会社経営
2015.08.27 (Thu)

前回記事で言及した新成長戦略にある「有給取得率を2020年の70%」という目標。弊社はほとんど達成していますが、中には有給休暇を取るのに余り積極的ではないエンジニアもいます。まぁ余り休まれたくない系の経営者には好都合なのでしょうが、僕はどっちかというとドンドン休みなさい派。それこそ有給マナー記事でNGとされてた「ちょっと気分が乗らないから」って理由でも業務に支障がないなら休んだら良いのに思ってます。映画の日だから有給とかも全然okだと思うんですよ。

一方で100%達成している人もいますし、100%を超えている人もいます。今日はなぜ有給取得率が100%を超えるのかという話。

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(on flickr by Matthew Baron / CC BY-SA 2.0)

 

有給取得率が100%を超えるカラクリ

といっても運用レベルではやってる会社もあると思います。

例えば、色んな事情でその年の残り時休が0になってしまってたとします。つまり有給休暇を使い切ってしまったと。その状態で家族の都合があったりとか、どうしても1日(8時休)休まないといけなくなったとします。ここで、普通なら欠勤扱いになっちゃう訳ですね。お馴染みの式で日割り計算して1日分が減給になってしまう。有給休暇が無いのですから当然といえば当然です。

ですが、ウチでは有給休暇の残りがマイナスになることを許容しています。上記の状態でも別に休んでok。悪気があって有給を全部使い切った訳でもないだろうし、そんな状態でも休みたいってのは多分よっぽどの事な訳です。

そこでもし会社が猜疑心のようなものを抱くのなら、多分そんな人間を雇った会社が悪いってこと。信じれるならむしろ、残有給ゼロになったにも関わらず申し出てる有事だからこそ、尚のこと休んで貰うべきなのです。

で、この例だと欠勤にならず、その日をもって残数が -8時休 というマイナス状態になります(つまり1日分多く休んでて100%を越えてる状態)。懲罰的に給与が減ることはありません。このマイナス分をどこかでリカバーしてねという状態なんですね。

当該の休みを取得した翌日から毎日1時間ずつ時間外労働して8営業日かけてリカバーするのもokだし、土日など休みの日に丸っと一日分8時間労働してもok。常識的な範囲でまぁ1,2ヶ月以内ぐらいを目安に補填して貰ったら大丈夫ということにしています。

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こんなふうに補填する為のシートが別途用意してあります。明確なリカバー期限は特に定めていません。これはまぁ社員を信じているからってのと10人程度の小さな会社だからできることなんですけども。それなりの規模の会社がもしやるのなら、リカバー期限を制度的に設けるべきでしょうね。3ヶ月とか。あと休職の扱いとの関係でマイナス側の下限も規定した方がいいでしょう。

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(on flickr by umjanedoan / CC BY 2.0)

 

従業員にとってプラスなら厭わない

実はこれ、労基法的にはグレーです。

ブラックではありませんが、お世話になってる社労士さん見解では限りなく白に近いグレーとのこと。リカバーする為の労働は必ず時間外労働になってしまうので、その分に応じた時間外手当を出しなさいという事になっちゃうんですよね。そこは出してません。ですが、従業員にとっては欠勤より良いはず。

土日に出勤して後から休む振替休日ってのは規程されることは多くても、その逆というか、先に休んで後から補填するだけってシンプルなルールが何でないのかと前から疑問に思っていました。

「減給にはならないから早々にリカバーしてね」「わかりました」そういう両者合意があればむしろ労働者にとってプラスな筈なんです。有給使いきってマイナスに振り切ってまで休むってよっぽどの事ですよ。なので僕は良かれと思って敢えてやっています。

もし監督署が、残有給休暇マイナスは許さない、補填させる労働には時間外手当を出せ、というのなら、問答無用に欠勤扱いにするしかないでしょうね。どんな事情であれ。でもそれって従業員の幸せなんですかね?と監督署に問うてやろうと思ってます。恐らく「法律だから厳密にやると…」というのが彼らの言い分なんでしょうが、それなら彼らの労働者を守る!というアイデンティティは嘘ってことです。

