ実現できるものです。

気が付けば1年の間に非常に強力なチームができていました。関係する企業数は2桁を越え、関係する人の数は数十人に及んでいると思います。普通に考えれば凄い事です。

この勢いで次なる1年間はいっきにビジネスを拡大し、SYNCNELを次代の企業コンテンツ基盤を支えるインフラにしたいと考えています。関係各社(者)が幸せになりながら、SYNCNELは変わりゆく社会の基盤を支える一助となり、そこに僕らのアイディアを加味する事で世界を1つでも2つでもより良いモノに変えてみたいと思うのです。


2011.10.01 (Sat)

弊社内の取り組みや制度について御紹介するシリーズ。先のエントリではエンジニアの集中力維持の為に開発室を分離、つまりハード的な分離について書きました。今回はハードではなくソフト的な分離について。

Cc/Bccにエンジニアのメアドが入ったメールは諸悪の根源

あくまで社内のエンジニアに対してという意味ですが、僕は開発プロジェクトにおいてはこれが真理だと思っています。

メールでエンジニアに割り込みが入るのは基本避けた方が良くて、Toはともかく特にCcやBccは最悪です。とりあえず知っといて的なCc/Bcc活用はよくありますが要点がまとまっていないやりとりを、開発行為を寸断してまで共有する価値は全くありません。ネットワーク帯域とストレージの無駄遣いです。

多くの場合10回行き来したメールも大概3行でまとまるもんですから、そのまとめ役まとめ先とがあれば十分なんですよね。

まとめ役 社長である僕
まとめ先 WikiやRedmine等の社内システム

弊社では基本的にこんな組み合わせでやってます。

すべての情報は僕に入り、社内システムに整理して書き込みます。エンジニアはそれを自分の都合の良いタイミングで確認します(その為にRSSを活用。更新された事が分かる)。重要なのは、エンジニアへの情報の「入り」が push ではなく常に pull であるという点。

エンジニアが意図しないタイミングで1本1本の矢が断続的に外から飛んでくるよりも、束ねられた合計10本の矢をパッと見で確認できる状態になってる方が良いんです。断続的な中断が発生しませんから。

Write © 2011 J. Annie Wang, Flickr

世の中の風習なのか(?)、マネジメント役である僕をToとするメールのCc/Bccにエンジニアのメアドを入れて頂く事もあったりするのですが、「この内容はきちんとまとめて責任持って共有しますので、以後ウチのエンジニアにCc/Bccはやめて頂けますか。開発に集中させたいので」とお願いするようにしています。それぐらい徹底してます。

理由は簡単で、エンジニアのゾーンタイム(開発に集中している時間)を中断したくないからです。これは経験者にしか分かりませんが、ゾーンに入ったエンジニアの5分は凄まじい価値を生み出します。これを失うのは関係者全てにとって不幸せなんですよね。だから「とりあえず知っておいてよ」的なCc/Bccは厳禁です。皆の幸せの為に。

これも、この本の影響が強いですね。トム・デマルコの本、エンジニアを manage する人はすべからく読むと良いんじゃないかなと思います。ソフトウェアは人が作ります。ピープルウェアなんです。

って本の話はさておき、エンジニアにCc/Bccが入っているメールをマネジメント役が許容しているとすれば、それは、まとめたり整理したりする責務を放棄してないかと自問しても良いかもなーって最近思います。Cc/Bcc入れてたら楽ですよ、そりゃ。でも、組織における苦楽はゼロサムゲーム。効率を重視するなら根っこで苦を取るに越した事は無いのです。

まぁそんな考え方なもんですから、僕は毎日対外的に大量のメールを書いて、対内的には社内Wikiを更新して、Redmineにひたすらチケットを発行しています。これが会社というチーム全体の生産性を考えた時に最も合理的という経営判断です。

Cc/Bccに限らず、関係者全員が入っているメーリングリスト開設とかも同様に最悪ですね。仮に作られる事があってもエンジニアは入れて貰わないようにして、僕がまず全部受け取って整理したものをエンジニアが社内サーバから pull 出来るようにしています。

ついでながら電話も push という意味では似たようなものかも知れません。割り込まれますのでね。だから電話の支給は有り得ませんし、内線も有り得ません。エンジニアに電話を繋ぐという事も基本的にNGです。まず僕が受け止めます。

