会社経営
2011.11.05 (Sat)

僕の好きな本に故ドラッカーの企業とは何かという書籍があります。2,3回は読み返してるでしょうか。原著初版の1946年から数えるともう60年以上も前の本なのですが、この書籍が述べている事は全く色褪せておらず今の時代でも通用する、いぁむしろ今の時代こそ行動指針とすべき考え方だと僕は感じていてバイブル的に手元に置いています。

企業の定義は言葉的には「経済活動を営む組織体」となるのでしょうが、企業を論ずる際に必ず付きまとう社会的な側面、つまり、経済的価値を提供したり雇用を創出したりする事による社会貢献だとか、社会的責任(CSR)だとか社会の公器だとか、何かそういう言葉は凄くありきたりですし上澄みだけの空虚な説明に思えて僕は余り好きではありません。

まぁ、要するに普通が嫌いって事なんですけどね。そんなヒネクレ者の僕にとって「企業とは」はもっと「人」ありきな発想でして、

企業とは個人の能力をboostする組織である

と考えています。知的生産産業であるIT業界では特にそうでなければならず、いみじくもドラッカーは亡くなる1年前にIT革命と同時に知識労働者の主役化が起こると言っています。

当たり前ですが、主役が成長しない物語ほど面白くも無いですし感動すらありません。これと一緒でスタッフが成長しない企業ほど面白くない企業は無いでしょう。そんな会社は経営してても面白く無いし、お客様が感動する筈も無く、外から見てても中のスタッフの事をこれっぽっちも羨ましいとは思えない筈です。そんな会社、入りたくもない。

興味深い事にそういった企業の多くは労働集約型の産業に属しており、スタッフは利益を生み出すだけの「パーツ」に過ぎない事がほとんどです。知的産業とは名ばかりのブラック系IT企業も同様でしょう。

組織は、組織内の才能と能力を発掘し、主体性を奨励し、能力を発揮させ、成長させるとともに、これに社会的経済的地位をもって報いなければならない

これは冒頭に紹介したドラッカー本にある、企業を統べるリーダーの責務を論ずる章の一節ですが、まさにコレこそが経営者またはマネージャたる者の使命であり、同時に企業の役割を規定するものであると思います。

Networking © 2011 Arnold Tijerina, Flickr

企業またはそれを動かす経営者やマネージャは、言ってみればその為の現場監督であると同時に脚本家でもあり演出家でもあり、時にはADにすらなるべき存在なのかも知れません。知識労働者である個人が次々と能力的な NEXT STAGE に上がっていけるように…です。(とは言っても知識労働者側が思い上がってはいけないし、無論成長しなければならない)

その為の機会創出と個人能力の向上を経て、社会的経済的地位つまり「報酬」という形で文字通り報いる事の出来る企業こそが理想的な知的生産企業な筈です。僕は自分の会社をそういう企業にしていきたいと思っています。だから、最近の

スマホ上げ潮、人材争奪 DeNAなど、高報酬で囲い込み

といった記事を見ると、結果として得るべき社会的経済的地位が前面に出ている労使関係を凄く残念に感じるんですよね。僕も元開発者なので分かりますが、それはきっと楽しくなくて長続きしないと思います。特に成長を志す人ほどお金の為だけの仕事をつまらないモノと感じるからです。

とか何とか大きな事を言ってみた所で、僕はじゃぁ社会的経済的地位を経営者として十分に提供できているかというと、(決して悪くはないかなと思っているものの)まだまだ全然と思ってます。ホント全然。もっといかなくちゃ。能力をboostさせる機会や環境は創り出せてるという自負はありますが。

そこで思い切った方針転換をして、機会や環境だけでなくその先の社会的経済的地位の提供を担保し得るストック型や未来創出型の事業に注力しようと決めた訳ですね。それが「SYNCNEL」と「Book+」という二つの新事業だったりします(これがどんな風に社会的経済的地位で報いるのかを論ずるのは、長くなりそうなので別の機会にしましょう)

 

ま、以上の論説はあくまで5年少々の経験しかない新米経営者の僕の考え方に過ぎないので、一度機会あれば色んな方々と「企業とは何か?」という議論を交わせてみたい今日この頃です。いずれにしてもドラッカーが 書いている通り、企業とは人間組織である事に間違いはありません。知的産業においては特にそう言えるでしょう。

企業とは個人の能力をboostする組織である

僕なりのその企業論をこれからも貫いていきたいと思います。人生36年、経営者として5回目の誕生日を迎えた今日、そんな事を考えていました。


2011.10.29 (Sat)

山に登りたい!