 

ま、そんなこんなで結構有給の扱いについては「時休」という時間単位の概念を取り入れたり、マイナスを許容したりと柔軟にやってますというお話でした。

 


2015.08.25 (Tue)

前回に続いて有給ネタ。何か色々考えてたことをダ~と吐き出してしまいました。長文です。

2010年の新成長戦略によるとは2020年までに有給取得率を70%にするのだそうです。「元気な日本」復活のシナリオとしてその目標を掲げているにも関わらず、あと数年しかないのに到底達成出来そうにないという残念感。弊社ではほぼ達成しています。エンジニアによっては100%だし、100%越えてる人もいます(そのカラクリはまた別途)。

2014年にエクスペディアが行った調査では日本の有給取得率は50%なんだそうです。もう目標達成は絶望的と言わざるを得ません。1990年代からやってる少子化対策と同じで、これもまた達成できずに終わってしまって「あー、ダメだったねぇ。ま、次の10年計画にもまた書きましょか」って感じになるんでしょうか。何ですか、そのユルフワ感。

民間企業では目標未達を何とか回避すべく「チャレンジ」なんて裏ワザまで繰り出して捏造してまで目標達成しようとするのに、国が掲げる目標はなんというか危機感が全く無いのは何故なんでしょ。皆、高齢で10年後とか30年後とかの責任が追求されないからなんでしょうか。かといって、国が全力で「チャレンジ」されても困りますけども。

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(on flickr by Jônatas Cunha / CC BY-SA 2.0)

 

有給取得率向上は利益減に繋がるのではという恐れ

さて、そもそも有給取得率を上げるべきなのは何故なのか。冒頭にリンクを示した新成長戦略には

「ディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕 事)」の実現に向けて、「同一価値労働同一賃金」に向けた均等・均衡待 遇の推進、給付付き税額控除の検討、最低賃金の引上げ、ワーク・ライ フ・バランスの実現(年次有給休暇の取得促進、労働時間短縮、育児休業等の取得促進)に取り組む。

[第3章 - 6 雇用・人材戦略]

とあって、ワークライフバランスを実現するのが目的と明記されてます。それが人間らしい働きがいのある仕事になるのかは別問題だと思いますが、有給取得率が低い=仕事漬けになっている=バランスを欠いている、という論理式は確かに正しいので、その取得率向上が必要なのは分かります。

でも、きっと多くの会社経営者からすると有給取得率もワークライフバランスも、どうでも良いことです。なぜなら企業の存在目的である営利追求に反する(と感じる)から。企業とはWikipediaの定義を借りれば「営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う経済主体」です。

未だに高度成長期の労働集約型思考で、働く時間に応じて売上が積み上がり利益が確保できると考えられている訳です。自社の総労働時間が減るような取り組みに積極的になる筈がありません。

有給取得率向上=労働時間減=売上減=利益減

経営者の頭のなかは基本こうです。そりゃ、やるモチベーションが起こりません。普通に恐いですから。

なので今のままだと、社員の幸せを第一義に持ってきている…というような変わった企業でしか2020年70%は達成できないでしょう。メディアでこんな素敵な会社もあるんだ!って紹介されるようなレアケースでしょうね。それではいけない。レアであってはいけなくて、当たり前にならなくちゃいけない。だからこそ成長戦略に入れてるのだと思うんですが、当たり前にするには、そうなってない場合に罰があるか、そうなってる場合に賞があるかのいずれかまたは両方で経営者を誘導するしかありません。努力目標とか推奨とかではぬるいと思う訳です。

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(on flickr by Robert Sanzalone / CC BY 2.0)

 

中途半端な助成金は意味が無い

有給取得率をあげたら、利益が上がるんだ。

有給取得率増=利益増

こういうふうに経営者に直結するイメージを植えつけないといけないんじゃないでしょうか。でも、有給と利益を結びつけようとすると必ず「生産効率あげたら実現できます!」なんて話になる。この文脈にある制度と思われる、職場意識改善助成金ってな厚労省の助成金もあるそうなんですが、詳細を見ても間接的過ぎて全くやる気が起こらない訳です。

