会社経営
2007.09.21 (Fri)

前夜というかこれを書いている時点では前朝ですが、先日のファイナンスリテラシーを高める為に合宿に行ってきますというエントリに書いた通り、とにもかくにも掲題の合宿セミナー前日となりました。

板倉雄一郎事務所の「実践・企業価値評価シリーズ第1回大阪合宿セミナー」

自分が受講者として参加するセミナーでこれほど事前の期待が盛り上がった事はかつてありません。既に振込を終えたセミナー費用を遙かに上回る価値を手に入れられるであろう期待感がそうさせているのかも知れませんね。

「これはどう考えても買い!」「めっちゃお得!!」そんな予約商品が届くのを心待ちにする感じに似ています。自分にとっての価値が価格を上回っている場合に、それを待ちながら経過していく時間を想像や妄想で楽しむ感じ。

今回のセミナーを前に期待を膨らませる材料となったのは以下の書籍たち。

Start Me Up

Keep It Simple, Stupid

Deep KISS

真っ当な株式投資 真っ当な株式投資
板倉 雄一郎 板倉雄一郎事務所 橋口 寛
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おりこうさん おばかさんのお金の使い方 おりこうさん おばかさんのお金の使い方
板倉 雄一郎
by G-Tools
社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由 社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由
板倉 雄一郎
by G-Tools

どれもこれも板倉雄一郎氏の著書ばかりですが、その他にもパラパラと読み流した財務系書籍が幾つか。本業の合間で読み進めた事もあり、関係書籍をもっと読みたかったのですが以上が精一杯でした。今日、これらの本を振り返りつつ予習仕上げをして明日からの合宿にのぞみます。

投資とはそもそも何か、価値とは何か、その算定方法とは、何が価値を生み出すのか、資本主義とは、企業とは、経営者とは….。2日間で総時間1000分を越えるこの合宿で自分の中の何かが変わるきっかけとなる数多の知識を得られるような気がしてなりません。

経営者としてしっかりレベルアップしてきたいと思います。そして、単なる「情報」以上に「知識」や「知恵」という「知」が経営や人生の武器となり防具となり豊かさをもたらす源泉なのだという持論に確信を強められればと思っています。

それでは行ってきます。


2007.08.26 (Sun)

無知である事はその人の人生にとって多大な損失となる場合があるのは自明の理。僕は色んな事を知りたいという根源的な欲求に基づいて日々行動していますが、その理由は「知」を持たない事による損失を恐れているからであるからかも…と最近思うようになってきました。

僕にとっての「知」は「知識」であり「知恵」である訳ですが、それを獲得する為の労力を決して惜しもうせず、その獲得コストの最小化に全力を傾ける事を行動基準としている事が、その裏付けとなっているような気もします。「知識」や「知恵」は物事の決定に際しての誤判断を避ける防具(時には武器)に成り得ます、だから(色んな意味での)損失を回避できるだろう…そう考えているんでしょうね。

そんな僕が今、一番持たねばならないと感じている「知」は、今更ながらですがファイナンス。ちょっと格好よく言い換えてみれば今日のタイトルそのままですが「僕は今ファイナンスリテラシーの向上を図らねばならない」と感じているという事です。

ようするに「金」に関する知識や知恵ですね。

「金」を意識するようになったのはやはり経営を始めてから。特に数々の事業プレゼンテーションをさせて頂く機会を得るようになってからです。事業計画書では、ビジネスモデルとそれにかける情熱のようなモノを書いた後に必ず「金」について書く訳ですよね。それではじめて「事業計画書」の体裁が整います。

論理立ててビジネスを説明する事、情熱を紙に落とす事については自分の得意とする所ですから、草稿をあげ推敲を重ねて完成させるプロセスは慣れたものです。幸いプレゼンの根拠たるモノはこの部分のみなプレゼンばっかりでしたので、プレゼンもそれなりに自信溢れる感じで出来てきた訳です。

