会社経営
2012.01.01 (Sun)

経営者になってから、正月休み・GW・盆休みなど、まとまった休みの時に色んな事を考えるようになりました。今日は弊社的…というか僕的な組織論の中核を成す人材論もとい人財論…というとちょっと大げさですが、何かにつけ思い巡らす時にベースとなる考え方の一つを書いてみたいと思います。

The Thinker © 2011 Yoshi Huang, Flickr

サラリーマン時代、人の頭脳が価値創出機であるITの世界にずっといたからか、知的生産産業における価値創出性能の最大化というテーマに興味を持ち続けてきました。工場等にあるような工員を増やす又は機械への置き換えでないと生産性がスケールしにくい産業に比べて、知的生産産業では頭脳依存つまり個人能力依存が高いぶん生産性がビックリするぐらいに高まる可能性を持っている不可思議感があって面白いからです。

特にITは知への依存度が極めて高いんですよね。ほぼ100%と言っても良いでしょう。そのMAXな不透明感がメチャクチャ面白い。もう全く読めないんですよね。

工場であればラインがあって人がいて機械があって、ラインと作業工程の数が分かれば一日に生み出す生産量って計算でほぼ出てしまいますが、知的生産産業においてはラインに乗るものは知的タスクであり、OUTPUTされるまでの過程の大半が人の頭脳に依っているので厳密に計算出来ません。

知の依存度がMAXなITの場合そのブラックボックス感が半端無くて面白いという事なんです。タスクは瞬殺されるかも知れないし、1つ入れたタスクが期待してた1に対して10の成果物が出てくるかも知れない訳です。もうホント訳わかんない(笑)。面白いじゃないですか。

頭脳、言い換えれば「人」が凄ければ想像を越えた生産性を発揮するかも知れません。更に、人は良くも悪くも外的/内的要因によって生産性が上下しますから「環境」によってはこれまた凄い生産性が獲得できるかも知れません。まさにブラックボックス。それで、

最高の環境と最強の人材が生産性を最大化する

なんて事を僕はよく言うんですが、「環境」と「人材」次第で想像を越えた生産性が実現出来るんじゃないかと思ってて、それを慎重に選んで/整えていく事が経営者の役割の一つだと考えています。生産性を最大化する為に。物凄く当たり前の事なんですけどね、でもこれを執念深いぐらいにやってる企業って余り無い。

知的生産産業の世の中ではいつまでたっても良くも悪くもありがちな就労「環境」が蔓延(はびこ)っているように見えますし、人の生産性を考慮していない「人月」という単位に未だに疑いを持っていないようにも見えますし、工場的発想で安易に人を増やせば生産性も上がると勘違いをしているように見える人もいます。1+1が-1になる可能性もあるというのに。

そうじゃないでしょうと。知的な生産がそんな単純な訳ないでしょうと。

環境が悪ければ1は1だし1年経っても1のままですが、環境が良ければ1は2にも3にもなるし1年経てば5にもなります。その可能性を僕は信じているし、実際にそう。だから、以前にもちょっと書いた事がありますが僕は「環境」には物凄い神経質になっていて、「人材」についてはその「環境」が最大限に作用する人を選んでいます。繰り返しになりますが、執念でしょうね、多分。

「環境は用意しました。あなたがフルタイムで開発に専念したら何が起こるか僕は見てみたい」

というスタンスが基本あります。無論、環境について100%はなくてウチはまだ7割程度しか達成出来ていないと思っていますが、今のところ相当(開発者にとって)環境が良いIT企業の部類には入っているという自負はあります。

「最高の環境と最強の人材が融合したら何が起こるのか。生産性が最大化するに違いない」

…ある意味でこの持論を試す社会実験とも言える僕の組織運営は、初めての増員をしてからの3年間で持論をある程度実証出来ていると感じています。3年で75を数えるアプリを外注さんほぼ皆無で開発している事や、鬼門であるPDFビュワーを多数の既存ビュワーに半年でほぼ追いついている事や、企業向けのシステムにおいては1年で100以上の機能追加をして関係者を驚かせている事などなどを、エンジニアの2011年残業時間合計が5時間越えずに実現出来ているのはその証左でしょう。