一部引用しますと、以下の取り組みに要した経費を目標達成(有給取得日数を4日以上増やす)したら補助金出しますっていうんですね。

いずれか1つ以上実施してください。

○労務管理担当者に対する研修

○労働者に対する研修、周知・啓発

○外部専門家によるコンサルティング(社会保険労務士、中小企業診断士など)

○就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入など)

○労務管理用ソフトウェアの導入・更新

○労務管理用機器の導入・更新(※1)

○デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

○テレワーク用通信機器の導入・更新(※1)

○労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフトなど)(※2)

※1 パソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

※2 成果目標をいずれも達成した場合のみ、支給対象となります。

やりませんよ。普通に面倒くさいですから。書類も作るのだるいし。しかも補助は100%じゃなくて50%だったり75%だったりと中途半端。

生産性の向上って機器の導入やコンサルを受ける事では果たせないことを経営者は直感で理解してます。「こんなことしてもねぇ…」と猜疑心一杯です。せいぜい、そもそもソフト買おうとしてたからこの助成金をあてがおうか、みたいな思考にしかならない訳です。道具を買って研修受けたら労働者の生産性が上がります、単位時間あたりの売上増が図れますよ、そんなぐらいに経営が簡単なら日本はもっと元気な国になってます。

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(on flickr by A Healthier Michigan / CC BY-SA 2.0)

 

経営者に突き刺さる施策を

もっと強烈な、有給取得率増=利益増という分かりやすく経営者の思考に刺さる構図が必要だと思うんですよね。有給取りやすい会社かどうかって結局経営者に依存する訳ですから。

経営者がTOPダウンに「純利益増に繋がるんだから有給取得率あげろ!」って指示を出したらいやがおうでも上がりますよ、どんな会社でも。反対する人はいないでしょう。経営者は純利益が上がって嬉しい。従業員は実質的な休みが増えて嬉しい。相互にモチベーションがありますから、いっきに浸透する筈です。

そんな都合の良いモノがあるのか。

そこで有給取得率に応じて減税するというアイディアはどうかと。インセンティブによってモチベーションは上がり人は行動するものです。経営者もご多分に漏れず。有給取得増が手元に残る現金の量に直結するなら、どんな経営者も有給取得率を無視できなくなるでしょう。

ちょっと思考実験(?)してみます。

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例えば、課税対象所得の10%を有給取得率に連動する控除対象候補枠として捉えます。話を簡単にしますが、課税対象所得が1000万円なら100万円。ここに、(当年の自社有給取得率) から (前年度の有給取得率の全国平均) を引いた割合を掛け算した結果を課税対象から控除してあげることにする。

もし自社の有給取得率が90%で、前年度の全国平均が50%なら 90 – 50 = 40% ですから、100万円 x 40% = 40万円が控除される。つまり全体の40万円分(4%分)の節税を考えなくて良くなって、1000万円 – 40万円 = 960万円が課税対象所得となる。

経営者としては嬉しいですね。結果として税金減るし、現金残るし、節税と称して余計なものに金使わなくて済む訳です。

で、更に全国平均との差を係数とするので、全ての会社は競うように有給取得率を上げてくる。乗り遅れちゃいけないと。悠長に平均より下回ってる状態を続けている企業にはマイナスインパクトとなって何故か税金が増える。そんなことできんのか?(笑)

思考実験なので続けると、当年の有給取得率が40%にとどまってしまったら -10% が係数となって、100万円 x 10% の 10万円分が課税対象所得に加算、税金が増える。有給取得率を最低でも全国平均以上にしておかないと余計に税金が取られるという恐怖。一方で早めに上げれば上げるほどより多く減税される。そうすりゃ嫌がおうでも日本の有給取得率上がりませんかね。