でも、「金」の資料が作れない。

分からないんですよ、正直。いぁね、何の知識もないとは言いませんよ、付け焼き刃的に勉強してきた事もありますから。ただやっぱり断片的で全然体系立ってないし、自分の頭の中で論理的な整理が出来てない訳です。

そうすっと「金」の話はプレゼンでは絶対に出来ません。自信もくそもあったもんじゃない。「金」以外の部分が10だとすると「金」の部分はマイナス10ですよ。それはやっぱり「知らない」からです。「知識」や「知恵」を持っていないからですね。「知」の無い所に自信は生まれませんし、良いモノ(ここでは資料)も作れませんし、適切な判断も出来ません。

それって経営者としてヤバくね?

と正直、思いました。ビジネスモデルや情熱が非常に重要である事は分かります、理解できます。でも「金」が全てである以上、「金」の「知」が無い事には事業もおぼつかないし、情熱も落としどころを無くしてしまう訳ですよ。それは勿体ないし、なんとしても避けたい。溢れる情熱を仲間と共に落としこめる「場」が欲しくて起業したんですから。

加えて、僕は個人投資家でもある訳なので、ファイナンスで括られる(どこまでかという話はありますが)世界に少し足を突っ込んではいます。でも論理的に考えて判断を下してきたのかというと決してそうとは言えません。何となく得た情報で何となく判断を下してきました。だから、ライブドアの株で失敗したりする訳ですね。(「知」があれば絶対失敗しないという訳ではないですが…)

そこにウチが展開しようとしている新サービスの「IRcast」。

「IR」の世界でファイナンスの知識が必要でない訳がありません。むしろ必要不可欠です。営業するにしろプレゼンするにしろ、知らない事にはお話しも出来ない訳です。IRcastは、IRに関する情報(コンテンツ)を今までに無い方法で配信するサービスですが、そこに載っかる情報(コンテンツ)の意味を語れないようじゃぁ営業も出来ません。

有価証券報告書をまともに読めません…ってな事は通らない。専門用語を並べてそれらしく語れたとしても、僕的にそれは許されない訳です。IRの世界に顔を突っ込んで行く以上、株の知識は必要で、株の売買が資産運用の一手段である以上ファイナンスの知識は必須な訳です。

だから、徹底的に勉強する事にしました。決して安くないお金をかけて9月下旬に2日間のファイナンスリテラシー強化合宿に行ってきます。

板倉雄一郎事務所主催

実践・企業価値評価シリーズ

このブログでも何度か書評として取り上げましたが、元ハイパーネットの板倉雄一郎氏(とそのパートナー)によるセミナー。「企業の価値とはなんぞや」という事を論理的に考えられるようになるという「知識」と「知恵」を得てファイナンスリテラシーを高めるのが目的です。

きっかけは、ポッドキャスティング友達の原田さんから「中国株関連で勉強会をやるから…」と誘われて参加した会場でお会いしたMさんとTさん。そのお二人に論理的な企業価値評価手法が存在する事実と、そこから見えてくる「金」の世界に、僕は眼の覚める思いをしたのです。その知識が会社経営以外に、自分の人生にも役立つ事が分かった時、自分がこれまで持っていないが故に正しい判断を下せていなかったファイナンスの知識ってコレなんじゃぁと。

それが2日間で学べるなら、あれだけの理由(上述の数々の理由)がある自分が勉強しない理由はありません。自分で本を買って勉強する方法もあるにはあります。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)をキーワードに検索して読み漁れば良いのかも知れない。でも僕にはそれだけ時間をかけてる暇はありません。断片的な知識もゴメンナサイです。一つの哲学に基づいて展開されて腹に落ちるストーリーでファイナンスの「知」を獲得したい訳です。

それが当該のセミナーでは獲得できると確信に至りました。それに、ベンチャー経営者でもあった板倉氏の生の講義を受けられる事にも興奮を覚えますし、「金」に対する正しい「知」を持つ仲間とネットワークを作れる価値はホントに貴重なモノに感じます。だから参加する事にしました。

