ケーブルもいらない、パソコンもスマフォもいらない、ただかぶるだけでVRの世界にダイヴできる というスタンドアロンVR、今年はその元年だそうです。元々、スタンドアロン型が出てこないとVRは浸透しないと思っていたので、これまで手を出さずにいました。
ご承知の通り今年の5月、満を持してOculus GoとMirage Soloが登場。まずは研究してみようと両方を即発注。5月中頃には両方とも手にしてました。
数日使ってみた感想は、OculusGoのコストパフォーマンスは半端ない。没入感は十分。かぶるだけでokという手軽さで確実にVRのハードルは下がる。エンタメ・ゲーム以外の活用例が増える筈…といったところ。
活用例、気になりますね。特にビジネス。
ちょうど弊社は3月から、原則出社ではなくリモート主体にしようと切り替えていってる最中でしたので、自ずから「VRをリモートワークで使う未来」に想像が膨らみました。そんな未来の片鱗に触れられるチャンスがあれば良いな〜と思ってたのですが…
そんな機会が訪れました!やりましょう、VRミーティング!
アプリ界隈では知らない人いないと思いますが、お相手は最速の人 @sumihiro さん。とある新規案件の相談で slack で会話している時に、Oculus Rooms を使ってみることになったのです。
Oculus Rooms とは、仮想空間の中で一緒に遊ぼう!がコンセプトの無料アプリ。仮想空間内の自分の部屋に友達を招待して、一緒にチェスしたり動画を観たりってことができます。これを使って、ガチに仕事の会議をしようじゃないかというわけ。
Oculus Room で仕事会議を体験した感想は…同じ場所にいる感が凄いということでした。
Oculus Rooms での会議の様子
Oculus Rooms アプリを立ち上げると、そこはタワーマンション高層階の一室。自分の部屋です。
この部屋に @sumihiro さんを招待。facebookで友達になってる人を招待することができます。早速呼んでみましょう。ポチッと!
声が先に繋がって、そのすぐあとに @sumihiro さん登場!
「こんちは〜って、髪の毛、赤っ!(笑」
「ご無沙汰してま〜す。わははは、そなんです(笑」
と、和やかに始まった会議。リビングルーム内のアーチ状のソファーに2人で腰掛けて、見晴らしの良い景色を見ながらという構図になります。あぁ、何と優雅なミーティングでしょう。
音声の品質は全く問題なく、タイムラグも感じず、音については普通のビデオ会議と何ら変わりありません。申し分ない。ですが、決定的に異なるのが、異様なまでの同じ場所にいる感。声も相手のいる方向から聞こえますしね。
ありえない景色とありえない相手の出で立ちなんですが、違和感を感じません。これが不思議と会話を弾ませます。これほどまでに話がし易いとは。
既存のビデオ会議は、「雑談がやりにくい」「ディスカッションしにくい」という欠点があります。きっとそれは空間を共有してないからです。異なる空間(例えば会社と社員の自宅)を繋げただけですから。
Oculus Rooms は違います。「繋ぐ」のではなく「集う」のですよね。お互いそれぞれの現実世界から離れて、仮想空間に集まって話をします。仮想空間で会って議論する。そう、文字通り会議なんですよね。会って議論することが会議なら、Oculus Rooms のユーザ体験(UX)はより会議に近いと僕は感じました。
従来のビデオ会議より話がし易いと思ったのは僕だけじゃなかったようで、@sumihiro さんもほぼ同じ感想だったのか、直後にこんなtweetをしてました。
ガチ仕事ミーティングをOculus Roomでやってみた。
— ヤバいスミヒロ (@sumihiro) 2018年6月1日
感想としては最高かよ…
ホワイトボードを共有できるようになったらもっと便利になるけど、テレビ会議より「そこにいる感」があって話がとてもしやすかった。
よきよき。
おそらくこれは体験しないと分からない感覚かも知れません。仕事会議をガチでやってみた感想を端的に書くと、
- 仕事会議でも普通に使える
- 驚くほど会話がし易い
ということです。会議の議題と目的が明確で、言葉を交わすことが重要な会議なら Oculus Rooms は取りうる選択肢だと思います。共にそこにいる感が会話を弾ませますから。同じ会話をするのなら、弾む環境のほうが良いですよね。
Oculus Rooms での会議の様子(現実世界)
仮想世界に入って仕事会議している様子を事務所にいた @ikunee に撮って貰いました。