有給取得率増は成長戦略で目標に掲げられている以上はもはや国是だし、従業員のhappy度が増すのは間違いないし、当期純利益増の見込みもあるんだから経営者が反対する理由は基本的にありません。自然と生産性を上げる工夫を自らするようにもなるでしょう。

仮に上期報告で上方修正した企業は、利益増えて税金払うのを嫌がって、下期には「みんなもっと有給取れ!」って気運が会社に満ちたりなんかする。何か素敵じゃないですか。

問題となるのは税収。ただ減るだけなら財務省が黙ってませんもんね。

いずれ100%に収束していくので「恒久的な減税になってしまわないか」という懸念はクリア、多分。目下の税収減は、有給休暇増による経済効果による税収増で相殺出来ないかと。「有給休暇完全取得の経済効果」 という論文があって、100%有給取得が実現すると約15兆円の経済効果と約188万人の雇用創出効果があるとされていますから結構な税収増になるだろうし、GDPも上がるんじゃないですか。そして失業率も下がると。

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(on flickr by Bhupinder Nayyar / CC BY 2.0)

 

税制は経営者のモチベーションコントローラー

有給取得率で税金が増減するってアイディア、面白いと思うんだけどなぁ。会計的にダメっぽいけど。ま、妄想ですし、思考実験の域を出ないですし。企業が有給取得率を偽って申告するのをどう防ぐかとか、有給取得率を上げる一方で滅茶苦茶サービス残業させるブラック企業が出そうとか、やっぱり簡単ではないですね。

でも人間は良くも悪くも金が全てだと思うのです。経営者は特にそうで、むごい程にお金で動きますし当たり前だけどお金を見て経営判断します。だからそれを逆手に取って行動心理学という訳ではないですけど、お金の出入りを調整する税金の仕組みを労働関連の制度と絡めていくと良いんじゃないかなと常々思ってたので、何かネタ的に勢いで書いてみました。

税の専門家でもないし、経済の専門家でもありませんし、研究をやってる訳でもないので、何の裏付けもありませんが。もうちょっと厚労省と財務省が協力すると日本の労働環境は良くなって、皆happyになりそうな気が何となくするのです。何だか何目線なのかよくわからないエントリになってしまいましたが、一経営者として思ったことを書いてみました。


2015.08.24 (Mon)

少し前に有給取得がセーフかアウトかを列挙した記事が盛り上がりを見せました。

会社を休む理由、これってセーフorアウト!? マナーの専門家に聞きました

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結婚式はセーフだけど、マンションの立会工事は要検討で、気分が乗らないという理由ならアウトとかとか、有給マナー10選。これをマナーとして教えるコンサルタントがいるんだと驚愕した次第です。

有給に対するスタンスも有給制度そのものも各社色々なので、厚労省もそういうアンケートすれば面白いのにと思ったりもしますが、ここはちょっとウチの変わった有給制度をご紹介してみようかなと思い筆を執りました。

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(on flickr by Gunilla G / CC BY-SA 2.0)

 

時休という概念

ウチの有給休暇制度最大の特徴は、有給休暇の粒度の違いにあります。よくあるのは、有給休暇は1日単位で取るのが原則で、せいぜい午前休や午後休など半日単位が最小の粒度ってのが多いと思います。

奥さんが風邪をひいてしまって父親の自分が子供を幼稚園に送らないといけないってなシーンでは午前休を取る。ちょっと大きな買い物をして届くのが晩の19時で定時退社してもギリギリ間に合いそうにないって場合には午後休を取る。…ってな感じに普通はなる訳ですね。

でも、ちょっと合理的ではないなと。1時間や2時間で良いのに半日取ることになるのは果たして良いのか。

そんな疑問からウチでは1時間単位で有給休暇を取れるようにしています。1日8時間労働なので、粒度は0.125日単位。2時間なら0.25日、5時間なら0.625日とかってもうややこしいので、それなら時間で休みを取るということにしようと新たに時休という言葉を作ったのです。辞書にも載ってません。造語です。

