経営
2018.07.07 (Sat)

本日で会社設立から丸12年です。

早いもので干支が一周まわってしまいました。自分で言うのもなんですが、金なしコネなし実績なしの無い無い尽くしで始めたのによく続いてるなと思います。これまで弊社に関わってきて下さった皆様、今まさに関わって下さっている皆様あってこそです。改めてお礼申し上げます。ありがとうございます。

 

12年目の成果

12年目に掲げてたやりたいことはできました。以下は、昨年11周年の時に書いてたことですが

  1. B2B iOS 事業 MICSS の強化
  2. Webの静的化サービス espar の強化
  3. 新しい労使のあり方の模索や発信

1.の件はありがたいことに、新規を含めてB2BなiOSアプリ関連で色々とお手伝いさせて頂いております。注目のアプリ事例ということでMacFanにも載せて頂きました。エンタープライズ系のiOS導入/運用に関する知見は国内一の自信がありますので宜しければ御相談下さい。

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(MacFan 2018年7月号に掲載。iPod touch がチェックイン時に渡されるホテルでアプリ開発/運用の御支援)

2.のWeb静的化をするespar事業も、実績が少しずつ積み上がっていってます。

サイトのスピードが60倍になってPV増、売上増、DDoS攻撃にも耐えた、なんて具体的な成果もあったりで静的化というアプローチが間違っていないことの手応えを感じています。今、幾つかの事例インタビューをさせて頂いてまして、具体的な実績は徐々にOPENにしていく予定です。

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(KUSANAGIの移行、静的化、冗長化、監視、バックアップ、開発環境用意などをフルセットで御提供できるようになった)

3.の働き方発信については、やはりリモートワークメインへの切り替えでしょう。素晴らしく機能しています。リモート率は60-70%ぐらい。リモートワークに関連して、Oculus Go で社内mtgするって新しい取り組みもはじめました。今は会社から会議用デバイスとして支給しています。

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(リモート時の会議用に買った Oculus Go の動作検証中の図)

 

13年目に取り組みたいこと

アウトプットは今後も続けますが、新しいこともやりたいと思ってます。特にセミナーですね。

先日、自社の会議室のレイアウトを変えてみたら、ちょっとした小規模なセミナールームになることに気がついたんです。机ありなら4,5人。机なくせば10人強は余裕でいけます。

20180707_seminarroom
(案外スペースを無駄に使っていたのだなと反省)

壁にプロジェクターで120インチ相当ぐらいの投影ができそうですし、ネットワークもあるし、環境は問題なし。ちょっとしたハンズオンセミナー、座学ベースのセミナー、動画の鑑賞会とか、座談会、ゲーム大会とか、まぁ色々できそうだなと。

何より自社スペースなので、相談や打診の必要なく完全に自分たちのペースで開催できます。実験的な試みもや、少人数と割り切るからこそできることなど可能性が広がるってもんです。

で、早速手始めに、弊社のespar事業に絡んで、Web制作関係者様向けの少人数ハンズオンセミナーを無償でやってみようと思ってます。Webサイトを支える技術で普段曖昧にしてしまっている事が正しく理解できます!みたいな。

怖くないDNS、証明書の正しい選び方、公開鍵認証、FTPはなぜだめか、悪いPHPテーマとは、落ちないサイトの作り方、負荷分散、監視、CDN、静的化、リバースプロキシ…。

なぜこれをやろうと思ったかは、書くと長くなるのでまた別エントリで改めて書こうと思います。

これも、自社でセミナーができると分かったから出てきたアイディアです。物理的な空間があるってのは案外良いかも知れない。できることの幅がグンッと広がりました。13年度は遊んでいるmtgスペースを有効活用していきたいと思います。

 

そんな訳で、13年目突入です。今後ともフィードテイラーをどうぞ宜しくお願い致します。


2018.06.04 (Mon)

(所要時間 : 約2〜3分)

3月から初めているリモートワーク主体へのスイッチ。比率を少しずつ上げて試しています。5月は稼働日に対する リモート比率が57% まで上がりました。ついに半分超えです。ビジネスのスピードも全く落ちておらず、業務上何も問題は起こっていません。

