書評
2016.12.12 (Mon)

最近本を読みまくってますが、たまにはアウトプットしないとねということで久しぶりのレビュー。

本屋巡りをしていてたまたま見つけた本です。買う気も無かったし、そもそも存在すら知らなかったんですが、ふと目に入って目次を見たところ何となく今読むべし!と感じて購入。いぁこれはホントに良書でした。こういうことがあるので本屋をぶらつくのが好きなんですよね〜。

企業の最重要KPI

本書が問いかけるのは「企業が最も重視すべきKPIは?」ってこと。もしこの問いに対する解に「市場シェア」「売上」「販売数量」「契約数」が来る方は、この本から沢山の発見と気付きが得られるのではないかと。(僕もそんな一人)

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(Thanks! the photo on flickr by Bart Bernardes CC BY-NC-ND 2.0)

著者は、一貫して企業は何よりもまず利益重視であるべき と主張しています。利益は他の企業目標を超越した指標であって、

年度末に「あるといいもの」や「嬉しい驚き」として利益を扱っている場合ではないのだ

と手厳しい。なぜなら、

利益は生き残りの条件であり(中略)ビジネスを続けるためのコストである

から。当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。利益が大事なのは皆頭ではわかってますから。

ただ、多くの企業で実際のところは営業や経営者が「利益」を軸に考えれてないと指摘しています。優劣を売上規模で判断する風潮は依然としてあって、事業計画や実績評価を売上や販売数や市場シェアを指標にしがちだと。

だから、「20%の値引きをした商品で元と同じ利益水準を保つ為に必要な販売数増は?」なんて基本的な問題にも、「20%増です」という間違った解答をする人が多いのだそうで。そんな訳ねーよ、利益のこと考えてるのか?分かってねーなと著者。ま、そんな乱暴な言い方ではないですが。

利益を第一義におくとはどういうことか。

利益は売上とコストの双方を同時に考えられる唯一の指標であり、従って プライシング こそが最も重要であるというのが著者の主張。売上を上げるのも重要だし、原価下げるのも重要だけど、価格の付け方次第で利益を今まで以上に確保できるんですが著者のスタンスです。

価格付け以外になにもしていないのに利益が上がったという事例はマジックのよう。著者にしてみればマジックじゃないのでしょうが。だから、もっと考えろ、と言わんばかりにページをめくれどめくれど価格、価格、価格の話。目次を見るだけで著者の情熱を感じることができます。

  • 第1章 痛烈な洗礼を受けた私の価格体験
  • 第2章 価格を中心にすべてはまわる
  • 第3章 プライシングの心理学
  • 第4章 価格ポジショニング
  • 第5章 価格は重要な利益ドライバーである
  • 第6章 価格決定における見当ポイント
  • 第7章 価格差異化という高度なアート
  • 第8章 プライシングのイノベーション
  • 第9章 経済危機への対応と価格競争
  • 第10章 プライシングはCEOが取り組むべき仕事である

…ホントに最初から最後まで価格のことしか書いてない(笑) 文字通り価格に始まり価格に終わります。価格をテーマにこんなに文章が書けるのかという驚きからくる興味が本書を購入した最大の動機ですが、読んでみて腑に落ちました。

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(Thanks! the photo on flickr by saaby CC BY-SA 2.0)

価格学

「学」というと言い過ぎかも知れませんが、価格をテーマにありとあらゆることが書かれている印象です。価格を付ける根拠に何を持ってくるのかのパターンや事例(第5章)、価格体系をどう定めるべきかそのパターンや事例(第7章)、価格の付け方にもイノベーションがあること(第8章)、などなど。

イノベーションを取り上げた第8章は特に興味深いです。航空機のエンジンを売るGE社がもはやエンジンに値付けをしていない事例は、プライシングが時代と共に進化することを感じさせます。GE社が何に価格付けをしているかは是非本書で見てみて下さい。クラウド系ビジネスの人なら慣れてる思考ですが、ビックリしますよ。B2Bでももうそんな時代なんだ…と。

