Ipad
2012.06.13 (Wed)

WWDC2012のkeynoteで、予定通りiOS6が発表されました。

刷新されたAppleオリジナルの標準マップアプリ、Siriの強化、facebookのOS統合、電話の応答機能の拡張…等など魅力的な機能満載で一ユーザとしても秋が待ち遠しい訳ですが、常々エンタープライズiOSを意識している立場から新機能郡を見返してみると関心事は別の機能に移ります。

こちら。

Guided Accessと呼ばれるアクセシビリティの機能拡張で、どのような使用感で扱えるのかは不明ですが、もし文言通り/想像通りの挙動をするのであれば、エンタープライズなiOSの魅力は一段と輝きを増すに違いありません。なんと、

  • HOMEボタンを無効にできる!!
  • タッチパネルが反応しない領域を設定出来る!!

というのです。

これ、実は超凄い大ニュースですよ。企業や店舗などで熱望される事が結構あったりしたのですよね。例えば店頭でプロモーション動画を流す、ちょっとした施設案内アプリを表示する、…といった用途にiPadを使うケース。いずれも「他のアプリは触らせたくない」という共通点を持った活用例です。

営業ツールとしてiPadを使用する場合もそう。

1つのアプリで業務が完結するように作られていれば、極端な話、管理側にとってはHOME画面は見えない方がいい(つまりHOMEボタンは押せなくて良い)んです。YouTube使って欲しくないなぁ、Safariを立ち上げられてもなぁ、カメラを使わせたくないのよなぁ、とかとか、企業ならではの 制限欲

制限する事が大好きだけど時代の流れからiOSデバイス導入を避けられない…という、基本的にスタッフを信用しない国内企業の担当者にとってコレ以上の朗報があるでしょうか!?社員にやらせたい事を規定して、それを実現する専用アプリを作り、当該アプリ以外は起動できないようHOMEボタンを無効化する。

It allows a parent, teacher, or administrator to limit an iOS device to one app by disabling the Home button

AppleのiOS6先行告知ページにはこう書いていますので、機能として提供さえるのは間違いないのでしょう。後はどのように使えるのか…ですよね。HOMEボタンを連打すれば無効状態は解除出来るんです…とかだと余り意味ありませんし。administratorにも許しているという事から業務用観点でポジティブ解釈した僕の理想は以下の通り。

iPhone構成ユーティリティと組み合わせて

  • HOMEボタンを無効に出来る
  • HOMEボタンを無効にした時の起動アプリを指定出来る
  • HOMEボタンの無効解除にパスワードが設定できる

ってな事が出来てしまう状態。

もしこうなれば、iOSデバイスの地位はエンタープライズの世界で揺るぎないものとなるでしょう(特にiPad)。デジタルサイネージ端末としても最強になりますね。全ての「キオスク」端末はiPadに置き換えても良いかも知れない。それぐらいのパワーを秘める事になると思います。可能性は無限大。

例えば。

フロントカメラを使った写真落書き機能付きAirPrint印刷対応アプリを用意、HOMEボタンは無効にして筐体にはめ込んで電源確保、筐体の中にAirPrint対応なプリンタを仕込めば、はい!プリクラマシンの出来上がり!な訳です。まぁ極端な例ですけどね。(あくまで「例」です。プリクラのシステムはそんなに簡単じゃない)

加えて今回のアクセシビリティ機能拡張には、タッチパネルに無反応領域を定められる機能まで用意されるってのがまた凄い。画面の特定領域しか反応しないように出来る訳ですから、HOMEボタン無効化と組み合わせれば「制限する自由度」が更に増しますよね。HOMEボタンを無効にして、且つアプリ上の管理者モードボタンを無反応領域にして店舗に設置とか…普通に便利そうです。

惜しまれるのはiOS6が初代iPadに入れれないこと。大量に各社で余りつつあるであろう初代iPadをデジタルサイネージ的に流用するってな事が出来ませんのでね。

 

ま、だいぶと妄想が入ってますが、ホントに上記のような事が実現すればiOSは更に面白くなること間違い無しです。iOS6が出るとされている2012年秋に真相は明らかになりますが、エンタープライズ観点からみてもiOS6を楽しみに出来る理由がありますよ〜〜というお話でした。


2012.06.11 (Mon)

{.external}

天候の変化が激しい時や季節の変わり目にダウンロード数がぐっと上がるそら案内 for iOS。気がつけば110万ダウンロードも越えていました。皆様、いつもご利用いただき有難う御座います。

…という訳で(?)すっかり遅くなりましたが、2012年3月末のログ解析データを公開してみたいと思います。今回も約1ヶ月分のデータに基づいています。諸事情で厳密には4月2日までのログを含んでいますので微妙に3月丸々1ヶ月分ではないのですが、その点ご了承下さい。