突如として思い至ったのが今年の9月でしたでしょうか。身を清めるとか修行とかそういう意味では無いのですけど登りたくなったモノはしょうがないので、またしても奥さんを巻き込んで行ってきました(いつも巻き込んでゴメン)

んで真っ先に思い付いたのが金剛山

大阪の南方面で小中学校に通ってた方は耐寒登山と称する遠足で行った事があるんじゃないでしょうか。大阪府内唯一の村、千早赤阪村ですね。ご多分に漏れず僕も2回ほど行った事があって、経験ある所が良いだろうという事でターゲットにしました。

例によって朝方の行動パターンで大阪市内を6時台に出発、南海高野線河内長野駅の7:45のバスにのり

バスに揺られて8:15頃に登山口入り。運動靴でもokですよー的な初心者コースに挑みました。

山の中へ。

ずずっと

更にずずっと

だんだん深くなり、遥か前を行く3人グループを除いては人気もなく、見渡す限りの木・木・木!文字通り森!

この時点で多分9:00頃。

晴れた朝の森の雰囲気は素敵過ぎでした。耳を済ましても聞こえるのは虫の音と風に揺らぐ葉の音ばかり。見上げてみるとこんな感じで、

木々の中でないと取れない写真。自然の中にお邪魔させて頂いているという気持ちになりました。人間ってちっこい、自然に生かされてるんだと、美しいシーンを目にする度にいつも思います。

そして、急な斜面を登りきりやっとこさ着いた尾根の中間地点。

両サイドの崖(?)を眺めつつ、

通り抜ける風の冷たさを感じながら、隙間から除く空模様を楽しんで、

歩くこと更に約40分。明らかに日当たりの良さそうな場所を思わせる階段、

の先に見えたのは

一筋の雲。そして、

南大阪の街並み。PLの塔も見えました。

10:00ピッタリに登頂したので凡そ90分ぐらいの登山行程になったでしょうか。

既に先約の皆さんも多数いて、

お疲れのワンコもいて(笑)、そこでは長閑な時間が流れていました。

地元では出勤前に登山する人もいる…というぐらいなので10時の時点で人が多いのは当たり前の光景かも知れませんけど。皆さん、弁当タイムなんですよね。カップヌードル食べてたり、豚汁をおもむろに作り出す人もいたり。登り切った後に何か食べたくなる心境は凄くよく分かりました。…ので、僕らはコレ。

40分ぐらいマッタリした後は山頂の葛城神社に参拝して、

夫婦杉なる変わったスギも見て下山ルートへ。

帰りは舗装されたルートだったので、上りの時のような「自然の中にお邪魔させて頂いている感」が余り無く残念でしたが、それなりに木々の匂いは感じれたし、

滝を見れたりもしました。登りコースよりも随分と短くて1時間ぐらいだったでしょうか。下りがあっけなかった感じ。

おおよそ3時間45程度で降りて来た事になりますが、総じて想像していた以上に楽しむ事が出来ました。すれ違う人と「おはようございますー」「こんにちはー」と声を掛け合う事が当たり前な感じなのも新鮮でした。バイク乗りが道ですれ違ったらピースサインするのに似てるかな(違うか)。

 

山、良いかもです。

特に登る過程では思考を巡らす事が沢山できて、経営者には山を登る人がいるとか修行で山を登るとか、そういう事に妙に納得してしまった次第です。そんな目的かどうかは分かりませんが、一人で登ってる方が散見されたのも印象的でした。

という訳で金剛山を登ってきましたというお話。非常に面白かったので雪が積もる前にまた行きたいと思います。


2011.10.24 (Mon)

弊社の取り組みをご紹介するシリーズ…第5回目ぐらいでしょうか。何かこのまま行くと第20回ぐらいまで続きそうなのですが、地道に書いていきたいと思います。最終話は来春ぐらいですかねぇ(苦笑)