リモート主体にするぞと宣言してから3ヶ月程度でリモート成分を急速に上げましたが、ここからは少し速度を落として調整フェーズに入ります。この水準(5-6割程度のリモート率)なら確実に業務は回せる自信はあるので、リモート5割前後を前提に会社のあり方も再考していきたいなと。

そこで、オフィスです。

 

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(Thanks! the photo on flickr by Joe Flood / CC BY-NC-ND 2.0)

完全専有型オフィスにお金をかける価値

弊社はそんなに広くないですが、最寄り駅が大阪の中心地「梅田」から1駅の南森町で、駅から徒歩1,2分の好立地、設備も良い。光熱費込みでだいたい月に15万円前後を支払ってます。(冬は暖房費で20万弱)

ついつい忘れがちになりますが、会社経営、特にソフトウェア開発の会社経営においては、オフィス維持費が人件費に次ぐ高額なキャッシュアウトなんですよね。オフィスを動かすのは大層過ぎるぐらい大層だし、オフィスは事業拡大と共に大きくするモノなので目が向きにくい。

が、もはやリモートワーク主体となり、オフィスを実質半分しか使ってなくても生み出す価値に影響がないとなれば、そのキャッシュアウトの価値を問うても良いでしょう。

ちなみに最も大きな固定費である人件費は、創業以来ずっと「いかに上げていくか」しか考えておらず、実際ほぼ例外なくそうしてきてます。そこは上げる方向にしか思考が働きません。

で、問題のオフィス維持費です。平均して月15万円も支払う価値が果たしてあるのか?…使用率が50%程度でも問題ないのなら適正とは言えません。再考の余地があるなと思う訳です。そもそも、どんなオフィスが望ましいのか。

 

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(Thanks! the photo on flickr by Daniel Andrade / CC BY-NC-ND 2.0)

シェアオフィス型 + テナント型 + α ?

通常、オフィスとは24時間365日自由に使える完全専有型です。通常閉じた空間で、内装は自由。各種オフィス設備は各社が買うかリースしてハコの中で用意する。

一方シェアオフィス型は、企業間の交流を促進するようなフリースペーススタイル、プリンタ等の共用設備はシェアという組み合わせ。

この中間が欲しいと思いました。

シェアオフィスにプレミアムなプランがある場合もあります。共用設備は自由に使えてフリースペースも使用可、それに加えて専有のハコを借してくれるタイプ。でもそれも結局、ハコは24時365日専有なのですよね。この専有部分を例えば、月・木だけはフィードテイラーさん専有で、ということができて欲しい。

部屋に常設されてるのは、幾つかの机と椅子、あと27inchディスプレイが1卓あたり2台ずつ、壁は全面ホワイトボード。MacBookを持ち込む前提で毎日持ち帰り。部屋内設備は以上。それ以外の設備は共用。企業専用の鍵付きラックはオプションで契約可能。

こんな感じ。

弊社は月・木だけオフィスとして使わせて貰うと。出社日に部屋に集まり終日仕事をする。それ以外の曜日は別の会社が使うのでリモートワーク。自宅でもカフェでも、共有のフリースペースでもいい。部屋に機密情報を残さないのは入居企業の責任、物理的にオフィスに保管が必要なものは別途契約する鍵付きラックの中に入れておく。

こういうオフィスって無いものでしょうかね。部屋を準占有させて貰うような契約が可能な物件。で、専有率で費用が変わってくるようなイメージです。週2の準占有で今より費用安いなら凄く良い。

 


(Thanks! the photo on flickr by David Martyn Hunt / CC BY 2.0)

僕が知らないだけかもですが、こういうオフィス向け物件は見たことがありません。責任の所在がややこしい、法律的に難しいという理由があるのかもですが、恐らく不動産オーナーが儲からない・面倒臭いってのが一番大きいのかも知れませんね。借り手に都合良すぎますから(笑)

