最近のエンタープライズiOS需要の広がりが半端ない事を受けて復活したいと思います。これまでのエントリはこちら。

最後のは厳密にシリーズタイトルを付けていなかったのですが、副題という事で。サーバが止まるぐらいにアクセスが集中したのでかなりビックリしましたが、それだけ市場では求められているという事なのだと思います。

さて、今回は VPP(Volume Pruchase Program) について。

言葉の意味通りなのですが、長らくiOSデバイスを導入した企業担当者が望んできたモノで、いわゆるiOSアプリでボリュームライセンス的な購入を実現する為の仕組みです。iPadを500台導入する企業が何かしら既存の有償アプリを500個分購入したい…ってな時に使います。(無償アプリでは使えない。「購入」じゃないので当然)

米国では早くから(2011年夏)使えた仕組みだったのですが、日本を含む追加8カ国(日本、オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国、ニュージーランド)で使えるようになったのがつい先日の話。iOS6リリースの直前の事です。エンタープライズ向けのスマートデバイス市場を根こそぎ狙っていこうとするApple包囲網の重要な1パーツと個人的には思っています。

ビジネス向けのAppStore一括購入

こちらに概要は書いていますのでザッとお読み頂くのが一番かと思います。

ザッと概説すると、必要なのはDUNSナンバーと専用のAppleID。既にiDEPを契約されているような会社様でしたら手続きはすぐ終わります。弊社ももちろん調査用に取得してますが24時間以内に終わりました。

尚、AppleIDには、既存の AppleID は使えませんのでご注意を。iDEPを契約してるからそれで良いんじゃ?というのも無しです。必ず新規にVPP専用で作成する必要があります。その理由は VPP の CustomB2B という仕掛けが密接に関係しているのですが、これはまた機会を改めて書いてみます。

こんな感じで専用のwebサイトを用意して貰えますので、購入したいアプリを検索して、数量を入力して、決済するだけ。お手軽ですね!!法人のクレジットカードが必要になります(P-CARDという仕組みも使えるそうですが、ややこしいので特別な理由が無い限りお勧めしません)。

1-click決済とまではいきませんが結構簡単に大量購入が出きてしまいますので、慎重に購入ボタンを押した方がいいでしょう(笑) 450円のアプリを1000個、間違って購入して「あわわわ…」なんて話は笑うに笑えませんので :-)

購入後は購入数だけの「コード」がURLとして発行されますので、従業員に配布するなり、イントラネット上に掲載して、スタッフの方めいめいにインストールして貰う….そんな感じです。

こんなふうに購入履歴も残りますし、大量の購入については「コード」の一覧を excel ファイルとしてダウンロード出来たりもする親切設計です。

以上!

なのですが、非常に重要な留意点を1つ。

VPPで購入したコードは各スタッフのAppleIDに紐付ける必要があります。つまりVPPで購入した「コード」を配布してiOSデバイス利用者自身が当該アプリをインストールする時に、iTunesでAppleIDによるログインが必要になる訳ですね。結局、利用者の数だけAppleIDが必要になるという…。

分かり易く言い換えるなら、1つずつしか決済できない「アプリを贈る」機能を、企業向けに任意個数を1決済処理で済むようにしましたよ〜的なノリと思って貰えれば良いかと。

ですので、このVPPの仕組みだけでは「これで従業員にAppleIDを全員分取らせなくて済むんじゃね?」という期待に応える運用は実現不可という事ですね。残念!AppStoreやiOSアプリを取り巻くアーキテクチャ上、仕方ないのですけど。

これを解決する方法として Apple Configurator というツールが使えるのですが、VPP + Apple Congigurator の組み合わせが巧く動作しないようで、検証するにも出来ない状態で world wide に皆さん困っている様子〜。と困り果てていた所に絶妙なタイミングでアップデートが来たのが数日前。ちょっと長くなり過ぎたので Apple Configurator については別途改めて書いてみたいと思います。