以前のエントリで弊社ではTwitterを推奨している事を書かせて頂きました。…が、もう一歩進んだ取り組みを今回は御紹介します。

仕組みの名前は「MyURL」と言います。

弊社独自の社内システムなんですが、原形を僕が作って、更に @kumatch に改造して貰って今でも社内で元気に稼動しているモノです。敢えて言うなら「Twitterを併用した社内ソーシャルブックマークシステム」になるでしょうか。

どんな会社もそうですが、常日頃ウェブから情報を収集しますよね。業界ニュース、開発のTips、自社商品のレビュー記事など、各種のシェアすべき(した方が良い)URLが結構あるものですが、自分が勤めてきた会社も含めて組織内では余り巧く共有出来ていないよなぁとずっと感じていました。

例を挙げると以前務めていたS社では、グループ単位で担当の人間がいて、共有すべき情報を集めて週に1回社内メーリングリストに配信をしていました。…でも、これって凄く効率が悪いんですよね。即時性もないし、担当が忙しかったら継続しません。

もっと効率良く、共有すべき情報の集約伝搬が実現出来ないか?

弊社の「MyURL」システムはそんな発想で作ったものです。図やキャプチャ画像を使って以下解説。

まずエンジニア全員が自分の使うブラウザに専用のブックマークレットを登録しておきます(MyURLシステムで用意)。ショートカットみたいなものですね。「共有ボタン」として機能すると思って下さい。

で、ネットを調査中に「皆で共有した方が良い」と思ったページにぶちあたったらブックマークレットをクリックします(上図の①に相当)。これで社内のMyURLシステムに当該URLが登録されます。超お手軽ですね。登録完了して以下のような表示となり、

更にここで「このURLをツイートする」をクリックすると、MyURLシステムが @myurl というユーザとしてTwitterに呟きます(上図の②に相当。@myurlというのは説明用のダミーです)。

@myurlのタイムラインには、弊社の誰かによって「社内で共有すべき」と判断された情報が「呟き」としてURL付き(URLは自前で短縮化)で蓄積されていく事になります。

この @myurl というユーザを弊社の全員がフォローしていますので、誰かが共有しようとしたURLが勝手に各自のタイムラインに表示されてくるようになります。

こんな感じですね。

恐らく、これ以上に社内情報共有における「集約」と「伝搬」を早くする術は無いんじゃないかな…と思います。情報共有の徹底的な合理化を追求した結果こうなりまして、今は普通に社内インフラとして機能しています。

ちなみに、Twitterのタイムラインに流すだけでは見落とす可能性もありますので、ストックしたデータを後から閲覧できるようにもしています。

他に、検索も出来たり並び替えも出来たりします。

これまでの合計ブックマーク数は今日時点で880個。

結構な数になりますよね。この社内共有されたブックマークの中には、読んでおくべき業界ニュースや、開発におけるTipsなど、色んな情報が詰まっています。ある意味、弊社エンジニア全員の気付き(知見)の倉庫であり、無くてはならないモノになっています。

 

これはTwitterを社内で推奨していく中で出てきたアイディアで、MyURLシステムのお陰で社内の情報共有は加速したと言えます。以前に御紹介した夕方mtgの時に「MyURLにも登録しているので後で見て欲しいんですが今日の新発見は…」「あ、ちょっと見ましたよ」といった会話も出来るようにもなってます。

僕がTwitterのような新しいツールを無闇に禁止する事を否定するのも、こういう所に理由がある訳で。つまり、新しいツールは当該ツールからの恩恵だけではなく、応用する事で更なる便益を享受する事も出来る可能性があるという事です。試行もせずにその芽を摘むのは勿体無いですよね。

…という訳で、Twitter社内活用ネタの第二弾でした。次回は弊社の根幹とも言えるタスク管理システムRedmineについて御紹介したいと思います。

 

■ 過去に紹介した弊社の取組み


2011.10.21 (Fri)

iPadがこんな所にも使われるのか!…とiPadを販売する関係者に言わしめたアプリがあります。

アプリ名を「操業日誌」と言いまして、なまこ漁を支援する為に使われる漁師さん専用アプリケーションです。このアプリ開発を弊社でお手伝いさせて頂きました。…漁師の方がiPad!?