冒頭の通りリモート率が恒常的に5割でも受託系・自社開発系ともに回せることが実証できたので、5割使用率にしかならないモノに満額のお金をかけるぐらいなら、その分で福利厚生を充実させたり、仕事で使うクラウドサービスを増やして更にリモート率を高めるとか、のほうが費用対効果が高いと思うのです。

とはいえ、完全にオフィスが不要って訳ではない。そこがまぁ難しいところなんですけどね…。

リモート主体での会社のあり方の再考、まだまだ続きます。


2018.06.03 (Sun)

(所要時間 : 約4〜5分)

ケーブルもいらない、パソコンもスマフォもいらない、ただかぶるだけでVRの世界にダイヴできる というスタンドアロンVR、今年はその元年だそうです。元々、スタンドアロン型が出てこないとVRは浸透しないと思っていたので、これまで手を出さずにいました。

ご承知の通り今年の5月、満を持してOculus GoMirage Soloが登場。まずは研究してみようと両方を即発注。5月中頃には両方とも手にしてました。

OculusGo
(この2つだけでVRの世界に入れる。他は何もいらない)

数日使ってみた感想は、OculusGoのコストパフォーマンスは半端ない。没入感は十分。かぶるだけでokという手軽さで確実にVRのハードルは下がる。エンタメ・ゲーム以外の活用例が増える筈…といったところ。

活用例、気になりますね。特にビジネス。

ちょうど弊社は3月から、原則出社ではなくリモート主体にしようと切り替えていってる最中でしたので、自ずから「VRをリモートワークで使う未来」に想像が膨らみました。そんな未来の片鱗に触れられるチャンスがあれば良いな〜と思ってたのですが…

スミヒロさんslack

そんな機会が訪れました!やりましょう、VRミーティング!

アプリ界隈では知らない人いないと思いますが、お相手は最速の人 @sumihiro さん。とある新規案件の相談で slack で会話している時に、Oculus Rooms を使ってみることになったのです。

Oculus Rooms とは、仮想空間の中で一緒に遊ぼう!がコンセプトの無料アプリ。仮想空間内の自分の部屋に友達を招待して、一緒にチェスしたり動画を観たりってことができます。これを使って、ガチに仕事の会議をしようじゃないかというわけ。

Oculus Room で仕事会議を体験した感想は…同じ場所にいる感が凄いということでした。

 

Oculus Rooms での会議の様子

Oculus Rooms アプリを立ち上げると、そこはタワーマンション高層階の一室。自分の部屋です。


(窓から見える外の景色や部屋の床の色などを設定で変えられる)

この部屋に @sumihiro さんを招待。facebookで友達になってる人を招待することができます。早速呼んでみましょう。ポチッと!

20180603_sumihiro-on-oculusroom
(自分のアバターは、髪型から肌の色から身につけるものまで相当な組み合わせから自由に作れる)

声が先に繋がって、そのすぐあとに @sumihiro さん登場!

「こんちは〜って、髪の毛、赤っ!(笑」
「ご無沙汰してま〜す。わははは、そなんです(笑」

と、和やかに始まった会議。リビングルーム内のアーチ状のソファーに2人で腰掛けて、見晴らしの良い景色を見ながらという構図になります。あぁ、何と優雅なミーティングでしょう。

音声の品質は全く問題なく、タイムラグも感じず、音については普通のビデオ会議と何ら変わりありません。申し分ない。ですが、決定的に異なるのが、異様なまでの同じ場所にいる感。声も相手のいる方向から聞こえますしね。

ありえない景色とありえない相手の出で立ちなんですが、違和感を感じません。これが不思議と会話を弾ませます。これほどまでに話がし易いとは。


(僕が相槌をうったり頬杖をついたりする動きに連動しているので、録画動画として見ると少し見にくい)

既存のビデオ会議は、「雑談がやりにくい」「ディスカッションしにくい」という欠点があります。きっとそれは空間を共有してないからです。異なる空間(例えば会社と社員の自宅)を繋げただけですから。