ただ、生産性が最大化したから膨大な利益が自然に湧いてくるかというとそこはまた別の話。

(Monetizabilityは超造語ですがw)

創り出す「性能」が前置きとしてあって、そこに価値創出率が最大化するハコを通して初めてマネタイズされる訳です。そのハコが重要で、ビジネスを考える役割も担う経営者だったり企画・マーケ担当が用意しなくてはいけなかったりする所で、時代の潮流にあった新しい技術やアイディア・企画、それを売る為の仕掛けだったりすると考えています。僕はここに、売上高だけを追求するモノではなく、流行り廃れの激しいモノでもなく、継続性も利益率もいずれも高いビジネスを持ってきたいと常々思って来ました。それは凄く難しい事ですけどね。

って、ちょっと横道にそれて長文化しそうなのでこのへんで。

とにもかくにも「最高の環境と最強の人材が生産性を最大化する」ってのが僕の持論。2011年まではこれを実証するフェーズとして動いてきたって感じなのだと思います。もちろん「環境」と「人材」を引き続き追い求めますが、それ以上に2012年以降は「金」という形に転換する部分にも手を入れて、生産性の最大化を経済的対価(つまり金)の最大化に繋げるフェーズに入っていきたいと思っています。

 

■ 弊社環境について書いたエントリ ■


2011.12.31 (Sat)

創業来「激動」が毎年続いてきたし、毎年「挑戦」をし続けた来たので、激動の年でしたとか、挑戦の年でした…ってな月並な表現は止めにして単に備忘録的に法人としての2011年の総括と2012年のことを書いてみようと思います。

2011年は新事業を沢山立ち上げた年でした。もう、これにつきます。

 

■ 2月 : 天気予報アプリ「そら案内 for iOS」

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元はといえば弊社 @itok_twit が個人で提供していたアプリでしたが、それを会社の事業にしました(もちろん本人の希望前提)。日本気象協会様の多大な御協力も頂き2011年2月にリリース、国内二大天気アプリの1つとして数えられるようになりました。

おかげさまで、2011年の無料iPadアプリ総合部門で1位をゲットするという快挙となった事は記憶に新しいです(有難う御座います!!)。

無償アプリですので広告事業となりますが、その収益以上に「あのそら案内を作った会社さんですかー」という対外的ブランディングツールになるという価値を創出してくれました。もちろん2012年も日本気象協会様と一緒にサービス継続の予定です。

 

■ 2月 : iOS用ドキュメント共有クラウド「SYNCNEL」

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物凄い量の弊社リソースが投下された事業。ウェブ側開発担当の@kumatch、クライアント側開発担当の@nakiwo、ビュワーエンジン担当の @itok_twit、という開発部隊全員が関わっているサービスでもあり、誰それのプロジェクト…というのではなく、まさにfeedtailorの事業と言う表現がピッタリ合うビジネスとなりました。

多数のパートナーやお客様に支えられ、事業として離陸間近な所まで来ているという感じでしょうか。2011年はひたすら種を蒔き続けた事になりますが、これがいっきに花開いていくのが2012年です。早くから反応して頂けた企業様の中には数百人とか千人以上といった規模で常用して頂くまでになっていたりしますが、それらの実績も正式に公開出来る時が順次来るんじゃないかなと。

iPadが出た瞬間に「ビジネス現場が変わる」と直感を得て、同時に「ストック型のビジネスが展開できる」という勘でもって増資・増員をして始めた事業。2012年はIT業界における僕の「感」と「勘」の正誤判定が出る1年になると思ってます。もちろん世界展開も視野に入れています。

 

■ 9月 : iOS用PDFビュワーアプリ「Book+」

元々は上記「SYNCNEL」の副産物だったのですが、今や弊社では一番販売数の多い自社アプリになりました。自炊家向けのPDFビュワーアプリ(jpgをzip化したコミックデータにも対応)