経営の為に、自分の人生の為に。

やっぱ基本に「金」が来ますからね。そのベースとなる「知」が得られた後の自分を想像してワクワクしています。大阪で初めて開催されるという9月下旬のセミナーが今から待ち遠しくて仕方ありません。「知」が人生を変え得る事、またその素晴らしさを僕は学生の時に一度体験した事があります(実際人生変わりましたし今も影響を受けています)。何やらそれに次ぐ知的変革が自分の中で起こりそうな、そんな予感さえ感じるのです。

新しい「知」を得る事ほど楽しい事はありません。僕は、今、ファイナンスを理解する為の「知」を得たい。そう思ってます。


2007.04.18 (Wed)

2006年7月に創業してからもうすぐ1年が経とうとしています。創業時に頂いた「あきない・え〜ど」賞に始まり、色んなメディアに露出させて頂いたり府からの事業認定を頂いたりプレゼンの機会を頂戴したりという事が積もり積もった結果なのか、これまで10数社のベンチャーキャピタルさんとお会いしてきました。

JAFCOさん、JAICさん、オリックスキャピタルさん、池銀キャピタルさん、エンゼルキャピタルさん、ネットエイジキャピタルパートナーさん、OGIさん、エヌ・アイ・エフさん、MUハンズオンさん、みなとキャピタルさん、りそなキャピタルさん、中小企業投資育成さん…上げればキリが無いですね、ホントに。まだまだいらっしゃいます。

ちょっとオーラが違ってホントに気に掛けてくれている感のある投資育成さん、恐らくその設立の経緯と積み上げてこられた歴史が他のキャピタルさんとの性質や雰囲気を異ならせているのだと思うのですが(Yさん、いつも有り難う御座います m(__)m )、その投資育成さんを除いては、ベンチャーキャピタルという存在は何だかなぁという感じなんですね、正直なところ。こんな事を経営者が自ら書いて良いのかという話もありますが、何社ものVCさんとお会いして持つ事となった経営者の考えなので敢えて書きます。(以降の話は投資育成さん以外のキャピタルさんについて僕が感じてる事です)

「非常に面白い事をされていますね。将来性ありますよね。」

それが大概のきっかけです。当初はこちらもこの世界を理解していなかった事もありますが、お会いする訳です。やっぱり自分の事業に興味を持って貰えるのって嬉しい事じゃないですか。新しい技術に対する思い入れ(ウチの場合はRSSやそれを取り巻くネット事情ですが)が強ければ強いほど嬉しい訳です。

で、話をする。どういうものか御覧頂く。ビジネスモデルの話をして、どれぐらいの引き合いがあるのかをお話しする。どんな将来像を描いているかお話をする。自分のかけてる情熱をひたすらぶつけます。自分が持ってるベンチャー精神に共感して貰える事を期待して。

でもね、そんな事はどうでも良いんですね。

ビジネスについての話はコネクションを作る為の口実に過ぎません。数字です、数字。堅調であるかどうかを示す実績。何年後にどれぐらいの売上げがあがって、何億円のリターンがあるか。それだけです。面白さや斬新さよりどれだけ儲かるか。数字がすべて。中身はなんだって良いんです。情熱?ベンチャースピリッツ?世界初?新製品?…何それ。お金は上がってくるの?収益性は?売上げは?利益は?…円・ドル・ユーロ・ポンド…金、マネーを表す数字こそが重要でしょ。

…とまぁそう考えておられるんだろうなぁと推察するに十分すぎる根拠をお話の中で見せて下さる訳なんですね。「応援したい、支援したい」という事でいらっしゃっても、蓋を開けたてみたらこちらから最新技術の懇切丁寧な説明をするだけさせて貰って評価は数字のみ。

正直、精神的に辛くなりますよ。ベンチャーという形態で挑戦している以上、数字が上がりにくいハンデを抱えていて、このままじゃいけないと思っていて、お金さえあればホントに動き出すのに…という状況下でもどかしい思いをしながら、お金が無いと始まらないという事実は経営者が一番良く分かっていますから。でも、