Oculus Rooms は違います。「繋ぐ」のではなく「集う」のですよね。お互いそれぞれの現実世界から離れて、仮想空間に集まって話をします。仮想空間でって論する。そう、文字通り会議なんですよね。会って議論することが会議なら、Oculus Rooms のユーザ体験(UX)はより会議に近いと僕は感じました。

従来のビデオ会議より話がし易いと思ったのは僕だけじゃなかったようで、@sumihiro さんもほぼ同じ感想だったのか、直後にこんなtweetをしてました。

おそらくこれは体験しないと分からない感覚かも知れません。仕事会議をガチでやってみた感想を端的に書くと、

  • 仕事会議でも普通に使える
  • 驚くほど会話がし易い

ということです。会議の議題と目的が明確で、言葉を交わすことが重要な会議なら Oculus Rooms は取りうる選択肢だと思います。共にそこにいる感が会話を弾ませますから。同じ会話をするのなら、弾む環境のほうが良いですよね。

 

Oculus Rooms での会議の様子(現実世界)

仮想世界に入って仕事会議している様子を事務所にいた @ikunee に撮って貰いました。

没入感が高いシステムですから、一度入ってしまえば、そこはもう、来社して貰った自社の会議室か、訪問させて貰った相手方の会議室なんですよね。入ってる当事者的には。ただ現実はこう。

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(MacBookは Oculus Rooms に入る前にメモを見ていたため。仮想世界からMacBookの画面が見えている訳ではない)

リアル世界で非常に滑稽な姿になっていることに気づくこともなく、仕事の会話に没頭することができます。というかここは自社の会議スペースであったということすら忘れてたぐらい没入してました。


(右手側に実際に相手がいるかのように真剣に仕事の話。が、現実世界には誰もいない)

普通に会議室で相手と仕事の会議をしているのと全く変わらない感覚なんですよね。周りが殺伐とした白い壁なのか、高層マンションの一室なのかの違いがあるだけ。

ただ、一つ忘れてならない点があります。それは @sumihiro さんとは現実世界で既に7,8年の付き合いがあるってこと。そもそも元弊社のエンジニアでもありますから、お互いの仕事のやり方も分かってるんですよね。既にある信頼関係が重要な要素だったのは間違いありません。

Oculus Go + Oculus Rooms が優れたユーザ体験を提供してくれていることは間違いないですが、それだけでは多分お互いこういう感想にならなかっただろうなと。

全く会ったこともない人と Oculus Rooms で仕事の話ができるか…というと、それはちょっとまだ疑問符がつきます。リアル世界でまず会ってからにしたい。現実世界で実際に会っている経験はやはり大きいと今はまだ感じます。

ただ、Oculus が出てたった5年程度でここまできてるので、5年後は分かりません。従業員やパートナーの顔も見たことないまま仕事が進んでる…そんな世界は100%来ないとは誰も言えないでしょう。

 

20180603_oculusrooms-initiallinvingroom

Oculus Rooms で仕事会議をするメリット・デメリット

せっかくなので箇条書きでまとめます。勢いで書いているので漏れがあるかもですが、Oculus Go + Oculus Rooms を使ったリモート会議をやってみて思ったことです。

メリット
  1. 空間を共有している感覚があって話がし易い
  2. リアル世界の場所や自分の服装を気にしなくて良い
  3. 思いたったらすぐに会議ができる(これはビデオ会議も一緒)
デメリット
  1. 印刷物や造形物などリアルな手触り感が必要な議論は難しい
  2. ホワイトボードやプロジェクターなどの会議アイテムが使えない
  3. テキスト活用ができない(メモを書く、チャットでメッセージを送信)

メリットばかりなわけもなく、表の通りデメリットも沢山あります。が、これらは時間がある程度解決してくれそうな気がしますよね。

2の会議定番アイテムはアプリがあれば良いだけですし、業務の種類によってはブラウザアプリだけで解決することも多いでしょう。スクリーン共有もできるとベターですが、その実現に技術的な問題は余り感じません。

3はコントローラーが何らかの進化をしたり既存のペン型デバイスか何かが連動する仕組みがあっても良いかもですね。(参考 : 完成度の高いVR用スタイラス「Drawboard Pen」発表 | VR Inside, 「VR空間でデザイン」をワコムが提案 試作機でデモを披露)

今のところ、Oculus Rooms を仕事会議で使えるシーンは、議題と目的が明確で議論することが主旨である会議でしょうね…。でもよくよく考えると、課題と目的が明確でなく、且つ議論が主ではない会議ってそもそも現実世界でもやる意味あるのか?って話ですが(笑)

 

リモートワークVR、体験してみませんか?