第7章で価格付けのことをアートと表現しているのも、本書中の数ある事例から納得できます。価格が1種類じゃないことと利益最大化の関係の論理的な説明は、なるほどなと。価格付けとは何と奥深いのでしょうか。

本書を読み終えたから適正価格が分かる訳ではありません。「掟」を手にしたところで、それが今自分が直面している価格付けの課題にピッタリな答えを示してくれる訳でもないでしょう。事例や市場によって事情は異なりますから。ゆえに価格は本当に難しく、本書がただ悩む要素を増やすだけという可能性はあります。僕も実際、価格付けが怖くなりました。

が、価格について思考する・試行するのに役立つ気づきや発見が何かしらある本です。なんせ、10章全部、約300ページに渡って価格のことしか書いてないんですから。いみじくも今日、大塚家具が苦境に立たされていることがニュースになってました。

大塚家具の業績はなぜこれほどまでに落ち込んだのか。大きな理由は二つある。一つは中途半端な価格戦略だ。

価格の設定を誤った例ですね。現預金の減り方が半端ない。価格が大事というのはこういうことなのでしょう。久美子社長も本書を読んでたら多分こうはならなかったかも知れないなぁと感じました。

という訳で、価格コンサルティング会社CEOが記した書籍、価格の掟。事業に責任を持つベンチャー企業の社長にも、新しく事業を起こすマネージャの方にとっても示唆に富む一書のご紹介でした。


2016.12.10 (Sat)

11月の記録です。

スマホ見るなら本を読め が最近の己の行動指針。スマホでの読書は?という話もあるのですが僕は紙の本派です。KindleとかiBooksとかも使うんですが電子は原則マンガのみ。スマホやタブレットだと他のアプリを触ってしまうんですよね〜。弱いんです、誘惑に(苦笑)

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(Thanks! the photo on flickr by Sam Greenhalgh CC BY 2.0)

ここ5ヶ月の履歴は

  • 2016年6月 : 6冊
  • 2016年7月 : 10冊
  • 2016年8月 : 13冊 + 1冊(AudioBook)
  • 2016年9月 : 7冊 + 1冊(AudioBook)
  • 2016年10月 : 7冊

こんな感じでした。やっぱ根っからの本好きなのですよねぇ。さて、そんなこんなで今月読んだ本は…

 

ビジネス書

 

小説

9冊とAudioBook1冊で10冊。

まとめ買いしていた、高田郁さんの「みをつくし料理帖」を読みだしたら止まらなくなりました。とってもいい作品。ビジネス視点の気付きもところどころあるのでこれは改めてレビュー書こうと思います。

今月一番印象に残ったのは子どもの貧困の実情が記されたこの本ですね。

読了後の感想を一言で書くなら「まじかよ」です。どこか他人事のように捉えられがちな貧困問題。中でも子供の貧困が如何に将来の日本を蝕んでいくのか、貧困対策とは回収の容易な未来への投資であるという視点で書かれた衝撃的なレポートです。

ご多分にもれず自分も、身近に触れる機会がないことを理由に他人事のように捉えていたことを反省しました。個人としても法人としても、何か行動を起こしたいと強く思った次第です。毎年NPO団体に寄付するとか、普通にできそうなこと。読了後はもちろん今も時々「子供 貧困 NPO」でググってますが、惜しむらくは情報が少ない(ように見える)ことです。

米国のように、寄付の節税効果が高くなる税制なら良いのになと思います。NPOの情報発信密度が高ければ寄付も集まり易くなる筈だし、自然とNPOが解決を図る社会問題の露出度も高まると思うんですよね。ま、無いものねだりでは何も行動できないので、できることからやっていきます。

11月も良い本や作家さんに巡り会えたことに感謝。


2016.12.02 (Fri)