IMG_0974.JPG © 2006 Brandon Titus, Flickr

こんな感じでマネジメント役だけが矢面に立つ事により、開発室をソフト的にも分離しています…というお話でした。昨日御紹介した、物理的に部屋を分けるというハード的な分離も併せると、ほっとんどエンジニアにノイズが入らない環境が構築でき、文字通り没頭出来るようになります。

そうすると結果的に、間に1時間休憩を挟んだ7時間ぶっ通し開発が一日の限界って事が分かります。それ以上続けても生産効率は上がらないんですよね。だからウチはエンジニアの残業は基本無しです。年間残業時間合計が5時間もない。メールの数も、電話の数も限りなくゼロに近い。ただひたすらに「開発」なのです。

紛れも無くPureな開発のためだけの「開発室」を作り出すこと、それが開発を生業とする企業経営者の役割じゃないかと僕は考えています。


2011.10.01 (Sat)

余りこの手の映画を観る事は無いのですが奥さんとモテキを見に行ってきました。映画の日だったので2人で2000円。いつもコレぐらいだったら良いのに。

(本作監督の映画完成までの記録らしい)

で、2時間はちょっと気持ち長かったけど普通に笑って楽しめました。

作中の言葉を借りれば「サブカル」が物語の核を成す映画なので、当該分野に全く知見が無い自分には周囲の笑いについていけない事が多々有りましたけども…。シアター内で笑いが溢れる映画も良いですね、これまた随分前に見に行った舞妓Haaaaan!!!以来かも知れずです。

そんなモテキ映画の中で最も僕が興味を持ったのは、Twitterが当たり前のように使われていたこと。極端な話、Twitterを使った事が無いとかTwitterを知らない人が見たら何で?ってクエスチョンマークだらけになりそうなぐらい、Twitter無しには成り立たない作品でした。

それこそTwitterのタイムラインは映像に何度も登場するし、セリフにDMとかって普通に出てくるし。

1人だという女性の呟きに反応した主人公の呟きと、その後の「今は2人なう!」ってな一連の呟きを眺める女性、無言、とか。いぁその演出Twitter知らんと無理やん!みたいな。

興行収益がエラい事になってる理由が元々人気のあった漫画ドラマの続編的位置づけだったという事を差し引いても、演出ツールとして多用するTwitterの当たり前っぷりと観客の反応は時代の変化を感じさせるに十分でした。

そこが一番勉強になったかなぁ。あ、あとこれは鑑賞後に知ったのですがFacebookページも巧く使ってるなぁと。…まぁ映画を見たら必ず何かを学び取らないといけないって訳じゃないんですけどね。

例えサブカル知見が無いとしても(僕ほど疎い人はそうそういないと思いますけど)、普通に笑えるし、Twitterの当たり前ぶりを体感できるという付加価値もある映画でした。星★3つ。


2011.09.30 (Fri)

弊社内の取り組みや制度について御紹介するシリーズ(勝手にシリーズ化)。以前にエントリで朝夕のミーティングを必ずやっている事について書きました。(詳しくは以下のリンク先をご参照下さい)

朝夕と共に30分のミーティングにあてますので、9:30〜17:30 の休憩時間1時間を除いた合計7時間が開発の為の時間になります。エンジニアにはこの限られた時間を全力疾走して開発をして欲しい。他の要素すべてを廃してただひたすらキーボードを叩き続けて欲しい。なぜなら、没頭して開発出来てる(ゾーンに入っていると言います)有限な時間が一番生産性が高いからです。

欲しいのは最高のパフォーマンス。

そこで、生産効率を最大化する為に開発行為を阻害する全要素を執拗なまでに徹底排除してまして、その一つが部屋の分離です。大きな会社さんなら当たり前かも知れないですが、ウチは5人と小規模ながら敢えてやっています。

下の図は弊社が借りてる階の一部。

同じフロアで2部屋借りてまして、緑色が非開発室、ピンク色が開発室です。役割は明確に。

開発室 開発する為の部屋
非開発室 開発以外の為の部屋(受付、ミーティング、倉庫、電話)

こんな風に、開発以外のすべての要素を非開発室に閉じ込めるようにしてます。僕が社外の方と打ち合わせる場合は来客頂く場合が多いのですが、話し合いの声がエンジニアの集中力を削がないように別室でのミーティングを徹底してます。お茶入れも今はエンジニアにやって貰う事はありません。人がいない場合は僕がやったりします。これもエンジニアの開発行為を阻害しない為。