労基法では勤続年数に応じて従業員に与えるべき最低有給休暇日数が決まっていますが(労基法第39条)、うちでは時休に換算して付与します。12日加算される場合には 12 x 8 = 96 [時休] が貰える訳です。その持ち時休を各自が1時間単位で消化していく感じですね。

子供を送ってからでも10:00に出社できるなら1時休で済みますし、荷物の受取の為に少しだけ早く出れたら良いのなら2時休ですむ訳です。極めて合理的で勿体無くない。会社としても半日休まれるより、2時間だけの休みのほうが業務進みますよね。

お子さんのいる家族だと、変な言い方ですけどやっぱり有給を取らざるを得なくなるリスクって高い訳ですよ。突然熱出しちゃうとかですね。自分は子供いないし持つ気もないのでリアルな大変さってのは全く体感出来ませんが、有給取得単位が半日という制約があると、勿体無いってなるやろなぁという従業員の思いは想像ができる訳です。お子さんが2人、3人と増えてきたら尚のことそうですよね。いつ何が起こるか分からないから、残しておきたい。1時間だけ遅出できたら良いのに…ってなるでしょう。2時間だけ早く帰ってあげれるだけで良いのに…ってなりますわ、普通。

だからウチは時間単位で取得できる有給制度にしています。

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(on flickr by Liz Foreman / Public domain)

 

管理が大変ではないのか

ややこしくない?と言われることもありますが全然そんな事はありません。

1日という概念に囚われてるから、1時間だと0.125日になってしまう、既存の仕組みとマッチしないしややこしいなぁ…と誤解してしまうのです。ライフスタイルも多様になってきている訳だし、有給の概念につきまとう「日」という単位を「時」に変えたらいいだけです。

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これは社内マニュアルにある時休管理の画面例ですが、5列目が何時間休むかの数字です(青字の行は集計用)。5時間休むこともあれば1時間だけ休むこともある。8時間が丸っと一日休みってことですね。右から3列目が残った時休の数。

エンジニアは休みたいと思えばシートに入力する、会社側はそれを見て承認する。それだけ。ハンコもなけりゃ、別に理由を聞いたりそれを書く箇所を設けているということもありません。

ウチは週次でミーティングをやってますが、「今週は休む予定ある?」ってこのシートを一緒に確認しながら会話します。本人が言いたければ「ちょっと子供の授業参観行ってきますが問題ないすか。シートには書きました」とか「どうしてもiPhoneの購入で並びたいんですよ。あとからシートに書いておきます」とかって言います。仮に言わないとしても聞くことは基本ありません。業務で万が一の時があった場合に緊急連絡可能かどうか、それだけは聞くぐらいでしょうか。

とまぁこんな感じで時間単位であっても excel で普通に管理できます。大変な事は何一つありません。ウチはカレンダーとかと連携させたくて Google の Spread Sheet で作ってますが。

有給の社内申請用紙が「日」を前提にしているとか、給与明細のフォーマットがとかまぁ色々ありますけども、社内都合の面倒臭さを優先するのか、ライフスタイルの多様化受け入れ姿勢を優先するのかの二者択一ですよね。僕は後者を優先すべきだと思いますけど。(社内でシステム開発できるべきという持論を僕はもってますが、こういうところにも理由があります)

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(on flickr by Liber the poet / CC BY-SA 2.0)

 

時休の効果

有給を効率的に使えるようになったという効果はあるようです。勿体無い使い方が無くなったという声も実際にありましたね。この仕組は途中から導入しましたが、それ以前に比べると全体的な有給消化率は上がっています。悪いことは基本的に無いですね。

別に労基法的にNGな訳ではない(というか労基法も日しか前提にしていない)ので、経営者の皆さんも是非時間単位で休めるようにしてあげたらどうでしょうかというエントリでした。有給取得率上がると思いますし、確実に働きやすい会社度合いがUPすると思いますよ。

 


2015.07.02 (Thu)

本日、お付き合いのある証券会社さんが訪ねてこられました。明日はとあるVCさんが担当が変わるという事で来社されます。別にequityなオペレーションをしている訳じゃないですが担当がいらっしゃるんです。そして先週は取引のある銀行さんが来られました。転換社債型新株予約権付社債、いわゆるCBのお話で。