没入感が高いシステムですから、一度入ってしまえば、そこはもう、来社して貰った自社の会議室か、訪問させて貰った相手方の会議室なんですよね。入ってる当事者的には。ただ現実はこう。
リアル世界で非常に滑稽な姿になっていることに気づくこともなく、仕事の会話に没頭することができます。というかここは自社の会議スペースであったということすら忘れてたぐらい没入してました。
普通に会議室で相手と仕事の会議をしているのと全く変わらない感覚なんですよね。周りが殺伐とした白い壁なのか、高層マンションの一室なのかの違いがあるだけ。
ただ、一つ忘れてならない点があります。それは @sumihiro さんとは現実世界で既に7,8年の付き合いがあるってこと。そもそも元弊社のエンジニアでもありますから、お互いの仕事のやり方も分かってるんですよね。既にある信頼関係が重要な要素だったのは間違いありません。
Oculus Go + Oculus Rooms が優れたユーザ体験を提供してくれていることは間違いないですが、それだけでは多分お互いこういう感想にならなかっただろうなと。
全く会ったこともない人と Oculus Rooms で仕事の話ができるか…というと、それはちょっとまだ疑問符がつきます。リアル世界でまず会ってからにしたい。現実世界で実際に会っている経験はやはり大きいと今はまだ感じます。
ただ、Oculus が出てたった5年程度でここまできてるので、5年後は分かりません。従業員やパートナーの顔も見たことないまま仕事が進んでる…そんな世界は100%来ないとは誰も言えないでしょう。
Oculus Rooms で仕事会議をするメリット・デメリット
せっかくなので箇条書きでまとめます。勢いで書いているので漏れがあるかもですが、Oculus Go + Oculus Rooms を使ったリモート会議をやってみて思ったことです。
メリット |
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デメリット |
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メリットばかりなわけもなく、表の通りデメリットも沢山あります。が、これらは時間がある程度解決してくれそうな気がしますよね。
2の会議定番アイテムはアプリがあれば良いだけですし、業務の種類によってはブラウザアプリだけで解決することも多いでしょう。スクリーン共有もできるとベターですが、その実現に技術的な問題は余り感じません。
3はコントローラーが何らかの進化をしたり既存のペン型デバイスか何かが連動する仕組みがあっても良いかもですね。(参考 : 完成度の高いVR用スタイラス「Drawboard Pen」発表 | VR Inside, 「VR空間でデザイン」をワコムが提案 試作機でデモを披露)
今のところ、Oculus Rooms を仕事会議で使えるシーンは、議題と目的が明確で議論することが主旨である会議でしょうね…。でもよくよく考えると、課題と目的が明確でなく、且つ議論が主ではない会議ってそもそも現実世界でもやる意味あるのか?って話ですが(笑)
リモートワークVR、体験してみませんか?
なんと滑稽な…そんな会議があってたまるか…という意見もあるでしょう。パッと見のアバターの様相は「いかにも」でビジネスビジネスはしていませんし。
でも、ここはひとつ疑いの目で見るのではなく、まずは多くの人に Oculus Go + Oculus Rooms を体験して貰いたいなと思いました。そこにいる感が圧倒的に違いますから。できれば仕事の会議で体験して欲しい。
各社の色んな体験とその共有が、未来の働き方を醸成していくのだと思います。新しいアプリが生まれ上述のデメリットが次々と解消されていったりもするかも知れませんね。リモートワークでVRを活用するのが珍しい事ではない未来も考えられます。
そんな訳で弊社はこれを機会に、リモートワークVRに積極的に取り組んでいきたいと思います。そこで得た課題や気づきを共有できればなと。
あ、ちなみに。VRを事業にするつもりはありません。既に専門家が沢山いらっしゃいますので。弊社にとってスタンドアロンVRは、あくまでリモートを主体とした新しい働き方を実現する為のツールです。
以上、Oculus Go + Oculus Rooms を仕事で使った体験記でした。弊社とお仕事ご一緒させて頂いてる方で、Oculus Go をお持ちの方、一度ガチで仕事VR会議いかがですか? :-)