創業して7年目です。来年の7月7日が来たら7周年記念です。あと7ヶ月強。7ばっかりで縁起が良いスね。さて、7年目は節目の時だからなのか分かりませんが、今期は例年以上に色んな事を考えてます。そんな中でふと思う事に

『お金も人脈も経験も本当に文字通り全く何も無かった自分(と会社)が、何故7年も生き残れているのか』

って問いがあります。最近ようやく自分なりにその解を言語化できてきたので、今日はそれを書いてみようと思います。ザックリ言っちゃうと人の繋がりを意識するって事なのですけども、もう少し論理的に。

尚、弊社は株式の100%を僕が保有しているので、法人格としての振る舞いは代表経営者である僕の振る舞いとほぼ同じ。つまり、会社としてどうしたか…は、つまるところ経営者として僕が何を意識していたか、何を思っていたかに全て依拠しますので、僕の考え方をそのまま書くって感じになります。ここ数年の僕の生き方と言っても良いかもしれません。

 

ホップ数とノードを意識する

 

多分、これがあったから無し無しだらけでも弊社は(僕は)生き残ってこれたと思います。時を同じくして起業したけど残念な結果になった人や会社は、これが意識出来なくなったからじゃないかなと、7年近く色んな人や会社とお付き合いさせて頂いたからこそ、そう感じます。

さて、ホップやノードという言葉はネットワーク用語から拝借していますが、ようは何段先(ホップ数)まで先の人(ノード)のことを考えられるかというお話です。お金の動きを伴う商流にしても、人的ネットワーク構築つまり人脈にしてもそう。対外的な関係構築においてはこの1点だけ意識すれば物事が巧く回るのだと思います。

ビジネスは人と人との繋がりで生まれるもの。「商流」とはまさにその繋がり。ある会社に売り物があってそれを買うお客様が居らっしゃるとしましょう。その場合、ノードは2つ。

こんな図になりますね。ホップ数は1です。対面販売はしない商品を開発/販売委託しているなら、

こんな図になりますね。ノードは3つでホップ数は2。細かくあげていけばもっと増えます。何か商品やサービスがあって、それがお客様の手元に届くまでには沢山の人や会社(ノード)が絡むのは想像に難くありません。ノードの数もホップ数も3,4,5…と際限なく増えていく。

気持ちの良い接客や心地良い商流の裏には、必ず高いホップ数先のノードへの意識があります。

彼女に指輪を買おうとウィンドウを眺める男性に対して喋りかける時、販売員のお姉さんは男性の彼女さんに意識を向けてる訳です(ホップ数2)。「彼女さんはどんなタイプの方ですか?じゃぁこれがお似合いだと思いますよ」的な。

もっと凄い販売員さんは、女性がその指輪を着けてるのをその女性のお友達が見た時に….ともう一段その先に意識を向けてトークをします(ホップ数3)。「これ、彼女さんに良くお似合いじゃないかと思います。この指輪のデザインにはちょっとした小話があってですね。….(中略)…彼女さんはお友達からも『素敵だなぁ、良いなぁ』って言って貰えたりもしますよ、きっと」的な。(僕が結婚指輪を買ったお店も似たような感じで素晴らしい接客だった)

ホップ数が上がってる事が知覚できると良い印象を持ちます。そして商品もそのお店も店員さんも記憶に残ってしまうもの。そんな経験ありませんか?

違う例ですが、クリスマスプレゼントを買うお父さんに対応する店員だってそう。お父さんの先にいるお子さんに意識が向くと感動的な対応になったりもするのです。以下のリンクは超有名なエピソードですが、ホップ数とノードへの意識が何を生むかをよく表している話です。

あるクリスマスの日の出来事

この物語前半の店の人の対応は、自分にしか意識が向いてないホップ数0の状態で腹立たしくもあります。

でもお父さんの言葉を聞いてお子さんに意識を向けて(ホップ数2)、サンタの格好までして行動を起こした訳ですね。すまないことをした、お子さんはこれならビックリして嬉しがってくれるだろう、お父さんだって喜んでくれる筈だ….(そして許してくれる筈だ)。

その結果、父子共に満足して感動を呼ぶ逸話となった。実話かどうかはともかくこのページのtweet数や良いね!数は、ホップ数を上げた所にあるノードに意識を向けた行動で人は感動し顧客満足度は上がる 事の証左と言えるでしょう。

商品の販売だけじゃなくて受託開発案件のような関係でも同様ですね。良好な関係の裏ではやっぱり高いホップ数の先にあるノードに意識が向いています。

こんな商流がある案件で、自分がマネージャだとして、納品後に広告代理店さんから「クライアントさんがですね、『クオリティに感心した!担当の方にもお礼伝えておいて貰えますか』って仰ってましたよ」って言われりゃそりゃ好印象ですよ。そこまで意識を向けて貰っている(クライアントから担当者へのホップ数は3)…そういう感想が感情的なプラスを生むのです。マネージャーは嬉しいし、担当者だって悪い気はしません。次にまたあのお客さんの仕事が来たらもっとビックリさせるぞ!って思いも募る訳です。

