先月の5月18日(日)に弊社エンジニア @kumatch の結婚披露宴が行われました。

20140607

ウチのエンジニアの中では唯一の独身であったのでここ数年気にはなりつつも、遂にキターと報告を受けた時には感慨深く思った次第ですが、同時に披露宴への招待状を受け取った訳ですね。いぁー実に目出度い!。と貰った招待状を開封したところ、見慣れない一つの紙片が。

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「…当日お言葉を賜りますように…」と書いてある。こ、これはまさかスピーチってやつかー。祝辞の経験なんて今までに無いですから!!

新郎側の勤務先社長という立場なので、いわゆる友達代表とか同僚代表とかよりは厳かな感じの位置付けなんだろうなぁと想像しながら詳細を聞いたところ、宴の開始直後、最初の最初だと。いわゆる主賓の挨拶の位置付けではありませんかと。

新郎新婦の人生の節目、御両家の皆さんにとっても家の歴史に残る場での挨拶という責任重大な大役を仰せつかった訳であります。経営者になって人を雇用するとは、こういう事もありうるという事ですね。無論、立場上、人前のプレゼンには慣れてるのですが、意味合いが全然違います。緊張しない訳がないですし、それに、

プレゼンじゃないからスライドも配布資料もない!!

のですよね。スライドまたはテキスト等の有る無しって、話し易さに凄く影響してきます。場も場だから失敗は許されない。結果的には、何とか全う出来たのですが、こういう経験を30代のうちにさせて貰うのは大変貴重な機会なのでせっかくなので記録に残しておこうって事で、僕が話した挨拶の内容や、準備の仕方とかを書いてみます。

自分が経営する会社の従業員が結婚する、しかも参加者の年齢を考えれば自分はまだ若輩者、ってな同じシチュエーションに身を置く事になる若き経営者の一助になれば嬉しいです。

 

原稿を準備

社長であればプレゼンの機会なんて日々の仕事で何度も何度もあると思いますが、主賓の挨拶は基本的に宴の最初に来るものですから、その挨拶の成否によって宴全体の空気が変わってしまいます。その意識で準備が必要であろうと、普段のプレゼンで発表者ノート機能なんて一切使った事ありませんが、さすがに今回は原稿を用意しました。原稿必須。後述しますが、読み上げる為ではなく、練習する為に。

1ヶ月前ぐらいには何を喋るかアウトラインを考えて、2週間前ぐらいから詳細をノートやEvernoteとかにOUTPUTしていきます。社長たるもの忙しいので、万が一直前に時間がとれなくなる可能性を考えて早めの準備。練習の為にも早いにこした事はありません。

 

練習と推敲

時間はどれだけ長くても5分。絶対5分には収まるように、そして気持ちのこもった挨拶になるよう、実際のシーンをイメージしながら、それこそ服装もジャケット羽織ってポケットチーフをさして本番さながらの状態を作って声を出して練習です。これは恥ずかしがらずに絶対やった方が良いかと。僕は10回、20回どころじゃない回数練習しました。経験上、話の時間と練習すべき量は反比例しますね。

言葉が詰まってしまう所、流れるように喋れない所などは、言い回しや言葉の順番を調整し推敲を重ねました。実際に喋ってみないと分からないので敢えて声に出すんですが、重要なのは一言一句正確に言おうとしない事じゃないかなと。「読み上げ」に感情や気持ちを伴わせる事が難しいからです。祝辞は本の朗読って訳でもありませんしね。

自分の言葉って感じを出そうと思ったら、原稿とは筋書きに過ぎず、構成を記憶して喋りを繋げていく糊ぐらいの捉え方の方が良いのだと思います。

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本番、原稿は手に持つが実際には見ない

小さく折りたたんで手に持つ程度(途中1回だけ見た)。主賓の役割は、宴の雰囲気を良いものにする、御両家が当事者の婚姻を誇りに思い、参加者の祝う気持ちをブーストさせることにある筈なので、作られた喋りにならないように気をつけました。読むじゃなくて話す。だからこそ練習の数が重要なんじゃないかと。

 

そんな感じで臨んだ祝辞の原稿は、以下のような感じです。ほぼそのまま転記してみます。名前の部分は伏せてます。ちなみに @kumatch の業務はSYNCNELのサーバサイドの開発・運用です。

