以前にも紹介した事がありますがウチはアイディアをOUTPUTする事を推奨する制度があります。アイディア1つで500円のamzonギフト券が貰えるという制度。

別にそのアイディアが「良い」と判断されなくちゃいけないとか、プロジェクトとして「採用」されなくちゃいけないという条件は特に無く、

  • アプリやサービス等の新企画
  • 社内で気がついた問題点とその改提案

といった、何かを生み出したり、何かを良くする見込みのあるアイディアであれば、OUTPUTするだけで500円のamazonギフト券が貰えます。宇宙エレベータを作るとか、今の自分たちではどうしようも無い感が超高いと判断できそうなもの以外は何でもok。

「だから、沢山アプリが出てくるんですねぇ」

という声を頂く事もあるんですが、ご褒美的な報酬があるだけでは新しいアイディアが生まれ続ける事は無いと思います。生まれたアイディアを受ける「器」が無いと、アイディア出そうぜ!と発破をかけた瞬間には何かが出てきたとしても、それを継続させるのは難しいと思うんですよね。

  • アイディアを発表する場が定期的にある
  • アイディアを形にする事を後押しする

という仕掛けが「器」として、会社の制度として、機能しているから継続的にアイディアが出てくるのではないかなと何年かやってみて思う訳です。さすがにまぁ毎日何か出てくるって訳じゃないんですけど。

lamp © 2014 freemanphoto, Flickr

アイディアを出したらそれを形にさせて貰えるんだ、放置にはならないんだ、という状態を作り出す事が特に重要で、よくあるのは(自分が前いた会社にもありましたが)、全社的にアイディアを出しましょう〜〜ってな呼びかけがあって集まるは良いけど課長/部長/役員クラスまで議題になっていく過程であーでもないこーでもないと時間がかかる割にnegative意見がぶつけられるだけで結局何も始まらず呼びかけた歴史が残るだけで終わるパターン。

合議制がアイディアを潰すとはよく目にする意見ですが、それよりも、僕はこういう優柔不断さが組織に露呈する事でアイディアを出すモチベーションが下がってしまうことの方が問題だと思ってます。

アイディアが出たら、ポジティブなリアクションを会社としてすぐに返す。例えばアプリのアイディアがあるなら、すぐにプロトを作り始めるようGOサインを出せば良い。是認する事が大事でしょう。

ウチの場合、水曜日の13:00〜14:00が定期的なアイディア会になってます。皆、アイディアを事前に社内システム(Redmine)に登録しておいて、それを水曜日の午後に発表します。皆でそれを聞く。アイディアが何も無く終わる時も結構ありますが、それでも続けます。アイディアが受け入れられる器が存在する事が大事なんですよね。

アイディアを発表して貰い、何かしらリアクションします。否定するのは基本無しで、どっちかっていうと場にいる皆で香辛料を振りつける感じですか。こんな事もできそう?とか、こんなのどう?的な。その時間の僕の役割はいわゆるファシリテーションとGOサインを出すこと。基本否定はせず肯定しかしません。「ふんふん、なるほど、良いんじゃない?」って言って、発案者本人だけで完結するなら「じゃ、やってね、このあとすぐ」って言うだけです。

だから、水曜日の午後はその会のあと終業まで「聖域タイム」として基本的に通常業務をしない時間枠にしていて、その時間を使って作って貰います。以下はエンジニアのタイムテーブル。

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そして、ウチではメールも電話もエンジニアとは直接繋がないし、開発室には突然の来客も含め一切ノイズが無い状態にしていますから、早ければその時間でプロトが出来ちゃう訳ですね。で、プロトを見て、担当案件の進捗度合いを勘案し、「じゃぁ、明日からちょっとリソース割いてみて」って案件化させます。で、気がつけば、受託もやりながら残業無しで、自社アプリ達は5年たってこんな事になってます。人数の割に結構多い。

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アイディア会から出たものは結構あります。まぁこれはアプリという形があるので分かり易いかも知れませんが、別にアプリ開発事業じゃなくても一緒ですね。スタッフからのアイディアにはとにかくポジティブなリアクションをすぐに返す

そして、仮に「じゃ、やってね、すぐ」ってGOサインを出してもその時間が取れなければ形になりませんから、それを会社としてサポートしてあげることも重要です。人間、アイディアを出すって事は、少なくとも課された日々の業務よりも絶対に「やりたい」というモチベーションがあります。これ、普遍の事実。それを組織として後押しする、後押しする以上はそれを遂行できるよう環境を整備するのが重要です。何か言いたいとしてもウダウダ言わない。

  • アイディアを発表する場が定期的にある
  • アイディアを形にする事を支え後押しする(すぐに)

これだけで結構アイディアって出てきます。回り出したらしめたもので、ひたすら続けるのみですね。

 

アイディアを受け付ける仕組み、アイディアを発表/議論する会、アイディアを形にする時間、それを後押しする環境、が全部揃って新しいアイディアって生まれ続けるんじゃないかなという話。

時々、アイディアってどうやって出てくるんですかねーと聞かれる事があるのですが、新しいアイディアがなかなか出てこないという企業さんは、まず四の五の言わずどんなアイディアにもお金でもってリアクションするという仕組みだけでも取り入れたら良いんじゃないかなーと思うんですが、どうでしょうかね。

ウチと同じく1アイディアで500円のamazonギフト券だとしたら、仮に毎月1000個のアイディアが上がってくるとしても高々50万円。下手なコンサル入れるよりよっぽど安いですよ。

んで、まずは、本人だけで完結あるいは試行が出来そうなアイディアについて、週1時間の自由時間を与える。場合によっては予算もつける。支えて後押しする。それだけでアイディアって出続けると思うのです。