実はSYNCNELのビュワーエンジンはほぼ「Book+」のままでありまして、個人ユーザマーケットで熟成された機能が業務用のSYNCNELに搭載される、一方で業務用で発生した要件がBook+の進化を促す…といったようなシナジー効果もあり、SYNCNEL事業を続ける上でも重要なアプリとなりました。

日本の自炊事情は、@sumihiroさんの非破壊自炊カメラJUCIEがその最たる例で、遅々として進まない国内の出版業界を尻目に更に加速すると思われ、PDFや画像ベースの漫画データのリーダは引き続き求められる事になると思います。以前、フィクションを書いたこちらのエントリのような事もやってみても良いかも知れませんね :-)

Book+は、快適なデジタル読書体験を提供するリーダとして2012年も開発を継続する予定です。

..と、こんな感じで3つの事業柱が出来た2011年。もちろん受託開発も含めてですが、2012年は更にそれぞれを収益源として太い柱に成長させて行きたいと思っています。

また、止まっている事は大嫌いなので、更に新しい事業も立ち上げる予定です。既に実験的な実装をしているものも含めて2,3事業のアイディアはあり、その具現化に向けて年始からスタートダッシュして参ります。体制も整えなくちゃですね。進化と新生のバランスを保ちつつ2012年は邁進する所存です。

各種アプリのユーザの皆様、販売パートナーの皆様、セミナーやイベント等々でお世話になった皆様、2011年に弊社と関わりを持って頂いた皆々様に改めて御礼申し上げます。2011年、有難う御座いました。そして2012年も宜しくお願い致します。


2011.12.27 (Tue)

昨年に引き続き…になりますね。

まさか2年連続でやるとは思いもしませんでしたが、512万円から1000万円に増資致しました。2の十乗である1024万円にしたかったのですが、税務的な事情もありやめました。更に次があるとすれば2048万円とか、2560万円とかの綺麗な数字にしたいですね :-)

さて。

2011年、振り返ってみると、iOSデバイスのエンタープライズ市場あるいはタブレット型端末の法人需要の拡大に確信を持てた一年だったと言えます。これは弊社のiPad用ドキュメント共有クラウド「SYNCNEL」の評価目的利用の御客様からお話をお聞きしての体感で、業界業種規模問わず見えている傾向なのでほぼ間違いないです。

iPad3が恐らく発表されるであろう事も後押しになりそうですが、2012年も確実にタブレットの年、あるいは iPad の年になります。

Cu mediocris © 2011 Andreas Christen, Flickr

そら案内 for iOSBook+などの個人様向けのアプリ開発を継続すると共に、今回、拡大が確実視できてストック型収益が見込まれる業務用クラウド分野でシェアを拡大すべく、そしてまた更に更に新しい事業の布石を打つ為に会社としての基盤強化を図るべき&BSに厚みをもたせるべき….と判断しました。

ちなみに昨年と同様、本年の増資分も100%僕の出資です。

なので、相変わらず(株)フィードテイラーは僕の会社。僕の好きなように、開発者がその能力を120%発揮できる環境を作り上げ、圧倒的な開発スピードで他を凌駕し、驚くべき利益率を計上する会社を目指して今後も邁進する所存です。驚くべき利益率はともかくとして、環境とスピードは現時点でも有言実行できていると思いますが、これをもっと加速させたいなと。挑戦的にですね。

それには仕事の進め方であったりiOS専業ベンダーとしての対外的な見せ方戦略も含まれるでしょう。また、会社としての体制強化も含まれるかも知れません。最近、時間があれば考えているのはそんな事ばかり。2012年も挑戦は続きます!引き続きどうぞ宜しくお願い致します m(__)m


2011.11.13 (Sun)

登壇するのは9月以来でしょうか。11月下旬に大阪市内で久しぶりの講演をさせて頂く事となりました。以下がセミナーの詳細となります。

タイトル スマートフォンを活用したワークスタイル改革セミナー
日時 2011年11月22日(火) 13:30〜16:40
場所 日本アイ・ビー・エム 大阪事業所
〒550-0004 大阪市西区靭本町1-10-10
TEL:06-6441-6111
申込 こちらのPDFをご参照の上でTEL/FAX

この3時間に渡るセミナーで最初の基調講演を仰せつかる事となりまして、

スマートフォン&タブレットがビジネス環境を変革する可能性!