なんと滑稽な…そんな会議があってたまるか…という意見もあるでしょう。パッと見のアバターの様相は「いかにも」でビジネスビジネスはしていませんし。

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(会議中に家のインターフォンが鳴って、一時的に現実世界に戻っている @sumihiro さん。アバターがグレーアウトしている)

でも、ここはひとつ疑いの目で見るのではなく、まずは多くの人に Oculus Go + Oculus Rooms を体験して貰いたいなと思いました。そこにいる感が圧倒的に違いますから。できれば仕事の会議で体験して欲しい。

各社の色んな体験とその共有が、未来の働き方を醸成していくのだと思います。新しいアプリが生まれ上述のデメリットが次々と解消されていったりもするかも知れませんね。リモートワークでVRを活用するのが珍しい事ではない未来も考えられます。

そんな訳で弊社はこれを機会に、リモートワークVRに積極的に取り組んでいきたいと思います。そこで得た課題や気づきを共有できればなと。

あ、ちなみに。VRを事業にするつもりはありません。既に専門家が沢山いらっしゃいますので。弊社にとってスタンドアロンVRは、あくまでリモートを主体とした新しい働き方を実現する為のツールです。

 

以上、Oculus Go + Oculus Rooms を仕事で使った体験記でした。弊社とお仕事ご一緒させて頂いてる方で、Oculus Go をお持ちの方、一度ガチで仕事VR会議いかがですか? :-)


2018.05.06 (Sun)

(所要時間 : 約3〜4分)

先日のエントリでリモートワーク主体に切り替えることついて書きました。4月は取り組みを更に加速させ、21営業日中の10日をリモート日としました。47%なのでほぼ半分のリモート率です。

変化が急過ぎるかなと思いましたが、やってみると全然問題なく仕事はまわってます。むしろまだリモート率上げられるなという感じなので近々逆転させる予定。思ったより速くリモート主体に移行できそうです。

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(Thanks! the photo on flickr by Citrix Online / CC BY-NC-ND 2.0)

特別な準備もなくリモート主体に転換できてる訳ですが、要(かなめ)になってるのはチケット管理(タスク管理)を徹底してることにあると感じてます。チケット管理しっかりできてるな〜という実感がある会社は、すぐにでもリモートメインに切り替えれるんじゃないでしょうか。

今回は、急なリモート主体への切り替えに耐えれている、弊社のチケット管理について少し書いてみようと思います。主に、マネジメント側の不安についてです。

 

弊社のチケット管理

チケット管理、タスク管理、TODO管理、バグ管理….色々と呼び方はありますが、やらなくちゃいけないことを管理するシステムは、自分が雇われエンジニアだった時から結構触ってきました。

  • Bugzilla
  • Excel
  • 影舞
  • Google Spread Sheet
  • Redmine
  • Backlog
  • Trac
  • Trello
  • JIRA
  • GitHub Issue

懐かしいものもちらほらありますね。弊社のチケット管理の歴史はシンプルで、

時期 ツール 適用範囲
2006年〜2010年 Trac 社内案件
2010年〜 Redmine 社内案件
2011年〜 Backlog 社外パートナーが絡む案件

って感じです。10年以上前からチケット管理をやってますので、結構早い頃から社内タスクの見える化ができてたのではないかなと。

今でもまだ運用の仕方に洗練の余地がありますが、チケット管理の徹底が、リモートワークあるあるの「誰が何をやってるか分からない」というマネジメント側の不安を解消しているなと感じてます。

