久しぶりに書評です。ビジネス書。

MITで教えられている、ビジネスを始める24ステップがまとめられた書籍です。ビジネスをどのように立ち上げてどのように成長させていくか。その為に考えるべき全てが網羅されていると言って良いでしょう。

紹介されている24個のステップは大きく6つのテーマに分けられています。

  1. 顧客はだれか?(6)
  2. 顧客のために何ができるか?(5)
  3. 顧客はどうやって製品を手に入れるか?(3)
  4. 製品からどうやって収益を上げるか?(4)
  5. どのように製品を設計すべきか?(4)
  6. どのように事業を拡大すれば良いか?(2)

カッコ内の数字は24ステップのうち何個がそれぞれのテーマに属するものかを表していますが、「顧客」という言葉が入ったステップは実に14個、半分以上を占めています。ビジネスを起こす以上は、当たり前に熟考しないといけないのに結構忘れがちな「顧客」という要素について、全方位的にどんな視点で考えるべきかをよく解説してくれていると思います。

これだけのことを考えて事業を営んでいるか?と振り返ってみると、自分が過去に起こした事業の多くで抜け落ちていたステップが多く反省しきり。B2B事業の経験がなければ3つ目のテーマの重要性とか分からなかったりするので、その意味でもっと早く読みたかった書籍ですね。僕の場合はB2B事業を始めたとき、ほとんど考えられてませんでした。

売上をどうやって上げるかという回収戦略が列挙されているのも参考になります。興味深かったのは、facebook に買収された instagram が何のビジネスモデルも無く運が良かっただけとバッサリ切ってるところ(笑)。フリーミアムモデルには最近疑問を感じているので共感するところでした。

また、全24ステップをクリアしてからでないとビジネスを始めるなということではなく、とにかくやってみること、必要最小限にして動いてみること、を説いているのも現実に則していて良いですね。

見込み顧客と接触したり、市場の一次調査をしたりする行動に重点を置くことを忘れないで下さい。

起業家は、賢明でフレキシブルな行動を求められます。常に実行し、前進して、アイデアと製品を実際の顧客で試しながら、成功へのらせん階段を昇っていきましょう。

本書の最後にある言葉です。やはり正解は御客様や社会が知っているんですよね。だから、その声にいち早く触れること、そのフィードバックを取り込むこと、そのサイクルを繰り返すこと、とはいっても闇雲にやるのではなく考えながら進めること。そのバランスを正しく取る助けに本書は間違いなくなると思います。

良い書籍に巡り会えたことに感謝ですね。ことあるごとに見返す書籍になりそうです。事業を起こす方には間違いなくオススメですが、価値を御客様に届けるまでのプロセスを作るのにどれだけのことが考えられるべきかよく分かるので、経営者だけでなく全てのビジネスパーソンが読むべき本だとも思いました。星5つ★★★★★です。