社内ミーティングも全員参加でない場合は基本的に非開発室へ。もちろん来客受付も非開発室へ。電話も非開発室です。僕の携帯に電話がかかってきた場合は、僕は部屋を出て非開発室に移動して話をします。

とにかく全てにおいて気にかけているのは開発室を集中できる環境として維持する事

こんな感じの扉のマグネットを確認せずに飛び込み営業がこようもんなら、「読めませんかね?」と即刻出入り禁止宣言する勢いの如く僕の逆鱗に触れます。まぁこれは極端な例ですけども、とにかくエンジニアの没頭時間(ゾーンタイム)がなるべく長くなるよう徹底しています。

著名なトム・デマルコのピープルウェアという書籍に感化され過ぎてる感は否めませんが、実際、非開発的な要素を全て開発的な空間と分離する事で、集中力維持が可能な環境は容易に作れます。つまりエンジニアにとってのノイズを取り除くということ。

これにより生産性が高まるのは弊社内で実証されていて、iOSアプリ実績数が70以上と人数の割に多かったり、企業向けソリューション SYNCNEL でもサーバ側・クライアント側が怒涛の勢いでバージョンアップしていたり…等々に現れています。

 

エンジニアリングと非エンジニアリングの物理的な分離(ハード的な分離)はホントお勧めです。会社の規模に依らずですね。加えて更にソフト的な分離も徹底すると効果的です。主にはメールだったりタスク管理だったりするのですが、少し長くなってきたので次回書いてみたいと思います。


2011.09.28 (Wed)

大阪で映像活用と言えばサムシングファン

IT飲み会の発起人でもいらっしゃる薮本社長の会社のキャッチフレーズで、ご存じの方も多いと思います。実は薮本社長には、弊社のドキュメント共有ソリューションSYNCNELの立ち上げの頃からお世話になっておりまして、今回10月頭に主催されるというセミナーで弊社 SYNCNEL を御紹介頂ける事になりました。

タイトル 次の市場を作る製品はこれだ!最新の企業向け製品一挙紹介セミナー
+
社長・幹部向け 売上アップのすごいしかけセミナー
~1000社で成功した明日から実践できるノウハウとは~
日時 2011年10月5日(水) 14:00〜17:30
場所 大阪産業創造館 5階 研修室B
申込 こちらのフォームから

スマートフォンやタブレットの活用方法という切り口で5つのセミナーが揃った天こ盛りな内容で、エンタープライズ分野に興味ある方は楽しめること間違い無しです。

Chinon 8mm Movie Camera © 2008 SPDP, Flickr

ここで何故、SYNCNELと動画の組み合わせなのか…という点についてご説明を。

営業現場やセミナー、社内教育等で短い動画コンテンツが多用されつつあるのをご存じの方もおられると思います。訴求力が高く効果抜群な事から時代のトレンドは動画でありまして、ある大手企業様では商品解説の為の専属動画制作部隊がおられるそうです。営業担当は「解説は動画を見せてclosingの喋りだけをやる」というスタイルが定着していると言います。営業活動の合理性追求が行き着いた先…なのでしょう。

そういった動画を作るのがサムシングファン様、その動画を安全にiPadに配信するのがSYNCNELです。法人ではコンテンツとスマートデバイスがあるだけではダメで、コンテンツをデバイスに届ける流路(インフラ)が必要なんですよね。

 

10月5日のセミナーではSYNCNEL以外にもマニュアル電子化や動画マニュアル作成ツールなど、色々業務用ソリューションも紹介されますので勉強になると思います。ご興味お有りの方はぜひこちらのページからお申し込み下さいませ。

最近、こんな風に販売パートナーの皆様にSYNCNELを御紹介頂く機会が増えて参りました。お陰様で弊社は開発にのみ専念が出来ますので大変有難い話だなと感謝しています。

中には、「他にも色々な商品があるんですけどね、僕はSYNCNELで◯◯さんを攻めたいんですよ」ってな力強いPUSHをして下さるSIerさんもいらっしゃってホント心強い限りです。開発元としては、より使い易く魅力ある製品へと進化させる事に注力したいと思っています。

…という訳で弊社ソリューションSYNCNELが紹介されるセミナーの御案内でした。


2011.09.28 (Wed)

ご好評を頂いております「Book+」の最新バージョン v1.1 を本日リリース致しました。PDFビュワーではなく敢えて電子書籍ビュワーと書いた事に含みを持たせているのですが、今回の v1.1 で、いわゆるコミックデータである ZIP/CBZ/RAR/CBR の各形式に対応しています。