マネジメント側と言っても弊社の規模だと社長である僕だけですが(笑)、まぁ不安は皆無と言って良いです。信頼関係もありますが、チケットに情報が集約されてることが不安の解消に寄与しているのは間違いありません。

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(Thanks! the photo on flickr by Pete Tschudy / CC BY-NC-ND 2.0)

全ての仕事はチケットに紐付く

弊社内でのチケット管理ルールは、

  • 業務時間中の作業が常にチケットに紐付いていること
  • チケットに記録をできるだけ細かく残すこと

の2点。一日の終わりに「◯◯さん、今日は何をして、その状況はどんな感じ?」と尋ねた時に、◯◯番のチケットです。というやりとりだけで基本済むようになってます。チケットに紐付かない仕事はありません。(社外の方とやりとりするBacklogはここまで…ではありません)

実際、弊社では一日の終わりに slack で日報投稿するようにしてますが、だいたいこんな感じになります。

20180507_slack.png

f#XXXXXと書いてる番号がチケット番号。自動的に対応するURLを投稿するhubotが稼働してますので、チケット詳細がワンクリックですぐ見れるようになってます。

slackで一日単位のタスクの動きが把握できるほか、プロジェクト全体のフィードを見てれば、

20180507_vienna.png
(モザイクでほとんど何書いてるか分かりませんが…笑)

誰がどのタスクを終えたのか、日中でもどんどん情報が集まってくるようになっています。ってチケット管理に慣れてる方なら当たり前だと思いますので、どちらかというとチケットの種類や中身のほうに特徴があるかもです。

 

チケットに時系列の記録を細かく残す

弊社がTrelloやカンバン方式をメインにしない理由でもあるんですが、時間軸の記録を結構大事にしてます。時系列に、何した、あれした、どうなった…と結構細かくチケットに書くんですね。

ちょっと極端な例ですが、一例をあげるとこんな感じ。「KUSANAGI for さくらVPSへの移行」というWordPress環境の引越し作業のタスクです。

20180507_redmineticket17218

だいぶ長いですね。印刷するとA4で10ページぐらいになります。

Redmineをご存じの方は見慣れた画面ですが、最上部の黄色いところがタスクの内容、その後に時系列コメントが並びます。移行作業で、サーバで何をしたのか、設定ファイルをどう変えたのか、パフォーマンスはどうなったか等など、ガンガン書いていきます。

会社によっては「もっとチケットを分割すべきだ」となりますが、このタスクについては最小粒度です。「公開鍵を置く」「NGiNXを設定する」「KUSANAGIのプロビジョンを設定する」「MariaDBの設定をする」「DBにdumpをimportする」てな感じまで分割するのかって話なので、そこまでは必要なかろうと。

ま、そのへんは臨機応変に僕がチケット分けて〜と言ったり僕が分けちゃう場合もあります。あと、設定情報等は別途wikiに転記して整理するとか、gitのコミットが連動しているとか、+αな連携もさせてます。

他には、こんなチケットもありますね。「◎◎様に提案する為の Dropbox Business Advanced についての調査」という題目。これはちょっと短め。

20180507_redmineticket17233.png

商流をどうするか、販社はどこを使うか、パートナー制度の調査情報などガンガン書きます。これは僕が担当したタスク。コメントは5,6個ですかね。

この種の情報は、ひょっとしたらSFA(営業支援)やCRM(顧客管理)の範疇かも知れません。が、弊社では、何らかのタスクであって時系列つまり事の経過が重要なものは全部 Redmine や Backlog に集約してます。情報は一つのシステムに集約されてる方が良いですから。

ここまで書くのはちょっと…という方もいます。正直面倒かも知れません。でも、会社の生産性って突き詰めると、情報共有のスピードや共通認識の形成スピードなので、生産性を求める僕的には譲れないところなんですよね。そうじゃないと残業ゼロを促進できません。

だから、なるべく多くの情報を非同期的に共有できるよう、チケット管理システムを使ってガンガン書くことを是としています。あ、別にチケットの更新頻度が査定に関係する…みたいなことはしてないです。

