その他
2014.01.12 (Sun)

弊社は iOS アプリ開発専門という事で看板を上げさせて頂いているのですが、時々ITコンサルティング的な事をさせて頂く事もあります。これまで、

  • 企業内のiOSデバイス運用御支援
  • エンタープライズ向けiOSアプリ開発プロジェクト御支援

など、iOS切り口で行うコンサルティングもあれば、

  • 上場会社様のウェブサイトリニューアルコンペの審査やその後の構築支援
  • システム開発における要件定義のお手伝い

などiOSが出てこない案件でお手伝いさせて頂いた事もあります。かつて自分がエンジニアとして広く浅く色々経験してきた事が奏功していると言いますか、何にせよどこかの瞬間で誰かのお役に立てているのは大変有り難い事ですね :-)

さて。

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中でも2012,2013年とおおよそ2年に渡って関わらせて頂いたプロジェクト e-casebook.com は医療の世界に新たな一石を投じる挑戦的なプロジェクトです。医療の世界は技術進化はめざましく、高度化した医療のノウハウを医師の間で共有あるいは承継する必要に迫られていると聞きます。特に手術に関するノウハウはそう。

「これこれこういう理由でこんな風に施術したんですよ」

「あの〇〇はこんなケースで役にたつんですね」

「あと、ここも結構難しかったかな、ここが△△な状態になってるので危険なのが分かる」

「なるほど、そういう見方ですか」

的な。この種の小さな知見の共有と蓄積がライトに素早くなされると確実に技術って進化するのですが、これが医療事情ゆえかなかなか難しく、必要なんだけど進まないらしい。

IMG_2002 © 2014 Amine GHRABI, Flickr

ソフトウェア開発の世界でいうと、優秀なエンジニアの知見は「ソースコード」というOUTPUTがネットを通して共有される事で、ノウハウが集積しブラッシュアップされ英知が集まり、より良いプロダクトになっていく仕組みがあって、オープンソースなんてのはその典型例です。

知見が形になったOUTPUTと、ネットを介した「共有」があってこそ成り立つもので、更に昨今ではGitHubのような仕組みが介在する事で、開発者間の「ソースコード」を介したコミュニケーションも実現し、ソフトウェア開発の知見は10年前には考えられないスピードで世界に共有されています。

GitHub © 2013 Irish Typepad, Flickr

ところが医療の世界はそうはいかない。

手術のOUTPUTって、そもそも究極の個人情報(患者本人の身体、写真・動画等を含む医療データ)です。データは、DICOMという医療用に特化した亜種がごまんとあるコンテナフォーマットで保存されるんですが、データを「見る」ぶんにはスタンドアロン型のアプリケーションで行う事が前提になっているという歴史があって、「共有」という概念にそぐわないんですね。そもそもデータが巨大だし(動画の世界で言えば巨大なコンテナフォーマットと化したAViみたいなもんです)、氏名/性別/年齢などを含めて個人情報天こ盛りだし。

 

患者の情報を共有しようという取り組みは昔からありました。XMLを使った地域医療連携ってやつですね。でもそれは患者情報を病院間で共有しようって話でそもそも医療技術・ノウハウの共有じゃない。しかも、大概はSIerの意向に縛られて拡がらない訳ですよ。標準だけど標準じゃないみたいな。

中には、億単位の国の予算前提で構築するのは良いけど、次年度以降予算がつかなければ運営不可っていう事態に陥って、結局大手SIerさんが予算を吸い込むだけのプロジェクトでしたぁ〜的なネタでしかない状態になり下がったりもする。全然、医療の進化や患者のことって度外視されてる訳です。

でも、ネット世代のいわゆる若手医師には、施術の知見を共有出来れば医学の向上に繋がるし、結果患者様の為にもなるんだ〜って強く思っている方々が沢山いるらしくて、草の根的に、施術のOUTPUTたるデータを、個人情報の問題に抵触しない程度に加工してクローズドなネット空間で共有・議論する事を既に始めてるのだそう。Google画像検索で DICOM って検索すると沢山出てきますが、こういう医療画像の断片をネット経由で共有して、それに基づいて議論するだけで知見って拡散できると。

そんな草の根のトレンドを嗅ぎ付けて、OUTPUTの共有を通して医療技術の共有と議論のプラットフォームを法的問題無く作りたいと考えられたのが(株)ハートオーガナイゼーションさんという会社様で、僕は2012年から「じゃぁそんなプラットフォームをどう実現するのか」の議論に技術的視点で参画させて頂いています。