誰しもがそう思われるかも知れませんが、こんなアプリです。

なまこ漁での漁獲を記録に残していきます。いつ網を投げて、どれだけの漁獲量があったのか…を記録するという訳ですね。

この仕掛けが凄いのはGPSによる緯度経度計測と連動していて、入力された情報はセンターに集約されるという点。つまり、いつどこで誰の船がどれだけのなまこを揚げたのか…が評価/分析出来るという事です。凄くないですか?次世代漁業という感じがしますよね。

漁師さんも自分がどれだけ採ったのか後から振り返れる訳ですし、そのデータを集約すれば地域の計画漁業にも使える訳です。今年はもう沢山とってしまったから来年以降の事を考えてそろそろなまこ漁を控えようか…とか、そういう判断が出来ると。

この種の仕掛けにはデータを如何に収集するかという課題がつきまといますが、起動が早く直感的に使えるiPadはこの課題を解決する最適なソリューションになったという事でした。

lobster boat. © 2003 Matt Hintsa, Flickr

この凄いアプリのアイディアは公立はこだて未来大学の和田教授によるものでして、ある時弊社info宛メールに直接お問い合わせを頂いたのがきっかけで、お打ち合わせをさせて頂きました(わざわざ大阪までお越し頂きました!)。漁業活用という画期的なアイディアに衝撃を受けまして是非にという事で開発のお手伝いをさせて頂いたという次第です。

この興味深いiPad活用事例が今週の週刊ダイヤモンドに掲載されました。

1ページ強に渡って、実際に漁師さんがiPadを使っている様子と併せて紹介されていますので宜しければご覧下さい。(…っていうか、今週は丸々スマートフォン特集という感じなので業界の方は買っておいて損は無いでしょう)

さて、このなまこ漁支援アプリは更に進化するというお話を既に頂戴しております。漁業の世界でも「いまだかつてない」仕掛けをiPadなら実現してしまえそうなワクワク感がありまして、このような貴重なプロジェクトに関わらせて頂けている和田教授に改めて御礼申し上げます m(__)m

(尚、本件については担当の和田教授に了承を頂いてエントリさせて頂いております)

 

iPadそのものだけじゃなく、iPadの活用シーンも、これからまだまだ進化していくのでしょうね。

きっと僕ら業界の人間が思いもよらない形で使われて、その世界がガラリと変わってしまうってなケースもこれから沢山出てくるのでしょう。単なるガジェット好きのオモチャ…ではなく、立派な問題解決ツールであるiPadが今後ますます業務に研究に…と物凄い勢いで広がっていくに違いありません。


2011.10.20 (Thu)

個人でも会社でもそうなのですが、特に会社での決済は基本的にカードで済ます事にしています。小銭を使うのが嫌なのと、きちんと明細が記録として残る…ってのが理由です。

法人としての買い物は僕個人のカードに比べて額も数も多いですので、半端ない勢いでポイントが付くんですよね。これは創業して法人カードを持たれてる社長さんは実感された事があると思います。

で、ウチはVISAカードなのですが、先日明細書を見てみると結構まとまったポイントが付いていて、何やら期限切れが迫っているポイントもあるようだったので全部いっきに使い切る事にしました。

せっかくなので会社で実利の伴うモノを貰おうじゃないかという事でGETしたのがこちら。どどどーん。

文字通りですが防災セットです!まさに今風なモノと言えるでしょう。

ポンチョとか乾パンとか、防寒シートにラジオ、懐中電灯にタオル、バッグ、エイド系のアイテム、給水用バッグまで…結構充実した品々です。これだけのものがA4サイズの箱に入ってて、万が一の事があればこれと貴重品だけ持ち出せば何とかなるかも…というモノです。有る無しで随分気持ちも変わります。

僕とウチの奥さんは自宅も近いので後回し。今回はエンジニアにどーんと。原資はお金ではなくてVISAのポイントなんですが、これも福利厚生の一貫になるんでしょうかね。

これを使う日が来ない事を祈るばかりですが、やっぱり万が一には備えておきたいものです。人が財である知的生産産業の企業は特にそうですね。デジタルデータのバックアップという意味での「万が一」には結構備えている(ウチのBackupの取り組みはまた御紹介したいなと…)のですが、この種のリアルな「万が一」への備えはイマイチでしたので揃えてみた次第です。

経営者の方、お手元のカードのポイントが貯まりまくってませんか〜?社内で有用なものに早めに交換しておくのも良いかと思いますよ。是非明細書のご確認を!