一見面倒に見えるんですけど、社内で「共有」とか「報告」の名の下に開かれる会議や書類作成の無駄に比べたら楽なもんです。エンジニア的には、コマンドやその標準出力、設定ファイルの一部をコピペして見解を書く、とか、gitのリポジトリのコミットログが連動しててそれだけで済む場合もありますから。

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(Thanks! the photo on flickr by kiwamuk / CC CC-BY 2.0)

チケットに記録が集約されることのメリット

既に前述してるものもありますが、

  1. 報告のための会議や書類作成に要する無駄な時間を無くせる
  2. 過去を遡れるので、有事の時の思い起こしコストが最小化できる
  3. 誰が何をやっていてどこまで進捗しているか具体的に分かるので管理側は安心できる

あたりでしょうか。

チケットに書く記録の粒度は人にもよりますし、一挙手一投足を捉えられる訳ではない(それはそもそも必要ない)ので、情報共有具合が常に100%って訳じゃないです。体感でせいぜい90%ぐらいでしょうか。

だから不足分は必要に応じて顔を合わせた会話で補います。その場合でも、関係者がチケットを事前確認して現状共有した状態で会議を始めますから、濃密かつ所要時間を最小化した会議運営ができる訳ですね。

記録を残す負荷が余りに高いと組織の生産性が落ちますが、適度に記録を残す癖は組織の生産性を確実に上げます。無駄を無くせるという意味で。

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(Thanks! the photo on flickr by Citrix Online / CC BY-NC-ND 2.0)

という訳で、チケット管理のついて書いてみました。冒頭の話に戻りますが、誰が何をやっていて今どういう状況なのかが分かるから、リモート主体にいきなり切り替えても何も困らなかったのでしょうね。

もちろん、弊社の場合は人数が極めて少ないってのも理由の一つです。でも、人数が少ないからと言って、誰が何をしてるか分からない、何をしたら良いのか分からない、という不安が無くなる訳ではありません。なので、人数や会社の規模はリモートワークを採用できない理由にはならないだろうなと今は思います。

チケット管理の徹底が、労使双方にとって不安の解消に寄与するのは間違いないです。リモート主体にするかどうかは別にして。何をすべきかチケットで把握でき、何をしているかがチケットで分かるからですね。チケット管理は奥が深いのでまた書いてみたいと思います。


2018.04.05 (Thu)

最近、仕事の進め方が変わってきていて、ふと気が付きました。

案外リモートでもokじゃね?と。事務所に常にいる必要ある?と。

20180406_remotework

創業からリモートという選択肢は用意してましたが、あくまでオプションだったんです。エンジニア自身や家族の体調がすぐれない時とか、外出控えた方が良さげなインフルエンザ流行時とか自然災害とかの時ですね。

あくまでもメインは出勤、リモートはオプション

ずっとこの考えでした。でも今後、これを段階的に逆転させていこうと思います。メインはリモート、出社はオプションという就労体制に切替えていきたいなと。

リモートの適不適は人にもよるし仕事の内容やプロジェクトのフェーズにもよるので、集まることを完全に否定する訳ではありません。ただ改めてこの1,2年の自社を見てみると、集まることを前提にする意味が無いと思ったのです。小さい会社だからってのが大きいですけど。

 

図らずもリモートが増えたが困ってない

最近、取引先やパートナーさんとリアルに会わず仕事を進めることが増えました。出張も増えてるんですが、出先での社内とのやりとりは実質オフィスなしでリモートワークしているのと変わりません。

20180406_remotework_notebook

SlackやChatworkでチャット&ビデオ会話、RedmineやBacklogのチケット管理、gitでソース管理、VPNでセキュアな接続環境…。

仕事の進め方や就労環境の考え方が、元々リモート最適化されていたんだと思います。生産性を高めるにはどうしたら良いかという追求の結果たまたま…なんですけどね。例えばこの本、