12月に10月のことを書くという…(苦笑)、何だか2ヶ月遅れになってますが自分メモ的に。

さて、スマホ見るなら本を読め と、すきま時間に何かと本を手にとることが多い昨今です。あと毎日朝に10分は読書時間を確保。この2つを徹底するだけで仮に忙しい日々であっても結構読書できるもんだなと改めて思っとります。

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(Thanks! the photo on flickr by Pietro Zuco CC BY-SA 2.0)

すきま読書習慣を6月からはじめてますが、

  • 2016年6月 : 6冊
  • 2016年7月 : 10冊
  • 2016年8月 : 13冊 + 1冊(AudioBook)
  • 2016年9月 : 7冊 ; 1冊(AudioBook)

と読書量はこんな感じで推移。まぁ冊数がどうこうって余り意味ないのかもですが。どちらかというと読んだ上でアウトプットした量のほうが大事だろう、と思いながらも全然アウトプットできてません(T_T) 今後の課題です。

さて、10月はこんな感じになりました。主にシリーズものでまとまりました。

 

ビジネス書

 

小説

 

10月も7冊でした。

村上海賊の娘は単行本で出た時に気になっていたのですが、ようやく文庫化されたということでまとめ買い。噂通りの面白さでいっきに読み切ってしまいました。

現場のリアルな人間模様を知ることが如何に大切か。生き残る為にも、人の成長の為にも。それは昔も現代も一緒なのだなと読後に思いました。舞台の一つである瀬戸内因島に一度行ってみたいですね。

ビジネス書で一番印象に残ったのは、やはりLIFE SHIFTです。これは必読書かと。仕事や家庭、人生設計が大きく変わろうとしている厳しい現実を分かり易く突きつけてくれました。この本を読んだ・読んでないで人生観が本当に変わると思います。冗談抜きで。

何となく先送りにしがちな老後を悪い想像通りの陰鬱な日々にしてしまうか、長寿を楽しむ人生を作り出すのか。後者を勇気を持って選択する指針となる名著です。ぶっちぎりの2016年マイベスト本。特にお子さんのいる方には、自分の人生というよりもお子さんの将来の為に読んで欲しいと思います。

って色んな人にお勧めしてたら、大阪・東京の勉強会WSx2 の板羽さんの琴線に触れたのか、読書会というか勉強会というかを企画しようということになりました。大阪と東京とどちらでも開催かな?僕も参加予定ですが、読了されてるかたも読みはじめの方も是非に。

 

という訳で10月も良い本に巡り会えたことに感謝したのでした。もちろん、11月も良い本に出会えてますよ。作家の皆さん、編集の方、出版社や書籍流通や本屋さんに多謝。本っていいなぁ。では11月分はまた改めて。


2016.11.29 (Tue)

9月のことを11月に書くという…(苦笑)

完全に自分メモなのですが9月に読んだ本もちゃんと書いておこうと。今まで以上に本を読むようになった6月から、

  • 2016年6月 : 6冊
  • 2016年7月 : 10冊
  • 2016年8月 : 13冊 + 1冊(AudioBook)

こんな感じで読書量が推移してきてます。

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(Thanks! the photo on flickr by Hernán Piñera CC BY-SA 2.0)

9月も変わらず、移動中などの隙間時間では「スマフォ持つより本を読め」を行動指針にしてきました。そんなこんなで2ヶ月前ですが読んだ本。

 

ビジネス書

 

小説

 

9月は7冊+1冊。池上さんの新書がAudioBook1冊を含めて8冊。10冊以上が2ヶ月続いていたことを思うと7冊は少ないなぁと思いますね。昔に比べると多くはなっている訳ですが。ビジネス書は少なめでした。