Numbers And Finance

(photo by Ken Teegardin on flickr)

ベンチャーやってると…というか丸9年も経ってるともはやベンチャーではありませんが、資本政策に関係しそうな人に沢山お会いしますね。ここ数年また資金がダブついているんでしょう。あとは監査会社とか東証さんとかも、久しぶりにお会いしたのはこの1,2年の間。

ウチみたいに基本的にequityな資金調達は考えていませんよ…って姿勢を明確にしてる会社でも訪ねて頂ける理由が相変わらず理解できずにはいるのですが、ありがたくいつもファイナンスな質問を投げかけては勉強させて貰ってます。

昔に この日本で本当にシード段階の投資が出来るのか というエントリを書いて、VCは名ばかりで冒険しないってことを書き殴ったことがあります。今もあまり根底の部分で考え方は変わってないものの、冒険に付き合ってくれないじゃんっていう当該エントリに漂ってた嘆き(?)みたいな心情は今は余りありません。

冒険というか挑戦というか、まぁその思いはいつでも持ってて、先日とある社長に次の10年で考えてる事をぶっちゃけたら「それまたチャレンジングですね」と言って頂いたりもしてやっぱり生き方のスタンスは変わりませんが、がっついて超前のめりに行く感じを今は余り持ってないのが正直なところです。歳をとって落ち着いてきたんでしょうかね(笑) って冗談はさておき、資金調達にまつわる色んな事をこの9年間見聞きしてきて、華々しく見える調達関連ニュースの数々に些か疑問を感じる思いの方が最近は強くなってます。

本質的に融資と何が違うのか

やっぱ融資と何ら変わらないなーという印象が拭えないんですよ。特にVCからの調達って返済義務がないお金だから良いな〜と融資と対象的に見られる風潮がありますが、償還期限ってのがある事は余り意識されてないように思えるんですよね。でなきゃ、facebookで「調達おめでとうございます!」って普通言えません。めでたくねーよ!責任重大だよ!みたいな。(いぁ昔は自分もそう言ってたことあるけど)

お金出して貰って2,3年後に上場出来なかったら、経営陣はVCによる買取請求権の発動と闘わなくちゃいけなくて、巧く切り抜けてるおられる方もいますが、中には悲惨な結末を迎えた人もいる。借金背負って消息を絶った方とか実際に身近でおられますしね。結局、上場の約束を担保に将来返済額が変動し得る高額融資を受けるようなものという認識で間違ってない構造があるように思うのです。

上場したらしたで回収の対象となるターゲットが結果的に新規上場だと煽られて買った株主になります。gumiさんとかgunosyさんとかが最近だと顕著でしょうか。IPO案件の上場後株価チャート見てると、結局VCが出資することで幸せになったのって誰なんだろうと思うこともしばしば。はたから見てると資金繰りが苦しくなったがゆえのequityってのも見え隠れする案件もありますし(特に5000万円未満の規模)。IPOだけじゃないです、流行りの(?)BuyOutなExitにしても、じゃぁ最初からM&Aされてた方が良かった事ないですか?って思っちゃう。お金の回収ありきで組み上がるストーリーに無理は無かったかと思ってしまうんですよね。

だから、やっぱりシナジーの起こる事業会社に事業提携前提で第三者割当増資を引き受けて貰うのが一番綺麗なモデルだなぁと個人的には感じますね。多くのequityな資金調達は急激な成長を意図してやるもんですが、お金を入れて貰うばかりか、利益直結しやすい開発力や営業力のパワーも分けて貰える訳ですし、全体最適という意味ではベスト解だと思うんですよ。

何だか雑感に始まり雑文に終わる感じですが。

こんな事考えてますのでウチはやっぱりVCは無いですね。前向きに考える事すらも無いでしょう。とはいえ、事業会社さんからってのも多分無い、それならもうM&Aの方(される側)が合理的だと思うから。今、身近にいる出資を受けてる/受ける事を考えておられる方々のことを思い巡らしながら、VCの回収圧力のせいでエラい事になってしまう事がありませんようにと願う昨今です。