 

■ そら案内 for iOS のバージョン分布

登場した新たな赤色勢力。iPad 3rd のRetinaに対応した新バージョンですね。

アプリバージョン 2011/12/27 2012/01/27 2012/02/29 2012/04/02
v1.0 0.24 0.17 0.16 0.12
v1.1 2.90 1.99 1.63 1.23
v1.2 96.86 97.84 98.18 81.46
v1.3 17.19

新バージョン v1.3 は 2012/3/29 に発表していますので、実質5日で最新バージョンに2割の方がupdateして頂けたという事になります。有難いお話です。

 

■ デバイスの種別分布

次にデバイス。これは余り変わりません。そりゃそうか。

デバイス種別 2011/12/27 2012/01/27 2012/02/29 2012/04/02
iPad 29.15 29.05 26.86 27.34
iPhone 65.96 65.87 68.53 68.57
iPod touch 4.89 5.08 4.61 4.10

そら案内というアプリケーションだけに限った話ですから用途を考えてもこれが大きく変動する事は今後も恐らく無いと思います。変わるとすれば何かしら新しいデバイスが出てきた時でしょうか。

 

■ iOSのバージョン分布

一番面白いiOSのバージョン分布。何だかiOS分布だけで良いような気もする今日この頃です(笑) iOSの新バージョン(v5.1)登場時期が被ってるので非常に面白い結果が出ていますね。

iOSバージョン 2011/12/27 2012/01/27 2012/02/29 2012/04/02
iOS3.1系 0.28 0.18 0.16 0.11
iOS3.2系 0.57 0.46 0.40 0.36
iOS4.0系 0.64 0.47 0.42 0.36
iOS4.1系 1.39 1.06 0.97 0.81
iOS4.2系 5.08 3.91 3.62 2.96
iOS4.3系 23.56 16.75 14.65 11.80
iOS5.0系 68.47 77.15 79.74 38.77
iOS5.1系 0.01 0.02 0.03 44.90

期間中のアクセス数はざっと2300万。激増してます。このシリーズのエントリでは繰り返し書いておりますが、そら案内 for iOS は扱っている情報が天気予報という事で老若男女関係なく御利用頂いている可能性が高く、概ね国内市場のiOS分布に近い値が出ていると思われます。

興味深い点は幾つかありますが、特筆すべきはやはり iOS5.1 への移行スピード。iOS5.0の時もそうでしたがとにかくiOSは新バージョンへの追随率が異様に高いです。iOS5.1は2012年3月9日に発表されましたが、そこから3週間強の間に4割以上の勢力になっているという事です。iPhone/iPadがドンドン売れている事の証左でもあるのでしょうけど、とにかく追随早過ぎ。

次なるポイントは、iOS4以下の合計が20%を切って、iOS5以上が80%を越えたという事です。前回の1月末には全体の4分の1を切ったと書かせて頂きましたが、相変わらず旧バージョンの減少ぶりが凄まじいです。これは旧バージョンを折れ線グラフで見てみると顕著でして、

こんな感じになってます。とにかく古いバージョン比率の逓減ぶりが気持ち良い。最新バージョンに近ければ近いほど低下する勢いがある傾向が見て取れますが、これはiOSでは次のバージョンへ移る勢力が常に強いという歴史があった事を示唆しています。開発者にとっては有難い傾向ですね。恐らく将来も傾向は同じでしょう。

今回の統計を見る限り、そろそろ新規案件も更新案件もiOS5以上での開発を前提にしてしまえるんじゃないかなぁと思った次第。WWDC2012ではiOS6も発表されますし、iOS4系を扱う意味はますます薄れていくのではないでしょうか。

 

という事で2012年3月のレポートでした。4月以降は週次で数字を作っていますので、ちょいとまとめ方を変えてみるかも知れません。これまでのレポートを以下にリンク列挙してみましたので、興味お有りの方は宜しければどうぞ。


2012.06.09 (Sat)

先日発表させて頂いた、ページめくりも同期するプレゼン資料共有サービス「Slidrs」ですが、サーバ的には結構なチャレンジをしています。最近の技術トレンドを満載してると言っても過言ではないでしょう(Slidrsの詳しい内容についてはこちらのエントリをどうぞ)。せっかくですので、Slidrsで使っているモノの御紹介をしてみようと思います。

■ インフラ

Amazon Web Services を使っています。ここ凄く重要。巷のいわゆるレンタルサーバではありません。AWSが出た当初からずーーっと純AWSで真のクラウドサービスを提供したいと思っていましたがようやくですね。(昨年立ち上げたSYNCNELは政治的理由でAWSを選ばなかった訳ですが、実は後悔してます)

