2008年、技術的に面白そうな事は何ですか?
と聞かれたら、もちろん当社の専門であるRSSはもちろん、XML関係ですとXBRLとか、ウェブマーケティングな視点も加味すると動画ですとか、まぁ色々と上げられる訳ですが、開発者という視点から上げるとすれば文句なしに Adobe AIR なのです。個人的に、あるいは当社的にも。
Adobe AIR は、PhotoShopやPDF等で皆さんよくご存じの Adobe Systems が開発を進めている、マルチプラットフォーム対応のアプリケーション実行環境。
という定義だけを見てると、どうしてもIT系の人間以外にはピンと来なかったりするのですが、簡単に説明すると
のことです。(厳密にはもうちょっと書かないといけませんが、ここでは省略)
デスクトップ用のアプリケーションというと、例えばPhotoShopやOutlookとか、Windowsで言うところのスタートメニューから起動するものですね。
従来、この手のアプリケーションを開発しようとすると特別な言語の習得が必要でした。細かい話をあえて無視して言うと、WindowsだったらC#とか(他にもありますけど)、MacならObjective-Cとか(これもOSX以前だとちょっと違う)ですね。
ようは、世界が全く違った訳です。だから、
- ウェブシステム/ウェブページを制作しますよーっていう事業
- デスクトップ用のアプリケーションを作りますよーっていう事業
を両方やってる会社は余りありませんでした。
(1)だけとか、(2)だけとか、両方必要な場合は片方を外注するとか、そういう形態が多いんですね。身近な開発会社(特に中小)を想像して頂くと、だいたいそうだと思います。(ちなみに、弊社は(1)も(2)もやるという会社です)
ところが!!
(1)だけの技術しか持っていない企業でも、既に持ってる技術(HTMLやCSS, JavascriptやFlash)で、(2)も提供できるようになってしまうのが Adobe AIR なのです。
身近な例だと、Windowsのノートパッド。
これを (1) を専業にする企業が開発するって事は想像しにくいですよね?どっちかっていうと(2)でしょう。でも、Adobe AIR によって (1) の企業でもノートパッドが作れます。自分とこのソリューションをスタートメニューから使って頂ける。
もう一つ例を挙げましょうか。
あるブログサービス提供事業者がいるとします。ブログを書くインターフェースはブラウザからではどうも使いにくい。じゃぁ Adobe AIR で専用のブログエディタを提供しよう!そうすりゃ、デスクトップ上の画像ファイルのドラッグ&ドロップで画像をアップロード出来るし、ブログシステムへ記事を保存すると同時にブロガーのパソコン内にもバックアップファイルも作ってしまえる
…まぁ誤解を恐れずに極端な例をあげると、こんな感じでしょうか。
今日のニュースに上がっていた、
JUGEM Desktopは、ウェブカメラで撮影した動画を直接アップロードできるデスクトップツール。アドビシステムズが開発した、OSやウェブブラウザに依存せず利用できるデスクトップアプリケーション実行環境であるAdobe AIRに対応
なんかは典型的な例ですね。
このように、巧く使えばサービスの質を上げられる訳です。これって凄い事だと思いませんか?ウェブ系の事業者の可能性がグンと広がるのは想像に難くないでしょう。
従来通りウェブサービスを作り、それを補完するツールをAdobe AIR のアプリケーションとして提供する。あるいはウェブに繋がっていること前提のサービスなんだけど、Adobe AIR アプリケーションのみで提供…という形態もあるでしょう
唯一の課題は、Adobe AIR という環境が既にインストールされているパソコンでないと、Adobe AIR 用に作ったアプリケーションは動作しないという事。
要は、Adobe AIR という環境が普及しない事には幾らAdobe AIR上で動作するアプリケーションを作っても意味が無い訳ですね。
でもPDFを世界中で当たり前の存在にしてしまったAdobeです。そして、ウェブブラウザ上でインタラクティブなコンテンツを提供するFlashを世界標準にしたMacromediaを買収した企業でもある訳です。
僕は、Adobe AIR が標準になるのも時間の問題だと思っています。Adobe Reader が多くのパソコンに最初からインストールされているように、Adobe AIR も最初からインストールされているという時代もやってくるでしょう。
そんな訳で、2008年の注目技術の一つ、Adobe AIR のお話でした。無論、当社でも昨年の早い段階から Adobe AIR には取り組みは始めており、遅くとも今年の春までにはAdobe AIR 向けのRSS関連アプリケーションの提供を開始する予定です。
詳細はまた改めて書きたいと思います。