自炊の際、PDF化しか選択肢が無いかというとそういう訳ではありませんで、例えば漫画の各ページをJPEG画像化してZIPRAR形式で圧縮して1冊の本とする扱い方をする場合があります。スキャンしたデータって結局ページ毎に画像化されるので、OCRをかけなければPDFは単なる複数画像をまとめるパッケージフォーマットでしかないんですよね。

その発想を突き詰めた先にあるのが複数の画像を圧縮したZIP/RAR形式。コミック系でよくやる手法で、ZIP/RAR 圧縮したものをそれぞれ CBZ/CBR と拡張子を敢えて変更し Comic Book ZIP / Comic Book RAR と呼んだりする事もあります。作り方は至って簡単。

(コンテンツは有名なWeb漫画 胎界主から。作者様から許可を頂いて掲載しております)

こんな風に1つにまとめたい画像ファイルを選択して圧縮。出来上がったファイルを書籍名に変更するだけです。

(コンテンツは有名なWeb漫画 胎界主から。作者様から許可を頂いて掲載しております)

あるいは、以下の画像のように上位層からフォルダごと圧縮して貰ってもokです。

あとは出来上がったファイルをBook+に入れて頂くと。

Book+ 上では一冊の本のように扱われます。仕組み的にはzipを紐解いてファイル名で昇順ソートされた順にページとして表示されるようになるとお考え下さい。こんな風に。(36ページ同時表示)

(コンテンツは有名なWeb漫画 胎界主から。作者様から許可を頂いて掲載しております)

もちろん、別に漫画である必要はなく画像であればokですので、写真集のようなものを作る事も可能です。例えばネコの写真集とかですね。

フォトブックを作る感覚で写真が入ったフォルダを圧縮してBook+に「写真集」として入れ込んでしまう、そんな楽しみ方も可能になりました。あ、もちろんパスワード付きで圧縮したモノにも対応していますので、見られると困る(?)画集等はパスワードをかけて下さい :-)

余談ながら、上記の操作手順の画面キャプチャ内で使用させて頂いたのは、鮒さんWeb漫画 胎界主という非常に有名なWeb漫画です。ここまでクオリティが高いものが何故Web公開?と思える大変読み応えのある貴重な作品ですので、ご覧になられた事の無い方は是非Book+で! :-)

 

あともう一つは、外部ストレージ対応の追加です。

一目瞭然なのですが新たに iDisk と WebDAV の2つに対応しました。WebDAV が ok ですので結構接続可能な先が増えるのではないかと思います。この他のストレージについても順次追加していく予定です。

 

という訳で Book+ v1.1 リリースの御案内でした。v1.2ではまた大きく進化する予定です。御期待下さい。


2011.09.26 (Mon)

つい1週間程前。

Windows 8のタッチUI用IE10はプラグインに非対応。FlashもSilverlightも使えず

つまりWindows 8上のInternet Explorer 10をタッチUIで操作する場合、プラグインとして提供されているFlashにもSilverlightにも対応しない、と見られます。

こんなニュースがネットを賑わしました。タッチパネルを使ったUIでWindows8を動作させる場合はプラグインがダメ=Flash使えない、つまり将来Flashサヨナラか?と。

原文のエントリに対するコメント欄ではホントにそうか?的な議論がなされていたり、実際じゃぁPDF閲覧もプラグインだけどそれもダメなの?どうなるの?とか、ActiveXは限定的に使えたっぽいよという情報もあって、実はまだまだ断定できる状態ではないかもと改めて感じましたが、MicrosoftがOSレベルでHTML5+CSS3+JSでのアプリ開発にコミットしようとしている事は今後のFlashにとって大きな暗雲であるのは間違いありません。

Extreme weather © 2010 Kevin Dooley, Flickr

iOSでは既にダメだし、Windows8のタッチUIでもダメ。Adobeの Open Screen Project(FlashやAIRをベースに全てのデバイスでリッチなコンテンツを提供しよう的な取り組み)は頓挫する事やむなしかも知れませんね。Adobeも分かってるんじゃないでしょうか、やっぱりダメかって。やっぱりHTML5かって。ここ最近の動きはそれを象徴しているかのようです。