Slidrsでは、最前線にはロードバランサELBを持ってきて、フロントのアプリサーバ用にEC2 x n台、バックにはDB用サーバにEC2、諸々監視用サーバにもEC2、外部ストレージにS3、DNSにはRoute53…を組み合わせて使っています。

ローンチ当日には急遽EC2を倍に増やしたりもしていて真のクラウドの恩恵を利便をサービサーとして改めて感じている次第。ですので、今後も AWS 大前提という方針は絶対に変えません。

 

■ ソフトウェア

フロントには NginxNode。前者は静的なコンテンツの配信に、後者はアプリケーションサーバとして使っていて、プログラムは node.js でガッツリ書いて貰ってます。ログの集約には fluentd もかましており、いやはやホント便利な時代になりました。

バックには、インメモリなデータストアとして redis を採用。データベースには NoSQLなデータベースの代表格 MongoDBを持ってきてますので、ここもお約束的な組み合わせになるでしょうか。

 

■ デプロイ

諸々サービスを展開するにあたりデプロイツールとして capistrano、サーバの構成管理の自動化に chef を使ってます。このへんも今風ですよね。

 

(デプロイ環境はともかく)もはや LAMP って何って状況になってます。

フロントもバックも全ては高速性を将来に渡って担保しなくちゃ…と考えているからこその組み合わせにしてまして、このへんは「最強の少数精鋭は一人」っていう僕のポリシーに基づき(まぁ少人数ベンチャーだからって事情もありますが)、弊社唯一の web 専門エンジニア @kumatch に全部を一任。これを初期バージョン約1ヶ月で作り上げてる訳ですが、良い感じに出来上がっていると思います。

 

今後も必要に応じて最新のテクノロジーを積極的に取り込みながら拡張していく予定。AWSの中に限っても、予定している数々の追加機能でEC2はもっと増やさなくちゃいけないし、マネタイズの部分では VPCCloudFormation を使用する事も今から視野に入れています。(Slidrsのマネタイズは結構息の長い話だったりします…)

もちろん、やみくもに新技術を使って遊ぶというのではなく、純然たる必要にかられれば適切に使っていくという方針ですね。技術の世界は今まで以上にどんどん変わります。だからエンジニアも使う技術をどんどん変えていかないと…ですね。企業も人も変われる事こそが生き残る唯一の方法だと僕は思ってますので…。

という訳でページめくりも同期するプレゼン資料共有サービス Slidrs で使われている技術紹介でした。


2012.06.08 (Fri)

若干業務連絡的ですが、弊社は今年もWWDCに参加致します。WWDC2009, 2011 に参加してますのでウチとしての参加は3回目ですね。

回数を重ねる度に人数が増えていってまして、今年は弊社でそら案内やBook+を担当している @itok_twit と、SYNCNELやURL展開君の担当である @nakiwo、そして未公開プロジェクト担当の @sumihiro の3名。ちなみに web担当の @kumatch は今年も滞在組。(いつか AWS の国際カンファレンス re: Inventとかに行って貰いたい)

今回、よくチケット取れましたねぇ…と言われたりもしますが、そこはベンチャーの良い所が発揮されて発表当日に facebook group を駆使してリアルタイムに調整しながら難なく3枚ゲットできたってな感じ。

さてさて、今年は何が発表されるのでしょうか。楽しみ半分、不安半分。WWDCがiOSの式典の側面を持つようになって以来、今回は量的最大規模な発表が有るんじゃないかと目されていますが、どうなる事やら。

  • 次期iPhoneで液晶の解像度・アスペクト比が変わる
  • Retina対応のMacが出る

あたりがホントにくると、嬉しいながらも開発会社ベンダー経営者としては「出ちゃったかぁ…」という溜息混じりに呟いてしまうのは間違いありません。何より金や時間の追加投資を強いられますので。

まま、とは言っても自分の好きな世界で進化を目の当たりにするのは嬉しい訳で。iOS6については、標準のMapアプリがどうなるんだろうとか、facebook 連携がどうなるんだろうとか色々気になりますが、そら案内のアクセスログにも実は iOS6 は数十アクセスカウントされている事はさておき、ほぼ確実に来るのでしょう。

個人的には AppleTV で iOS アプリ作れます的な展開がそろそろ出てきて、テレビ業界に戦慄が走るってのが面白い上に、iOSベンダーとして仕事の幅もまた拡がりそうなので嬉しくもあったり、ホントにそうなったらいよいよ案件をもっと回すための(今までとは違うタイプの)増員も必要だったりするのか的な事もホンの少し思ってみたりもする訳です。

 

ちなみに。今年も留守番の僕はいつも通りに通常営業です。

「行ったら良いのに」とはよく言われるのですが、keynoteは一度聞いてみたいと思ってみたりするものの、もはや僕は開発者ではないので合理性という観点から「無し」なんですよね。概要的な話は帰還後のエンジニアとの会話の中で共有出来ますし、中途半端に僕が開発者的な事をしてみても効率が悪いよなぁと。