商流で、その繋がりの全ノード(人や会社)に意識を向ける、各ノードの気持ちになって考えてみる、ホップ数をもっともっと上げた先のノードにまで視野を広げてみる…その意識の積み重ねが信頼やお金、時には感動を生み出すものなのだとこの7年近くを通して実感してきた次第です。

#TtW12 © 2012 davidsancar, Flickr

10年程前、僕は5年付き合った1人目の彼女と結婚を間近にして相手方の親御さんと揉めて破談となりました。その頃の僕は当時の彼女(ホップ数1)には意識を向けきれていなかったと思うし、ましてや相手方の親御さん(ホップ数2)が「自分の娘が連れてきたこの男と娘が契りを交わすのか…」という状況で何を思い何を感じて何を期待しているかに全く意識が向かず、自分の事ばかり考えてた気がします。そんな状態だったから、今となってはその時結婚しなくて良かったと思いますけどね。

一方で、今は奥さん(ホップ数1)にかなりの意識を向けているつもりです(仕事し過ぎやろという話はありますが^^;)。その先の義父さんや義母さん(ホップ数2)も意識するし、勉強頑張ってるかなぁ?って義理の甥っ子(ホップ数3)に意識が向く事だってあります。

人というのは、本当にワガママで面倒くさがりで自己中心的で、つまり、0ホップで考えがちです。面倒臭ぇって思う、自分がオレは…ってなる。これはもう人間の弱さなんでしょうね。確かにホップ数を上げて意識を遠くに向ける事は楽ではない大変な事だけど、上げれば上げる程、感謝の言葉や満足感はホップの数だけ大きくなって自分に戻ってくるのです。ビジネスであれば、それは信頼であり、お金であったりします。経験上、これは確実。どう理屈をこねても反証は出来ません。

返って来るモノをXとして、敢えて数式で表現するとこんな感じですかね。

∑の中の xn は自分が何かアクションを起こした事によるn番目のノード(人や会社)の反応(ありがとうの言葉や信頼感やお金)。それがホップ数の遠い所であればあるほど増幅(べき乗)されて、それらを足しあわせたモノが自分に返ってくる。考えが及ぶ先は3ホップまで…とかじゃなくて無限大(∞)にまで広がって良い。「ウチの子供がこんなに喜んだんだよ、ありがとう」って気持ちは、お子さんの有難うがお父さんの有難うに加わって返ってきてるってこと。お父さんの有難うはお子さんの有難うを増幅して内包してる。

沢山の人に思いを馳せる事を「愛」という方もいます。もしその定義が正しいとすれば、上の式はその人の愛の量を数式化したものかも知れないですね。宗教家やそれに近い方に多いですが本当に愛を説いて体現している人は、nが際限なく大きいんだろうなと思います。

ちょっと横道にそれました。軌道修正しましょう。

ホップ数を上げて意識した行動の積み重ねが、ビジネス上は信頼やお金という形で返ってくるという事でした。…と同時に実はネットワークの形成・強化にも繋がるのですよね。先日書評を書いた書籍の WOSKSHIFT には、

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
リンダ・グラットン 池村 千秋

by G-Tools

    <p>
      これから生き残っていく為の「シフト」の一つとして、<strong>人的ネットワークの構築</strong>が上げられていました。それが無いと貧困層に身を置く事になるよと。
    </p>

    <p>
      ネットワークを構築/維持する為には、もちろん自分の技術や能力も必要ですが、人的な繋がりも必要なのです。頼られる存在として存在感を出すということ、誰かが自分の事を思い出してくれるということ。前述のクリスマスの店員(前半)のようにホップ数0な考え方をする個人や法人がネットワークを構築出来るでしょうか?答えは否。またあの店で商品を買おうって思いませんよね、あの人にまた仕事をお願いしようって考える筈も無い。友達に勧めるなんて事は有り得ない訳です。
    </p>

    <p>
      技術や能力で尖っていて、尚且つ、ホップ数の高い意識の向け方をしている事を感じて貰えた時、人はその人の存在を強く感じ、その人はネットワークを強化出来るのです。これがネットワーク形成のメカニズム。自分が嫌だからやらない、自分がしんどくなるからやめとこう、自分が大事、オレすげー、そんな発想をする人は有意なネットワークからは孤立していくのみです。そして、将来誰にも頼られず評価も収入も得られず、幸せからは程遠い新たな貧困層に仲間入りするしかありません。
    </p>

    <p>
      &nbsp;
    </p>

    <p>
      視野を広げ、視座を高め、商流のより遠くにいる人々に思いを馳せる。いつの頃からか強烈に意識するようになりました。その積み重ねが信頼とお金に変わってきたからこそ、何にも無かった僕が今の今まで生き残れているのだと思うのです。自社(僕)の周りに広がるネットワークに感謝せずにはいられません。いつも有難う御座います。
    </p>

    <p>
      でもまだまだ足りてなくて未だにホップ数0な発想になってしまう弱さが自分にはあります。どうしても自分が弊社が&#8230;ってなってしまう。そんな時、努めて1,2,3&#8230;とノードの繋がりを意識しながらホップ数を上げて考えるようにしています。
    </p>