などなど。HTML5やその周囲のテクノロジに歩み寄ってる(歩み寄らざるを得なくなってる)のが良く分かります。加えて、まだまだFlashが優勢だと言われている分野も幸先が良い訳ではありません。フルスクリーン表示は既に実現されているし、お得意のカメラ/マイクへのアクセスは html5 device ってのがありますし、3DについてはWebGLが待ち受けます。

これだけ並べると、さすがにFlashに光が刺している気がしません。ホント、時代と共にFlashである必然性は益々薄くなっていく他ないんじゃないでしょうか。企業向けのデスクトップベースなソリューションに限ればありかも知れませんね。環境の統一が保証出来ますから。でもそれ以外、つまりコンシューマ向けとデスクトップではない企業向けソリューションにおいては、今後リッチなユーザ体験を提供したいなら、HTML5によるWebアプリかネイティブアプリ。これは間違いなさそうです。HTML5の表現力を見るには以下のサイト等が参考になりますが、

Flashいらないよねとしか言葉が出てきません。圧倒的シェアを持つWinが一部対応しなくなるかも…と言ってる訳で、そのリスクを背負ってまでFlashを使い続けるエンジニアやFlashを提案するSIerやFlash採用を決定するクライアント企業がどれだけいるのかと思うと、残念ながら…の結末しか無いように思います。

HTML5で良いじゃん議論はスマートフォンやタブレット端末のアプリ開発でも言える事で、そんな気運も高まりつつある事を感じる今日この頃なんですが、そこは色々と思う所があるのでまたの機会に書いてみます。


2011.09.25 (Sun)

久しぶりの小説です。グイグイ引きこまれて一気に読みきってしまいました。

 

中国の威信をかけた世界最大規模の原子力発電所の建設から稼働、そしてその後を描いた物語。後半で物語の中心となる原発の名前を福島第一原発と読み変えれば、預言だったのかと思えるぐらいに3.11直後から起こってきたことと同じ事が描かれている驚くべき作品です。

電源の全喪失、予備の電源も失われる危機的状況、建屋の爆発と火災、放射能汚染…等々。

書かれたのは3年以上前なのに小説の中で起こった事がリアルな惨状と余りにも酷似しており、読みながら驚きを隠せませんでした。最後がビックリするぐらい尻切れトンボな終わり方で拍子抜けしたのですが、今ならば関係者に聞き込みをせずともノンフィクションとして続編が書けるんじゃないかってぐらいです。

読了して強く感じたのは、実はこの小説は中国に対しても預言になったりしないかなという恐怖感。

色んなモノが何故か爆発するのは有名な話ですし、四川大地震で散々あらわになった杜撰な建築の数々や、記憶に新しい高速鉄道の衝突事故など、品質や安全の信用を失墜してばかりの中で、果たして安心して悪魔の劫火となり得る原子力発電所の運転を任せられるのか。(まぁ日本においても前例が出来たので、その意味では同じですけど)

今中国で稼動している原発は11基だそうですが、十数年後には世界一の原発大国になる規模の計画もあったと言いますし、3.11で少しブレーキはかかってたものの最近こんなニュース(中国、12年初めにも原発計画の審査・承認再開へ=報道)もあったりで。

将来3.11と同じ事が起きやしないか。例えば沿岸に建設される中国の原発がそれこそ爆発でもしようもんなら考えたくはないけど日本終了は確実な訳で。原発神話が脆くも崩れた今、リスクの極めて高いモノをリスクヘッジが総じて甘いと思われている隣国が扱っている事実、そしてもっと扱おうとしている彼らの気概に僕は素人ながらの恐怖を改めて感じざるを得ませんでした。

…とは言ってもここまでスケールが大きくなるとどうしようもない感がありますが、それでも楽観視は出来ないというやり場のない焦燥感は募るばかり。ホントどうすりゃ良いんでしょうね。橘玲の「大震災の後で人生について語るということ」の書評エントリでも書きましたが、何かに依存せずとも自立できる術を見に付けて生き続ける為のスキームを組み立ててくしかない…ってのが僕の今の解ですけども。

 

って訳で真山仁のベイジン。小説として引き込まれる魅力がありましたが、3.11の後に読むととても複雑な心境になってしまう作品でした。登場人物の一人、日本の技術顧問である田嶋が楽観視出来ない状況下でも「それぞれの使命を全うすべし」と言った言葉は自分にも向けられている気もしました。もの凄く考えさせられます。

…とはいえ、最後の尻切れトンボはやっぱり残念だったので★4つ。