2008年のいぁ近年まれに見る大ニュースですね。
Yahooの経営状況を見ても拒否する事は現実的ではないというアナリストもいてますし、Yahoo自身も否定はしておらず市場も好感していると、色々な事実をかき集めると Google 対 MicroYahoo!(仮) の戦いが現実のモノとなりそうです。
…が、これは僕の見解ですが、それでもやっぱり Google には勝てないんじゃないでしょうか。というのも、どうしてもネットの世界における迷走組がくっつくようにしか感じられないんですよね。
Live!戦略が全くもって振るわず、検索市場じゃ Google1番、Yahoo2番、Microsoft3番…どころか3番手としてすら名前があがらなくなってきているMicrosoft。片やYahooはCEOの交代も即効性のあるカンフル剤にはならず業績も芳しくない。
対するGoogleは「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにする」という明確な使命の元に次々と手を打ち出してきて、相も変わらずの業績の好調ぶりは世界がGoogleを受け入れている事を示しています。統計を見てもそれは明らか。
Google, Yahoo, Microsoft がそれぞれ33.3%のシェアを持ってるなら、今回の買収で圧倒的優位に立つんでしょう。「これで2:1だ!」みたいな。でも、現実はそうじゃありません。直近のデータが示す所に寄れば、以下のようなシェアが現状ですから。
迷走する2社が一緒になってもせいぜい30%足らず。対するGoogleは7割に迫ろうかというシェアを獲得している訳で、規模感を見てもどうなんだろうか…という感が否めません。
その他、検索以外に考えを巡らしてみると、MicrosoftがYahooを買収する事で起こりそうなサービス単位の混乱は、Adobe による Macromedia の買収時に懸念されたプロダクトの衝突なんかとは比較にならないと思います。
■ 規模の問題じゃない
でも、そんな規模の話よりも、僕はユーザーの各社に対するアクションや意識の根底に歴然とした差がある事に大きな問題を感じています。
YahooとMicrosoftに共通していると思っているのですが、彼らのサービスやプロダクトを使っているユーザーは消極的選択をした結果それを使っている場合がほとんどだと思うのです。
「Microsoft大好き!」ってまず聞かないし、「Yahoo大好きなんです!」っていう声も余り聞いたことがない。どっちかっていうと、最初に触ったから使ってるとか、仕方なしに使ってるとかそんな感じ。(ウェブ系では全然ありませんが Windows は典型的な消極的選択の例)
対するGoogleは、積極的選択あるいは熱狂的支持と言っても良いでしょう。Google大好き…とまでは行かないとしても(いぁそういう人も多いですが)、Googleを使いたいからGoogleを使っている方が大半を占めると思うんですね。Simpleさが好きとか、精度が高いから好きとか、GEEKっぷり満載な社風が好きとか…、何かこう惹きつけるものに引き寄せられてる感じ。
「Google使ってたんだけど、Yahooに変えたわ」とか「Googleお話しにならんから、やっぱりMicrosoftだよね」って例が余り無いのに対して、その逆は多いです。
規模の差に加え、ユーザーの意識の差、それを考え合わせると Microsoft が Yahoo を買収しても検索界の巨人 Google には勝てないだろう…というのが僕の思うところです。今回の買収で満面の笑みを浮かべるのは、60%以上のプレミアム付きで株を買い取って貰える、かつてYahooの将来に期待してホルダーになった株主であって、ユーザーではないでしょう。
Microsoftがかつての繁栄から陰りを見せつつあるのと同様、Googleもいつかは斜陽していくのでしょうが、その繁栄ぶりを脅かすのは Yahoo を吸収した Microsoft ではないんじゃないでしょうかね。
ちょっと横道にそれまくりですが、積極的選択や熱狂的支持でもってユーザーに受け入れられているという意味では、Apple の存在がすぐに思い浮かびます。
消極的選択で使われている「ネット界のYahoo・OSのMicrosoft」、これに対して積極的選択で使われている「ネット界のGoogle・OSも持つApple」。こんな構図って無しですかね。
まぁ後者が買収・被買収の関係になる事はあり得ないと思いますが、こんな構造になればもっと面白いなと、後者の組み合わせにドップリ使っている僕は思ってみたりしています。