それよりかは経営者としてもっと大きな世界のウネリや経済の流れみたいなものを俯瞰的に体感する事の方が大切で、その為に数日間海外へビジネス観点で視察する…ってな事の方がよっぽど自分の役割なんじゃないかなと考えている昨今です。

何だか何の話か分からなくなりましたが弊社はWWDC2012に参加しますという業務連絡なのでした。御客様皆様には期間中開発業務がストップしてしまうという事で御迷惑をお掛け致しますが、技術力向上により更なるスピードと品質を御約束する為の布石になるモノですので、どうぞご了承下さいませ。


2012.06.05 (Tue)

先月末 5/30(水) に新しいサービスをリリースしました。Slidrsと書いてスライダーズと呼びます。

先日のエントリの通り昼晩2回 USTREAM で発表を行いまして、のべ150人の方に視聴頂きました。今回、昨年2月のSYNCNEL以来の新サービスという事で気合を入れて記者会見ばりに動画配信してみた次第です。


(自社の会議室で。こんな風に記者会見風の格子状パネルを自作した)

…が、どちらかというとUSTREAMを使ったのは「気合を入れる」為ではなく、新サービスがまさに今回のようなプレゼンテーションの場を進化させるべく開発したモノなので、それを強調する為でした。

Slidrsは、セミナーや勉強会、イベントや発表会など、何かしら「プレゼンテーション」が発生する場面で使用して頂ける無償のサービスです。タイトル通りですが、ページめくりも同期するプレゼン資料共有サービス という表現がピッタリでしょうかね。

実際に体験頂くのが一番良いのですが、次のデモの時まで待って下さいね…とはなかなかいきませんので、簡単に御説明致します。

 

Slidrsは、多くの方が「プレゼンテーション」に感じているであろう

  • 紙資料の無駄
  • データ配布の手間
  • 今どこ喋ってるんだっけ問題

といった問題を、解決する為のサービスと言い換える事ができます。

セミナーなら「会場」に相当するもの、数人の会議なら「会議室」に相当するものを、Slidrsのサイトで作成します。これをSlidrsでは「セッション」と呼んでいます。

作成した「セッション」に資料をアップロードして登録します。基本的にPDFを前提としていますが、何でもok。動画(mov,mp4)、画像(png,jpg,gif,tiff)、音声(mp3,aitff)、テキスト、あとURLも登録出来ます。また複数枚の写真をzip圧縮したフォトブック形式でも大丈夫。(ちなみに Slidrs の特徴でもあるページめくりの追随が可能なのはPDFとフォトブック形式のみとなっています)

作成したセッションにはセッション番号が割り当てられます。上の図では 17 ですね。

発表者は、会場や会議室で「今日はSlidrsのセッション番号17でやります〜」と参加者に伝えます。参加者には Slidrs アプリをダウンロード&起動、更に17という番号を入力してセッションに「入室」して貰います。(参加者の方はユーザ登録不要です)

入力画面

もちろん、発表者も同じように17を入力して iPad や iPhone からセッションに参加しておきましょう。これで必要な環境は揃いました。後は、発表者が自分のiPadで資料を切り替えたり、ページをめくったりするだけで、参加者の画面は発表者の動きをほぼ完全に追尾するという訳ですね。

入室
(発表者が自分のiPadで選択した資料が勝手に配信される。PDFやフォトブックであればページめくりも追随する)

細かな機能は色々とあるのですがそれは別の機会に譲るとして、ザックリと新しいユーザ体験の「コア」な部分を御紹介しました。

 

Slidrsを使えば、資料の印刷が不要なので資源のムダになりません、データ配布もしてくれますから手間もかかりません、更にページめくりも同期しますから「あれ?今どこしゃべってるんだっけ?」ってな事にもなりません。

更にクラウド型のサービスですので、「特定のWiFiルータ配下のみ」ってな制約もありません。ロケーションフリーですから、USTREAMと併用すると遠隔地でセミナーや発表会に参加出来るようにもなる訳です。遠隔の会議でも使用出来るかも知れませんね。

 

iPadやiPhoneをお持ちの方で、もし人前で何か話をされる事があれば是非是非御利用下さいませ。全て無償ですので^^ 聞き手側にiPhoneやiPadを持っている方が多そうでしたら、非常に便利にお使い頂けるのではないかと思います。

先般の発表会を経て、Slidrsを何故作ったのかとか、活用法とか、ビジネスモデルとか、将来目指すところとか、色々と御質問を頂いておりますので、順次エントリしていきたいと思います。

詳しい使い方等はオフィシャルサイト http://slidrs.net/ を御覧下さいませ。また専用のiOSアプリはこちらからダウンロードできます。