2015.06.28 (Sun)

先日、社内1週間ハッカソン「超聖域」を行うことにしました(7月1日〜7月7日)というエントリを書きました。あれから1ヶ月半ぐらいが経ちまして、気がつけばもう明後日からです。会社としては初めての試みですが何が出てくるやら楽しみですね。

端的に言うと1週間何やってもいいですよ、以下のルールで…って取り組み。

  • IT分野ならジャンル不問
  • DEMOが出来るものであれば何でも良い
  • 7月1日からフルスロットルで動き出せるように準備しておく
  • 必要なモノがあればハードでもソフトでも会社が原則用意
  • チーム制を組んでやるのもok

もともとは、事前にどんなものを作るかのアイディアを全部出し合ってみて、これやるあれやる、何なら一緒にやりましょう、ってな展開で考えてましたが結局1人1人別々にやることとなったようです。ウチは週次でmtg(いわゆる個人面談のようなもの)をやっていますが、その中で何やるか聞いてみたりみなかったり結構適当で、何が出てくるかは半分ぐらいわかってません(笑

ジャンル不問ということで、まったく新しいことをやるって話もあれば、業務直結ながら普段の業務内では絶対できないことを思い切って1週間かけてやってみるって話もあれば、複数の案があるけどまだ何やるか決まってないという話もあって色々です。

自由な時間を与えるという意味

ついでに書いてみますが、1週間は極端ながらも、通常業務のある一定時間何するかは社員に完全に任せる、という取り組みは普通にどんな会社もやったら良いのにと思います。個人がどう考えてるか見えますのでオススメです。問題意識というか課題認識とか、発想力・アイディア力みたいなものが如実に見えてきますよ。

仕事に限らず日常でもありますもんね。面倒臭いなぁと思っていることもエイヤーと思い切って時間とってやると後が凄く楽になるとか。日常のやらなくちゃいけない沢山のことに埋もれているほど、あえて特別な時間を強制的に用意する。会社の場合、それによって生産性が少しでも上がれば、その後の1週間で4時間程度の時間って平気で回収するってなこともありますしね。

また、自由な時間のアウトプットから、そんなアイディアを持っていたのかとか、そこが気になってたのねとか、逆に何も普段と違うアウトプットが無い場合は、すまん、そこまで追い込んじゃってたのねとかも見えてきます。「通常業務の継続以外のことをやりましょう」という時間なのに、通常業務をやらざるを得ない期間がずーっと続くってことは、物理的にも気持ち的にもやっぱり余裕が無い訳ですよ。自由時間は一種のバロメータでもあります。

という訳で、組織運営における少しの自由時間は全ての企業でやる価値ありと僕は思います。アウトプットの発表する場が伴えばという前提はあります、もちろん。なかなか勇気いりますけどね。

超聖域も一つの実験

今回の超聖域は実に1週間。普通に考えてみたら、経営者またはマネージャたる立場の人間が自分の元で働くメンバーが1週間何やってるか全く分からないという状態を自ら作り出すって「何考えてんねん、暇か!」と怒られそうなものですが、これもまた実験ですので終わった後にはpositiveな面、negativeな面、色々学びはあると思います。期間終了後にはまたレポートを書きたいと思います。スタッフブログにも各人からレポートがあがる筈。

当該期間中、もちろん、お客様にご迷惑がかからないよう緊急事態には取り組みを停止することを前提にしてますのでご安心下さい。

ということで明後日から始まります。

あ、ちなみに僕は何故かスケジュール的に打ち合わせがあまり入ってない期間でもある(1日出張だけど)ので、僕も何かアウトプットがしてみようかなと思ってます。メールや電話等々の対応があるので、いっても時間は限られていますが。久しぶりに開発者的な事をやってみるかなぁとか、執筆やってみるかなとか色々考えてます。