(FastBoardについてはこちらのエントリをご覧下さい)
コンテンツ転送支援アプリFastBoardを作る事になったのは、無論「欲しかったから」という動機があったからなのですが、何故欲しかったのか、何を解決したかったのかという、開発を決めるに至った考えを書いてみたいと思います。
iPadをお持ちの方には共感頂けると思うのですが、デスクトップとiPadを一緒に使っているとファイルやURLを持ち出したくなる事が必ずあるんですよね。
具体的には「デスクトップ上にあるPDFをiPadで見たい」とか、「デスクトップで閲覧中のウェブサイトをiPadで見たい」とか、「動画や画像をフォトフレーム的にiPadで表示したい」とかとか…。iPadはコンテンツ閲覧デバイスであるからこそ、コンテンツをiPadに移動させたくなる事がままあります。
一般的に、iPhone や iPad にコンテンツを転送するには
といった方法があり、恐らく既存のコンテンツ転送系アプリはこの4種類に分類されていると思います。Air Sharing や FileMagnet、Dropbox、またURLであれば Instapaper などもありますね。いずれも便利なので僕も常用しており、Instapaper や Dropbox は手放せないツールになっています。
しかし、「転送」だけでなく「その場での簡易閲覧」も機能として求めると少し面倒になるのですよね。コンテンツを転送する時、それを後で見るのではなく今iPadで見たい(見せたい)ことが結構あります。なのに若干の手間がいる。そこに問題を感じていました。
転送するのに数クリック、見る為に数タップ…。これを1アクションにしたかったという訳です。転送から閲覧までをお手軽な一連の手段で実現したい。そんな思いで FastBoard の開発を始めました。
– 転送直後すぐにiPadで閲覧可能
– もっと高機能な閲覧をしたい時は専用の他アプリに連携させて閲覧
開発過程のα版である程度これを実現出来た時、僕にとって手放せないツールとなりました。iPadでコンテンツを閲覧するのが楽になり iPad の活用シーンが広がったのです。
休憩がてら背もたれを倒してiPadでドキュメントをのんびり読みたい、そんな時にドラッグ&ドロップ。自宅Mac閲覧中に見付けたお買い得情報のウェブページを居間にいる妻のiPadにドラッグ&ドロップ。作成中の資料をお客様に見せるべくドラッグ&ドロップ….。
iPadをUSB接続する必要はありません。ブラウザにIPアドレスを打ち込んで明示的にiPadへ接続する必要もありません。FastBoardがWiFi経由で自動的にデスクトップとiPadを結びつけるからです。必要なのはドラッグ&ドロップだけ。
そして、一時的にiPadで見たいファイルをネット上へ一度アップロードする必要もありません。お気に入りのビュワーアプリがDropboxのAPIに対応するのを待つ必要もありません。FastBoardが、最低限のトラフィックであらゆる iPad アプリへのファイル転送を実現するブリッジになるからです。
iPadにコンテンツを持ち出す手間を最小限にしたい。そんな思いで生まれた FastBoard。コンテンツ転送の上記4手段に並ぶ5つ目の手段として「FastBoardを使う」という選択肢を新たに提示できるのではないかと思っています。
ただ、その為にはまだやるべき事が沢山あります。僕らが目指すのは、iPadを初めとする新たな閲覧デバイスにコンテンツを容易に転送する術を提供しデバイスの価値を上げること。その為にやるべき事で既に見えている事、FastBoardの将来計画について、別エントリで書いてみたいと思います。
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