フルリモート体制の37signalsのCEOの著書ですが、これを読んだ時も共感できたし自社でやってたことも幾つかありましたから、考え方もリモート主体を元々是とするところがあったのかも知れません。

ならば37signalsのように、あるいは国内先駆けのソニックガーデンさんや近年だとIncrementsさんのように、思い切って自社をリモートを主体とする会社に衣替えしてみようと思った次第です。

でも既に当たり前の企業さんにとっては当たり前のことだし、リモートワークという言葉はもう何年も前から言われているので、何も目新しさはないのですけどね。

まぁ世間的に目新しいかどうかはともかく、どうせやるならスピードが常に正義なので、3月中旬頃にリモート主体にしようと思い至ってすぐに行動しました。

 

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(Thanks! the photo on flickr by ★Kumiko★ / CC BY-SA 2.0)

1. 花粉が酷い日でもリモートワーク

一つ目は出社しない日の設定。出張の日や外出メインで僕がオフィスにいない日(最近は結構多い)と、エンジニア本人の体調が悪い日を原則リモートワークとしました。

後者は7,8年前からそうだったのですが、リモートワークの特別感がなくなるよう僕から「リモートにする?」と提案するようにしました。その効果もあり「今日ちょっと花粉が大変なのでリモートでいいすか」「了解です」ってやりとりもあったりでハードル下げるのに成功してます。

3月中旬から2週間の間に既に4日(営業日ベースで3,4割)ほど実践してますが、生産性は落ちてないという印象。経営者の僕的にも、早速リモートワークを実践したエンジニアの @t0shiya 的にも同じ感覚です。まぁこれは労使相互の信頼感あってこそですけどね。

 

2. リモート前提で自社プロジェクトをおまかせ

もう一つは、自社プロジェクトで新しい取り組み。3月下旬から岩手県に在住の @mtane0412 さん (ブログ:ニートが東京に行った話) に平日、完全リモートでお仕事して頂いてます。

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(週1回の頻度のビデオmtg。ご本人の許可を取ったうえでキャプチャ/掲載しています)

弊社では、常時SSL化上場企業対応状況レポートをやってるんですが、随分前から常時SSL化促進のためにもっとWebから情報発信をしたいと思っていたのですよね。esparという自社プロダクトの一環として。

自社のものは自社内で…が僕のポリシーなので、「Webデザイナーさん雇うしかないかなぁ、社内に席は1つ空いてるけど今雇うならエンジニアだよなぁ…」ってずっと悩んでたのです。で、たまたま@mtane0412リモート前提で仕事を探しておられることを知り、速連絡。お仕事をご依頼するに至ったという訳です。

@mtane0412 さんは、Geek Office Ebisu やベビログの板羽さんとの繋がりで知り合った方。ライティングの力やWebの知見、制作力、技術的センスなど、惹かれるものがあったのですよね。実績もお持ちでした。(サルでもわかる葬儀の新常識)

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(制作されたサイトの例。クオリティも高く1年でPVも収益も稼ぐサイトに育ったそうです)

少しお話して、僕の「あらゆるサイトの常時SSL化を促進したい」という考えにも共感して貰えたので、今、特に期限を定めることなくアルバイト的な感じでお仕事をお願いしてます。

これは会社に出勤することを主としていたらできなかったことですね。リモートワークを主とすることで仲間を増やせるということなんだろうなと実感した例でもあります。

 

とまぁそんな訳で、リモートワークを主体に切り替えていこうと思います。冒頭でも書いた通り集まることを完全否定する訳ではなく、あくまで出社かリモートかの主副の入れ替えに過ぎません。適度なバランスが探れると良いなぁと思います。

弊社は、創業来10年以上エンジニアにとって幸せな働き方とは何かを追求してきました。そうやって生まれた変な制度や変な取り組みが沢山あります。

でも、集まる前提という思考の拘束が解けた今、制度や取り組みについてアイディアが色々出てきてます。労基法を改めて読み直したり、社労士にアレはokかコレはダメかと確認しまくってるのは自分らしいかもですね。リモートを主としたらできること。遅れ馳せながらですが、追求してみたいと思います。