40年に一度という大阪市長選挙・大阪府知事選挙のダブル選挙、決戦の時が近づいて来ました。大阪市内に住む僕はこのダブル選挙にダブル投票する機会を得ています。誰に投票するかは決めているのですが、大阪都構想の仔細や背景をもう少し知りたくて読んでみた次第です。
日頃から論理性や合理性を求める僕には共感出来る内容ばかりで非常に分かり易い本でした。限られた活字量で事の本質を巧く凝縮していると思います。本質とは、世界の都市間競争に取り残されないように役割をハッキリさせて効率よく大阪という地域を強くしていきましょう…って話。
関西の夕張市(2007年に財政再建団体に指定された)にいつなってもおかしくない大阪の現状を見据え、高齢化による税収減と、時代変化に取り残される事による経済低迷を見越してた上で「はよ改革せな!」とする橋下氏が、旧体制を維持しつつ出来そうな所からと論理性/合理性とスピード感に欠ける平松氏勢力を論破する構成です。そこに、堺屋太一氏との対談録で大阪都は変われない日本という国が変わる試金石になるとして大阪都構想を後押しする感じ。
根底は役割分担。
影響力が大き過ぎる割にマクロな視点を持ててない大阪市を含めて大阪行政の仕組みを一旦リセットし、マクロに考える都と、ミクロに考える特別自治区&市町村に分けて、予算編成権も伴う形で役割分担しましょうと。
経営者が方針を定めコントロールして全体最適を図り、現場のマネージャーが決裁権を持ちながら部分最適を図るという組織論を行政に当てはめる感じに近いです。効率良いですよね、その方が。
読めば読むほど合理的でドラスティックな大阪の未来像が見えて、僕は読みながらワクワクしたぐらいなのですが、現状維持が大好きとか変化が嫌いな方々はイマイチ理解に苦しむかも知れませんね。現状維持を全否定している内容ですので。
何はともあれ大阪都構想の仔細や、世界が都市を単位に見る時代の行政がどうあるべきかを知るには良い本です。★4つ。
で、余談。
僕はもちろん大阪維新の会側に投票します。時代に適応しようとしない組織は滅びるしか無いのは自明だし、変化の激しい時代には「変わる」「変わらない」で後者の選択は延命で場を凌ぐに過ぎない自殺行為でしかないから。
維新の会に投票したら行政サービスの質が落ちるって見解も目にするのですが、財政再建団体に指定されたら一緒なんですけどね、結局低下しますよ。延命でしかない。
既得権益者と高齢者の便益を優先する事は、子供や孫の未来を考えたら絶対出来ない筈なんですけどね。僕のかつての同僚にもいましたが、そういう人は多分「子供の存在意義は老後の自分達を守るため」と平然と言ってのけるんだと思います。
変化できない組織が、5年もっても10年後どうなってるか。これはまぁ大阪に限らず日本全体に言える事ですが、多分、失われた30年、失われた40年、そしてしまいには失われた日本になるんですよ、きっと。
- 既存体制 vs 時代適応勢力
- 年配者 vs 若者
- 感情 vs 論理
- 短期的視点 vs 長期的視点
こんな構図の前者が優先される時代に一石を投じないと。だから僕は「変わる」為の意思表示をしたいと思っています。