  • プロプライエタリ(特定ベンダー固有)な技術の排除
  • 「標準」のみで実現する為の仕組み
  • 法的に問題無い「共有」の実現

等について考察して要件も定義して、結局ウチが開発を担当させて頂きまして、紆余曲折ありながら初期バージョンを完成させたのが昨年秋。DICOMから個人情報を除去して、クローズドな仮想会議室上に配備、限られた医師がそれを元に議論する器を Web 標準な技術のみでAWS上に構築したものです。

実際に、医療系のよく知られた国際的イベント CCT2013 という展示会にも出展され、上述の若手医師等からの反応は上々だったようです。また、海外から来ていた医療関連企業の役員も面白いと仰っていたとか。

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この写真は実際に展示されていた時の様子ですが、画面左半分が、いわゆる循環器系のカテーテル治療のDICOMデータ(個人情報は除去して問題無い状態になったもの)です。造影剤が血管の動きを表してドクンドクン動いてるような画像ってTV等でも見られた事があると思います。右半分がそれについて議論するタイムラインですね。ここで「この瞬間、ステントが拡がってますよね」的なdiscussionをすると。

iOSとは全然かけ離れているのですが、こういう事もさせて頂いてます。

 

さて、今回御紹介した e-casebook.com ですが、この度、今後の事業拡大を画して開発体制強化をお考えです。日本政策投資銀行のビジネスプランコンテストで最終選考にも残った実績もお持ちで、目の付け所が素晴らしく、なるはやで理想形に近づけるべく開発スピードUPという事のようです。開発においてスピードは常に正義ですから。

今改めて、内部で開発体制を組み、アジャイルな開発で現場の声をほぼリアルタイムにすくい上げ反映させ進化させていくサイクルを高頻度に回していく、事業的性質を考えてもそうなった方が絶対に良いとアドバイスさせて頂いた事もあり、現在 Find Job! にて求人されてます。

新しいサービスを世界に発信する新規事業開発チームのスタートアップメンバー募集!

医師の知見を共有し医療技術の世界的向上を目指すという非常に革新的なプロジェクト。そもそも画面は全部英語だし、最初から World Wide な展開を視野に入れられてます。今回、ひとまずWindowsエンジニアとサーバサイドのエンジニアの2人をお考えの様子。医療の世界ってまだまだITの活用可能性が多くて面白い分野だと思いますし、給与も悪くない筈ですので、ご興味ある方は是非エントリしてみて下さいませ。上述のように僕は技術コンサルという立ち位置で関わっていますので一部面談もさせて頂く事になると思います^^

 

と、IT関連プロジェクトの技術的な御支援もやってますよー…という御紹介でした。ITを使った何かシステムを作りたい、でもどこからどう交通整理をして進めたら良いか分からないという方がおられましたら宜しければお声がけ下さい。


2013.12.31 (Tue)

2014年になりました。

2014

例年以上に年末感なく新年を迎えました。

TVを見るでもなく、カウントダウンするでもなく、いつも通りに寝て、いつも通りにAM4:00に起床、いつも通りに朝食を食べて、いつも通りに家近くの神社で通算2000回目ぐらいのお参りをしました。まったく変わりませんね(笑)

年始だからというより、本日より弊社の第9期スタートという意味で、気持ち新たに全力で1年駆け抜けたいと思います。相変わらず会社やビジネスの事ばっかりな1年になりそう。昨年末のエントリ通り既存事業を強化しつつですが、仲間は多分1人は増えてますかね、新しいビジネスにも挑戦します。

一方、プライベートでは余り変わりなく、僕のビジネスに巻き込む形で、奥さんにはまた色々と付き合って貰う事になりそうです。いつもありがとう。

2014年、皆さんにとっても素敵な1年となりますように。今年もどうぞ宜しくお願い致します。


2011.12.31 (Sat)

2012年です。いわゆる年賀状の画像。

合理化の一環で昨年まで200枚以上作っていた年賀状を9割以上削減致しました(コスト削減というより時間の節約)。本年より facebook や twitter 等で連絡が取れそうに無い方にのみ送らせて頂く事にしました。

今日から弊社は第7期(決算期の関係で創業からは丁度6年半)に入りますが、経営者の自分が思い描く「企業とは」の1つの解を示せる年だと考えています。

元開発者による開発者の為の会社と銘打つ理想郷が、決してはかない夢ではなく、有期限的なモノでもなく、サスティナブル(持続可能)な組織として構築可能であるという事を証明してみたいと思います。

重要な節目の年になります。2012年、どうぞ宜しくお願い致します。


2011.09.26 (Mon)

つい1週間程前。

Windows 8のタッチUI用IE10はプラグインに非対応。FlashもSilverlightも使えず

つまりWindows 8上のInternet Explorer 10をタッチUIで操作する場合、プラグインとして提供されているFlashにもSilverlightにも対応しない、と見られます。