と題するお話を50分、させて頂く事になりました。これまで色んな箇所で講演させて頂く機会はありましたが、基調講演という位置づけで立たせて頂くのは始めての経験です。大変恐縮な事で緊張しまくりですが、現場に身を置いているからこそ言える具体的なお話をいつも通りにさせて頂きたいと思います。

内容としては

  • スマートフォン/タブレットが業務変革を起こす理由
  • iOS5とビジネス
  • 業務用アプリの実際
  • 業務におけるスマートフォン/タブレットの将来展望

等々がお話出来れば良いかなと。

無償のイベントとなっておりますので、情報システム部門の方、経営企画に関わられてるような方は是非お越し下さいませ。他にも、スマートフォンやタブレット型端末の導入を考えている企業様に提案をされてるような商社様やSIer様にとっても有用なセミナーかと思います。

最近、ブログのアクセス解析を見てますと「エンタープライズiOSアプリことはじめ」シリーズ(といってもまだ3回だけですが)に対するアクセスがとても多く、企業におけるiOSがテーマとして凄く求められているのだなぁという事がよく分かります。

僕は知見やノウハウはシェアするのを基本スタンスとしてまして、ご要望頂ければセミナー等で積極的にお話させて頂きに参りますのでお気軽にご連絡下さい。大阪/東京以外の場合は交通費や宿泊費をご相談させて頂くかもですが基本的に全国どこでもokです。

という訳で講演のご案内でした。他にも色々予定されているセミナーがありますので、また改めてご紹介致します。


2011.11.13 (Sun)

サラリーマン時代に研修という名の座学に参加させられる度に思った事があります。

行くべき人はもっと他にいるんちゃうか?

その人とは、当時の自分に言わせればマネージャであったり社長等の経営者であったりしました。人や組織をマネージする人ほど勉強しまくって成長しなくちゃいけない筈なのに、いざその立ち位置に立つと「部下の成長がグループや会社の成長に必要不可欠である」という命題のみに目が行ってしまうものなのかも知れません。(命題としては正しいがそれだけではダメ)

僕は代表の器が組織の器ではないかと考えています。

器の大小が儲けの大小なのか仕事の楽しさ具合なのか、それは組織それぞれに違うのかも知れませんが、その大小を決めるのは代表者の器です。企業は社長を越えられない。同様にグループだってマネージャを越える事は出来ない。組織を代表する人が社長でありリーダでありマネージャな訳ですから、非常に分かり易い真理です。

IMG_0485 © 2011 Chris McGeehan, Flickr

仮に企業における「器」を「富の量」だとすれば、社長の成長は企業が生み出す富の量を大きく左右する筈です。

成長とは、それは知見を深める事かも知れないし、色んな体験をする事かも知れないし、人間力を高める事かも知れないし、様々あるでしょう。何であれその積み重ねが企業の器を規定し、そこから利する従業員を始めとする関係者(取引先も含む)の幸せ具合も決めてしまうのだと思います。

だから代表者は組織の器を大きくする為に学び成長し続けなければなりません。自分のため、家族のため、スタッフのため、取引先のため、そのほか利害関係者全てのために。マネージャがメンバーよりも勉強していないとか、有ってはならないのでしょう。人の上に立つ以上、1秒1秒の時の刻みの中に学びが常に伴っていなければならないのです。

そんな事を自戒を込めてつらつらと経営ノートを綴っていたら、アッという間に夕方を迎えた秋の日曜日でした。

 

学び方や成長の仕方は人それぞれかも知れませんが、僕の場合は読書だったりセミナーだったり人と会って話す事だったりします。相変わらず本は読みまくってる方だと思いますが、今週は、かつてビジネスを共にした、とある冒険家の半日セミナーに参加していつもと違う学びを得てくる予定です。

ご一緒される方、宜しくお願い致します。