ビジネス書で一番良かったのは、一流の育て方。いわゆる子育て本なのですが、経営における従業員への接し方というか人のマネジメントにも役立つだろうということで購入したもの。全部が全部ではないですが、従業員を抱えることと子供を持つことは似てるという持論の裏付けが讃えられました。つまり、子育てにおけるtipsは従業員に成長して貰う為のtipsにも通ずるということ。まぁ子供いないし作るつもりもないので僕が言っても説得力ないですが。

この本は、もうすぐ2歳になる女の子がいてるご夫婦にお貸ししたところ「凄い本を貸して貰った!」と大絶賛だったので、「育てる」という使命を背負った方々には良書なのだと思います。子育てには無縁な自分視点でも、子供が生まれる前の両親に税金使って配布したら良いと思うと感じる程でした。

小説は、あきない世傳金と銀が今月のベスト。というか、高田郁さんという作家を知れたのが何より良かったです。本屋でぶらっとしている時に見つけた本ですが、新し本や作家との縁が得られるのも本屋徘徊の面白いところです。


2016.09.04 (Sun)

6月頃から始めているすきま読書

普段なにげにスマフォを見ている時間を読書の時間に当てたらどうなるか…と、すきま時間を見つけては本を開くようにしています。気が付けば月で平均10冊ぐらい読めていて、積ん読を減らせるという効果もあって良い感じです。

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(Thanks! the photo on flickr by Christopher CC BY 2.0)

ここ数年積ん読が当たり前、買うだけで満足(?)状態でした。が、3ヶ月前に始めたすきま読書で読書量が増えて自然と積読も減り始めてます。読む量が増えるので当たり前なんですけど。僕と同じく積ん読に悩まれている方は すきま読書 お勧めです。積ん読を活かそう。積ん読こそ読書家の証! というポジティブ思考(笑)もありますが、やっぱり積ん読は減っていくに越したことはありません。

読書量を増やすコツは、まずは、どんな鞄にも入り易い新書とか文庫本を必ず1冊は持ち歩くこと。そして出先でのすきま時間にスマフォを手にしそうになったら、意識的に本を手に取ること…かなと思います。ちりも積もれば山となるでしょうか、これだけでビックリするぐらい読めるんですよね。それだけスマフォに時間を割いているということなのでしょう。積ん読を課題に感じている方は是非お試しあれ。

という訳で(?)8月に読んだ本です。

 

ビジネス書

小説

 

列挙した本からお勧めをご紹介します。

お勧め

ビジネス書では、最初にあげた 儲かる会社の財務諸表。経営者は漏れなく読むと新しい発見があると思います。あと、株式投資家の皆さんも。PLとBSの見方について新しい視点を得られるかと。PLはPL、BSはBSでと別々に僕は見ることが多かったですが、金額尺度を合わせて2つ並べると、事業が効率的なのか無理してるのかってのが分かって面白いです。

小説は 本日はお日柄もよく。スピーチライターの物語。人前で話をすることが多い方には勉強にもなる小説だと思います。僕は、言葉が如何に力をもっているか再確認できました。ビジネス書ばりに「スピーチの極意10箇条」なるものが出てくるんですが、そのまま仕事に使えるなぁと思いました。

 

あと今月から更に Audible も始めてます(契約は随分前にしてたけど暫く活用できてなかった)。いわゆるオーディオブックってやつですね。移動中に音楽を聞く代わりに聴いてます。幾ら読書が好きと言っても、歩きスマフォならぬ歩き読書はさすがにまずいだろうということで。

Audible

池上彰の知らないと恥をかくシリーズ。今年7冊目が出てますが、1冊目から読んでおきたいと前々から思ってまして。今年の6月から1冊ずつ Audible に上がってきてます。今月はシリーズ初刊を読了(聴了?) 2008年のリーマン・ショックが何故起こったのか復習できました。池上さん、やっぱり分かり易い。

 

とまぁこんな感じで2016年8月は14冊でした。先月が10冊だったのでまた増えましたね。すきま読書 、9月も続けてみようと思います。