こんなニュースがネットを賑わしました。タッチパネルを使ったUIでWindows8を動作させる場合はプラグインがダメ=Flash使えない、つまり将来Flashサヨナラか?と。

原文のエントリに対するコメント欄ではホントにそうか?的な議論がなされていたり、実際じゃぁPDF閲覧もプラグインだけどそれもダメなの?どうなるの?とか、ActiveXは限定的に使えたっぽいよという情報もあって、実はまだまだ断定できる状態ではないかもと改めて感じましたが、MicrosoftがOSレベルでHTML5+CSS3+JSでのアプリ開発にコミットしようとしている事は今後のFlashにとって大きな暗雲であるのは間違いありません。

Extreme weather © 2010 Kevin Dooley, Flickr

iOSでは既にダメだし、Windows8のタッチUIでもダメ。Adobeの Open Screen Project(FlashやAIRをベースに全てのデバイスでリッチなコンテンツを提供しよう的な取り組み)は頓挫する事やむなしかも知れませんね。Adobeも分かってるんじゃないでしょうか、やっぱりダメかって。やっぱりHTML5かって。ここ最近の動きはそれを象徴しているかのようです。

などなど。HTML5やその周囲のテクノロジに歩み寄ってる(歩み寄らざるを得なくなってる)のが良く分かります。加えて、まだまだFlashが優勢だと言われている分野も幸先が良い訳ではありません。フルスクリーン表示は既に実現されているし、お得意のカメラ/マイクへのアクセスは html5 device ってのがありますし、3DについてはWebGLが待ち受けます。

これだけ並べると、さすがにFlashに光が刺している気がしません。ホント、時代と共にFlashである必然性は益々薄くなっていく他ないんじゃないでしょうか。企業向けのデスクトップベースなソリューションに限ればありかも知れませんね。環境の統一が保証出来ますから。でもそれ以外、つまりコンシューマ向けとデスクトップではない企業向けソリューションにおいては、今後リッチなユーザ体験を提供したいなら、HTML5によるWebアプリかネイティブアプリ。これは間違いなさそうです。HTML5の表現力を見るには以下のサイト等が参考になりますが、

Flashいらないよねとしか言葉が出てきません。圧倒的シェアを持つWinが一部対応しなくなるかも…と言ってる訳で、そのリスクを背負ってまでFlashを使い続けるエンジニアやFlashを提案するSIerやFlash採用を決定するクライアント企業がどれだけいるのかと思うと、残念ながら…の結末しか無いように思います。

HTML5で良いじゃん議論はスマートフォンやタブレット端末のアプリ開発でも言える事で、そんな気運も高まりつつある事を感じる今日この頃なんですが、そこは色々と思う所があるのでまたの機会に書いてみます。


2010.05.05 (Wed)

思い切って先日、新しい万年筆を買いました。

まともに万年筆を使うようになってから2年。持ってないと不安になるぐらい万年筆でモノを書くのが当たり前になるに至り、もっと書きやすくズッシリ感がありリッチな感じのモノはないものかと。自分で色々探してみたり、Twitterで @rizumita さんに勧められたりもして結局辿り着いたのがこちら。

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WATERMAN の EXPERT

[](http://www.waterman.com/jp/style/pens/expert)2年間使い続けたかなり安価なPILOT万年筆からの乗り替えです。普通に¥15,000ぐらいしますので決して安いもんではありません。昔の自分なら100円ボールペンで満足だったので一体何倍なんだよって話なんですが、思い切って買っちゃいました。

創業してしばらく経ってふと受験生時代や大学生時代を思い起こした時に、自分にとって多くの場合、書く事が考える事に繋がってるきたなぁと気付いたんですね。人それぞれだと思いますけど、自分はどうやらほぼ書く事によって思考してきたんじゃないかと。

じゃぁ思考の道具と言えるペンとノートは良いモノ揃えたいよなと思うに至り、万年筆を使うようになり、ノートも1冊2000円はしようかというものを使うようになり、手に馴染んできた万年筆も買い換えるに至ったという訳です。そして普通に書く事が楽しくなったと。別にモノ書きじゃないですのにね。

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良い道具が良い結果を生むとも言いますから、思考の整理や質向上(?)には役立っているんじゃないかなぁ思います。

まぁそんな訳で新調した万年筆で書くことを楽しんでる今日この頃。

仕事で「書く」って行為は結構重要だと思うんですが、行為そのものが楽しめるって何か良いじゃないですか。手段が目的化する楽しみっていうんでしょうか。これはバイクに乗る事にも通じるものがあるかもですね。かつてバイク乗りだったのも関係ある?(多分無い