「まだ、一期を終えておられませんよね」とか「実際にそのモデルで実績は無いですよね」とか「今期の予定は幾らで今の売上げは?」とか…

そういう言葉が平気で出てくる訳です。だったら、「応援」とか「支援」とかいう言葉を使うのはどうかと思ったりします。それだったら、「御社のIPOに便乗してキャピタルゲインを得たいので、直近の実績と5年後までの事業計画書を見せて下さい」と言って貰えた方がよっぽど分かりやすい訳です。

ここは日本です。米国とは違います。
ビジネスモデルや人柄や情熱や面白さや斬新さに投資するって事は有り得ない。数字だけに投資する。

これが十数社のキャピタルさんや、エンジェルと言われる人にお会いして得た僕なりの結論です。今のビジネス世界の社長さんから言わせれば「今更気が付いたのか…」と言われてしまいそうなのですが、ちょっと学習に時間が掛かり過ぎましたね。

ですから最近は、本業も少々忙しいという事もあって色々とご連絡は頂くのですがベンチャーキャピタルさんとは余りお会いしない事にしています。15分程度お会いさせて頂いたとしても、ビジネスモデルとか自分の情熱をお話する事はほとんどありません。「投資対象たる数値的根拠をまだ持っていない会社ですよ」とお伝えするのみです。

というのが僕の最近の考え方なので、今日のCNETのともに歩もうとする決意促すのは、「志」の高さと柔軟性というベンチャーキャピタルの方との対談記事は何だか有り得ないんですけど。

シード段階からきちんと投資をして、日本ならミクシィとか、アメリカならGoogleやYouTubeのような、爆発的に成功する事例を出して…

というサイバーエージェント・インベストメントの西条氏の言葉は、申し訳ないですがにわかに信じがたいモノがあります。シード段階からの投資っていう選択が果たして日本であり得るのかと。

Googleがどう資金繰りをしたのかという話は色んな所で書かれているので敢えて書きませんが、AdWordsとAdSenseの相乗効果で有り得ないぐらいの広告収入を得る仕組みを作れたのはホント最近の事ですよ。彼らがシード段階であった時に彼らの検索エンジンが当時のウェブの世界の問題を解決している事を評価して、10万ドルの小切手を切ったベクトルシェイムになれるのか。

ベクトルシェイムはさっそく小切手を切ろうと提案した。そうすれば、ブリンとペイジはコンピュータの組み立てに取りかかれるし、自分も次に会うまでに準備が出来るから、と言った。交渉無し。株の話もなければ、査定もなかった。ベクトルシェイムはブリンとペイジがまだ会社を正式に立ち上げていないことすら知らなかった。しかし、そんな細かいことはベクトルシェイムにはどうでもよかった。
Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター
デビッド ヴァイス マーク マルシード 田村 理香
by G-Tools

ベクトルシェイムになれますか?…つまりはそういう事だと思います。

僕はなれないんじゃないかなと。だから日本ではGoogleはうまれないしYouTubeも決して表れない。「キャピタルもビジネスなのでしょうがない、ファンドを組めば出資元にもリターンを提供する必要があるから」…という事情も分かるには分かります。でも、「ベンチャー」の言葉に相応しい気概は少なくとも必要なんじゃないかと思うんですね。

先日、色々と相談に載っていただいているD証券の方とお話をしてました。「個人的な見解だが、最近のベンチャーキャピタルはベンチャー(冒険)してないですよ。そんな数値的に手堅い所にしか結局投資しないのねって思う事が多いです」というお言葉が物凄く印象的でした。

単なる僕の思いこみではなく実際にそういう事なんだと思います。現実は非常に厳しいですし、お金以外の物は用意できているという数多のベンチャーの一つとしても寂しい思いがするのはするのですが、言ってるだけでは何も始まりませんからウチに出来るのはとにかく数字を残す事。自分の思い描くビジネスで実績を残す事。これに尽きる訳です。

自分を支えてくれる仲間と自分の力を信じて頑張るしかありません。血吐くまで働きますよ!!