〇〇さん(新郎)、〇〇さん(新婦)、そしてご両家の皆様、本日は御結婚お目出度うございます。

心よりお喜び申し上げます。

どうぞお座りになって下さい。

只今御紹介をあずかりました大石と申します。この度はこのような素晴らしい宴にご招待賜りましたこと御礼申し上げます。人生の大先輩が多くいらっしゃる前で大変恐縮では御座いますが、5分ほどお時間頂戴致しまして御祝いのお言葉を申し上げます。

会社では普段「〇〇さん」と呼んでいますので、そのままの呼び方で話させて頂きます。

入社して貰ってもう4年が経とうとしていますが、彼がいなければ弊社の事業は成り立たないと言っても過言ではありません。弊社はいわゆるIT企業で、詳しくは余り申し上げられないのですが、御客様の業務に無くてはならない、これが無かったら困るというものを開発し提供させて貰っています。おかげさまで何年もその事業をやっていますが、ほとんど何のトラブルもなく提供が出来ています。御客様の満足度も非常に高い。それを支えてくれている主要なメンバーのうちの1人が〇〇さんなんですね。

〇〇さんの仕事ぶりはとにかく堅実、適度に石橋を叩きながら1歩1歩確実に歩みを進めてくれるタイプです。時には、自分から「大石さん、これついでにやっときます?」と半歩先の提案をしてくれる事もあります。1言うと普通1返します。時には0.5しか返さない人もいる。でも〇〇さんは違う。1言うと10返ってくる、時に12が返ってくる事もあるんですね。これが出来る人はなかなかいないんですよね。IT業界全ての社長さんが欲しがる逸材、それが僕の〇〇さんに対するイメージです。

さて時に〇〇さん(新郎)、事業をこれまで支えて来てくれた事に本当に感謝しています。有り難う御座います。是非今後もお願いしたいと思いますが、これからは、まず支えるべき最優先は奥さん、そして家庭です。物理的にも精神的にも経済的にも、その持ち前の堅実さと半歩先を見る視点でしっかり支えてあげて下さい。

そして〇〇さん(新婦)、彼は本当に毎日9時〜18時全力で開発をして帰ってくると思います。どうか、優しくその労を労ってあげて下さい。心の支えに、〇〇さん(新郎)の帰るべき安息の場に、なってあげて下さい。

結びとして、円満な夫婦になる為のコツを御紹介します。この3つの言葉を毎日、心を込めてお互いに言うようにしてみて下さい。「ありがとう、ごめんなさい、おいしい」…全て相手の存在や行為を認める気持ちありきの「会話」を始めるきっかけとなる言葉です。会話こそが幸せな家庭を醸成していくと思います。

お二人の未来が幸多くなる事を祈念しまして、また、皆様の永きに渡るご健勝を願いまして御祝いの御挨拶とさせて頂きます。改めて、御結婚、お目出度う御座います。

話の構成を細かく分けるとこんな感じでしょうか。

  1. 祝いの言葉
  2. 着席の促し
  3. 自己紹介
  4. 招待の御礼
  5. 御両家の年配の方々への言葉
  6. 新郎の事業への貢献
  7. 新郎とのエピソードと経営者としての見解
  8. 新郎へのメッセージ
  9. 新婦へのメッセージ
  10. 夫婦へのメッセージ
  11. 結び

練習では丁度5分だったんですが、実際には100%言えていなかったのでもう少し短かった筈です。原稿を見ずにしゃべったので、全体的に「てにをは」や言葉がだいぶ異なっていたり、6,7,8あたりは原稿と少し微妙に違ったのですが、原稿再現度70%ぐらいで話が出来たんじゃないかと。ホントは録画や音声も残せたら良かったのですが、当日、予想以上に初っぱな(宴が始まって1分後w)だったので録音も録画して貰う余裕もなかったです。

でもまぁ後から、良い挨拶でしたよとか、印象に残りましたとか、そんな感想をお聞き出来たので悪く無かったのだと思います。原稿再現度100%を敢えて目指さず、作られた文章ではなく自分の言葉で話をしたからかも知れません。ポイントは、

  • 原稿は作るが筋書きと位置付けて本番では見ない
  • 徹底的に実際に声をだして身振り手振りをいれて練習する

の2点だったかなと。

主賓としてスピーチするのは人生で初めての事でしたが、とっても良い経験をさせて貰いました。多分もうこれが最初で最後かなーと思いますが、万が一2回目以降があっても大丈夫そうです :-)同じ境遇の方に何かの参考になれば幸いです。何はともあれ @kumatch、結婚お目出度う御座います!お幸せに〜。