毎朝食事しながら前日分を倍速再生で見ているワールドビジネスサテライト(WBS)。毎週変わるコメンテーターの中で個人的に最も好きなボストンコンサルティンググループ日本代表の御立さんの新刊です。
日経ビジネスオンラインの連載記事を書籍化したもので、激動の時代を生きる基本的な考え方に気づきを得るのに良い書籍だと思います。2010年の少し古めの記事もありますが一貫して貫かれてる内容は、変化の激しい時代であること、それに適応する企業・個人のみが生き残れるのだということです。
自ら強い意志を持って、「変化適応力」を構築していくことが極めて重要だ。こういった姿勢を早くとった企業、社会、あるいは国が生き残る確率が高い、と信じ、活動していくことが、今こそ必要だと考えている。(p.12)
重要なのは、変化適応力が、より成長する為に必要なのではなく生き残るために必要であるという事です。そう、変化適応力が無い個人は、組織は、国は、死ぬって事を言ってます。よりよい未来を獲得する為に変化するのではありません、生きていたいなら変化すべしって事です。
その為に何が必要か、例えば何を変えれば良いか…のヒントが随所に散りばめられています。
国という観点では特に医療や教育に多めのページが割かれている点は興味深いです。スウェーデンの医療情報共有の取り組みがある疾病の生存率を劇的に高めた事に見習うべしという提案(p.122〜)、中国語・ベトナム語・インドネシア語を第二外国語にすべしというアジア戦略を画した大学カリキュラムの提案(p.257)、などなど
企業という観点で紹介されている、トラック屋なのにトラック販売から売り上げを上げないメルセデス・ベンツの欧州トラック部門の例(p.242)、エンジン販売だけを売り上げにしないGEのジェット機用エンジン部門の例(p.242)など、想定顧客のcore valueを分析した上に成り立つ新しいビジネスモデルは示唆に富んでいます。
書き出すとキリが無いのでこのへんにしておきますが、読み易く非常に良い本だと思います。震災前の記事で医療ツーリズムが提案されているものの今は原発問題でそれどころじゃなくなってしまってるとか違和感を感じる箇所もありますが、連載まとめ系の書籍なのでしょうがないでしょう。
マネージャや経営者にお勧め。星4つ。