本日、お付き合いのある証券会社さんが訪ねてこられました。明日はとあるVCさんが担当が変わるという事で来社されます。別にequityなオペレーションをしている訳じゃないですが担当がいらっしゃるんです。そして先週は取引のある銀行さんが来られました。転換社債型新株予約権付社債、いわゆるCBのお話で。

Numbers And Finance

(photo by Ken Teegardin on flickr)

ベンチャーやってると…というか丸9年も経ってるともはやベンチャーではありませんが、資本政策に関係しそうな人に沢山お会いしますね。ここ数年また資金がダブついているんでしょう。あとは監査会社とか東証さんとかも、久しぶりにお会いしたのはこの1,2年の間。

ウチみたいに基本的にequityな資金調達は考えていませんよ…って姿勢を明確にしてる会社でも訪ねて頂ける理由が相変わらず理解できずにはいるのですが、ありがたくいつもファイナンスな質問を投げかけては勉強させて貰ってます。

昔に この日本で本当にシード段階の投資が出来るのか というエントリを書いて、VCは名ばかりで冒険しないってことを書き殴ったことがあります。今もあまり根底の部分で考え方は変わってないものの、冒険に付き合ってくれないじゃんっていう当該エントリに漂ってた嘆き(?)みたいな心情は今は余りありません。

冒険というか挑戦というか、まぁその思いはいつでも持ってて、先日とある社長に次の10年で考えてる事をぶっちゃけたら「それまたチャレンジングですね」と言って頂いたりもしてやっぱり生き方のスタンスは変わりませんが、がっついて超前のめりに行く感じを今は余り持ってないのが正直なところです。歳をとって落ち着いてきたんでしょうかね(笑) って冗談はさておき、資金調達にまつわる色んな事をこの9年間見聞きしてきて、華々しく見える調達関連ニュースの数々に些か疑問を感じる思いの方が最近は強くなってます。

本質的に融資と何が違うのか

やっぱ融資と何ら変わらないなーという印象が拭えないんですよ。特にVCからの調達って返済義務がないお金だから良いな〜と融資と対象的に見られる風潮がありますが、償還期限ってのがある事は余り意識されてないように思えるんですよね。でなきゃ、facebookで「調達おめでとうございます!」って普通言えません。めでたくねーよ!責任重大だよ!みたいな。(いぁ昔は自分もそう言ってたことあるけど)

お金出して貰って2,3年後に上場出来なかったら、経営陣はVCによる買取請求権の発動と闘わなくちゃいけなくて、巧く切り抜けてるおられる方もいますが、中には悲惨な結末を迎えた人もいる。借金背負って消息を絶った方とか実際に身近でおられますしね。結局、上場の約束を担保に将来返済額が変動し得る高額融資を受けるようなものという認識で間違ってない構造があるように思うのです。

上場したらしたで回収の対象となるターゲットが結果的に新規上場だと煽られて買った株主になります。gumiさんとかgunosyさんとかが最近だと顕著でしょうか。IPO案件の上場後株価チャート見てると、結局VCが出資することで幸せになったのって誰なんだろうと思うこともしばしば。はたから見てると資金繰りが苦しくなったがゆえのequityってのも見え隠れする案件もありますし(特に5000万円未満の規模)。IPOだけじゃないです、流行りの(?)BuyOutなExitにしても、じゃぁ最初からM&Aされてた方が良かった事ないですか?って思っちゃう。お金の回収ありきで組み上がるストーリーに無理は無かったかと思ってしまうんですよね。

だから、やっぱりシナジーの起こる事業会社に事業提携前提で第三者割当増資を引き受けて貰うのが一番綺麗なモデルだなぁと個人的には感じますね。多くのequityな資金調達は急激な成長を意図してやるもんですが、お金を入れて貰うばかりか、利益直結しやすい開発力や営業力のパワーも分けて貰える訳ですし、全体最適という意味ではベスト解だと思うんですよ。

何だか雑感に始まり雑文に終わる感じですが。

こんな事考えてますのでウチはやっぱりVCは無いですね。前向きに考える事すらも無いでしょう。とはいえ、事業会社さんからってのも多分無い、それならもうM&Aの方(される側)が合理的だと思うから。今、身近にいる出資を受けてる/受ける事を考えておられる方々のことを思い巡らしながら、VCの回収圧力のせいでエラい事になってしまう事がありませんようにと願う昨今です。